機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
ジオンの艦隊殲滅を目的にコンペイトウから出撃したホワイトベース含む討伐艦隊。
アリアは敵の特殊モビルアーマーの対処を任された訳だが……
「まぁ、バカ正直に最大戦力の全部を矢面に立たす訳ありませんよね」
「ま、前回はそれで後ろの味方をやられた訳だしな」
ホワイトベースの格納庫内にあるパイロット待機室……ではなく連邦宇宙軍が運用するコロンブス級輸送艦のコンテナ部を改装し、モビルスーツ用の格納庫へと変えたことで一角に設置された臨時のプレハブ小屋の中で己の乗機を見ながらアリアとカイの声が木霊した。
なぜ2人がいるかの説明は艦隊が出撃する少し前に遡る。
艦長達によるブリーフィングを終えたブライトから作戦の概要を聞かされ、敵の遠隔誘導端末によるオールレンジ攻撃に対応できたアリアとアムロの2人を1箇所にまとめるのは効率が悪いと判断。
それと前回のように後方から敵の別働隊による攻撃を警戒してか、単騎で敵艦隊を殲滅可能なレイヴンとアリアを後方へ回しその援護のためにカイのガンナーガンダムも配置したのだ。
前回戦ったアリアの所感から兄のアムロと他のホワイトベースのメンバーやモルモット隊の面々もいるならば十分自分が居なくとも対処可能という判断らしい。
アリア的にはあの鬱陶しい歌と気色の悪い視線を向けてきた青いドム含む、因縁の赤いあん畜生を仕留められないのは遺憾の意を表明する所存だが我儘を言う場面ではないと分かっているため不承不承だが了承しレイヴンと共に幾人かの人員がホワイトベースから移ったのだ。
その中には当然───
「アリア・レイ、少々宜しいですか?」
「はい、何でしょうケイトさん」
レディーススーツの上に白衣を纏い、前髪のひと房に緑のメッシュを入れ片手にタブレット端末を持ったすっかりレイヴンとエアの専属メカニックのようなポジションに収まったケイトがプレハブ小屋へ入ってくる。
「貴女の言っていた『歌』という不可思議現象ですが……ん? カイ・シデン曹長、貴方もいたのですね」
「おチビのおまけみたいな言い草だな……まぁ、実際そんなもんだけど。んで、どしたのケイトさん?」
「はい、話は戻しますが敵の特殊兵器……『ソロモンの亡霊』が遠隔誘導端末使用時に不特定多数の兵士が証言していた『歌』の原因ですが」
「分かったのですか?」
「いいえ、全く」
「分かんねぇのかよ……」
あっけらかんと言ったケイトにカイが肩を落とす。
「前例の無い事ですし、詳しく調べようにも機材がありませんから仕方ないでしょう。
まぁ、推測なら可能ですが聞きますか?」
ケイトが尋ね2人を見ると、アリアはカイにどうする? と聞くと彼は暇つぶしには丁度良いと頷いた。
「ではお願いします」
「分かりました。ではそちらのモニターをご覧下さい」
ケイトが壁際に置かれたモニターを手元の端末で操作し、促された2人はそのモニターの画面を見る。
暗転していたモニターに光が灯り、中央にやけに手の込んだ演出とともに『Kate Markson』の文字が浮かび上がった。
「(前々から思ってましたけど、この人割と自己顕示欲強いですよね)」
「(あの変なデカールいつも持ち歩いてるもんな)」
「(まぁ、能力は高いのですがね)」
「(才能持ちって変人ばっかなのかねぇ?)」
「(何故そこで私を見るのですか?)」
「(ノーコメント)」
ヒソヒソと2人は会話をしていたが、ケイトが口を開くと会話を終える。
「まず、大前提として『歌』こと『LaLa音』は既存の通信回線による混戦によって発生する雑音と言うモノではありません。
それは何故か? 回線による不具合ならば記録が残るからです。ですが、それは無く念の為機械のログを洗ってみても確認できませんでした」
「次に私は『歌』を聞いた人物のプロファイリングをしてみると、いくつか共通点を見つけることが出来ました」
「共通点?」
カイが首を傾げると、ケイトは端末を操作してモニターに幾つもの名簿と顔写真が表示された。
「大小様々ですが、その誰もが共通するのが所謂『感がいい』もしくは『感受性が強い』と言うべき特徴を持っています。つまりは……」
「……ニュータイプって奴かい?」
ケイトの言葉に被せるようにしてカイが言えば、彼女は頷く。
