機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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謝罪。アリアの右ストレートは出てきません


75.A sense of justice as a person

「…………」

 

 医務室のベッドの上でボサボサになった髪のアリアが虚ろな目を瞬かせる。

 チュンチュンと外から聞こえる鳥のさえずりを聞いてアリアはポつりと呟いた。

 

「…………寝すぎた」

 

 

 

 

「ふわ……」

 

 眠気まなこで基地の中を歩くアリアの姿はシャワーを浴びたのかサッパリしており、簡素なシャツとショートパンツ、その上にテムのジャケットを羽織った姿で向かう先は食堂だ。

 

 昨日の真夜中での戦闘含め、時刻は昼辺り。流石にアリア自身もお腹がすいてるらしい。

 

 入口をくぐると食堂の席はまばらに埋まっており、アリアはトレーを取って配膳スペースへ行けば炊事兵にトレーを差し出す。

 

「お、テム大尉の娘さんか。怪我はどうだい?」

 

「はい、特に問題ありません。お腹ぺこぺこなので多めでお願いできますか?」

 

「おうさ! 沢山食べておっきくなりな!」

 

 山盛りに盛られた料理を前にアリアは僅かに目を丸くした後に頭を下げた。

 ドリンクも回収し、アリアは座る場所を探していると。

 

「アリアちゃーん、こっちこっち」

 

「クリスさん?」

 

 窓際の席に回復したらしいクリスがおり、アリアに向けて朗らかに笑いながら手を振る姿が見えた。

 前には父であるテムの姿もあり、その隣には兄のアムロの姿も。

 

 家族の姿を見てアリアは微笑んで、そちらへと向かう。

 

「兄さん、来ていたのですか?」

 

「うん、人道支援で瓦礫の撤去とかにモビルスーツを持ち出すみたいでね。パイロット組はほとんど駆り出されたよ」

 

「そうなのですか? なら、私と私のガンダムもやった方が良いのでしょうか……」

 

「いや、アリアは身バレ防止の為とレイヴンはサイズが大きいから今回は出番はないな。ところで、クリス君から話を聞いたぞアリア?」

 

「はい、なんでしょう?」

 

 テムはそう言うとアリアを見やり、小首を傾げてみれば次の言葉を聞いて固まるのだったから。

 

「クリス君のご実家から抜け出してたそうだな? 何も言わずに深夜で。ご両親が心配してたぞ?」

 

「…………あ」

 

 忘れてたと言わんばかりに目を丸くすると、テムは呆れたようにため息を吐いてクリスが苦笑しアムロが肩をすくめる。

 

「ママとパパが心配してたわよアリアちゃん? 電話越しに慌ててたもの。部屋をみたらアリアちゃんがいない〜! って」

 

 おどけたように言うクリスにアリアは僅かに目を伏せて口を開いた。

 

「その、すみませんクリスさん。マッケンジー夫妻にもご迷惑をかけたみたいで……」

 

「大丈夫よアリアちゃん。貴女が基地にいることを伝えたら2人とも安心したみたいだからね。でも、顔を見せてあげた方がもっと安心するから」

 

「はい、そうします」

 

「ところで、なんでアリアはクリス中尉の家から抜け出してたんだい?」

 

 アムロが聞くと気恥しそうに手元のトレーをつついて徐に話す。

 

「えっと、その……父さんに会いたくなって……ダメ、でしたかね?」

 

 上目遣いで言う姿に父と兄は顔に手を当てて宙を仰ぐ。その両者の内心は『はー……()()可愛すぎかぁ?』であった。ついでに言えばその隣のクリスもその様子に悶えていた。

 

「ふぅぅぅう…………アリア、準備を終えたらクリス君のご両親に顔を合わせて謝りなさい。分かったな?」

 

「はい、そうします」

 

「んんっ、ご飯食べ終わったら車を回しておくわねアリアちゃん」

 

「すみませんクリスさん」

 

「とりあえず、僕も作業終わったら顔見せに行っていいかな? アリアがお世話になってる人に挨拶もしておきたいし」

 

「ええ、構わないわよアムロ君。テム大尉もどうです?」

 

「ふむ……そうだな、たしかに私も会った方がいいだろう。時間ができたら息子共々お邪魔させてもらうとするよクリス君」

 

