機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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どうでもいいけど、レイヴン搭乗時はアリアはボイチェン使ってます。


82.Mythical Monster

「敵が引いていく……?」

 

 レイヴンのコクピットでジオンの部隊が後退していく様を見てアリアはソロモン攻略戦が連邦へ優勢となっていることを察する。

 ソーラー・システムによってソロモンを焼かれ、決死の特攻も阻止された。加えて第三艦隊以外の主力艦隊のモビルスーツ隊も合流したことで枚数有利もとられたことから敵部隊はどうやら戦線を縮小し、要塞表面で迎え撃つつもりらしい。

 

「カイさん、下がれそうですか?」

 

『無理っぽいな。流石に無理させすぎたね』

 

 抱えているガンナーガンダムへ語りかければ、その中のカイはシステムの復旧を試みているが結果は芳しくないようで首を横へ振る。

 

 敵は後退しているが、それでも行動不能のカイを置いていく訳には行かない。どうしたものかと考えていると。

 

『おーい、なにか困り事かい?』

 

「ん?」

 

 そんな通信とともに接近してくる機影があった。そちらへレイヴンの頭部を向ければリュウのものとは別のGファイターであり、その識別信号を見てアリアはそのパイロットの名を口に出した。

 

「『スレッガー』中尉?」

 

『お、俺のこと覚えてくれてるなんて嬉しいね〜』

 

 モニターに映るのは青いノーマルスーツを着た彫りの深い顔立ちのナイスガイが頬を緩ませる。

『スレッガー・ロウ』はホワイトベースへ新たに補充人員として編入されたGファイターのパイロットであり、アリアは面識はほとんどないが名前だけは知っていた。

 

『中尉さーん、済まないんだけどタクシーしてくんない? 俺のガンダムへそ曲げちまったんだよ』

 

 すると、カイが通信に参加し事情を説明する。それを聞いたスレッガーは得心がいったらしい。

 

『ははー、なるほどね。手は動くのか?』

 

『掴まるくらいなら何とか』

 

『よし分かった。お嬢さん、荷物預けてくれるかい?』

 

「分かりました。ではあとはよろしくお願いします」

 

 アリアはカイをGファイターの背に乗せると、ガンナーガンダムは腕を軋ませながらも増設されたグリップを掴んだ。

 

『んじゃ、飛ばすぜ坊主』

 

『安全運転で頼みますよ中尉さん』

 

 ブースターを全開にして帰投する2機を見送るとレイヴンの身を翻させ、アリアはほかの部隊が要塞へ攻め込む援護に向かう。

 

 いくら主力艦隊のモビルスーツ隊が合流したとはいえ、その戦力の大部分はボールでありお世辞にもいいとは言えない機動力では突入前に要塞砲で少なくない被害を受けるのは想像にかたくない。

 

 レイヴンは突入部隊を追い越すと彼らの血路を開くために両手のケラウノスを構える。

 

『な、なんだ!?』

 

『友軍だよな!?』

 

『うぉ、プロパカンダに出てた機体か!?』

 

 チャージを済ませていたケラウノスはそのバレルを展伸させ、膨大な光条を放てば要塞周辺に隠蔽されていたミサイル砲台や対空砲を衛星や敵のモビルスーツ諸共消し飛ばし、更にソロモン表面へ巨大なクレーターを生み出した。

 

『報告:左腕兵装、カートリッジゼロ。右腕兵装、カートリッジ残数2』

 

 バレルから冷却ガスを吹き出しながらもアリアのレイヴンは突き進み、その後ろを突入部隊が続く。

 

『すげぇ! 流石『星墜とし』だ!!』

 

『アイツに続け! 俺達にはジャンヌ・ダルクが付いている!!』

 

『うぉおおおお!!!』

 

 要塞周辺にはビーム攪乱膜がない。先の一撃で敵の防衛網へ大穴を開けはしたが敵は当然、死に物狂いで迎撃を行うだろう。

 

「邪魔っ!!」

 

