機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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はい、舐めたガキのメンタルをメタクソに殴ります


74.The Real War

 戦争っていうのは遠い世界の話で、漫画とかアニメとかで描写されるように主人公のような英雄がかっこよく華々しく活躍する……そんなものだとおもってた。

 

「お母さん、お母さん!!」

 

「誰か手を貸してくれ!! 早く! 子供が瓦礫の下にいるんだ!!」

 

「直ぐに医者が来る、絶対助かるからな! だから目を開けてくれよ!」

 

「誰か……私の子供を見ていませんか……? 私の、私の隣にいたんです…………誰か……!!」

 

 目の前に広がる瓦礫の道と沢山の傷ついた人たち、近くにいない親を呼びかける子供、懸命に救助しようとする人、目を閉ざして胸が動いてない人に必死に呼びかける人、虚ろな目で中から綿の飛び出たくまのぬいぐるみを持って周囲の人に声をかける人。

 

 軍人じゃない沢山の普通の人たち、いつも通り笑って、泣いて、喧嘩して……仲直りして明日はどうしよう? 明日はもっと楽しくなる、そんな風に平和に日常をすごしていた人たち。

 

 目に映る人たちの顔は誰もが辛そうで、泣きそうで、いつも通り過ごしていた日常が突然奪われたことに理解が追いついていないみたいで、想像していたような華やかさなんてこれっぽっちも存在しえない。

 

 それをしたのが…………バーニィの……サイクロプス隊の人達の工場にあったモビルスーツたちだっていうことに気がついた時、気持ち悪くなった。

 

 あの日、あの時……僕が警察に嘘なんてつかず言っていればこうならなかったのかもしれないと、思考の隅で思ってしまったからだ。

 

 ……そもそも、あの時に墜落したザクからでてきたバーニィと会ってカメラの中身を渡さなければ。

 

 気持ち悪い、すごく気持ち悪い。

 

 ある意味でこの惨状を生み出した原因は自分なのだと。この退屈で優しい日常を奪い去った悪魔が自分なのだと……子供でありながら理解できた。

 

 あぁ、だからか……だからあの時、僕の言ったことにアリアちゃんは怒ったんだろう。

 

「っ、お、ぇ……」

 

 お腹の下から突き上げらたような不快感でえづき、堪らず口元を抑えて急いで物陰へ逃げ込めば中身全てを吐き出し始める。

 

 げーげ、げーげ。げーげ、げーげ。と汚い水音を伴って地面にマーブル模様で彩った、

 

 戦争がどんなことを生み出すか、戦争がどれだけ悲惨なのか、戦争というのがどのようなものか知っているから……あのように言ったんだ。

 

 からえづきを繰り返し、涙で視界が滲む。

 

 そんな時、

 

「ママ! ママァ! 誰かぁ! ママが!! パパが!! 誰か助けて!!! 死んじゃう!!」

 

「どろ、しー……?」

 

 懸命に潰れた家らしき残骸の下に呼びかけるクラスメイトの女の子……『ドロレス・ヘイズ』がいた。

 指先がボロボロで服も破けていて、それでも小さな手で懸命に瓦礫をどかしているの彼女の姿を見て思わず呟く。

 

 僕の声が聞こえたドロシーは肩を震わせて涙をボロボロと零して、顔を上げると口を開いた。

 

「アル!! 助けて!! この下にママとパパが! お願い! 今までのこと謝るから!! ねぇ!」

 

「う、あ、ぁ……」

 

 駆け寄ってきて血だらけの手で僕の手を掴んでドロシーは懇願する。学校での強気な態度ではなく、弱々しく縋るような……僕の知ってる彼女ではない普通の女の子がそこにいた。

 

 気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い……

 

「アル!? 聞こえてるでしょ!!? ねぇ! 助けて!!」

 

 動けない。動くことが出来ない。自分の罪に、しでかした事実に手足が冷たくなって石になったようにピクリとも動かない。

 視界が明滅し、呼吸が荒くなる。意識が遠のいて───

 

「アル!!」

 

 ───いくところでドロシーの泣きじゃくる顔と声によって強引に引き戻された。

 

『死にたくないなら大人しく回れ右して耳を塞ぎ、目を閉ざし、ベッドでガタガタ震えてなさい』

 