 そして、4人は食事を終えるとクリスが基地の表に車を回し助手席に乗り込めば走り出す。

 ホワイトベースとグレイファントムに搭載されていたモビルスーツ達が崩れた建物や瓦礫の撤去作業をしている景色を走るエレカの窓辺に手を置いて見ていると、不意にアリアがクリスへ尋ねた。

 

「そういえばクリスさん」

 

「ん? なぁにアリアちゃん」

 

「たしかにあの時、ガンダムから下ろしたクリスさんの傍にはアルフレッド・イズルハがいたのですが戻ってきた時には居なかったんです。彼を見てませんか?」

 

「アルが? ……特に見てないけど、お家に帰ってるんじゃないかしら?」

 

「ふむ、そうなのですか……」

 

 クリスからの答えにアリアは思案したが、すぐにどうでもいいと判断しそのままクリスと他愛のない会話を繰り広げる。

 

「それにしても、アリアちゃんってば凄いのね。軍学校を首席で卒業した私だけど貴女のガンダムには振り回されまくったわ。

 アレックスですら私の手に余ったけど、あの機体はそれ以上ね。ケイトの奴がテンション上げるのも理解できたわね」

 

「……確か、クリスさんは兄さんのアレックスのテスターも務めていたんでしたよね? 

 ケイトさんも建造に関わってたみたいですし」

 

「ええ、そうよ。といってもろくに扱うことが出来なかったけどね。ケイトの奴はアレックスにはろくに愛着ないけど。

 アムロ君共々、貴女達兄妹は凄いわね〜」

 

「私よりも兄さんが凄いですけどね」

 

「どっちもどっちじゃない?」

 

 

 

 

「アリアちゃん、無事だったのね良かったわ〜!」

 

「えっと、そのすみませんでした。一言もなしに出て行ってしまって……」

 

「そうねぇ、本当に心配したわよ。でもお父さんに会いたくなったのなら仕方ないわよね〜。しっかりしててもまだ小さいんだから仕方ないわよ!」

 

「クリスさん、ひょっとして言いました?」

 

「アハハ、ごめんなさい。一応理由説明しておかないといけないしね?」

 

 アリアからの返答は顔を逸らすだった。

 その後はマッケンジー主人にも謝罪すると朗らかに許してもらい、ひとまず無事を祝う意味も込めてお茶をすることになる。

 

「それにしても市街地の方は凄かったらしいわね。モビルスーツが暴れ回って沢山被害が出たって……」

 

「幸い私たちの住んでる地域は離れていたから殆ど被害はなかったがね」

 

「ほんと良かったわ〜。流れ弾が近くの道路に飛んできてたらしいから」

 

「ええ、はい。その道路を自転車で走ってたのですが、進路のすぐ先に弾が飛んできて死にかけましたね……」

 

 少しだけ遠い目をしてアリアも頷く。幸い多少の切り傷と打撲ですんだが、あそこで死んでもおかしくない。

 自分の悪運にちょっとだけ感謝したところで、そもそもジオンのカス共がやらかさなきゃこんな目に遭わなかったのだからジオンはやっぱクソだなと改めて思い直す。

 

「そういえば……アルもついさっきクラスメイトの女の子を連れて帰ってきたらしいのよね。

 なんでも、その子のご両親も被害にあって重傷みたいで住んでる家も被害にあったみたいだから暫くの間はあの子の家でお世話になるみたい」

 

「そうなのですか?」

 

 夫人が言ったことにアリアは紅茶を飲んでいた手を止め、僅かに目を丸くする。てっきり帰ってたと思ってたのにまさかクラスメイトを連れ込むとは予想外だったようだ。

 

 だが、それはそれとして無事だったのなら言うことは無い。いけ好かないやつだが、さすがに知ってる顔が死んでたなど目覚めが悪いなんてもんじゃない。

 

 そうしていると。

 

 

 ガタン……! 

