機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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アンケートありがとうございます

追記、シイコさん戦争中まだ結婚してねぇだろうにスガイ姓名乗ってたので修正いたしました。ハセガワは捏造です


62.Words of appreciation

「慎重に置け! ジェネレーターが暴走寸前だから少しの衝撃で爆発しかねない!」

 

「冷却材急げ!! 排熱が追いついてないぞ!!!」

 

「遮断剤持ってきてくれ! 断線した部分から火花が出てる!」

 

 ジャブロー地下のモビルスーツハンガー、そこに集まった作業員たちがズタボロの姿でメンテナンスベッドへ安置されたブルーディスティニーへ集まり怒声が飛び交いながら作業をしていた。

 

 ジオンのジャブロー侵攻が終わり、追撃戦へ移行したが戦闘行為など出来ないアリアとブルーは合流した部隊に護送される。

 しかし、先の激戦でブルーのダメージはあまりにも激しかった為予め損傷の具合を伝えられていた整備班はすぐに作業へ取り掛かり、その様子を遠目から見たアリアは傍にいた父のテムへ問いかけた。

 

「……直せそうですかね?」

 

「難しいだろうな。ジェネレーターはこれまでの戦闘のEXAMによる強引な出力リミッター解除を繰り返したことによる負荷で暴発寸前、戦闘機動の負荷が積み重なって基礎フレーム自体も満遍なく金属疲労によって歪んでいる。

 オマケに最後の戦いのEXAMがトドメだ。EXAMのコアチップは中枢回路が焼き切れ、復旧すら不可能だ。今も爆発してないのが奇跡としか言いようがない。

 最早辛うじて形を保っているだけのスクラップ同然の状態だな今のブルーは」

 

「そう、ですか……」

 

「……悲しむことは無いアリア。アレは懸命にお前に応え、お前を最後まで守りきったんだ。

 パイロットを生還させたあの機体は役目を最後まで全うした立派な奴だよ」

 

 テムは言い、アリアの頭を撫でる。あの機体には複雑な思いがあるが、これまで自分の娘を守ってきたのも事実であり親として技術者としてパイロットを、娘を送り届けてくれたことに素直に感謝の思いを告げる。

 

 アリアも思ったのか、改めて自分の乗機を見つめて言葉を贈る。

 

「お疲れ様でしたブルーディスティニー、ゆっくり休みなさい」

 

 

 

 

 

「ケイトォ!! あれだけ大見得切っておいてプロトが盗まれるなんてどういうことよ!」

 

「話を聞いてくださいクリス、今回の不手際は私が悪いのではありません。すべてレビル派閥の連中と赤いコスプレ野郎のせいなのです。

 強引に接収されなければ強奪されるということなど無かったのですから。すべてレビル将軍が悪いのです」

 

「だからって調整段階のまま持ってかれるんじゃないわよ! せめてロックくらい掛けてから渡しなさい! 2日くらい時間あったんだからそれくらい要望出せば通ったでしょ!?」

 

「え、何故そんなことをしなければならないのですか? あんな失敗作などに私の貴重な時間を……ちょ、ま、アイアンクローはやめ────

 

 ハンガー内に濁音の混じった悲鳴が轟く。そこには赤い髪色のパイロットスーツの女性がケイトの顔を鷲掴みにしており、かなりの力が込められてるのか離れた場所にいたアリアたちの元にまでケイトの軋む音が響いて来るようだ。

 

「父さん、あの方は?」

 

「ん? おお、彼女は『クリスチーナ・マッケンジー』中尉だ。ガンダム開発において教育型コンピューターの育成に携わった言わばガンダムの母親のような人物だな」

 

「凄い方なんですね」

 

「うむ、どうやらケイト君と知り合いらしいな」

 

「顔面握りしめられてますもんね」

 

『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙! 私の類まれなる脳細胞が!! やめ、やめなさいクリス! 私がおバカになってしまっては人類の損失なのですよ!!』

 

『黙りなさいおバカ!』

 

『バカ!? 言うに事欠いてバカと呼びましたか!? クリスの癖に生意気ですよ! あぁ、すみませんすみません、謝りますので力は込めな───フ"ヌ""ゥ"ァ"ァ"ア"ッ"!?』

 

「仲がいいんですねお二人共」

 

「どちらかと言うと腐れ縁と言うやつではないか?」

 

 そんな会話をしていると、2人の視線に気づいたのかクリスは顔をこちらに向けてケイトを鷲掴みにしたまま歩み寄ってくる。

 

「お久しぶりですテム大尉」

 

「うん、久しぶりだねクリス中尉。ほら、アリア挨拶なさい」

 