「はい、その通り。恐らくですがこれはニュータイプ……若しくはそれに準じる『ナニカ』がソロモンの亡霊に感応したことによりそれによる幻聴を『歌』として知覚してるのでしょう。そして、その能力が一際強いアリア・レイは他の人よりもそれを強く知覚しているのでしょうね。
実際、過去に似たような事があったでしょう?」
モニターに今度は何かの脳波図が表示され、隅にはアリアの名前があり波形の一部が大きく乱高下している箇所があった。
「実はレイヴンの内装にはブルーディスティニーに搭載されていた特殊なデバイスをちょろまか……拝借し、移植して組み込んでいるのです。それの名前は『サイコミュ受信機』というのですが……」
「そんなの入れてたなんて聞いてないんですが?」
「言ってませんからね」
「(マジかよコイツという目)」
「とにかく、このサイコミュ受信機というのは所謂脳波を受信し増幅させるジオン由来の技術でしてね。
これがアリア・レイ、貴女の感受性の強さと相乗効果を引き起こして貴女の脳を活性化させ他の人よりも強く相手の脳波と感応してしまっているようです。
ほら、見てくださいこのグラフを。レイヴン接続時の平時の脳波と活性化時のものなのですが目に見えて違うでしょう?」
「えー……取り外せないんですか?」
「その場合、レイヴンの操作系を一から組み直さないとならないので無理ですね。
ですが偶然とは言えこんなデータを得られるとは僥倖です。やはり貴女は素晴らしいサンプルですよアリア・レイ。ふふ、ふふふふ…………!」
その表情に喜色の色を浮かべる
『ケイト、戻ってきたらアンタマジビンタね』
スピーカーから低いクリスの声が聞こえ、肩を震わせていたケイトが笑みを浮かべながら冷や汗をダラダラと流して真っ青に染める器用なことをする。
「Oh…………」
「念の為クリスさんにこっそり通信繋げておいて良かったです」
『本当にごめんなさいねアリアちゃん、この
「色々とお世話になってるのでお手柔らかにお願いします。この人いないとレイヴンの整備ができないので」
『大丈夫よギリギリは見極めれるタイプだから。それと、そっちも頑張ってね!』
「はい」
その言葉を最後に通信が終わり、アリアは通信機をしまうとケイトを見れば何処と無く萎びた様子が見えたカイがなんとも言えない顔を浮かべていた。
「それで、あの雑音どうにかできそうですか?」
「えぇ、はい……結局のところあの『歌』はアリア・レイの受信能力をレイヴンに組み込んである受信機が意図しないところで増幅させ、余計に出力を上げているだけですのでレイヴンのサイコミュ受信機の感度を下げれば問題ないでしょうね。
その分僅かにレイヴンの反応速度が下がりますが、そこら辺はAMSの調整をすれば問題の無い範囲かと」
「それなら構いません。戦闘が開始までに間に合わせてくれるなら」
「……分かりました、すぐに済ませておきます。恐らく数分程度で終わるでしょうから」
顔をショボショボさせその場を後にするケイトのどこかその哀愁の感じる背中見てポつりとカイが呟く。
「……あんなんでも優秀なんだよなぁ」
「倫理観と能力の有無は反比例してますからね」
「お前が言うと説得力あるなぁ……」
カイがしみじみと言うが、アリアは言っていることがよく分からず首を僅かにかしげるのだった。
『作戦開始だ。準備はいいかね?』
「前回の様に私が行って好き放題荒らせば良いんでしょう? 何度も言わなくても分かってますよ煩いなぁ……」
『ッ……キシリア様の秘蔵子でなければ君の様な小娘が好きにできると思わないことだな』
「あんな老け顔のオバサンの秘蔵子だとか、そんなこと私には知りませんよ。言われた仕事はきちんとこなしてるんですし文句ないでしょう?」
『……とにかく、君には敵の主力艦隊が我々に釘付けになっている間にソロモンへ攻め込んでもらう。
先行している僚機のモビルアーマーとモビルスーツ隊と合流次第できる限り暴れるように』
「はぁ……分かりましたよ、言われたことはきちんとやってあげますよ」
『……分かっているならいい。では、行きたまえ』
「はあ、面倒臭い……」
デブリが密集する宙域、その片隅に露駐されていた白いモビルアーマーの後部に接続されていた増加型のブースターに火が点火する。
気だるげな表情を浮かべた黒髪に赤い瞳の少女は操縦桿を一気に前へと倒し、膨大な光の柱を放出して突き進んだ。
