機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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はい、纏めてお掃除です。


81.Will of the weak

「な、なにごとだぁ!!?」

 

 けたたましく警報の鳴り響くソロモン司令室、突然の状況と受けた被害の規模の大きさにドズルは唐突すぎる現実に驚愕し声を上げる。

 

「だ、第6ゲート及び付近に展開していた艦隊及びモビルスーツ部隊消滅しました! 恐らくは連邦の新兵器と思われます!!」

 

「新兵器だとぉ!? 核ではないのか!!?」

 

「違います! 核使用時の衝撃や放射能観測できません!! レーダーに反応がないうえにエネルギー粒子反応を確認されてません!」

 

「レーダーに反応もなければエネルギー粒子反応もない兵器だと……? いや、待て……まさかレーザーでも使ったというのか!? 

 要塞の一部を蒸発させるような規模のものを!?」

 

 ドズルはオペレーターからの報告から当てはまる性質の兵器を思い浮かべたが、近からず遠からずともいえた。

 連邦軍が行ったのは大量に展開したミラーパネルを用いて太陽光を反射し、ソロモンに向けて照射するというシンプルな攻撃であるのだが効果は絶大でありソロモンの一角を防衛艦隊ごとまるまる蒸発させてみせた。

 

「発射地点は判明しているのか!?」

 

「はっ、敵主力艦隊方面からであります!」

 

「そうか……確かそこにはグワラン艦隊を向かわせていたな? 至急連絡を入れろ!! なんとしても2射目を撃たせる前に敵新兵器の破壊もしくは攻撃を中断させろと!! 

 衛星ミサイルなどを用いて可能な限り連中を援護しろ!」

 

「ハッ! ですが、第7師団へ援軍を求められましたらどうでしょう……?」

 

「キシリアにか? ……フン、奴は動かんさ。こんな時にでも兄貴との政争ごっこに奴はご執心だからな!!」

 

 ギレンとキシリアが不仲なのは周知の事実だ。別に無理をしてまで仲を良くしろとは言わない。

 けれど、戦争という大事の中で何故自分の家族は足の引っ張り合いなどをするのだとドズルはやるせない思いを抱く。

 

「……一体どこで間違えたのだろうな」

 

 ドズルが僅かばかりの悲しみを内包した呟きが零れる。サイド3にある自分たちの生家へ誰も寄り付かなくなってかなりの月日が経っただろうか? 

 家族を愛しているドズルにはその寂しさに耐えきれず、妻子を連れてソロモンへ逃げ込んだ。だが、意地にでも自分があそこへ留まっていれば何か変わったのではないか? 

 

 末弟のガルマが死んでから、家族仲は益々冷え世間話すらすることは無い。

 

 今思えば、そもそもガルマが軍へ入りたいと言った時に嫌われてでも辞めさせればよかったとも思う。

 

 しかし、どれもがたらればの話でありもう二度と戻ることの出来ない過去だ。

 

「閣下、どうなさいましたか?」

 

「……いや、なんでもない。救援の話だがこの程度のことでアイツに頼れば国中の笑いものよ。

 生き残っているミサイル砲台及び対空砲の出し惜しみをせずに撃ち続けろ!! 

 生き残っている艦隊の点呼を急げよ? グワラン隊が成功させた時点で戦線を縮小。ソロモンの水際で敵を迎え撃つ!!」

 

「ハッ!」

 

 

 

 

「あの艦隊の行く方向は……」

 

 アリアは戦線を突っ切り、直進する赤い戦艦と複数のムサイを見てその進路の先にあるのがティアンム提督の指揮する主力艦隊があることを思い出す。

 

「……そうか、対要塞兵器の破壊をしに行く気かッ!」

 

 その思惑を察したアリアはそれをさせまいとレイヴンを即座に向かわせようとして────背筋に走る悪寒に従ってバックブースト。

 瞬間、進もうとしていた方向へ極太の光条が通過した。

 

「何事……!?」

 

『好き放題暴れてくれたなマガツボシ!! ガトーらの決死の突撃を邪魔させる訳にはいかん!!』

 

 それはいつか地球で見たモビルアーマーのグラブロに似た外観をした兵器だった。

 鋭利な機首の下部から覗く砲門を光らせながらレイヴン目掛けて突撃してく赤いモビルアーマー……『MA-05 ビグロ』の発展型『MA-06 ヴァル・ヴァロ』のコクピットで専属パイロットの『ケリィ・レズナー』は勇ましく吠えれば主砲のビームとミサイルを放つ。

