機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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ぶっちゃけこのポケ戦編、無くても良かったのでは?と思わないでもない。
原作の方では大体半月位の時間の流れですけど、本作ではおおよそ1週間未満ですかね。だいぶ巻きで端折っていきます


72.Even if it's parental ego.

「……そうか、そのような事があったのか。済まないクリス君、私の娘が迷惑をかけたようだね」

 

「いえ、あのときのアリアちゃんの言ってることも間違ってはいませんでしたから。……でも」

 

「あれくらいの子が戦争をどんなものか理解している、か……」

 

 テムとクリスは沈痛な面持ちで重々しくため息をはき出す。現在クリスは先の出来事をテムに伝えるために基地へ赴いていた。

 そして、一連の話を聞いてテムは徐に懐から一枚の写真を取り出す。

 

「大尉、ソレは?」

 

「……アリアがああなる前の写真だよ中尉。見てみるかい?」

 

「宜しいのですか?」

 

「構わんさ」

 

 テムがその写真をクリスへ向けると、彼女は丁寧にその写真を受け取って覗き込めば僅かに目を見開く。

 

「これは……」

 

 そこには今よりも少しシワの少ないテムと幼いアムロ。そして、2人の腕を抱いて挟まれるように満面の笑みを浮かべる見たことのない少女が写っていた。

 

 それはまだシャトル事故に遭う前の年相応に笑って、泣いてはしゃぐ、髪と瞳の色が変わる前の姿が記録された家族の集合写真。

 

 今の姿とはあまりにかけ離れた姿に流石のクリスも言葉を失ったようで、その様子にテムは苦笑したように口を開く。

 

「驚いたかね?」

 

「えっと、はい……その、アリアちゃんってこんな風に笑ってた時があったんですね」

 

 クリスの知るアリアは基本的に無表情がデフォであり、笑ったりや怒ったりするときもあるにはある。だが、そのどれもがよく見なければ気が付かないほど微細な変化しかない。

 

「なんていうか、印象が違いすぎてびっくりです。それに、アリアちゃんって髪と目の色は大尉似だったんですね」

 

 写真の中のアリアは白いはずの髪は紫色で赤かった瞳も黒味を帯びた茶色で、雰囲気も今の何処と無く退廃的で薄幸な雰囲気とうって変わり、活発な正しく普通の女の子だ。

 

「うむ、といっても性格はお転婆そのものでね。良くアムロを引きずって外を遊び回っていたよ。

 泥だらけになって絆創膏を貼って無邪気に走り回るそんな子だった……」

 

 テムの脳裏に過ぎる懐かしい思い出。

 

『おとうさんおとうさん! みてみて、えんちょーせんせーのかみのけ!! 

 つかんだらね、かんたんにとれたの! そしたらそしたらすっごいおかおのえんちょーせんせーとおいかけっこしたの! 

 うん、かえしてきなさい? えー、これもってえんちょーせんせーのまえにでるとおもしろいのに?』

 

『おとうさんおとうさん! こうえんでね! わるーいこたちをぼこぼこにしてしゃてー? ってやつにしたんだよ! 

 てをたたいたらぴゅーんってとんできておもしろいの! 

 うん、やめてあげなさい? えー!』

 

『おとうさんおとうさん! じゃーん! なんかおちてたなにかの筒! 

 ふはつだん? なにそれ〜? あ! おにいちゃーんこれみてー! ふはつだんっていうんだってー! あっ…………』

 

「…………いや、流石にお転婆すぎるだろ。不発弾なんてどこから持ってきた? 

 躓いて家の中でおっことした時は流石に死んだと思ったな……」

 

「ふはつ……え? 死……?」

 

 なんだかんだで事故に遭う前も遭った後もベクトルは違うがお転婆すぎる娘にテムは苦笑しつつも、言ってる内容を飲み込めていないクリスへ口を開く。

 

「気にするなこっちの話だクリス君……こほん、とにかくあの子は昔に酷い事故にあってね。それの治療と後遺症でああなってしまったんだよ」

 

「それは、なんていうか……」

 

「ハハハ、もう終わったことさ。……今思えばあの子には不便をさせてしまったな。

 私なりに最善をつくして育ててみたが、そうか。うむ……はぁ、何事も上手くいかないものだな」

 

 良かれと思ってテムは日常を忘れないようにアリアを、娘を少しの間だけでも同年代の子供たちのいる学校へ通わせたかった。

 しかし、それは逆効果だったと知って少しだけ悲しげに溜息をこぼす。

 

「それは違うと思いますよテム大尉」

 

 すると、片手にやけにケミカルな色をした液体の入ったボトルを握るケイトが部屋に入ってきたと思ったらそんなことを言ってきた。

 

「ケイト君? ……その、手に持ってるのってなんだね?」

 

「これですか? 私謹製のエナドリです。飲みます? キまりますよ」

 

「やめておこう。飲んだらなんだか、うん……」

 

「そうですか……こほん、話は戻しますがテム大尉のそれは杞憂でしょう。アリア・レイは公私をきっちり分けられるタイプでしょう。

 今回のこともソロモン攻略戦のことが思考の隅にあったがゆえです。戦争が終われば彼女も普通に戻るかと」

 

「……だと、いいがね。ところでそれ美味しいのかね?」

 

