機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
ソロモン内部より現れた大型モビルアーマー『ビグ・ザム』それはジオン公国総帥のギレン・ザビがジャブロー攻略のために建造させた機体だ。
楕円状の円盤型の胴体へ先端に鉤爪の着いた二本の足が生えたゲテモノと評せる外観のソレは胴体を一周する形で配置されたメガ粒子砲からビームを撒き散らし、周囲に展開していたジムやボールたちを蹴散らす。
「この、止まりなさいデカブツ!!」
視界を埋め尽くすビームの嵐をレイヴンはその機動力とAMSによる精密操作性、アリアの技量で躱しながらビグ・ザムに向けてライフルを放った。
『報告:ダメージを確認できず。ビーム着弾時の飛散した時の痕跡を照合…………照合完了、敵モビルアーマー周辺にIフィールドが展開されている模様』
「チッ!
ビグ・ザムの周辺で弾けるように飛散したビームの様子とCOMからの報告によって、このデカブツがジャブローにおいて戦ったPバルテウス同様にビームに対して絶対的な防御力を発揮するIフィールドが張られていると知ったアリアは即座に接近を試みる。
『甘いわ星喰らいッ!!』
「クソがっ、その見た目で機敏なのは詐欺でしょう!?」
しかし、ビームによる弾幕とその巨体に似合わぬ機敏さによって止むを得ず断念。
現在のレイヴンのアーマーのタイプSは耐久性、機動性、火力をバランス良く纏めた形態であり実弾兵器もあるにはあるが明らかに目の前のデカブツ相手には火力不足が否めない。
加えてケラウノスの照射ビームもIフィールドのせいで効果は薄く、カートリッジの数もひとつのため無駄撃ちができず牽制のみに留める。
『報告:右腕残弾25%左腕残弾0%。推進剤残り容量50%』
「チッ、どうせビームは意味ないし……!」
レイヴンは継戦能力がほかのモビルスーツよりも高いが、わざととはいえ自ら激戦区へ赴いたので想定以上に消耗していたようだ。
しかし、補給に戻りたくともビグ・ザムを放置しては徒に被害が増えるというジレンマのせいでそれが出来ない。
アームを介して腰部に接続されているブースター兼兵装コンテナの一部が解放され、中から予備のライフルが吐き出される。
アリアはケラウノスをコンテナへ仕舞い、入れ替えるように予備のライフルの下から突き出すタイプの独特なグリップを握りしめて装備した。
「行きます!!」
フットペダルを踏み込み、スロットルを全開にしてレイヴンをビグ・ザムへ突撃。
『堕ちろ、星喰らい!!』
「お前が堕ちろ!!」
放たれたビームを躱し、肉薄して銃口をビグ・ザムに向けて引き金を引く。臓腑に響く音を立てて弾倉から弾丸を吐き出して曳光弾の光を伴い、怪物へ弾丸が突き刺さる。
『効かんわぁ!!』
「チッ! やっぱり硬いッ!!!」
ビームはIフィールドによって効果は薄く、ならばと思って装備したライフルの実弾もその装甲の厚さから大したダメージはない。
脆弱な砲門やブースターノズルならば話は違うだろうが、そんなことは相手側だって百も承知だろう。
緑色の装甲から無数の火花を飛び散らしながらビグ・ザムはレイヴンに向けて胴体中央部の砲門からモビルスーツ相手に過剰すぎる威力のビームをぶっぱなす。
しかしアリアはそれを引き付けてから躱すと、たまたまその射線上にいたサラミス級巡洋艦の土手っ腹に突き刺さり爆散。
『あのデカブツを落とせ!!』
『最後の最後にとんだゲテモン出てきやがって……!』
『ヘッ、あれだけでかけりゃ狙わなくても当たるぜ!!』
「ッ、ばかなことをやめなさい!!」
その様子を目撃した友軍がビグ・ザムを落とそうと攻撃を仕掛け、アリアはそれを止めさせようとしたが。
『1人でも多く地獄へ送ってやるわァァ!!』
当然、そんなのは効果がなく逆に注意を引いてしまいビグ・ザムからお返しとばかりに全身の砲門からビームを吐き出した。
『うわぁぁあっ!!?』
『ひ、光が来る!?』
『た、助け─────』
ジムやボールがビームに貫かれ、その命を燃やす様を見てアリアは舌を打つ。
「チッ、どうする……? このままじゃジリ貧だぞ……?」
『ドズル閣下に続けぇえ!!』
『ジオンの魂は我々にある!!』
『うぉおおおお!!』
「オマケに敵たちが特攻じみてきてるし……!」
ビグ・ザムによって戦局が巻き返されたと思ったのか、ジオンのモビルスーツが死すら厭わずに攻撃してくるのを煩わしげにあしらった。
背後から斬りかかってくるドムを宙返りで躱し、その背中へフルバースト。
ブースターを撃ち抜かれたことで内部の推進剤へ引火し火達磨となって爆発。
ブレードを展開し、チベ級のブリッジを叩き切ったところでソロモンの裏側から複数の艦隊が遠ざかっていくのを目撃する。