 

「ここは海じゃなくて宇宙なんですけどねぇ、ロブスター擬き!!」

 

 クイックブーストでその砲撃を躱し、ミサイルを拡散ビームで撃ち落としつつ収束ビームを連射。

 

『甘い!!』

 

「速いですね……!」

 

 ヴァル・ヴァロはその大推力を惜しみなく用いてレイヴンの攻撃をかわし、お返しとばかりに機体側面からせり出した対空ビームガンによる弾幕を形成した。

 

「チッ!」

 

 明らかに対空用とは思えないほどの威力のそれをアリアは舌を打ちながらかわすが、その背後の射線上にいた友軍のジムが気付かずに被弾して無数の風穴が作られる。

 

「速度は明らかに向こうの方が上ですかね……逃げるのは無理そうですし相手しないと被害が悪戯に増える。

 はぁ、面倒です……」

 

 気だるげにアリアは呟き、完全に自分へ狙いを定めているヴァル・ヴァロ(ロブスター擬き)を睨みつける。

 

「さっさと終わらせます」

 

 操縦桿を握り直し、アリアは一気にフットペダルを踏み込んだ。

 

『来るか!』

 

 一気に加速し、突っ込んでくるヴァル・ヴァロに向けてアリアも突撃を選択。

 当然真正面から突っ込んでくるレイヴンへケリィは主砲のビームを放つが。

 

「ッ!」

 

 ぐるりとそのビームの周囲を回るように回避し、両手のライフルを構えてビームを放つ。

 

『数度なら耐えられる!!』

 

「ビームコーティング……!」

 

 通常のビームライフルよりもはるかに高威力のレイヴンのビームをヴァル・ヴァロの装甲はその粒子を散らし、アリアは即座にビームが効かない理由を看破した。

 

「ですが何度も耐えられるわけもないでしょうッ?」

 

『その前にお前を墜とせばいい!』

 

 その鋭利な機首で串刺しにせんとヴァル・ヴァロを更に加速させ、ケリィは突撃槍となって突撃する。

 

「フッ……!」

 

 しかし既のところでアリアはレイヴンの身体を僅かに逸らし、そのすぐ側を致死の突撃槍が通過するところで右前腕のブレードを展開。振り被ろうと────したところでヴァル・ヴァロの一部が展開。

 出現したクローがレイヴンの胴体を掴んで拘束したのだ。

 

「なっ……キャアッ!!?」

 

『このまま消し飛ばしてやる!』

 

「こ、の……!!」

 

 クローによって挟まれたことで右腕ごと拘束されヴァル・ヴァロの速度で引きずり回されながらも唯一外へ出ている左腕で己を拘束しているクローへ拳を叩きつける。

 ライフルをぶち込もうにも先の拘束され引きずられた衝撃でどこかへと飛んで行ってしまった。そのせいでその土手っ腹へ風穴を空けたくとも出来ない。

 

「はなし、なさいっ!!」

 

 左前腕のブレードを展開し、拘束しているクローを叩き切ろうとしたところ別のクローが左腕を挟んで拘束されてしまった。

 ヴァル・ヴァロによって引きずり回されることで体にかかるGへ顔をしかめるアリア。

 

「チッ……!!」

 

『このまま引きちぎってやろう!』

 

 拘束したレイヴンの右腕をヴァル・ヴァロの膂力に任せて引っ張ろうと力を込めた瞬間、レイヴンの背部ユニットが勢いよく展開される。

 

「離せって言ってるでしょう!!」

 

『なっ────!?』

 

 新しく生えた2本の腕はその先端を右腕を掴むクローの可動部に向け、ビームを連射した。至近距離から何発も放たれたビームは容易くヴァル・ヴァロのクローを穴だらけにし、アリアはレイヴンの膂力に任せて己を拘束していた枷を引きちぎる。

 

「はぁっ!」

 

『くっ……!?』

 

 自由になった右腕から展開したブレードがもう片方のクローを切り裂き、自由になったがヴァル・ヴァロは未だ前進しておりレイヴンの体が勢いよくヴァル・ヴァロの機首へ激突した。

 

「人の新車に良くも爪立てやがりましたね……!」

 

 指先を赤い装甲へ突き立て、ヴァル・ヴァロのモノアイとレイヴンの悪人面と評すべき双眸と目が合う。

 

『この至近距離なら避けられんだろう!?』

 

「避ける必要がねぇんですよ……!」

 