「エルメス、『ジェーン・ドゥ』行きまーす」
「ッ────! カイさん!」
「へいへい、ブライトさんの言う通りか!!」
背筋に走る悪寒に反射的に顔を上げ、叫べばカイは待ってましたと言わんばかりに傍らに漂っていたヘルメットを掴み取るとアリアとともに自身の乗機に向けてプレハブ小屋の壁を蹴る。
「ケイトさん、レイヴンは!」
「既に調整は終えています」
「分かりました。それと周囲の艦に伝達を敵が真っ直ぐこっちに向かってきていると」
「了解しました。皆さん聞きましたね、出撃準備を!」
『ハッ!』
ケイトがインカムを小突き、周囲にいた作業員達が敬礼を行うのを確認するとアリアに向けてハンドサインで搭乗するように伝えるとすぐに艦の艦橋に向けて通信をかけた。
アリアはそれを横目にレイヴンの開放されたコクピット内部へ体を滑り込ませ、シートへと背中を預ける。
細い腰にアームが固定され、コクピット内に漂っていたヘルメットを被ると暗くなった視界で小さく呟いた。
「……接続スタート」
ディスプレイとなっているバイザーの中央画面に緑の文字列が浮かび上がる。
「ッ────!」
二の腕、太腿部にアームを介してデバイスが接触。瞬間に何かを打ち込むような音ともに凄まじい激痛によりアリアのその整った眉を僅かに歪めるが、すぐにその痛みも消え失せた。
アリアの肉体が機械を介してレイヴンと繋がり、バイザーに光が走りノーマルスーツの背中にある脊髄のようなデバイスが上から下へランプが点滅。
通常よりも知覚する感覚が広がり、それに応じるようにしてレイヴンの閉じられていたフェイス部分のパーツが展開。内部に隠れていた双眸が露出し、赤い光が灯った。
レイヴンの双眸が見た光景がディスプレイに投影されると同時にゆっくりとコロンブス級の格納庫の天井ハッチが開き始め数分で完全に解放されれば全身を固定したアームが直立し、レイヴンの巨体が立ち上がる。
それより少し遅れてカイのガンナーガンダムも立ち上がり、両機の固定アームが外れ各々の武装を装備した。
「カイさんは艦の直掩に回り援護を頼みます。私が一気に突撃して敵を叩くので」
『了解、気張れよアリア』
「はい。…………アリア・レイはガンダム7号機 レイヴンで出ます!」
『カイ・シデン、ガンナーガンダム行くぜ!』
格納庫から飛び上がり、背部のX字状に配されたブースターから膨大な光を放ってレイヴンは一筋の流星となって今も向けられている悪意の元へ突き進む。
「見つけた……!」
最大望遠で見えた自分達の後ろにあるだろうコンペイトウに向けて進路を摂る複数の機影を見てアリアは即座に両手のケラウノスの銃口を奴らへと向けた。
既にチャージは終えてる為にラウノスの上下の展伸されたバレルからは余剰エネルギーによって発光し、その牙を今か今かと解き放たれる時を待っている。
そして、敵が有効射程に入ったことを示すロックオンアラートが鳴り響きアリアは躊躇いなく引き金を引いた。
「薙ぎ払いなさい」
ケラウノス後部に接続されている3つあるカートリッジのうちの一つに押し留められていたエネルギーを全て注ぎ込み、撃鉄を叩き起されたことで膨大な光の柱が2つ放たれる。
青白い奔流は容易くジオンの敵部隊を飲み込み、宇宙に幾つもの爆炎の華で彩った。
しかし、全てを屠ることは出来なかったらしくその生命の華を突き破り幾つもの機体が奥から現れる。
先行するのは速度からしてモビルアーマーらしく、地球で見たグラブロに似た形の緑色の三角形の先端に鉤爪の着いたアームを備えた機体の先端部のカバーが開くのをアリアの目が捉えた。
モビルアーマー『ビグロ』は兵装の中で最大の威力を誇るビーム砲をレイヴンに向けて解き放つ。
「甘いですね」
緑の奔流は確かに脅威だろう。しかし、姿を晒した状態に加えて真正面から撃ってくることを察知している攻撃に当たる程アリアとレイヴンは甘くない。
放たれたビームを紙一重で交わし、返す刃の如くケラウノスから放たれた一撃がその砲門を撃ち抜いた。
動力炉を撃ち抜かれたビグロはそのまま爆発しレイヴンの進路上に爆炎か上がり、それに突っ込んでレイヴンは左腕にアルテミスを展開。
勢いに乗せて進路上にいたゲルググの腹部を切り裂き、上半身と下半身に別けた。
『うぉおおおつ!!』
『良くも仲間を!!』
『おのれ星喰らいッ!』
「威勢だけはいいですね、ホント」
雄叫びを上げて
