機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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今年中に終わるか心配になってきました


91.Beloved

「キシリア様から送られてきたデータに目を通していたとは言えここまでとはな」

 

「ニュータイプ…………凄まじいものです」

 

 チベ級の艦橋にて着艦する複数の機影を見ながらマ・クベ大佐改めマ・クベ准将は僅かに感嘆を滲ませた声で呟いてそれに畏怖を込めて同意するのは副官でもあるウラガンであった。

 

 シャア達がホワイトベース隊のツートップと戦っている間、その援軍として来ていた第三艦隊の背面をデブリ帯に紛れるようにして強襲。

 

 マ・クベ要するモビルスーツ隊も出撃させていたが、そのほとんどの戦果は別働隊として派遣されていたシャアの部隊によるものでマ・クベ麾下の部隊は見てるだけだった。

 

 それほどまでに圧倒的であり、艦橋の空気は異様な雰囲気に包まれている。

 

「単騎のモビルアーマーで敵艦隊を殲滅か……キシリア様が執心なのも納得だが頼りきるのは怖いところだ」

 

「ハッ……それは、なぜなのでしょうか?」

 

「未知数すぎるのだよウラガン。彼ら彼女らはその誰もが年若く、聞けばフラナガン機関で精神的に不安定になっている個体も複数いたと報告書にはあった。

 今はいいが、頼りきってしまうことになればそれこそジオンは終わりだな」

 

 ジオンは連邦と圧倒的な国力が劣る。そのために速攻で片をつける必要があった訳だが、その目的は失敗に終わり地球から叩き出され戦場は宇宙へと移った。

 無論、マ・クベ自身は負けないように手を尽くしている。その際たるものが統合整備計画という訳なのだが、開戦前から提唱していたソレはドズルを含めた下らない個人の感情で握りつぶされたせいで戦争末期に漸く動き始めた訳だが既に期は逸しており間に合わない。

 

 ゲルググ自体も技術者連中や上層部が機体はできているのにビームライフルが完成してないからだと世迷言を言ったせいで配備が遅れに遅れてしまっている。

 そのせいでア・バオア・クーのベテラン達の機種転換が思うように進んでおらず、徴兵した間に合わせ学徒兵に配る始末だ。

 

 そして、古今東西どの戦争でも敗色濃厚の国家が末期に開発する秘密兵器とやらは期待するに値しないことを証明していた。

 

 確かに少ない数で敵の艦隊を壊滅させたのは素晴らしいだろう。だが、それは奇襲が上手くいったからなのであって次もこうして上手く刺さるとは思えない。

 

 加えて百の敵を倒せたとして、千は? 万は? 連邦というのはそんな物量を兵器でぶつけてくる連中なのだ。

 

 目の前の敵を対処していてもその後ろから続々とやってくる敵をどうにかしなければすり潰されるのは目に見えている。

 

「そのためにこうしている訳だが……彼らに頼りすぎてしまうのは不味いな。いや、そもそもソロモンを失陥してからの動きが不味い」

 

 ソロモンを失陥し、ア・バオア・クーへ後退した兵達は自分がやることをやっただけなのだから文句は言いようはない。しかし、それが指揮官としての選択と見たら落第もいいところだ。

 

 何故ならソロモンからア・バオア・クーへ下がる場合軍艦の足ならばグラナダへ向かうのと殆ど変わらないのである。

 そもそも急いで次の最前線となる戦場へ向かい準備をするくらいならば後方へ下がり、万全の補給を成してから向かう方が何倍もいい。

 

 ア・バオア・クーも準備の最中にズタボロとなった兵員がソロモンから逃れてきてしまえば、それの受け入れや補給などで戦いの準備がそれだけ遅れてしまう。

 

 軍事的、合理的判断に欠く選択から推測できることをマ・クベは口に出した。

 

「……心理的、そして政治的理由か」

 

「……我々は援軍を送りませんでしたからな」

 

「まったく、ドズル閣下もこんな時に政争をしない分別くらいしないで欲しいものだよ……。いや、こうなったのもそもそもが我々含む全ての者の責任か」

 

 だからこんな小細工をしてでも、少しでも連邦の足並みを揃わせないようにしているのだろう。

 

「……食屍鬼なんてものを使っていた私が言うのもなんだが、我々は地獄に堕ちるな。あれ程の齢の子供すら戦場に出すのだから」

 

 マ・クベの目には艦へ収容されていくララァの物とは姿が変わっている白いエルメスへ注がれているのだった。

 

 

 

「……あの人、いなかったな」

 

 モニターが暗転し、暗闇となっているコクピットの中で抑揚の薄い声が響く。

 

「愛しい人、恋しい人、慕わしい人、大好きな人」

 

 脱いだヘルメットを抱き、妊婦が己の肚の中にいる赤子を慈しむように撫でながら少女は呟く。

 