その数はかなりのもので、見逃してしまえばろくな事にならないことは簡単に予測できた。
アリアは一瞬、そちらへ行くべきかと思ったところでその艦隊が光に包まれた瞬間にそれらが蒸発するのを目撃する。
「要塞兵器ですか……?」
アリアの予想は正解だ。主力艦隊はソーラー・システムによってソロモンから離脱する艦隊へ攻撃を仕掛け、見事奴らを消し飛ばすことに成功した。
しかし、そんなことをすれば当然。
「ッ! デカブツが!!」
ビグ・ザムはその進路を後方にいる主力艦隊へ向け、前進を開始したのを見てさせまいとした所で。
『報告:推進剤残り容量25%』
「チッ! こんな時に……!」
COMからの報告でレイヴンの稼働時間が残り僅かなのを知り、これでは追跡中にレイヴンがガス欠で動けなくなってしまう。
どうしたものかと考えていたところで、後方から飛んでくる友軍の反応をキャッチした。
『アリア! 俺の背中に乗れ!!』
「リュウさん! ちょうどいい所に!!」
それはリュウのGファイターで、そのすぐ側にはスレッガーのGファイターと背に乗るアムロのアレックスが。
「兄さん!!」
『分かってる! あのデカブツを止めるんだろう? 行くぞアリア!!』
「はいっ!!」
『よし、行くぞ!! 振り落とされるなよ!!』
『かっ飛ばすぜぇ!!』
リュウのGファイターの背面のグリップを握ると同時に2機のGファイターはその背にガンダムを乗せてビグ・ザムの元へ飛ぶ。
『作戦はこうだ。俺とリュウ准尉のGファイターが上下から挟み込んで攻撃し、その後からお嬢さんとアムロ准尉が一気にあのデカブツへ切り込め。いいな?』
「わかりました。けれど、それではおふたりが危ないのでは?」
『そんなの百も承知さ。けど、ここで無理しなきゃならんだろう?』
『それはそうですけど!』
スレッガーの言葉にアムロが顔を歪めた。
『お前たちの心配も嬉しいが、俺と中尉は軍人だ。そういうのも覚悟の上でここにいるんだぜ?』
『リュウさん……』
『そういう事さ。悲しいけどこれ、戦争なのよね。
……本当ならお前らみたいな子供がこんな所にいちゃいけないんだがねぇ。全く、嫌になるよ戦争ってのは』
「それについては心底同意しますね。ほんと、戦争なんてろくでもないです」
『だな。……さて、奴さんが見えてきたな。行くぞお前ら!!』
「『『了解!!』』」
2機のGファイターが急加速し、一気にビグ・ザムへ距離を詰める。
上にアリアとリュウ、下にアムロとスレッガーと挟み込むように別れた。
『行くぞアリア!』
「はい!!」
そう返せば、ビグ・ザムから迎撃のビームが放たれる。リュウは視界を埋め尽くすビームを前に巧みに操縦桿を動かし、機体をロールさせ隙間を縫うように進みながらビームを連射。
しかしそれらはIフィールドによって弾かれしまうが、構わずに今度はミサイルとフレアを撒き散らして肉薄する。
下面のスレッガーも同様に接近すれば、ビグ・ザムのその鉤爪が分離し接近した。
しかし、そのミサイルをアムロが撃ち抜いたことで爆発し、その爆炎を貫いてビグ・ザムの懐へと飛び込んだ。
『行けアリア!!』
『やっちまえ准尉!』
「ハァァアッッツ!!!」
『うぉおおおおおっ!!!』
アリアとアムロはGファイターの背から飛び立ち、それぞれブレードとサーベル、ライフルを構えてその巨体へ襲いかかる。
レイヴンのブレードがビグ・ザムの胴体中央の砲門を切り裂き、アレックスのビームライフルから放たれたビームが目立つバーニアを撃ち抜き、膝関節を切り裂いた。
立て続けに2機はビグ・ザムへ張り付いてその巨体を切り刻み、削り取っていく。
『た、たった2機のモビルスーツ相手にこのビグ・ザムが!?』
ドズルは雄叫びをあげ、周囲の羽虫を吹き飛ばさんとしてビームを放つがまるで飛んでくる位置を予知しているかのごとくレイヴンとアレックスはそれに当たることなく砲門へブレードやビームを発射直前に叩き込むことで黙らせる。
破損した砲門はビームを撃つ寸前で壊されたことでエネルギーが暴発し、中からビグ・ザムの身体を焼き焦がした。
苦し紛れにその足で蹴りつけようとするが、レイヴンはその太い足の周りをぐるりと回って逆に輪切りにされる。
あれだけ猛威を振るった怪物は白と黒の流星によって今まさに仕留められん。
「吹き飛べ!」
ビグ・ザムの目の前でレイヴンはケラウノスを引き抜くとバレルが展伸、膨大なエネルギーが超至近距離から放たれた。
『お、おのれぇええええっ!!!!』
ビグ・ザムの胴体半分を消し飛ばし、そして2機はその場から離れると巨大な火球が残った部位を巻き込んで爆発。
そして、それから少ししてソロモンから制圧を完了した信号弾が放たれた。ジオンが誇る宇宙要塞を巡る戦いは僅か1日で連邦の勝利となる。
後継機
-
既存機体を魔改造
-
オリジナル機体