機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
『ぶるぅぁぁぁぁぁあっ!!? 強いってのは知ってたけど、ブルーディスティニーに乗ってた時よりえげつなくねぇかぁあっ!!?』
『口より手を動かしてくださいよフィリップ!! クッ、どんな操縦すればあんな動きができるのですか!? それよりも、中のあの子は無事なのですか!!?』
宇宙空間、2機の淡い水色のジムとガンダムの中間のような見た目のモビルスーツが周囲を縦横無尽に駆け回る漆黒の閃光に悲鳴じみた声を上げる。
手に持ったショートビームライフルと肩部の追加装備であるガトリング・スマッシャーから弾丸を吐き出してもその影を捉えることが出来ず、ブースターの噴炎が一際強く輝いたかと思えば、サマナ機の『ジーライン・スタンダードアーマー』の胴体が真っ二つに切り裂かれ爆散。
『み、見えなかった……!』
『さ、サマナぁぁあぁっ!!?』
気がついたら部隊の仲間がやられた事実にフィリップは叫ぶが、それでも歴戦のモルモット隊としてすぐに気を持ち直してその場から動くことを選び、宇宙を駆けながらビームを連射する。
『やっぱ当たらねぇよなぁ!!』
しかし、そのどれもが当たると言うよりもはや撃ってくる位置を先んじて知っているかのような動きで避けた上で凄まじい速度で接近してきた。
『このっ……!』
即座に接近戦を選択し、フィリップはビームサーベルを引き抜いて抜刀。
すれ違いざまに迫る青白い巨大な刃を山勘に任せてその軌道の間へと置いた。
『うぉおっ!!?』
凄まじいまでの衝撃によってグリップを手離しかけ、慌ててもう片方の手で保持。
ビームの刃同士が反発し合うことで発生するスパークによって漸くフィリップは目の前の敵の姿を捉える。
モビルスーツとしては大型の部類に入るジーライン・スタンダードアーマーよりもさらにふた周りほど大きな漆黒の機体。
全身にブースターを配し、機動力特化と推測できるその機体は赤く輝く双眸でフィリップを睥睨し鍔迫り合いの中でその機体は膂力によって強引に刃を振り抜く。
『ぐあっ!?』
堪らずフィリップは弾かれ、ジーラインの姿勢が崩れた。
急いで姿勢を立て直そうとした隙を漆黒の機体が見逃さそうとするはずもなく、一瞬だけブースターを全開するクイックブーストで肉薄。
フィリップのジーラインをサマナ同様に切り裂こうとしたところで、漆黒の機体が掻き消える。
そして降り注ぐビームたち。
『ユウ! シイコ!!』
『悪いフィリップ! 振り切られた!!』
『高機動型の私のジーラインですら追いつけないなんて、デタラメな加速力よね!!』
宇宙用装備に換装したユウの『ガンダム6号機 マドロックBst』とフィリップやサマナと同じジーラインであるが2機よりも細身で赤く、機動力に重点を置いた『ジーライン・ライトアーマー』のシイコ。
両者はすぐさまフィリップから離れた漆黒の機体……アリアの『ガンダム7号機 レイヴン・タイプLアーマー』へ攻撃を仕掛ける。
マドロックの実弾キャノンからビームキャノンへ換装した肩部キャノンを放ち、太いビームがレイヴンへ放たれるがそれをレイヴンはビームの隙間を僅かに身を翻すことで避けながら接近。
マドロックへその長大なブレードで斬りかかる……が、それを遮るようにレイヴンの背後から両手にビームマシンガンを握ったシイコが弾幕を形成して妨害。
パルスキンで実弾に対して強い耐性を誇るレイヴンだが、ビームに対しては少々耐えられる程度でしかない。
故に退避を選んだことで2人はビーム兵器は有効と判断する。
『ユウ! 私が接近戦しかけるから援護お願い!』
『了解した!! 暴れて来いシイコ!』
『合点!』
「……来ますか」
レイヴンのコクピットで向かってくるシイコの思念を感じ取り、アリアは両腕のビームブレード『アルテミス』を構えて突撃。
シイコのジーラインは左手にビームマシンガンを撃ちながらレイヴンを牽制するが、そのビームを切り払いレイヴンはその刃をジーラインへ振り下ろそうと─────
「ッ!?」
シイコのジーラインが目の前から消え失せ、アルテミスの斬撃が何もいない空間を切り裂く。
振り抜いた姿勢の中でアリアは素早く目配せを行い、そして背後から伝わる殺気に反応。反射的に裏拳のようにブレードを振るった。
『これを反応するのね!!』
「チッ、また……!」
ブレードが当たる軌道だったハズなのに、再びその姿が掻き消えると背後から警告音共にビームが飛んでくる。
それをクイックブーストで躱しながら見やるがそこには誰もおらず、下方向からシイコのジーラインがビームサーベル片手に切りかかった。
「……ッ!」
『膂力ではこちらの負けね……!!』
容易く受け止め、鍔迫り合いを行いシイコはすぐに不利を悟って手首のスナップを効かせ接触点を軸にしてレイヴンの背後へと回り込む。
「この程度!」
『やらせないさ!』
「チッ!」
『おっと、俺も忘れないでくれよ?』
「……ックソが」
回り込んだシイコを叩き切ろうとするが、それを邪魔するユウの攻撃。
やむを得ず中断させ、援護が邪魔と判断してユウへ狙いを変えて攻撃を仕掛けようとした。が、フィリップの射撃に加えて。
「どうやって回り込んだ……?」
いつの間にかレイヴンの前へ立ち塞がるようにしてジーラインが現れ、機動力については圧倒している筈だというのに不可解な手品にアリアが苛立たしげに眉を顰める。