「はい、初めましてクリスチーナ・マッケンジー中尉。テム・レイの娘のアリア・レイと申します。父がお世話になりました」

 

 ぺこりと頭を下げると驚いたようにクリスは目を丸くした。

 

「礼儀正しいお嬢さんなんですね大尉。コホン、初めましてアリアちゃん。クリスチーナ・マッケンジーよ、気軽にクリスって呼んで頂戴。

 貴方たちのことは技術者の中ではかなり有名だったから会えて光栄だわ」

 

「はい、よろしくお願いしますクリスさん。それと、そんなに私って有名なのですか?」

 

「それは勿論。COMの開発者っていうのもあるけど、貴方達の戦闘データは途轍もないくらい貢献してくれたもの。あとはNESTではデータで再現した敵としてもえげつない強さもあるわね……

 知ってる? 貴方やアムロ君を倒せたパイロットって現在において片手で数えるくらいしかいないのよ」

 

「そうなのですか?」

 

「あぁ、彼女の言っていることは事実だ。最初の頃はまだオレも勝てたが、データを更新されてからはほぼ無理だな」

 

「私も最初はスティグマで勝ててたんだけど、今は簡単に対応されるようになっちゃって連敗中だわ」

 

 クリスの言葉を補足するように後ろからふたつの声が聞こえ、視線を向けると2人組の男女がそこにいた。

 首を傾げると、その男女は敬礼を行って名乗る。

 

「ユウ・カジマ中尉だ。ガンダム6号機マドロックのパイロットをしている」

 

 高身長の精悍な顔立ちの青年、ユウ・カジマ。

 

「シイコ・ハセガワ少尉よ。ガンダムピクシーのパイロットをさせてもらっているわ」

 

 アリアより少し身長が高いくらいの童顔の女性、シイコ・ハセガワ。

 

 そしてその後ろにはグレイヴ一味を倒したガンダム2機がおり、アリアはようやく2人のことが思い至り頭を下げた。

 

「あの時は助かりましたお二人共」

 

「俺たちはゴップ大将からの命令をこなしただけさ。君のような子が無事で良かったよ。

 それと、君のような小さな子を戦場に出した挙句、邪魔になったからと排除させるような連中がいたことが同じ連邦軍として恥ずかしい限りだ。本当に済まない」

 

「私からも同じ気持ちよ。本当にごめんなさい」

 

「いいえ、気にしないでくださいお二人共。悪いのはグレイヴとその一味のカス共ですから。それに、ボコボコにできたので溜飲は下がってます」

 

「マドロックの中から見てたが、えげつないことをするな君は……」

 

「お姉さんは感心したわね。勇ましい子は嫌いじゃないわ」

 

「我が娘ながらアグレッシブ過ぎるのも困りものだがね……さてと、2人とも私の娘を助けてくれてありがとう」

 

「いえ、大尉。我々は先も言ったように軍人として命令に従ったまでですから感謝されるようなことはありません」

 

「私も同様です大尉」

 

「謙虚なのだな君たちは」

 

 2人の返答にテムは笑う。

 

「すみません、お話中で恐縮ですがそろそろ解放してもらっても? めちくちゃ痛いのですがぁっハァアンッ!!?」

 

 すると、未だクリスの折檻中だったケイトの叫びが響けばようやく彼女は開放されるのであった。

 

「はぁ、酷い目に会いました。クリスの馬鹿力には困りものですね。もはやゴリラですゴリラ。ゴリラのクリス、ゴリスです」

 

 ようやく解放され、顔面に赤い手の痣を作ったケイトは痣を擦りながら呟く。

 

「まだ反省し足りないようね。そのメッシュ引っこ抜くわよ?」

 

 しかし、がっつり聞いていたクリスが青筋を浮かべてドスの効いた声で聞けば、ケイトはそそくさとアリアの影に隠れる。

 

「いい大人が私のような子供を盾にしないでください」

 

「ふっ、適材適所と言うやつですよアリア・レイ。私のような天才が体を動かすなど非効率の極み、クリスの対処など誰かにやらせればいいのです。ちょ、やめてください。怒れるクリスの前に出そうとしないでください」

 

 自分の背に隠れる情けない大人をアリアが引っ張るが、懸命に抵抗するケイト。しかしその力は貧弱であえなく人参のように引っこ抜かれ、床へベシャリとその身を投げ出してしまう。

 

「どうぞ」

 

「ありがとうアリアちゃん。後でシめておくわね」

 

「世界が私に厳しいです……」

 