「憎らしい人、忌まわしい人、厭らしい人、大嫌いな人」

 

 深紅の瞳の奥に愛憎入り混じる妖しい光を内包する少女は口角を歪ませて思いの丈を吐き出す。

 

「あぁ、はやく逢いたい……」

 

「逢って、そして殺して、殺されて……今度こそひとつにぐちゃぐちゃに溶け合うの……」

 

「ねぇ、そうでしょう……■■-■■■(私のあなた)?」

 

 ふふ、ふふふ……嗤い声が響き、ドロドロと粘ついた執着心とも殺意とも好意とも取れるその言葉を聞く者は居ない。

 

 

 

 

 

「くしゅん」

 

「風邪かい?」

 

「少し悪寒が……冷房が効きすぎてるんでしょうか?」

 

 背筋に走った悪寒にアリアは堪らずくしゃみをする。隣にいたアムロに聞かれて答えると彼は着ていたジャケットを脱いだかと思えば二の腕をさすっていた彼女へそっと掛けた。

 

「これなら暖かいだろう?」

 

「ふふっ、はい、ありがとうございます兄さん。でもこういうのはフラウさんにしてあげた方がよろしいのでは?」

 

「……今それ聞くことか?」

 

 呆れたようにアムロが言うが、アリアからすれば大事な事なのだ。なんせ将来の義姉になる存在であり幼い頃からの間柄なのだ。

 と言うか彼女を逃してしまえば己の兄の性分から見て絶対良い出会いが無いと確信もある。

 

 そんなアリアの内心を知ってか知らずかアムロは話を逸らすようにして口を開いた。

 

「僕よりもお前の方こそミアちゃんとはどうなんだ?」

 

「ミアさんは毎日お話をしてますよ。昨日はクロエと管楽器できらきら星の練習をしたんです」

 

「……今更言うのもなんだけど気がついたら年上の義理の妹が出来た上に実の妹には同性の恋人ができてたって言葉にして出すと意味がわからないな」

 

「本当に今更ですね。()兄さんって呼ばれる練習はしておいた方がいいのでは?」

 

「そうだなぁ……このろくでもない戦争が終わったら考えておくよ。

 ……まぁ、まずは目の前の問題を片付けないといけないけどな」

 

「ですねぇ……あのコスプレ野郎との因縁はここで精算しておきたいですもの」

 

 アリアのその呟きにアムロは無言の肯定を示して懐から取り出した栄養バーの封を解くと1口かじり、その横でアリアは飲料チューブのストローを加えて中身を吸い出す。

 

「「……」」

 

 そしてほぼ同時に2人はまだ中身のあるそれらをゴミ箱へ投げ捨てたのだった。

 栄養バーの包装の表面には『ベジマイト味』、飲料チューブには『ピータン風味』の文字がかすかに煌めく。

 

 

 

 

 マゼランの作戦室の壇上に立つワッケインは第三艦隊に所属する艦長達の顔を見つめ、その中にいるブライトは緊張した面持ちでモニターへ視線を注いでいた。

 

「揃ったようだな。では、これより作戦概要を説明する」

 

 そしてワッケインはそう言い、口火を切る。

 

「諸君らも存じているはずだが、昨日に主力でもある第一連合艦隊がコンペイトウへ到着した。

 本日未明に第二連合艦隊と合流し、ジオンの最終防衛線でもある宇宙要塞ア・バオア・クーへ進軍する予定だ」

 

「しかし、問題が発生しているのは君達も知っているだろう。旧ルウム宙域……テキサスゾーンに派遣した第三艦隊の分遣隊がジオンの艦隊によって壊滅したことも記憶に新しい。

 もしこの艦隊が後方撹乱に回れば被害の規模の大きさは想像にかたくないだろう」

 

 ワッケインの背後のモニターに複数の映像が映し出された。

 

 それはアムロのアレックスとアリアのレイヴンと戦う真紅のガンダムと青いドム。

 

 緑色のモビルアーマーから放たれた砲台が縦横無尽に宇宙を駆け巡り、四方八方から放たれたビームが軍艦を撃ち抜く映像。

 

 白いモビルアーマーが単騎で分遣隊を蹂躙する恐るべき映像であり、室内にざわめきが響く。

 

「この通りジオンはたった数機で戦場の趨勢を決めるような化け物を投入してきた。

 故に第三艦隊は第13独立部隊と共同し、奴らの討伐を決定した」

 

「この作戦が次の戦いの流れを決めると言っても過言ではない。諸君、奴らに連邦が誇る『白い隼』と『星喰らい』の力を見せてやろうではないか」

 

 力強いワッケインの言葉と共にその場にいた軍人達は敬礼を行った。




エルメスってなんかスティグロに似てますよね

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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