機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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お話会


87.Singing voice

 ───La……La……Laaaa

 

「……ん?」

 

 唐突に聞こえた響くような歌声、アリアはヘッドホンを外して顔を上げる。

 ホワイトベースの自室、課題の進行具合を確認したアリアはタブレットを机の引き出しにしまうと自室の外へ出た。

 

「ふむ……」

 

 宇宙での通路移動に用いるリフトグリップを握り、向かう先はエレベーター。中に入り、ブリッジへのボタンを押す。

 

 そしてアリアがブリッジへ足を踏み入れると。

 

「報告急げ!! 遠くの爆発はなんだ!?」

 

「……情報を確認、友軍のサラミスが正体不明の攻撃を受けたようです! ひとりでに爆発したと……」

 

「狙撃ではないのか!?」

 

「いえ、ビームの光は確認できなかったそうです!」

 

 騒然となった空気の中で入室したアリアに気づいてないのか、ブライトはフラウから矢継ぎ早に入ってくる情報に身を剥いているのが見える。

 アリアは床を蹴り、艦長席へ近づくとブライトへ声をかけた。

 

「どうなさいました?」

 

「ッ、アリアか……じつはついさっき友軍の艦が攻撃をされたみたいだがどんな攻撃か見当がつかないらしい。

 突然、サラミスが爆発したとな……」

 

 ───La……La……

 

「因みに、それってどれくらい前なのですか?」

 

「どれくらい? ……5分も無かったはずだが」

 

「……」

 

 ブライトに教えられ、アリアは考える。

 

(5分前、サラミス、突然爆発……敵の姿は見えない。狙撃? ビームの光は見えなかった……

 実弾? 火薬を用いたもので姿が見えない位置、または痕跡の見えない位置から軍艦の装甲を抜けるような実弾兵器は連邦並びにジオンは実用化してなかったはず)

 

 ───Laaaaaa……LaLa……

 

(で、あるならば何だ? 容易く艦を沈められるような攻撃なんてビーム若しくはレーザーくらいしか考えられない……

 けど、レーザー兵器を使うくらいならビームの方が楽だし───

 

 ───La……La……

 

「人が考えてる時に下手くそな歌歌うな鬱陶しい……!」

 

 さっきから人の集中を奪うクソみたいなハミングに我慢ならなくなったアリアが声を荒らげると、ブリッジ内が静かになった。

 突然の静寂にアリアが思わず顔を上げると、クルーたちの視線が自分に集まっており訝しげに眉を顰める。

 

「なにか?」

 

「……アリア、さっきなんて言ったんだ?」

 

「歌、といいましたが……」

 

「……『歌』など聞こえないぞ?」

 

「何を言ってるのですか? 今もこうして耳障りな歌が響いていますよ」

 

 さっきからエンドレスでアリアの頭に流れており、ブライトの返答に意味がわからないと言わんばかりにアリアが腕を組んで『La……La……』と真似をした。

 

 しかし。

 

「いや、全く聞こえん……」

 

 耳を澄ましてみてもブライトは聞こえず、首を横に振る。周囲のクルーや副官のウッディ大尉も同様でアリアはその端正な顔を僅かに歪める。

 

「むぅ……まるで私が幻聴に悩まされてる頭おかしい人みたいじゃないですか、これじゃあ」

 

 実際そう見えるのだが? ブライトは言おうとして喉まででかかったその言葉を飲み込む。これまでの経験則から彼女のこの意味不明な言動は大体因果関係があることを察しているのだ。

 加えて、先の爆発とこのアリアのいう歌は確実に繋がっている。

 

 ブライトはどうしたものかと考えていると、ブリッジへ通じるエレベーターの扉が開いた。

 

「ブライトさん、この歌ってなんですか?」

 

「La……La……って喧しいったらありゃしねぇよ。ねぇ、セイラさん?」

 

「ええ、そうね。ブライト少佐、なにかご存知?」

 

 ホワイトベース隊が誇るエースパイロットのアムロ、カイ、セイラがそう言っていいながらエレベーターから出てきたことでブライトは眉間を揉んでため息を吐き出して言う。

 

「……ワッケイン少将へ繋げれてくれ」

 

 

 

 

 

 

『……ふむ、『歌』……か?』

 

「ええ、はい。我が隊の一部のパイロットの発言によると先の攻撃と『歌』が密接な関係にあると思われます。

 実際、攻撃が終えてからはパタリとその歌が聞こえなくなったと彼女たちが言ってましたので」

 

 モニターに映るワッケインはその顎に手を添え、思案する表情を見せていたが徐に顔を上げてブライトの顔を見据えた。

 