 彼女が行く前にアルへと告げた言葉を思い出す。恐らくはこういうことを彼女は知っていたのだろうとアルは思った。

 この世の地獄とも言うべきこの光景は安穏としたぬるま湯に浸かる者にとって見てはいけないものと言えよう。

 

 この光景を引き起こした原因でなければ、関わらない方がずっといい……だけど、その資格はアルフレッド・イズルハにはない。

 

 せめて、この償いを。贖いをする権利と義務がある。

 

「……ドロシー、君のお父さんとお母さんはどこにいるの?」

 

「ッ、こっち!! 早く来て!!」

 

「うん……!」

 

 まだお腹は気持ち悪いし、立ち止まれば吐きそうだ。けれど、それを飲み込んでアルフレッドは駆け出す。せめて、この血濡れの手で人を救えるのなら……と。

 

 

 

 

 

 クリスとアルのいたであろう場所は戻ればそこにアルの姿はなかったが、どうでもいいと切り捨ててアリアはクリスをマニュピレーターで潰さないように包んで基地へと帰還する。

 

 敷地内へと着地し、レイヴンを調整していた格納庫へ向かえばその中からテム含む作業員たちと事前に通信でクリスが意識を失っていたことを伝えていたので、救護班がストレッチャーを伴って現れた。

 

 アリアはゆっくりとクリスの包んだ右手をおろし、マニュピレーターを開けば救護班は意識の失ったクリスを素早くけれど丁寧にストレッチャーへと寝かして運ぶ。

 

 それを見送ったアリアはAMSの接続を解除、全天周囲モニターが暗転すると暗くなったコクピットで二の腕と太腿に接続されていたデバイスが外れ、腰を固定していたアームも収納。自由になったことでシートから降りる。

 

 レイヴンの胸部装甲が上部と下部に展開し、球型のコクピットブロックが露出するとハッチが開閉され外の景色が見えた。

 

 基地から見える都市部からは至る所から火の手が上がり、幾つもの建物がなぎ倒されており遠くからでもアリアの心へ悲しみや怒り、苦しみの感情が流れ込む。

 

「はぁ……鬱陶しい」

 

 しかし、それらを振り払ってアリアは汗や泥で汚れた髪の毛をかきあげながら運ばれてきたマニュピレーターへと飛び移った。

 

「体ベトベト……傷だらけだし。あぁ、服の回収も忘れてましたね……はぁ、ほんとに疲れました」

 

「アリア!」

 

「父さん……よかった、ご無事でしたか?」

 

「私のことはいい……それよりも服はどうしたんだ!? こんなに傷だらけで……! 

 全く、お前も年頃の子なんだから少しは自分の体を大事にしろと言ってるだろうに!」

 

 マニュピレーターから降りればテムがアリアの姿に慌てて駆け寄り、上着のジャケットを羽織らせる。

 アリアは現在レイヴンに乗るため、AMSの接続を明瞭にするために服を脱ぎ捨てた為に薄い肌着だけになっていた。

 

 加えて、汗で張り付いた布はその下の素肌を透けさせ、僅かに上気した肌は艶めかしく華奢な体格を強調し、体に刻まれた傷もアクセントとしてその整った顔立ちも合わせて妖しい魅力を放っておりテムの判断は正しかった。

 

「全く……お前は無茶をする子だな。そら、医務室に行くぞアリア」

 

「わぷ……ふふっ、はぁい」

 

 ジャケットの前のジッパーを上げ、テムはその小さな体を持ち上げて抱きかかえる。

 いわゆるお姫様抱っこをされたアリアは目を丸くしたが、テムが己を案じていることを察してふにゃりと表情を緩ませた。

 

「父さん、基地の被害はどうでした?」

 

「幸いなことに人員にほとんど被害はない。最後の1機をお前が撃墜してくれたおかげだな。

 それとサイド6政府がホワイトベースとグレイファントムへ人道支援を要請したらしい」

 

「そうなのですか……ジオンのモビルスーツに防衛軍は蹴散らされてましたから人手がないのですね」

 