 顔を伏せたまま物悲しく言うが、完全に自業自得なのでその場にいた者達は何も言うまいと口を噤んだ。そしてユウとシイコは割と多忙らしく、既にその場にはいない。

 

「それにしても私のブルーは完全に壊れてしまいましたし、私が乗るはずだったガンダムも盗まれましたから、ひょっとして私の機体ってない感じですか?」

 

「はぁ、本当にごめんなさいアリアちゃん。まさかプロトアレックスが盗まれるなんて……いや、別にこんな小さな子を乗せて戦場に出すくらいなら別にそれでもいいのかしら?」

 

「まあ、親としては娘が戦場に出る必要が無いのならそれでいいがね」

 

 クリスの言葉にテムは心底同意する。ケイトは野暮なことを言ったら酷いことになりそうだったので黙り、アリアは栄養バー(ゴーヤチャンプルー味)を齧る。速攻ゴミ箱に投げ捨てた。

 

「だが、そうもいかないだろうな。先のジオンの侵攻を防いだ……その流れを利用してすぐにでも奴らを叩くために連邦は宇宙へ侵攻するだろう。1人でも腕のいいパイロットを欲する連邦としては何がなんでもアリアを戦場に出そうとするだろう」

 

 テムは難しい顔で呟き、クリスもなんとも言えない顔で眉根を寄せる。

 2人ともまともな倫理観を持つ者として子供が戦場に出るということは歓迎できないのだ。しかし、今の連邦がそんなことを気にする余裕が無いのも理解している。

 

 ままならない現実に2人は重くため息をつくのだった。

 

 

 

「うーむ、不味いことになったねぇ」

 

 ゴップは自身の執務室で難しい顔をして呟く。彼の頭の中にあるのは先のシャアによるガンダム強奪のことだった。

 

「機体自体は別にさしたる問題は無い。最新の技術を使われているといっても、ジオンにあるような技術だ。しかし、COMは不味い」

 

 プロトNT-1に稼働テスト用に入れていたものだが、COMであることには変わりない。連邦軍がアレのお陰でかなり助かったこともあり、それが連中の手に渡ればどうなるかなど想像もしたくない。

 加えて。

 

「ジオンも面倒なのを作ってくれた……」

 

 ゴップが見るモニターの画面にはゲルググの詳細なデータが記されており、アリアが損傷が少ない状態のものを複数鹵獲したお陰でオデッサで接収したジオンのデータ群よりもより詳しくスペックを知ることが出来た。

 その性能は驚異の一言としか言いようがない。装甲材質以外はガンダムの性能のほとんどを上回り、加えて高い部品の加工精度が必要なガンダムと違いゲルググはザクIIの生産ラインを流用可能というのだから驚きだ。

 

 連邦とてジムの生産を急いではいるが、時間をかければろくな目にならないのは兵站家のゴップとて想像にかたくない。

 

「全く、レビル将軍も厄介なことを」

 

 シャアが強奪したガンダムの奪還ないしは破壊のため、アリアが追撃に出たがそこで逃走したペイルライダーがよりにもよってプロトバルテウスを持ち出したせいで邪魔が入り、みすみす逃してしまうのを許した。

 近いうちに行われる会議(という名の査問会)ではグレイヴの件含めて諸々追求するつもりではあるが、目下の課題はアリアの機体である。

 

 彼女に届けられるはずだったガンダムはジャブローにありながら強奪され、ブルーディスティニーはグレイヴ(カス)のせいで大破。

 生半可な機体を送っても彼女の操縦技術と機体のことを考えない負荷では戦闘中に空中分解しかねない。

 

 だが、彼女のために専用の機体を設計して建造する時間的余裕などあるはずもなくゴップはどうしたものかと考えていたところ不意にとあることを思い出した。

 

「確か、あの機体が建造途中だったな……幸いにも現在のジャブローでは有能な技術者が集まっている……どうせあと数度の戦いだけに絞れば問題は無い、か」

 

 彼は思い立ったが吉日と言わんばかりに受話器を手に取り、番号を入力すると数度コール音がなった後に応対の声が消える。

 

「私だ。現在建造途中のセカンドロットをホワイトベースに届けてくれるかな? うむ、火急の用事だ。予算は糸目をつけなくていいし要望があるのならできる限り叶えるように。彼らならば間に合わせてくれるだろう。では頼むよ」

 

 通話を終え、ゴップは息を吐きゆっくりと柔らかい椅子の背もたれに身を沈ませた。

 

「さて、私は私のすべきことをしようかな」

 

 そんな呟きは秘書官が持ってきた紅茶の湯気と共に宙へ消えていくのだった。




???「えっ、自分もう出番なんですか!?」

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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