『実はだねブライト少佐、君のその『歌』と言うやつは現在ソロモン改め『コンペイトウ』に駐留している兵員からも似たような報告を受けているのだよ』

 

「ハッ、そうなのですか?」

 

『うむ、私の艦にも何人かそのような幻聴の報告をする者がいてね。最初は私も含めて上層部は戦闘後特有のPTSDのようなものと判断した訳だが……君たちホワイトベース隊から報告が来れば話が別だ』

 

「……それは随分と我らを買っていただけていると喜んだ方がいいのでしょうか?」

 

『ふっ、これまでの積み重ねと思ってくれ。こほん、とにかく私含む上層部はついさっき君ら第13独立部隊に原因究明の任に就けることを決定したことをここに言っておく』

 

「……敵の姿が見えないのに見つけることが出来るのでしょうか?」

 

『ただの古い種類(オールドタイプ)ならな。幸いにも君らにはスペシャルがいるだろう?』

 

「そのクソガキ(スペシャル)によく振り回されてるのですがね…………」

 

『ハハハ、それはアレだ。コラテラル・ダメージというやつだ。

 彼らのおかげで君らは連邦が誇るエース部隊になったのだから受け入れたまえ』

 

「ハハッ、ナイスジョ-ク」

 

 死んだ目でブライトが乾いた笑い声をあげる。功績に付随する形で彼の胃に与えられたダメージは計り知れず、最早胃薬は友達ともいえる。

 

 という訳でホワイトベース隊はコンペイトウで発生した正体不明の攻撃による怪奇現象を調べるために周辺の調査任務を行うこととなった。

 

 

 

 

「……その映像、もう一度巻き戻してください。3分前から」

 

「了解しました」

 

 中央格納庫の一室、そこにはアリア、ケイト、テム、ほか数名が集まってモニターへ視線を向けている。

 映像はコンペイトウに係留中のサラミス級が映っており、そのまま代わり映えない景色が再生されていたかと思えば不意に何かが瞬くとその船体の中央が爆発し、周囲を巻き込んで華を咲かした。

 

 立て続けに同様の現象が周囲で係留中の艦艇にも起こり、それらが数分間続く。

 

 そして、それがある程度まで発生した怪奇現象は不意にそれはパタリと止むと映像は終わるのだった。

 

「……うぅむ、全くわからん。モビルスーツらしき機影もないのにビームの光らしきものは見えたが」

 

「狙撃という線はないらしいけど……」

 

「どういう手品を使ったのかしら?」

 

 テムが唸り、アムロが悩み、クリスが首を傾げる。アリアはもう一度映像を巻き戻し、ケイトも同様に見た。

 

「…………ふむ、なるほど。だいたい分かりました」

 

「おや、そうなのですか?」

 

 映像を止めたアリアが背もたれに背中を預け、僅かに鼻を鳴らすとつまらなそうに言えばケイトが尋ねた。

 その問いかけにアリアは手元の端末を操作し、映像の一部を切り出して拡大を繰り返す。

 

「敵は遠隔から攻撃してますね」

 

「……それは不可能だろう。ミノフスキー粒子で既存の誘導兵器は使い物にならないはずだ」

 

「そうですね。ミノフスキー粒子のせいで従来の通信や無線での高精度リンク攻撃は出来ません」

 

「なら、どうやって?」

 

 拡大、画像処理、拡大、画像処理、拡大、画像処理を繰り返す中でアリアはさも当然のように答えた。

 

「別にそれ以外の方法を用いれば良いのですよ。……例えば端末を用意してAIによる自律行動やレーザー通信による操作等など」

 

 若しくは……

 

 画像処理終え、現れたソレを映し出しアリアは言う。

 

「脳波を用いた遠隔誘導端末とか……?」

 

「コレは……!」

 

「ビーム砲台!?」

 

 縦横無尽に画面を走り、その銃口からビームを放つ小型の端末。ソレは明らかに人が乗っていては不可能な軌道を描いており、モビルスーツの半分ほどの大きさのソレはC4-621(アリア)にとって馴染みのある存在だった。

 

「まさかジオンは『ドローン』を実用段階にまでしていたとはな」

 

 強敵の1人でもあるとあるACパイロットが用いた無線誘導端末兵器と同様のオールレンジ攻撃を可能とした新たな敵は確かに己の前に立ち塞がることを察し、その紅い瞳を僅かに輝かせる。




AC6のドローンってまじ頭おかしい性能してますよね。重力下でも無重力下と変わらないトンデモ軌道してますし。

あと、メインのスマホとPCがお釈迦になって暫く投稿が遅くなります。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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