機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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自重しないでやりますわよー!


65.Allegory-Manipulate-System

 鼻につく消毒液の臭い、周囲を忙しなく動いてなにかの機材の調整を行う白衣の科学者たちを見つめた後にアリアは頭に着けたヘアバンドのような形の機械を弄りながら胡乱な目を向けた。

 

「ケイトさん、いきなり呼び出されたかと思えばなんですかこれ?」

 

「貴方の機体に搭載する予定の制御システムのテストです」

 

「いえ、それは知ってますけど……何故こんなに大掛かりなのかと」

 

 今のアリアは固定された球体の中にあるシートへ病衣姿で座らされ、体のあちこちに電極やらなんやらを貼り付け頭には幾つものコードを繋いだヘアバンドのようなデバイスを装着。

 それら全てのコードが一纏めになって白い空間の天井から吊るされている装甲全てを取り外され、骨組みとなったガンダム7号機のくり抜かれたように空っぽの胸部ブロック接続されていた、

 

 部屋の外では強化ガラスによって仕切られ、そこから父とクリスが心配そうに見守っているのが見える。

 

「オーガスタ研究所は元々モビルスーツの制御系の改善とマンマシンインターフェースの研究をしており、私は人間の身体感覚・機能の再現と拡張を目指した研究をしていましてね。

 私の研究に目をつけた当時のグレイヴが私を強引にスカウトし、私の研究を用いた新しい制御システムの開発をするよう言いました」

 

「……つまり、今からテストを行うシステムをガンダム7号機に搭載するのですか?」

 

「そうなりますね。現在装着しているデバイスから脳の神経の伝達信号を読み取り、機体側の動きへ変換させる操縦をアシストする方式を取ります」

 

「この頭のが?」

 

「ええ、はい。更にもうひとつのデバイスを付けたいところですが、今回やるのはあくまでも軽いテストですので……良し、これで調整は済みました。

 アリア・レイ、準備はよろしいですね?」

 

「問題ありません、始めてください」

 

 ケイトは頷くと球体……ガンダム7号機から外されたコクピットから出るのを確認してアリアはハッチを閉じた。

 

「……接続スタート」

 

 呟けば頭部の機械のランプが点滅しコクピットの全天周囲モニターが起動する。目線の高さの位置にある部分にコードの羅列が並べば上へ流れて消えていき、ガンダム7号機のツインアイが赤い光を放つ。

 そしてガンダム7号機が見る景色がモニターに映し出された。

 

『起動を確認しました。試しに右腕をコクピットの中で上げてください』

 

「はい」

 

 言われた通り、アリアは操縦桿を握らずに右腕をあげる。するとガンダム7号機も僅かに遅れて同じように右腕を上げた。

 それを見てその場にいた全員はケイト除いて『おぉ……』と感嘆とした声を漏らす。

 

『動作を確認。次に手を握ったり開いたりしてください』

 

「はい」

 

 小さな手を握りる。ガンダム7号機もそのマニュピレーターを握り、拳を作る。

 次に手を開いた。ガンダム7号機も開いてパーを作る。

 

『次、親指から順に閉じた後に小指から開いてください』

 

「はい」

 

 親指から順に閉じ、人差し指、中指、薬指、小指。小指から順に薬指、中指、人差し指、親指を開いた。

 

『マニュピレーターの動作を確認。次は腕全体の稼働テストへ移行します』

 

「はい」

 

『では右肘をそのまま曲げて、肩口から回すのを10回お願いします』

 

「はい」

 

 肘をまげ、アリアはゆっくりと肩から腕を回す。それを10回繰り返せばケイトは小さく頷いた。

 

『次は左手で同じことをお願いします』

 

「はい」

 

 

 

 

「まさかこのような物が開発されていたとはな……モビルスーツの歴史が変わるぞ」

 

 テムは目の前で繰り広げられる光景に感嘆としたような表情を見せる。

 

「ケイトって人間性に問題があるやつですけどこういう分野に関しては正しく天才って言えるからタチが悪いんですよ」

 

 その隣ではなんとも言えない顔をするクリスが呟いた。

 

「そういえばクリス君とケイト君は同期だったね。君と彼女の普段の会話を見る限り、軍学校のそれよりも付き合いが長そうだが……」

 

「ケイトとは幼なじみなんです。サイド6で家が隣同士だったから良くアイツのバカに付き合わされましたよ」

 

 乾いた笑みを浮かべて言う彼女にテムは色々あったんだな、と同情めいた視線を向ける。

 普段のケイトの言動と性格から見て幼少期から絶対普通とは言えないような子供であったに違いないことは想像にかたくないからだ。

 

「んんっ、それでクリス君。ふと気になったのだがあの制御システムは明らかに画期的なものだが何故NT-1に搭載されなかったのだね?」

 

「あー、確かにそう思いますよね……全天周囲モニターと殆どサイズ変わりませんし」

 

 クリスはため息を履いてその場にいる面々に説明するように事情を話す。

 

「えーと、まず大前提としてケイトの作ったあの神経接続式制御システム……『Allegory-Manipulate-System』略して『AMS』ですが大前提としてコストがバカ高いです。

 試作品というのもありますが、単純に制作するにあたってのコストがガンダムに搭載されている教育型コンピューターの凡そ20倍かかります」

 

「に、じゅっ……!?」

 

 テムはその言葉を聞いて引き攣ったような声を漏らす。しかし、それは無理もないものだった。

『教育型コンピューター』とはガンダムに搭載されているものなのだが、このコンピューターは作るにあたって目を背けたくなるほどコストがかかり、そのせいでガンダムが高コスト化した要因となっているのを開発責任者であるテムは知っている。