 機首の下部の装甲が展開し、ビーム砲が顔を覗かせレイヴン目掛けてビームを放とうと───した瞬間にレイヴンが手を離したことでヴァル・ヴァロから僅かに離れあいだの空間をビームが焼く。

 そして、ヴァル・ヴァロがレイヴンを追い越そうとしたとこでアリアは腕を伸ばしてヴァル・ヴァロの機首の下部分……展開されていたビーム砲の装甲カバーへマニュピレーターを引っ掛けた。

 

『ッ、どこに行った!?』

 

 ケリィが視界から消えうせたレイヴンを探そうとレーダーへ目線を配り、奴がヴァル・ヴァロの下面へ張り付いていることに気が付く。

 

『不味ッ──────

 

「く・た・ば・れ」

 

 青筋を浮かべ、アリアは勢いよく展開したブレードをヴァル・ヴァロの土手っ腹へと突き刺した。

 レイヴンの全長に近い大きさの青白いブレードはビームコーティングされた赤い装甲を容易く融解させ、内部を焼き切りながらヴァル・ヴァロの中枢。ケリィ・レズナーの座すコクピットブロックを消し飛ばす。

 

 分子レベルにまでコクピットを分解されたことで、ヴァル・ヴァロは操作を失ってしまいアリアはレイヴンの手を離すとそのまま味方のザクやドムを巻き込んでその巨体をムサイへ激突。

 

 当たり所が悪かったのか、ヴァル・ヴァロはその赤い身体の至る所から爆発を繰り返し一際大きな爆発が起きればムサイを巻き込んで大爆発を起こす。

 

「ふん、汚い花火ですね」

 

 そんな感想を吐き捨て、幸運にもライフルの片割れが近くを遊泳していた為、それを回収するとアリアはその身を翻して先のグワジン級を擁した艦隊を追う為にブースターを全開にした。

 

 

 

「おいおいおい、あの艦隊こっちに突っ込んでくるぞ!?」

 

『マジなのか!? クソッ、こうも数が多いとどうしようも無いぞ!』

 

 カイ・シデンの駆るガンナーガンダムはその仕様からほかのモビルスーツよりもカメラやセンサーの性能が高いものを採用されており、いち早く主力艦隊の方角へ接近してくるグワジン級の艦隊を視認。

 彼の声にドダイとなっていたGファイターのパイロット、リュウ・ホセイは目を剥いて叫ぶが彼らへ敵の部隊が攻撃し、足止めを行うことで主力艦隊へ接近を許してしまう。

 

「チッ! 邪魔なんだよお前ら!!」

 

 リック・ドムをスナイパーライフルで撃ち抜き、ヒートホークで切りかかってきたザクは機体全体を覆うように肩部へ接続されたシールドユニットで受け止め、隙間からサイドアーマーから引き抜いたビームピストルでコクピットを吹き飛ばした。

 

 敵艦隊の数はそこまでは多くない。別に無理をしてまでカイが相手をする必要は無いだろう……だがしかし彼のニュータイプ能力(第六感)が警鐘を鳴らしている。

 

 あの艦隊、とくにグワジン級を見過ごしては不味いと。

 

 事実、彼のその認識は正しい。グワジン級はジオンが誇る大型戦艦であり、それを任されるのは『ザビ家の為なら喜んで死ぬ』ような連中でありカイは奴らが死んでも任務を遂行させるという思念を感じ取っていた。

 

「行かせるかよ!!」

 

『やれ、カイ!!』

 

 敵の防衛網の隙間を縫うようにリュウのGファイターが突破し、カイのガンナーガンダムを艦隊の前方へ運べば即座にスナイパーライフルの出力を跳ね上げて引き金を引く。

 銃口から照射状態となったビームが敵のモビルスーツごと艦隊へと突き刺さり、ムサイの艦橋を貫けばゆっくりと斜めへ引き裂きそのすぐ後ろにいたチべ級の胴体を引き裂いた。

 

「クソッ、これじゃ足りねぇ!!」

 

『だがこれ以上は俺たちも危険だぞ!?』

 

「それくらい分かってる!!」

 

 リュウの声に怒鳴り返し、カイは焦燥感の中で考える。スナイパーライフルは冷却状態へ移行し、完了するまで使用できない。Gファイターの主砲も強力だが、グワジン級を落とすには足りない。

 

(どうする? どうする!? どうするっっっ!!!?)

