機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
投降したジオンの艦隊のクルーやパイロット達を護送部隊へ引渡し、合流したサラミスを加えた第13独立部隊はサイド6を発った。
「こうも沢山の艦が居ると壮観ですね」
レイヴンのモニター越しに外に広がっている多数の艦艇、ソロモンを攻略するために連邦軍がかき集めたその威容を見てアリアは感嘆としたような息をこぼす。
『といっても、我々は主力ではないがな』
「あくまでも私たちは囮ということですね?」
すぐ近くで補給作業の確認をしていたテムが言えば、アリアの問いかけに小さく頷いた。
『うむ、あそこにいる突撃艇がみえるかアリア?』
テムが指さした方向へレイヴンの凶悪な顔つきの頭部を向けさせた。そこには小さな艇にブースターをつけ、その腹部に大型のミサイル2発を装備した不格好な形の宇宙艇が何隻もいるのを目撃する。
アリアは僅かに考える素振りをしてその名を口にした。
「確かパブリクでしたよね。旧式の突撃艇の」
『あぁ、要塞を攻略する上で突撃艇を用いるのは正解だ。しかしソロモンの規模のものを攻めるのに今我々の前にあるパブリクの数はどうだ?』
「…………あ」
テムに聞かれ、アリアは察したらしい。
そう、明らかに要塞戦で用いるにはパブリクの数が明らかに足りない。腹から下げたミサイルの大きさからして威力はあるだろうが、それが核弾頭でもないかぎり事前に調べていたソロモンの規模からしても1000発撃とうが足りないだろう。
なら、なぜ用意されているか? その答えはおそらくは……
「敵の防衛設備の無力化ですか?」
『多分な。恐らくあのミサイルの中身はビーム撹乱幕で、彼らが撃ち込んでソロモンの防衛設備のビーム砲台を無効化するだろう。
そして、砲台が使い物にならなければ残っているのは命中精度が劣悪なミサイルのみだ』
「そしてそこを艦艇から射撃で攻めつつ、モビルスーツでの敵要塞へ揚陸し制圧するのですね?」
『その通りだ。けれど、ビーム撹乱幕は確かに敵の防衛設備を無力化するだろうが我々のビーム兵器も無力化してしまう。
連中は当然、モビルスーツを用いて迎撃に出るはずだ。その場合は実弾兵器が要だ』
「その場合はガンキャノンや私のレイヴンの出番ということですね?」
『そうだな。お前やキャノン隊は特に責任重大だろう。そういった敵からの迎撃にこちらの部隊が回されるはずだからな。
現状、我々ほど戦闘経験を積んでいる部隊はないだろうし』
「でしょうね」
テムの言葉にアリアは肩をすくめる。民間人出とはいえ、ホワイトベースはこれまで数々の戦いを繰り広げてきた。練度もそれ相応に仕上がっており、正しくエース部隊だろう。
そして、特にアムロとアリアは頭ひとつ抜きん出ており戦いの矢面に駆り出されるのは当然といえた。
「はぁ、まったく人使いが荒いですね。サイド6でも沢山サインねだられましたし」
『ハハハ、あの時はいきなりレイヴンを持ち出して演奏をしたいなどと言われて驚いたが、演奏はとても素晴らしかったぞアリア?
これもまぁ、仕方ないと割り切っておけ』
サイド6でアリアが突発的に行ったリサイタル以降『謎の美少女ヴァイオリニスト』として顔が売れた。売れすぎてしまった。
幸いにもレイヴンのパイロットではなく、民間の善良な1市民が心を痛めたことで何か出来ることをとして連邦軍が協力する……といったカバーストーリーを流布。
しかし、アリアの容貌と演奏時のレイヴンの姿も相まって捕虜たちの護送部隊が到着するまで宇宙港にマスコミや民間人が大挙して押し寄せてくる事態へ陥る。
そのせいで止むを得ずアリアは顔を見せないが、かなりに人数制限を行ってサイン色紙を書くことになったのだが制限を行ってなおかなりの枚数を書くことになる。自分がやったこととはいえ、アリアも流石に辟易せざるを得なかった。
「有名税として受け取っておきます。まぁ、罠が敷きつめられてるだろう要塞の中に攻め込むよりはマシでしょうし」
再び肩をすくめ、アリアの呟きはコクピットの中へ溶けて消える。
「お久しぶりですワッケイン司令」
「司令はよしてくれ。お偉方がいれば私などただの下っ端だよブライト君……ふむ、少し見ない間に精悍な顔つきになったな君も」
第三艦隊旗艦マゼランの艦橋にて司令への挨拶に来たブライトへ口角を僅かに上げたワッケインが敬礼を返した。
「はっ、私などまだまだ未熟です。皆から助けて貰ってばかりで、この少佐という階級も不相応と言わざるを得ません」
「そう卑下するなよブライト君、階級だけの軍人など誰が助けるものか。