 

 そして、それの20倍となると想像しただけで目眩がしそうなテムはクリスの説明に引っ掛かりを覚えた。

 

「クリス君、君は大前提といったね。ひょっとしてコスト以外に別の問題があるというのではないかね?」

 

「えぇ、はい。……多分、聞いたら気分が悪くなる話ですが聞きますか?」

 

 クリスが聞けばテムは僅かに躊躇いながらも頷く。

 

「……本来、AMSの前身となる技術は傷病軍人や身体に障害のある人が社会復帰にできるようにするものでした。

 ケイトはオーガスタ研究所に配属される前までは人間の身体感覚・機能の再現と拡張……要するに人体を外科的、機械的に強化する分野を専攻してたらしいんです。

 そして、彼女がオーガスタへ配属されてからはその人体拡張とAMSの前身技術を組み合わせて研究し、生み出されたのがアレです。

 ……本来のAMSはパイロットの脳深部へ専用のデバイスを埋め込み、直接的機械と繋いでダイレクトに機体を操縦するものなんですよ」

 

「────ッ!」

 

「あぁ、テム大尉の心配する様なことは起きないから大丈夫ですから!」

 

 作業を中止させようとしたテムを慌ててクリスが引き止めた。

 

「流石に当時の所長も倫理的な面でパイロットの頭を切り開いてやるようなことはダメだと判断できた人みたいで、速攻凍結されたんです。

 だからケイトは代替案として外付けの装置を用いてパイロットの脳波と神経の伝達信号を読み取るインターフェイスを介し、操縦アシストを行う方式へ改良しましたから。

 ……まぁ、そうやってもそもそものモノ自体のコストが高すぎて採用されなかったんですが」

 

「だが、オーガスタはあのペイルライダーとHADESを作ったんだろう?」

 

「あ〜…………その時には却下した時の所長とは別の人が所長だったらしいのをケイトが言ってました。

 当時は機密でぼかされながら酒の席で教えてもらったんですけど、ペイルライダー計画でもAMSをコンペしたんですけど結局コスト面で大敗したらしくって……『安全面を考えて改良したのに結局コストですか。長期的に見れば明らかにこっちの方が安上がりでしょうがクソったれ』って愚痴ってましたね」

 

「……つまり、問題なのはコストであって今テストしているのは安全ということなのかね?」

 

「ええ、はい。まぁ、ケイトしかあの機構の整備と調整が出来ないって言う問題もありますけど……」

 

 クリスが苦笑混じりに言うとようやくテムは肩の力を抜いて重いため息を吐き出す。

 

「……クリス君、ケイト君はとんでもないマッドサイエンティストじゃないかね?」

 

「否定しません……けど、アレの行動原理は人類の発展を願ってのことですから。

 ……まぁ、その過程がとんでもなくアレですが。他のマッドサイエンティストと違うところはアイツは人をきちんと最後まで使い切ることを心がけている……っていうのは本人の談です」

 

「目くそ鼻くそじゃないか……よく捕まらないな彼女は……」

 

「あー、庇うわけじゃないですけどケイトは正規の手段に則ってきちんとやるタイプなので、AMSを研究する過程で被験者を募った時もきちんと傷病軍人や身体障害の人の治療を目的にしてました。

 その過程で手に入れたデータを元に医療機関へフィードバックしてたらしくて、医療技術が向上したらしいですよ。それの感謝の手紙がその時に沢山届いたとか」

 

「……喜んでいいのか微妙なところだな」

 

「まぁ、はい。本人は副産物としか思ってませんでしたね」

 

 苦笑したクリスは窓から見下ろせば、丁度テストが終わったらしい。

 コクピットから出てきたアリアがケイトの元におり、彼女から色々と話を聞いているのが見えた。

 

『はい、とりあえず欲しいデータは手に入りました。頭部インターフェイスだけではこの程度ですかね。今度は機体全体の動作テストをしましょう』

 

『そうですか。……ところでこの頭のやつ外していいですか? コスプレみたいで嫌なんですが』

 

『ダメです。脳波を逐一記録したいので暫くは付けたままでお願いします』

 

『(すごく嫌そうな顔)』

 

「大尉、お嬢さんを迎えに行ってはどうですか?」

 

「……それもそうだな。うむ、クリス君、ケイト君の手綱を握っておいてくれよ?」

 

「善処します……」

 

 テムからの言葉にクリスは死んだ目で答えれば、2人はそれぞれ幼なじみと娘に会うために歩き出す。

 

 

 

 

 

「あ、アリアちゃん!! その人一体誰なの!?浮気!?浮気なの!?私がいながら!!?」

 

「……お姉ちゃん、この人誰?」

 

 ワナワナと震え、左手を引っ張って叫ぶミア。

 それに対して服の右袖を引っ張って聞いてくるのは波打った金髪を束ねて肩から前に垂らした、どこか緩い雰囲気の少女。

 

 両手に花ともうべき状況だが、2人の少女に挟まれているアリアの目は完全に死んでいる。

 カオスな状況でアリアは宙を見上げ、こんな状況へ現実逃避のようにため息を吐くのだった。

 

「ねぇ、アリアちゃん!説明して!!」

 

「お姉ちゃん、この人うるさいよ?」

 

「・・・・わかりました。説明しますから。ミアさん、クロエ、ひとまず離れてください。喋りづらいので・・・・」




EXAMは完全にぶっ壊れたことにします。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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