 両手のライフル、背部のユニットの計4つの銃口からビームを乱れ打った。

 行く手を阻む敵を落とし続け、遂にレイヴンはソロモンの表面への降り立つ。

 

 しかし、取り付いたことで敵の防衛隊が殺到してきた。

 

『奴らをソロモンへ入れさせるな!!』

 

『死ねよ!!』

 

『くたばれ連邦!』

 

「お前らが死ね」

 

 そう吐き捨て、アリアは両腕のブレードを展開し連続でクイックブーストを行使。敵の目からすればレイヴンの姿が掻き消えたように見えるだろう。瞬時に防衛隊のモビルスーツを切り捨てアリアはその腕を掲げた。

 

『ッ! 行くぞお前ら! 突っ込め!!』

 

『応!!』

 

 青白いビームの刃が指し示せば、その意図を察した突入部隊のボール達が我先にとソロモン内部へ通ずるゲートへ突入し───ようとした瞬間、爆炎が彼らをズタズタに引き裂きデブリの仲間入りを果たす。

 

『クソッ、連中待ち構えてやがる!!』

 

『中身ごと吹き飛ばしてやれ!!』

 

『盾持ちは前でろ!』

 

「私がやった方が良さそうですね」

 

 突入部隊が押し入ろうとしているのを見て、アリアは彼らに向けて下がるように光信号を送った。

 彼らはそれを見て何をするのか察したのか、即座にその場から離れるとアリアはケラウノスの引き金を引く。

 

 展伸した上下のバレルから膨大なエネルギーの奔流が放たれ、待ち構えていた敵部隊諸共ソロモンの中身を焼き尽くした。

 

「あとは任せます」

 

 ひとまず自分のやれることはやった。要塞の制圧は彼らに任せ、アリアはその場から離れることにする。

 レイヴンの巨体では要塞内で自慢の機動力を発揮することは出来ない。それに加えて、最早敵の戦力はズタズタとなっており要塞が陥落するのも時間の問題だろう。

 

『ありがとう『星喰らい』! 君のお陰で助かった!!』

 

「…………なんか呼び名増えてません?」

 

 去り際に聞こえてきた内容に首を傾げつつもアリアは別の戦域へ移動するのだった。

 

 

 

「エリア8から15までの隔壁下ろせ。守備隊はブービートラップを仕掛けつつ後退しろ。

 モビルスーツ隊は順次下がらせつつ補給を忘れるなよ!」

 

「そのエリアは放棄しろ!! 固執するな!」

 

「……敵ながら見事だな。こうも簡単にソロモンを食い散らかすとはな」

 

 次々と舞い込む報告とソロモンの被害状況を見てドズルは自嘲しながら敵に向けて称賛の声を送る。

 

 既に戦いの趨勢は決まり、ソロモン攻防戦の勝者は明らかとなった。

 残り僅かの中身を煽り、空となったマグカップを脇へ置くとドズルは副官へ尋ねる。

 

「動かせる艦はどれだけ残っておる?」

 

「はっ、凡そ3割弱となります」

 

「そうか……ドロワは残っているな?」

 

「はい。整備中でしたので幸いにも敵新兵器に巻き込まれることなく第1スペースポートへ係留中です」

 

「そうか……」

 

 鷹揚に頷くとドズルは徐に立ち上がり、その場にいた全員へ聴こえるように口を開いた。

 

「遺憾だがソロモンの放棄を決定する! 残存兵力はドロワの元へ集合せよ!!」

 

「そんな、閣下っ!」

 

「そんな顔をするなラコック。お前もわかっているだろう?」

 

「……ですがっ」

 

 副官の顔を見て苦笑しつつもドズルは最高指揮官らしく部下へ命令を送る。

 

「ア・バオア・クーにはデラーズがいる。アレはギレン兄を心酔しすぎるきらいがあるが、友軍を無下にはしないはずだ。

 それと、ガトーは生きているか?」

 

「……ガトー大尉は敵の新型兵器の特攻で星墜としによって撃墜されました。レズナー中尉も同様に……」

 

