機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
鉄は熱いうちに打てとはまさにこの事ですね。代償は睡眠時間なので一長一短ですが・・・
「ふう…………肝が冷えましたね」
ザンジバル改級へ着艦し、格納庫のドックへと機体を収めたシャリアはノーマルスーツのヘルメットを脱いで息を零す。
彼にとって初陣とも呼ぶべき戦いは殆ど敗北とも言って良い結果だった。
相手の機動力を封じ、オールレンジ攻撃による援護、そして原因は分からないが動きに精細が欠いていて尚どうにか喰らいつくのが精々であり本当の意味での一対一で戦ったならば即座に自分の命はないだろう。
何より、恐るべきは……
「あのような齢の少女があそこまで躊躇がないとは……これもまたニュータイプというべきなのでしょうかね?」
人並み外れた洞察力は最早読心と呼べる領域へ踏み込んだシャリアにとって、あの漆黒の鴉めいた機体を操る主の正体を看破する事は容易かった。
まさかジュニアスクールに通っていてもおかしくない子供が乗っているとは思わずにはいられなかったが、それで手を緩めてしまえば即座に自分は宇宙に漂うデブリの仲間入りを果たしていた為に彼方へ投げ捨て戦うことを選択した。
「あのような少女が戦場に出ていることに悲しむべきか、ニュータイプが戦士として最適であることに悲しむべきか……もしくは両方か」
可能なら戦うことなどしたくはないとシャリアは思ったが、軍人である己にはその選択はできないことを理解している。
そして、これからの道筋には必ずあの少女が立ち塞がってくることは想像にかたくない。
「全く……面倒というのでしょうねこう言う場合は」
ジオンの独立も、スペースノイドの大義名分も、戦争というのもどうでもいい。
そんなくだらないことはどこか遠くでやってほしいとシャリアは思う。
しかし共に歩むことを誓った青年のこれからにはそんな困難に数多く直面するのだから、これくらいで泣きごとなど言ってはいられない。
「……ですが、今は機体をどうにかしないといけませんね」
シャリアは考えるのを一旦やめ、大破した乗機のリック・ドムIIのコクピットハッチを解放すると這い出て格納庫へ姿を晒す。
ザンジバルの格納庫内では忙しなく作業員達が着艦した機体達へ取り付き、怒号が鳴り響いた。
「大尉のドムは破損箇所の消火だけに留めておけ!! 大佐と少尉の機体の整備が最優先だ!!」
「ガンダムの予備部品は余りないからできる限り節約しろよ!!」
「フラナガン機関の研究者を早く呼べ! ビットの整備は奴らの仕事だ! ていうか連中しか触れん!!」
格納庫の大部分を占領する翠の
クリムゾンウォーリアーはそもそも鹵獲した機体を改修したものであり、元の機体が連邦軍において最新鋭のガンダムなのも相まってジオン製部品の規格とは合わなかった。
それ故に統合整備計画によって予備パーツが他の機体よりも豊富なシャリアのドムは後回しにされ、それに対してシャリアも当然だと判断する。
「ご苦労だったシャリア・ブル、身体は無事か?」
「ええ、はいこの通りピンピンしています大佐。ですが申し訳ありません、この通り機体を大破させた挙句あの機体を足止めしきれませんでした」
「いいや、お前が無事ならそれでいい。それにお前でなければ星堕としをあそこまで引き付けておくことなど出来なかったのだ。誇りこそして、恥じる必要は無い」
「そう言ってくれるなら幸いです。ですが、私1人の力ではありませんよ。少尉がいなければ今頃私はデブリの仲間入りをしてたでしょうね」
シャリアは肩をすくめるとその目をモビルアーマー専用ドッグで整備中のエルメスと機体から降り、研究者から簡易的なメディカルチェックを受けているララァへ向けられた。
「……少尉の力は凄まじいですね。幾らか訓練をしたとは言え初の実戦であそこまで自在にビットを操れるのですから」
「その通りだ。しかし、ララァが存分に力を発揮できるのも私達がいたからであり、そしてララァがいたからこそ私達も全力を発揮出来ることを忘れるな。
誰か1人欠けてもダメなのだ。私達は互い互いをカバーし合うことで全力を発揮できるのだぞシャリア・ブル。背中を預けることを恥じることはないさ」