 

 

 不意に家のすぐ裏手からそんな音が響き、アリアは猫のように背筋を伸ばして音の出処へと視線を向けた。

 

「あら、何かしら?」

 

「なにか落ちたのかな?」

 

「…………パパ、ママ。一応私が見てくるわね」

 

「私も行きます」

 

「ダメよ、危険すぎるわ。もしかしたらジオンかもしれないもの」

 

「なおさら1人では危険です」

 

 アリアはジッとクリスを見ると、何を言っても無駄だと察したのか彼女は息を吐いて強くいいつける。

 

「なら、絶対私の前に出ちゃダメよ。わかった?」

 

「はい、わかりました」

 

 

 

 

 

 

「……あちゃあ」

 

 アルに会うために忍び込んだバーニィは目の前で壊れた植木鉢を見て後頭部に手を当てた。

 幸いにも家主は来てないようでバーニィがアルがいるであろう部屋に声をかけようとした瞬間、僅かに頭上が暗くなる。

 

「ん?」

 

 顔を上げ、空を見上げた瞬間にバーニィは絶句する。何故なら自分の視界いっぱいに広がる2足のブーツの靴底が見えたからだ。

 スローモーションになった視界でバーニィが次に思ったことは『く、黒色……!?』である。

 

 そして、そのゴツゴツした靴底がバーニィの顔面ど真ん中に直撃した。

 

「ぶげ!?」

 

 鈍い悲鳴をあげ、バーニィな視界がチカチカと瞬く。

 

「おりゃあ!」

 

 立て続けにそんな掛け声とともにバーニィの側頭部に何かがぶち当たった。

 

「うぎゃっ!?」

 

 激痛と共に三半規管がかき混ぜられ、地面に倒れたバーニィの思考は『なんでこんな目に……』だったのだが、人の敷地に忍び込んで怪しい仕草をしてるところを見られてたのだから自業自得としか言えない。

 

「パパ! ママ! 警察呼んで!! 泥棒よ!!」

 

「ふー、ひと仕事しましたね」

 

「ま、まってくれ……」

 

「む、まだ意識があるようですね。2、3発やっときます?」

 

「その前に手足縛っときましょ! まったく、大変な時に他人の家に盗みに入るなんてふとい奴ね!」

 

 バーニィが事情を説明しようとするが、自分を見下ろす声から2人が女とわかるが聞く耳を持ってくれない。

 

 痛みの中でヤバいという思いが思考を埋めつくしたところで。

 

「バーニィ!? ちょ、クリスなにしてんの!!?」

 

「あら、アル? 泥棒捕まえたのよ!!」

 

「いや、違うよ!! その人は……えーと、その……そう! 僕のお兄ちゃんなんだよ!!!」

 

「「え?」」

 

 頭上から聞こえてきたその声に闇に落ちていく思考でバーニィは微かに思う『ナイス、アル……』と思いながら意識が落ちるのだった。

 

 

 

 

「ほんっっっとうにごめんなさい! まさか、お兄さんだったなんて……」

 

「あ、あはは……たしかに紛らわしかったですよねすみません……」

 

 クリスの家の居間で手当を施されたバーニィと名乗った青年へ謝るクリス。そのすぐ側には気まずそうな顔をしているアルとそんな2人へ胡乱な目を向けるアリア。

 

 クリスとアリアが2人がかりで泥棒ことバーニィをボコしていたところ、アルが慌てて2人を止めれば彼のことを自分の腹違いの兄と説明し、こっそり逢いに来たのだと言った。

 

 アリアはそんなアルの言った内容へ即座に思った『なわけねぇーだろ』と。腹違いの兄といえど、遺伝子が半分同じなら多少顔の造りが似ているはずだ。なのに、アルとバーニィの顔を見比べてみたが全然似ていない。

 

 オマケに首筋の太さと指の形はパイロット特有のものであり、アリアはすぐに彼の正体が民間人ではないことを見抜く。

 

 何故かいい雰囲気になってるバーニィとクリスへアリアは平坦な声で言い放った。

 

「それで、ジオンの兵士が何の用ですか?」

 

「「ッッ!!?」」

 

「え、アリアちゃん? どういうこと?」

 

「はぁ……この程度の揺さぶりで面白いくらいに動揺しないでくださいよ。クリスさん、バーニィさんの首の太さと指の形をよく見てください」

 

「…………あ」

 

 アリアに言われた通り、クリスもバーニィを注視してようやく気づいたのか、すぐに離れアリアを抱いて後ろに回すとすぐ近くに立てかけていたバットを手に取った。

 

「ジオンのパイロットがなんの用!? 私たちが連邦の関係者だから忍び込んだのね!」

 

「ち、ちが! ちょっと待ってくれ!!」

 

「そ、そうだよクリス! バーニィが悪い人じゃ……」

 