真正面からの袈裟斬り、頭上を取るように瞬時にクイックブースト、がら空きの背中を撃ち抜く。
背後からの銃撃、四肢の反動による移動で躱し背部ユニットから展開したサブアームのビームカンがリックドムを蜂の巣へ変えた。
ザクII改によるヒートホークをその顔面に爪先を叩き込み、姿勢が崩れた所にコクピットをアルテミスでブチ抜く。
「さっさと終わらせ────『くたばれ!!』───ッ!?」
凄まじい音とともに衝撃が走り、何事かと思えば視界一面に広がる大口を上げた蛇、若しくはピエロのような顔面。
「はぁ!? なんですかそれ!」
余りに唐突すぎる光景にアリアの思考が一瞬停止し、そして動き出して叫んだ。
『この『ザクレロ』がお前を仕留めてやる!!』
「巫山戯た見た目の挙句巫山戯た名前とか舐めてるのかお前!?」
『死ねぇ!!』
「チッ!」
奇怪な見た目のモビルアーマー、ザクレロは湾曲した刃を赤熱化させその刀身を勢いよくレイヴンに向けて振りかぶる。
『採ったァ!』
「やらせる訳ないでしょ」
『ナニィッ!?』
しかし刃の無いアーム部分を掴みとることでザクレロのヒートナタによる攻撃を防ぎ、その膂力に任せて勢いよく引き千切った。
『このっ!!』
咄嗟にザクレロの口腔の奥が光り、拡散ビーム砲を放とうとする。
「だから」
レイヴンの右腕がその口の中へ押し込まれ、その砲門を勢いよく引きずり出す。火花が飛び散り撒き散らされたオイルがレイヴンの漆黒の装甲をり血の如く濡らした。
「やらせる訳、ないでしょ?」
引きずり出した砲身を投げ捨て、レイヴンの左腕から展開されたアルテミスがザクレロの眉間へ叩き込む。
『ざ、ザクレロが……俺のザクレロがこんな呆気なく─────
呆然とした声を最後まで言い終えることなく分子レベルに消し飛ばされ、沈黙したザクレロから離れればあらぬ方向へ進んでいくとその身体を爆炎が包んだ。
「まぁ、こんなものですね」
あっという間にコンペイトウへの襲撃してきた部隊を殲滅し、アリアは鼻を鳴らして母艦へと戻ろうとレイヴンを反転───した瞬間にアルテミスを展開。交差させるととてつもない衝撃がコクピットを襲う。
「きゃあ!!?」
『アハハハハハ!! 見つけた! 見つけた見つけた見つけた見つけた見つけたァ!!!!!』
「お前は……!?」
メガ粒子が撒き散らされる中で見えるのは機首部分に大型のビームブレードを展開している白い大型のモビルアーマーの姿。
加えて、接触回線によって響き渡る狂気に満ちた声にアリアは目を見開いた。
突然の出来事にではない。その聞き覚えのある声に、だ。
『愛しい人! 忌まわしい人! 親しい人! 憎らしい人! 私のアナタ!!!』
「お前は誰だ!!」
『アハッ! 既に気づいているのでしょう!? 私が誰かだなんて!! アナタが誰かだなんて!!』
「私はお前なんて知らない!!」
『酷い! 私はこんなにもアナタのことを想っているのに! アナタのことをこんなにも愛してるのに!! こんなにもこんなにもこんなにもアナタのことを殺したいと思ってるのに!!!! あぁ、そう……アナタを惑わした奴がいるんですね!!?』
「ぐっ!?」
弾き飛ばされ、宇宙空間を廻るレイヴンの姿勢を安定させアリアはその瞳に困惑の色を浮かべた。
『許せない、許せない、ユルセナイ、ユルセナイユルセナイユルセナイ!!!
私を差し置いて! そんな奴がアナタの隣にいるなんて絶対に認めない!!
アハ、アハハハハハハ!!! なら本当の愛でアナタを目覚めさせてあげる!! だって真実の愛が私にはあるんだから!!』
「何を言って……」
『あぁ、あぁ、あぁ!!! そうよ! そうだわ!! 自己紹介まだだったわね!!
私は『ジェーン・ドゥ』! アナタを知ってるわ!! 愛しい人!』
『ねぇ、
「ッ…………やっぱり、君……なのか」
「『エア』」
『ふふっ、あはっ・・・・アハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!!』
漸く、両者は対面した。しかし、それは望んだ出会いではなく
ラスボス系ヒロインの登場
後継機
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既存機体を魔改造
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オリジナル機体