「そうか……木馬の新型のガンダムにか。おのれ忌々しい奴だ。

『シン・マツナガ』はどうか?」

 

「はっ、マツナガ大尉は現在補給を受けております」

 

「そうか。ならば奴に防衛を任せろ、奴は随一のエースだ。守りきってくれるだろう。

 俺はビグ・ザムででる!」

 

 その宣言に副官は絶句して目を見開き、ドズルは最後に面白いものを見たとばかりに豪快に笑った。

 

「俺もザビ家の男だ。ソロモンの指揮官として我先に逃げ出しては末代の恥だろうよ。

 …………例え、俺が死んでもキシリアやギレンの2人がいるから上手くやるだろうさ。それに、本国にはミネバとゼナの2人がいる。連邦を行かせるわけにいくまい」

 

 その凶悪な人相に似合わないくらい優しい笑みを浮かべ、ドズルは懐にしまっていた妻子の写真を取り出すとその画を撫でる。

 

 しかし、その顔もすぐに元の武人のものへ戻ると彼は副官へ最後の命令を下した。

 

「お前には撤退する部隊の指揮をまかせる。1人でも多く、ア・バオア・クーまで必ず辿り着けさせろよ?」

 

「…………ハッ! 閣下もご武運を!!! ア・バオア・クーでお待ちしております!!」

 

 惚れ惚れするほど綺麗な敬礼にドズルも同じく敬礼を返し、床を蹴る。

 専用の更衣室で特注のノーマルスーツへ着替えればドズルはギレンから渡された機体のある格納庫へ入った。

 

「ほう、これがビグ・ザムか!」

 

「閣下!? そのお姿はまさか……!」

 

「そうだ。俺がビグ・ザムに乗って出る。出せるか?」

 

「組み立ては終え、今は最終点検中であります!」

 

「うむ、ならば良し。お前たちはすぐにドロワへ迎え」

 

「そんな! 我々も戦えます!」

 

 整備員の言葉にドズルは笑いながらその肩を叩く。

 

「勇ましいのはいい。だが、今戦えなくなってはならんのだ。

 ア・バオア・クーへ一旦引き、お前たちはそこで連邦を撃滅して再びソロモンを奪還するのだ。

 そのために、今この瞬間の屈辱に耐え忍んでくれ」

 

 その言葉に整備員は顔を伏せ、肩を震わせた。

 

「すまんな、俺のような不出来な指揮官で」

 

「いいえ、いいえ!! 私は貴方の指揮の下で戦うことが出来て光栄でありました!! どうか、ご武運を閣下!」

 

「おう! 部下を連れてドロワに退避しろよ!」

 

 涙を堪え、その場を後にする整備員を見送りドズルはビグ・ザムへ乗り込めば。

 

「貴様ら、何をしとる?」

 

「この機体は複数で運用する奴ですよ閣下。いくら貴方が現場主義であっても1人でコイツを動かすには手が足りんでしょう?」

 

「それに、最終調整を終えたと言ってもコイツらろくなテストをしとらんですからね。

 出撃して不具合で動かなくなりましたー、だなんて笑い話にもなりませんよ!」

 

「……馬鹿どもが!!」

 

 ドズルは笑い、司令席へ腰を下ろすとよく響く声で命令を出す。

 

「起動次第最速で外に出せ! どうせソロモンは放棄するから中の雑魚どもは無視しろ!! 

 我々は敵本隊を叩く!」

 

『ハッ!!』

 

 

 

「…………なんだ、なにか来る?」

 

 ムサイの艦橋へビームを叩き込み、沈黙させたところでアリアは全身にまとわりつくプレッシャーに眉をひそめて周囲へ目を走らせる。

 

 そして、ソロモンの一角からビームの奔流が迸った。

 

「ッ!!」

 

 ジムやボールを蹴散らし、要塞から現れる巨体。

 

 2本の足で屹立し、全身の砲門からビームを撒き散らすその異様は正しく神話の怪物。

 

「相変わらずビックリドッキリメカが好きですねお前らは!!」




次回、怪獣大戦争!!

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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