「飲みます?」

 

「……少しだけ貰おうかな」

 

「あー、大尉? 経験者から忠告しておきますけどキャップ一杯分くらいに留めておいてください。でないと」

 

「でないと?」

 

「キまりすぎて暫く寝れなくなります」

 

「……それもうヤクではないかね?」

 

「失敬な、きちんと合法な素材しか使ってませんよ。……今はまだ」

 

「「今なんて言った?」」

 

 空気が変な風に弛緩し、テムは気が抜けたように堪らず吹き出して笑う。親として子供は子供らしくあって欲しいと思うのはエゴなのかもしれない。

 けれど、アリアには戦いだけではないのだとお節介だと思われてもずっといい続けようと思った。そんな所に空気を引き裂くように甲高い電子音が響く。

 

「ッ、どうした!?」

 

 聴いただけで緊張感を呼び起こすその電子音の示す意味は危機的状況が発生したものであり、万が一何かあった時のためにアリアへ渡していた直通回線の通信機からのものだった。

 テムは即座に通信機を掴み取り、応答ボタンを押して声を張るとすぐに答えが返ってくる。

 

『モビルスーツです!! ジオンの連中が攻めてきました!!』

 

「何だって……!?」

 

 

 

 

 

『MS-18E ケンプファー』

 それはジオンが統合整備計画に基づいて、ザクをベースに強襲を目的に試作されたモビルスーツだ。

 ブロック化構造を採用したことで設備の整っていない場所であっても組み立てが可能なソレは全身にマウントラッチを用いて実弾を装備し、大推力を活かして前傾姿勢でリボーコロニーの街中を疾走する。

 その数は4つあり、彼らの目的地は今も調整をしているだろうレイヴンのいる秘密基地だ。

 

「モビルスーツ……!? 何故ここに…………!」

 

 アリアは自転車を停止させて目を見開いて叫ぶ。そして、奴らの進路を見て慌てたように懐から通信機を取り出す。

 

「こちらアリア!! 基地にジオンの恐らく強襲型のモビルスーツが4機向かっています!」

 

『なんだって!? クソッ、どこから情報が漏れた……! 税関もずさんな仕事しやがって!』

 

「ホワイトベースとグレイファントムに救援要請は出せないのですか!?」

 

『どう足掻いても30分はかかる! リボー自衛軍は出るだろうがほとんど役に立たないだろうな……』

 

「ッ……! 直ぐに向かいます!! レイヴンの起動準備をしておいてください!」

 

『それはダメだ! 危険すぎる!! お前はクリス君の家にいなさい!!』

 

「もう出てます! 切りますね!」

 

『あ、おいアリア! まて、待つんだ────

 

 テムの言葉を最後まで聞くことなくアリアは通信機を切り、懐へしまうと直ぐに自転車のペダルを踏み込む。

 砂利を削ってアスファルトへ飛び出し、基地へと続く道を走らせるが連邦軍の秘密基地は人目に入らないように市街地から離れた郊外にあり、加えて4機のモビルスーツは強襲に特化したタイプだ。

 

 機動力もそれに殉じており、人力の自転車とは速度があまりに違いすぎる。

 

「あぁ、もう……こんなことならエレカでも乗れば良かったですね……!」

 

 マッケンジー夫妻を起こさないように自転車を使ったが、それが裏目に出ている現状でアリアの叫びが夜空に木霊した。

 

 視線の先には市街地でリーア防衛軍の運用しているミドルモビルスーツと呼ばれる作業用機械のモビルワーカーに武装を施したモノがジオンのモビルスーツ、ケンプファー相手に攻撃を仕掛けている。

 しかし、作業用機械に申し訳程度の武装を施している玩具では本当の兵器であるケンプファーには相手にならず、周囲を飛び回る虫を払うように蹴散らされていた。

 

 そんな中で不意にケンプファーの放ったグレネードの狙いが逸れ、ちょうどアリアの進行方向へ落下してきたではないか。

 

「ッ、不味ッ……!!」

 

 弾頭が着弾し、爆発。

 

「キャアァァァアッ!!?」

 

 爆風に煽られ、アリアの小さな体が自転車から投げ出されてアスファルトの上を転がる。

 咄嗟に頭部を手で守るが、砕けたアスファルトの破片がその白い肌を切り裂いて赤い彩りが加えられた。

 

「っ、ぐっ……うぁ…………!」

 

 全身を滅多打ちされたような鈍痛に顔を顰めたが、幸いなことに打撲の破片による切り傷のみで動くことに支障はない。

 

「クソッ、道が……」

 

 しかし身体を起こして前を見遣れば半ばから瓦礫が道を塞いでおり、転がっていた自転車も岩に潰されて原型を留めていなかった。

 まだ目的地までは距離があり、抜けるには整備されいない林道を抜けるしかなく数瞬考えた後にアリアは直ぐに道を逸れ、ガードレールを跨ろうとして。

 

「ッ、アリアちゃん! 大丈夫なの!?」

 

「……アルフレッド・イズルハ?」

 

 そこにはエレカの運転席に座るアルフレッド(平和ボケしたガキ)の姿があり、アリアは怪訝な表情を浮かべてその名を呟くのだった。




その頃のレイヴンは多分『暇だな』ってなってるかもしれませんね。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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