 

 必死に思考を巡らせ、何か逆転の一手が無いかとモニターへ目を走らせていたところでカイは視界の端でとある物体が宇宙空間を漂っているを発見する。

 

 それは通常のビームライフルとはかけ離れた形をしており、遥かに大型化したソレを見たカイはすぐさまリュウへ怒鳴った。

 

「リュウさん!! あっちに行ってくれ! 早く!!」

 

『ッ、わかった!!』

 

 カイの必死な形相へリュウは考えを理解できていないが、首を縦に振りカイの指し示した方向へGファイターを飛ばす。

 そしてカイはソレを掴み取った。

 

 そう、レイヴンの主兵装である大型複合ビームライフル『ケラウノス』を。

 

「なんでこんな所にあるかはわかわねぇが、使わせてもらうぜ!!」

 

『盛大にブッパなせカイ!』

 

「いわれんでも!! オイ、使えるのか!?」

 

『報告:規格は問題ない模様。但し、発射時の負荷による機体ダメージは未知数』

 

「上等!!」

 

 COMからの報告にカイは笑い、即座にケラウノスをガンナーガンダムへ装備させGファイターから飛び上がりチャージを開始。

 凄まじい駆動音を伴いながらガンナーガンダムのジェネレーターから生み出されたエネルギーが供給され、上下のバレルが展伸された。

 

 グワジン級の進路上で立ち塞がり、カイはその銃口を向けて叫ぶ。

 

「いっけぇぇええええっ!!!」

 

『警告:機体へのダメージが許容範囲の逸脱を確認。早急に使用の中止を要求』

 

 膨大なエネルギーがビームとなって放たれ、グワジン級の艦首へと突き刺さる。

 戦艦の分厚い装甲はほんの数秒だけ受け止めたが、即座にその熱量によって融解し動力炉を撃ち抜いた。

 

 心臓部を破壊されたことによってそこから爆発が連鎖し、その巨体の至る所から爆炎を吹き出し船体を真ん中からへし折り、破裂するように超巨大な大爆発を引き起こす。

 周囲の艦を巻き込んでの爆発は見事に轟沈と呼ぶべきものであり、ガンナーガンダムの至るところから冷却ガスと吹き出しながらカイは荒い息を吐き出しながらも笑った。

 

「ヘヘッ、どんなもんよ。軟弱者でもやるときゃやるんだぜ?」

 

『ッカイ!』

 

「あー、悪いリュウさん。俺のガンダムへそ曲げちまったみたいだから引っ張って────

 

『カイ! 逃げろ!!!』

 

「────へ?」

 

『良くもやってくれたなガンダム!! このアナベル・ガトーが引導を渡してくれる!!!』

 

 爆炎を引き裂いて向かってくるのは全身をボロボロにした1機のゲルググ。それは過剰なエネルギー供給によって内装へダメージをおい動くことの出来ないガンナーガンダムめがけてビームナギナタを振りかぶっていた。

 

 カイは咄嗟に避けようとしたが、オーバーヒートを起こしたガンナーガンダムはカイの命令に従わず動こうとしない。

 

「あぁ……ごめん、ミハル……!!」

 

 彼の脳裏に過ぎるのはホワイトベースにいる想い人の顔であり、彼女との約束を果たせないことに謝罪の言葉を向ける。

 

『死ねぇええ!!!』

 

 そして、その刃が振り下ろされようと────

 

『やらせるわけないでしょ?』

 

『がっ……はっ……!?』

 

 した瞬間にゲルググの胴体を後ろから巨大なビームの刃が貫いた。

 

『カイさん、生きてます? 死んでたら返事してください』

 

「…………死んでたら返事出来ねぇだろクソガキ」

 

『おや、そんな憎まれ口叩けるなら無事ですね。どうやら間に合ったようでよかったです』

 

『ごっ、ぼっ……な、なぜ……貴様、が…………!? ケリィ、は……どう、した!?』

 

『ケリィ……? あぁ、あのロブスター擬きですか。アレなら花火にさせてあげましたよ。ちっとも綺麗じゃなかったですがね』

 

『き、貴様ァァあっ!!!』

 

『うっさ』

 

 ゲルググを串刺しにしていたビーム刃が閃き、ゲルググを両断。爆発する前にガンナーガンダムを漆黒の影が引っ張って距離を取れば宇宙空間へ1つの華が咲く。

 

「はぁ……ったく、頼りになるよお前さんは」

 

『私って有能ですからね』

 

「自分で言うなよな……」

 

 ガンナーガンダムが抱えられるようにしてモニターに映るレイヴンのその横顔を見ながらカイの呟きが宙へ溶けて消えるのだった。




0083?そんなのいらないよ!!

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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