君が信頼する部下たちが君を信頼するように胸を張って前を向いておけ。艦長が己を卑下すれば自分のクルーたちも卑下するようなものだからな。
それとも、君の部下はそんな奴らなのかね?」
「いえ、言葉が過ぎました。申し訳ありませんワッケイン少将」
ワッケインの言葉にブライトが素直に答えれば、互いに吹き出す。空気が多少緩んだところで艦長席から降りたワッケインは足元のモニターを映し出した。
「見たまえ少佐」
「これは……」
モニターへ映し出されたのは現在の艦隊の航路とその予想経路でその目的地はソロモンを指し示している。
「存じているだろうが、現在我々はサイド4の残骸の陰に隠れてソロモンへ進行中だ」
「はい、ですがジオンの宇宙要塞を落とすには些か数が足りないように思えます」
「うむ、君の疑念も最もだ」
ブライトの忌憚のない意見にワッケインは鷹揚に頷いた。第13独立部隊が合流した第三艦隊は艦艇の数が多いが大多数がパブリク突撃艇であり主力である軍艦の数はそこまで多くない。
モビルスーツがホワイトベースとグレイファントムに搭載されている数だけではないのは喜ばしいが、それでもソロモンを落とすには足りないだろう。
「だが、我々の役目はソロモンを落とすことではない。要塞攻略のための主力は別にいるからな」
モニターの映像が変わり、別の地点が映し出される。
「現在サイド1方面にティアンム提督率いる主力艦隊が控えている。我々第三艦隊は陽動としてソロモンの注意を引き、第二連合艦隊がその間に対要塞兵器を使用。
ソロモンへ大打撃を与える手筈となっている」
「つまり我々は囮ですか?」
「その通りだ。ジオンは君たちホワイトベースへ恨み骨髄だからな。
君たちがいれば連中も我々が本気だと見なすだろう。なんせガンダムが複数いるのだし。
先のプロパガンダ映像は知っているだろう?」
「はっ、サイド6でのことですね?」
「そうだ。たった二機でジオンの艦隊を半壊させたガンダムを要する軍艦がいるのだから、奴らも対処をせざるを得ない」
レイヴンとアレックスは正しく英雄と呼べるべき存在だ。ジオンへの誘蛾灯にはうってつけであり、放置など当然できるわけもない。
「ジオンの連中には同情せざるを得んな。片方に対処すればもう片方に焼かれるのだから」
皮肉げにワッケインは笑う。
「さて、話は戻すが我々の仕事はソロモンの守備隊の誘引だ。このままサイド4を盾に前進、本隊から先行してソロモンへ攻撃を仕掛ける」
視線を足元のモニターへ移せばモニターにはソロモンのモデルとパブリク達が映し出された。
パブリクたちはソロモンに向けて進軍し、抱えていたミサイルを発射。ソロモン周辺へビーム撹乱膜を展開する。
「明日の明朝、パブリク突撃艇が突撃しビーム撹乱膜を展開、要塞の防空兵器を無力化。
その後本艦含む艦隊が前進し、防衛隊へ砲撃戦を仕掛ける。そしてここでモビルスーツ隊を出撃させ艦隊前面と直庵へ展開。
パブリク隊の後退支援を行い、帰ってきた彼らが補給を済ませれば再び突撃を行いビーム撹乱膜を展開維持しつつ、対艦ミサイルで攻撃を仕掛ける。
モビルスーツもそれの支援を行い、敵艦を減らすのが仕事だ」
映像が切り替わり、偵察部隊が撮ったのだろう画像が表示された。
「敵要塞には衛星やデブリへロケットを取り付け射出する衛星ミサイルなる兵器もある。近づき過ぎればビーム攪乱膜によって迎撃も困難になるため留意が必要だ。
しかし、当然連中も迎撃のためにモビルスーツを出してくるだろうが……それこそ我々の狙いでもある」
「ですが、沈められては元も子もありませんな」
「その通りだが、そこは君たちのモビルスーツ隊と連携して対処するように。
それと、要塞自体への攻撃だが……それは余裕があったらで構わん。あくまで我々は陽動であり、ビーム撹乱膜が展開されてから15分後に行われる主力艦隊の対要塞兵器が露呈しない程度にやってくれ」
「はっ」
ワッケインは徐に顔を上げ、ブライトを見る。
「ブライト少佐、あくまで15分。15分持ち答えれば我々の仕事は終わりだ。
その後は主力艦隊が攻め込み、我々はそれの支援をすればいい」
「……ハッ、全身全霊を尽くす所存であります」
「うむ。ここが終わればジオンの本拠まで目と鼻の先だ。戦争の終わりも近い……こんな所で死ぬのもバカバカしいからな。君も死ぬなよ?」
「ですな。手当もたんまり貰って存分に休暇を満喫する所存であります」
「それはいい。私もことが終わればバカンスに出よう」
2人はそういい、朗らかに笑うのだった。
作戦会議って絵面地味だけど見てられるんですよね。
白狼さんとガトーショコラさんどうしよっか?
後継機
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