「凄まじいな、シイコの『スティグマ』を使ってなお食い下がるのが精一杯か……」
『マジかよ。シミュレーションでも対応してたが、ありゃコンピュータであって今の嬢ちゃんは初見だろ?』
レイヴンの周りをちょろちょろと弧を描くようにした回り込むのを繰り返し、すれ違いざまにシイコが何度も射撃を交えて斬りかかりアリアがその度に対応しカウンターを行う。
それをギリギリ躱すシイコ、その応酬を見てユウとフィリップは感心したようにしつつも適宜シイコの援護を繰り返した。
『スティグマ戦術』それはシイコ・ハセガワ少尉が生み出した対モビルスーツ戦術であり、敵機体にワイヤーフックを引っ掛けて敵を支点にして振り子のようにして瞬間的な急加速と軌道変更による立体的な攻撃および攪乱を行うものである。
ワイヤーはその細さと視認性を下げるために吸光性塗料によってモビルスーツのカメラでは捕捉することが極めて困難であり、現在のアリアの目にはシイコが瞬間移動しているように見えてるはずだ。
攻撃の予測が困難だというのに、アリアはシイコの猛攻を難なく対応しており少しづつだがシイコへ直撃しそうな攻撃も増えておりユウの妨害も比例するように増えている。
「……そろそろ決める必要があるな」
このままでは近いうちにシイコも落とされると判断したユウはマドロックをレイヴンに向けて突撃させた。
「やるぞシイコ!」
『了解!!』
ユウの通信にシイコが答え、レイヴンの背に回りこみ上からワイヤーに繋げたビームマシンガンが退路を阻むようにしてビームを放つ。
そしてマドロックがサーベル片手にライフルの引き金を引き、下方向からはフィリップのジーラインがビームライフルとガトリングの弾幕でレイヴンの包囲網を完成させた。
「『はァァあっ!!』」
『ッ…………!!』
勝った、モルモット隊は判断する。レイヴンを囲むようにして放たれる四方の攻撃はどう足掻こうとも躱すことが出来ない牢獄であり、誰が見ても詰みであると判断する。
……しかし、彼らは知らない。
瞬間、レイヴンの脚部に青白い光閃が走る。
「なっ!?」
『ッ!?』
『そんなんありかぁ!!?』
足を振りかぶり、形成された光波はユウへと放たれる。咄嗟に受け止めて足が停止。
それによって生じた包囲網をレイヴンがユウ目掛けてクイックブーストによる突撃によって突破され、ワイヤーで繋がっていたシイコがその加速によって引っ張られる。
『ハァッ!!』
「チッ!!」
光波を切り払い、レイヴンの斬撃をユウは受け止めるが下からすくい上げるように脚部のブレードがマドロックの両腕をカチ上げた。
容易くマドロックの膂力を上回る衝撃によって上体が逸れ、そこへ引っ張られたシイコのジーラインが激突。
「ぐあ!?」
『キャッ!?』
両機のコクピットに衝撃が走り、一塊になってしまい姿勢を直そうとしても凄まじい勢いでぶつかった衝撃による慣性によって上手くいかない。
そこへレイヴンが両腕のアルテミスを振るい、2発の光波がその背中へ叩き付けられた。
『ユウ! シイコ!!』
姿勢が安定しない2機はそれを避ける術がなく、直撃し巨大な華が咲きあっという間にモルモット隊のエースがやられたことにフィリップは驚愕の声で彼らの名を呼ぶ。
『最後!!』
『ぶるぅぅぁぁあぁぁあっ!!!?』
そして、最後の一人を容易く討ち取りシミュレーションの勝者は
「いや、強すぎだろ」
「……ボッコボコにされましたね」
「というより最後のサーベルから出したアレなに!? あんなの予測出来るわけないでしょ!!」
「うーむ……近接武器でありながら斬撃を飛ばせる武器か……なんともキワモノだな」
「兄さん程じゃないですが皆さん中々やりますね。誇っていいですよ?
ブレード光波と足のブレード使わせたんですから」
各自機体から降り、モルモット隊が疲労困憊で待機室の椅子に座ってるのに対してアリアは涼しい顔で彼らへ素直に賞賛の言葉を送る。
しかし、4対1に加えてハンデも付けられておいて敗北したとあっては連邦軍では腕利きとして知られ自負もある彼らからすれば全くもって嬉しくない。
「もーいっかい! おチビちゃん、もーいっかいよ!!」
「ふっ、何度でも返り討ちにしてあげますよ」
「その澄まし顔崩してやるわ!!」
「おー、頑張れやシイコ。俺ぁもう勘弁」
「僕も同様ですね。さっきみたいに速攻落とされたらちょっと立ち直れません」
「ユウ! 貴方はどうするの!?」
「俺か? ……そうだな、ならリベンジと行こうか」
「よし来た!! こうなったら手加減無しでやってやるわよ!!」
「……手加減したのは私では?」
「シャラップ!!」
モルモット隊の紅一点にして隊一の負けず嫌いを遺憾無く発揮している同僚にユウは苦笑しつつ、再び自機のコクピットへ戻るのであった。
その後、話を聞き付けたホワイトベース隊の他のメンバーも参加し、アムロとアリアの兄妹タッグVS第13独立部隊モビルスーツ隊の大規模シミュレーションへと発展する。
勝敗? 最終的に残った兄妹がドンパチに発展して結局引き分けたとか何とか……
後継機
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既存機体を魔改造
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オリジナル機体