「そういうことだ。それに加えて、ジオンが中立を無視して戦闘を行ったから唯一対抗出来る我々には出て言って欲しくないのだろう。

 今回の戦闘後にすぐさま民間企業からの補給を申し出てきたらしい」

 

「露骨ですね」

 

「仕方ないだろうさ。ジオンにとっては自国以外のサイドなどパイに群がる羽虫としか思ってない……戦争初期のヤツらのやった事を思えば、最早中立など言ってられないのさ」

 

 はぁ、とテムは溜息を零すその横顔をアリアは見上げればその胸元へ頭を置く。

 

「ジオンもなりふり構わなくなってきたのでしょうか?」

 

「……国力に劣るジオンが戦争に負けてきたからな。それはもう死に物狂いでマトモな考えを持つならやらないであろうことをやってきたのが証拠だ」

 

「はぁ、こんな戦争……早く、終わって……ほしいです」

 

「だな。…………疲れたなら眠っておきなさいアリア。手当はしておくから」

 

「は、い……」

 

 父に抱かれたことで緊張が解けたのかアリアは目を瞬かせて船を漕ぎ始める。それを見てテムが言うと彼女は言葉に甘えてゆっくりと寝息を立て始めた。

 

「おやすみ、アリア」

 

 

 

 

 

「か、核攻撃だって……!?」

 

 暗い町工場の事務所、その中に1人いた青年は手に持った隊長から事前に任務を失敗した場合に開封するように言われた手紙の内容にサイクロプス隊の補充要員である徴集兵『バーナード・ワイズマン』伍長の震えた声が木霊する。

 

 その直筆の手紙には今回のサイクロプス隊の作戦こと『ルビコン作戦』が失敗したことへの後のサブプランが記されており、サイクロプス隊が全滅し24時間後に連絡がなかった場合にキシリア配下の『屍喰鬼(グール)隊』とよばれる特殊部隊をリボーコロニーとパルダへ突入。

 ホワイトベースとグレイファントムの出港を邪魔させた後に別働隊のC型ザクによる核攻撃でサイド6を壊滅させるという狂った作戦だった。

 

「だ、だから……隊長は俺に失敗したら直ぐに脱出しろって言ったのかよ……」

 

 バーナードことバーニィは立っていることが出来ずに堪らずパイプ椅子へ座り込んで顔を覆う。

 サイクロプス隊に加入して期間は短いが、隊員の皆は雑だったが頼りになる上官たちで不器用ながらにバーニィのことを気にかけてくれた。

 

 それに加えてこのリボーコロニーで出会った少年のアルフレッド・イズルハだ。当初は生意気なガキでムカつきもしたが、純粋な目で自分のことを尊敬してくれたことにむず痒くもベテランの上官たちを前に腐りかけていたバーニィは救われたのだ。

 

「どうする……どうする……?」

 

 バーニィは迷う。隊長言う通りこのまま何も告げずにサイド6から逃げるのも正しい。けれど、あのアルの純粋な尊敬の眼差しを裏切るのは違うと心が言っている。

 

 しかし、ただの新兵の自分が何が出来る? 失敗した作戦を続行しようにも自分の乗ってきたザクはこのコロニーに不時着したままではあるが、修理する暇などない。

 加えて、サイクロプス隊を単独で壊滅させたあの漆黒のガンダムの強さは自分ですら文字通り格が違うと理解できてるために立ち向かうなど論外だ。

 

 考えて、考えてた後にバーニィはサイド6を救う方法をこれしかないと考えつく。これをすれば自分はジオンに居場所はないだろう……だが、それでもバーニィは己の善性とこんな自分を尊敬してくれた少年の目を裏切ることが出来ない。

 

「ふぅ……出会い頭に銃殺されなきゃいいけどな」

 

 冷や汗で背中をじっとりと濡らしながらもバーニィは立ち上がる。恐怖はある……だが、自分の上官たちを核攻撃を行わせた戦犯として汚名を刻ませることなどしたくなかった。

 そして、こんな自分を尊敬してくれた少年の故郷を核の炎で燃やすことも許せない。

 

「……まずはアルに会わなくっちゃな」

 

 そう言ってバーニィは事務所を後にした。




バーニィにはアリアの右ストレートとクリスのバットがぶちかまされるよお楽しみに!

後継機

  • 既存機体を魔改造
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