卑下するようにシャリアが言うと彼の肩に手を置いてシャアがフォローの言葉を送る。
その言葉にシャリアは淡く笑い、小さく頷いた。
「……ええ、はい。そうですね私達は仲間ですから、これからも頼りにさせてもらいます」
「私もそうさせてもらうさ」
シャアは唯一覗く口を緩ませ、2人が笑いあうと。
「あら、何か楽しいお話をしているのですね。私も混ぜてくれますか?」
メディカルチェックを終えたらしいララァが常日頃から浮かべている慈愛に満ちた微笑みとともに2人へと宙を漂いながら声を掛ける。
「うむ構わんとも。ララァ、何か体調に変化はあったか?」
「はい、特になんともありませんよ大佐。このとおり健康体です」
「そうか。しかし、初の実戦だったのだ後から気分が悪くなるやもしれん。何かおかしな所があったらすぐに言うんだぞ?」
「ふふっ、大佐は過保護ですのね」
「それも仕方ないかと。少尉はまだ幼い少女なのです、大佐は貴方のことが大切なのですよ」
「…………幾らか君らが人の内の考えを見抜くのを知っているとは言え、こうやって言われると気恥しいものだな。
こほん、シャリア・ブルの言う通りだララァ。どの口が……とも思われるだろうが、私は君のことを愛しく思っているのだ。
あまり、無理をしないでくれよ?」
「えぇ、勿論。私も自分の限界は分かっているつもりですから、大事になる前に下がりますよ」
「ならいいさ。……さて、一応我々は今回の分の仕事は済ませたからなマ・クベ准将もきちんと仕事をしてくれてるといいのだがね」
「恐らくマ・クベ准将もきちんとこなしているでしょう。あの時不自然なタイミングで彼らは撤退しましたからね」
「だといいがな」
「艦隊の1つが全滅……?」
「本当なのそれ?」
「事実だ。偵察に出したスレッガー中尉とリュウ少尉が第三艦隊の残骸を確認し、数少ない生き残りからの証言もとっている」
「…………」
ホワイトベースへ戻り、機体から降りてすぐにテムから先の撤退信号のことを問い詰めるも聞かされた内容にアリアとアムロの2人は絶句した。
2人がシャア達と戦闘を行った短い時間の間に後方にいた援軍の第三艦隊がジオンの伏兵により殲滅された……らしい。
普通なら信じられない情報だが、それを裏付けるには十分すぎる存在と2人はついさっきまで戦っていたのだから。
2人が戦ったシャア達の他に遠隔誘導端末を操る機体がジオンの別働隊におり、それが恐らく艦隊を殲滅させたのだろうとほぼ同時にアリアとアムロは判断する。
そして、ホワイトベース含む第13独立は前方のテキサスコロニーに寄港しているザンジバル級と後方の第三艦隊を壊滅させた伏兵に挟まれていると言う訳だ。
唯一の救いと言うべきは、その第三艦隊を壊滅させたジオンの伏兵が現在姿を隠しており今すぐに攻撃を仕掛けてくる訳では無いのが判明している。
「……逃げれるうちに逃げるべきですかねこれは」
「ブライト君も既にそう判断してるからな。遠征艦隊でもある私たちは補給路を潰されては干からびかねんし、現在コンペイトウに駐留している艦隊は最小限にとどめられている。
ジオンの連中が攻めたら奪還されかねんから無視することは出来ない……」
「報告のために一旦コンペイトウに戻るべきって訳か」
「うむ、恐らくは……」
『総員に告ぐ! 我々は進路を反転、コンペイトウへ帰還する!! 第2種戦闘配置で各員は待機するように!』
艦内放送により予想は正しかったことを知るのだった。そして、その場にいた全員はこの面倒事の対応を自分達がやらされるのだろうとほぼ同時に溜息をこぼす。
個人的なイメージで本作のレイヴンは寡黙な仕事人のCVイメージは中田譲治さんでアレックスは・・・なんなんでしょうね?少なくともおじきではないです。
あと、アリアの脳内CVイメージは石川由依さんですが、ボイチェン時は中尾衣里さんかもしれない
後継機
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既存機体を魔改造
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オリジナル機体