「昨日のこと忘れたのですかアルフレッド・イズルハ?」

 

「そ、それは……」

 

 4機のモビルスーツが市街地で暴れ回り、たくさんの被害が出たばかりだ。アルはその言葉に顔を伏せ、バーニィはバツが悪そうにする。

 クリスから睨みつけられていたバーニィは両の手を握りしめ、心呼吸をしたかと思えば勢いよく頭を下げた。

 

 予想外の行動にクリスとアリアの頭上に? マークが浮かぶ。

 

「俺たちが……隊長たちがやったことはどれだけ謝っても許されることじゃない。だけど、隊長たちはサイド6を守るためにやったんだ!」

 

「はぁ? 何を意味のわからないことを────

 

「今から12時間後に別のジオンの部隊がサイド6に核攻撃を始める!」

 

「「「ッ!?」」」

 

「頼む!! 君たちが連邦軍の関係者なら協力してくれ! その為なら俺を事を煮るなり焼くなり好きにしてもいい。

 だけど、俺はアルの故郷を核の炎で焼かせたくないし、隊長たちに汚名を着せたくないんだ!! 

 頼む!!」

 

「ば、バーニィ……核ってどういうことなの?」

 

「…………俺たちサイクロプス隊が連邦の新型ガンダムの破壊と木馬もどきの撃沈に失敗したら後詰めに別の特殊部隊が木馬もどきの出航を邪魔して核でコロニー諸共破壊させる作戦なんだ。

 シュナイダー隊長が残した手紙にはそう書いてあった……これが証拠だ。嘘だと思うならこれを見てくれ」

 

 バーニィは顔を上げ、懐から取りだした手紙と封筒を見せる。クリスは警戒しつつひったくるようにそれを受け取ると封を解いて手紙を読み始める。

 最初は流し読みしていたが、視線が下がるにつれて手紙を注視しバットを投げ捨てると茶色い封筒から数枚の書類を取りだした。

 

「……どうだ、これを見ても嘘だと思うか?」

 

「ジオンってここまでやるつもりなの!?」

 

 自嘲するようにバーニィは吐き捨て、クリスは顔を青くする。

 まだ上手く自体が呑み込めていないアルはバーニィへ縋るように服の裾を掴んだ。

 

「ね、ねぇ……嘘だよね? ジオンが核を使うなんて……」

 

「俺だって嘘だと思いたいさ……でも、本当なんだよアル。……すまない、俺の祖国がこんなことをするなんて思っていなかったんだ」

 

 彼の手を握り、バーニィは深く謝罪した。そんな所にアリアは眉をひそめて尋ねる。

 

「分かりませんね。何故こんなことを?」

 

「……さっきも説明しただろ? 俺はアルの故郷を核の炎で焼きたくないし、隊長たちに汚名を着せたくないんだ」

 

 バーニィのその言葉に嘘はないと、腹立たしいくらいにアリアには理解できた。それと同じように恐怖も。

 

 重くため息を吐き出し、アリアは髪をかきあげると徐に懐から通信機を取り出す。

 

「こちらアリアです。父さん、聞こえますか?」

 

『こちらテム。どうしたアリア?』

 

「…………ジオンのパイロットからのタレコミで12時間後にサイド6に核が撃たれることがわかりました」

 

『…………マジなのか?』

 

「大マジです。なんなら証拠もありますし証人もいますよ?」

 

『……少し待ってなさい。ブライト君に報告する』

 

 通信が切られ、その数分後に着信の音が響いた。

 

『アリア、クリス君はいるな?』

 

「はい」

 

『わかった。彼女に渡してくれるか?』

 

「はい。クリスさん、父さんが」

 

「わかったわ」

 

 アリアは通信機をクリスへと渡し、クリスはテムと会話を始まる。何度か応答を繰り返し、頷くと通信を終える。

 

「ひとまず、バーナード・ワイズマン伍長は私たちと共に来てもらいます。いいですね?」

 

「……わかった」

 

「アルフレッド・イズルハはどうします?」

 

「あー……そうよねぇ。はぁ、アル……貴方も来てくれる?」

 

「う、うん……」

 

 悩ましげにクリスはため息を吐き出し、アリアは突然の大事に対して気だるげに宙を見上げるのだった。




ぶっちゃけポケ戦の大体のヤラカシはアルのせいでもある

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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