機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー   作:シャア、あんたちょっとセコイよ!

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ジェーン・ドゥは色々あって脳内プッツンしてます。ゾルタンみたいにね


93.I just wanted to talk to you

『エア』

 

 ルビコン3でC4-621がレイヴンとして共にいた形の無い友人であり、そして深く心を交わした……とも言える存在だ。

 

 それなのに、何故だろう。何故……何故、私は君との最後の記憶が思い出せないのだろう? 

 

 

 

 

 

 

『アハ、アハッ! アハハハハハハ!!!』

 

「くっ……!」

 

 胸に募る焦燥感に絶え間なく鳴り響く狂気に満ちた哄笑に冷静さを欠いていく。

 的確にこちらの動きを封じる様にして配置したドローンの包囲網を針の穴を通す様な神業で躱し、ケラウノスの下部バレルからビームの散弾を放つことで射線上にいたドローンを撃ち落とした。

 

「やめろエア! 私たちが戦う必要なんて……!」

 

『貴女が決めることじゃない! それは私が決めることだ!! ほらほらほら、私を殺さないと貴女が死にますよ!? あぁ、それはダメよ? 貴女には苦しんでもらわないと!! 

 だから、だからだからだからだから!!! もっと素敵に踊ってくださいな!?』

 

「ッ!?」

 

 不意に背筋に走る悪寒、アリアは咄嗟にレイヴンをその場からバックブーストを吹かした。だが、

 

「なっ!?」

 

 走る閃光、右腕に握られていたケラウノスのバレルが半ばから切り裂かれアリアは驚き目を見開き次の瞬間に叫んだ。

 

「ビームサーベル!?」

 

『アハハハ! ララァって人は撃つだけしか出来ませんけど、私はこんなふうに出来るんですよ!!』

 

 アリアの類まれなる動体視力により捉えたのはビット(ドローン)の先端に展開されているビームの刃の光……それが複数。

 

 それが複数あり、レイヴンのケラウノスを半ばから切り裂いたのもコレだとアリアは理解して舌を打ちたくなる衝動に駆られた。

 

「(オールレンジ攻撃はまだ撃つ瞬間に止まるから避けやすくはある……けど、その端末にブレードを搭載した挙句目で捉えるのもやっとな速度で斬りかかってくるなんてズルでしょ!!)」

 

『良いんですか呑気に考え事なんて!?』

 

「ナチュラルに人の考えを読むのをやめろ!」

 

『愛、愛ですよ!!』

 

「何故そこで愛!?」

 

 砲台型ドローンによる包囲網で動きを牽制、ブレード搭載型ドローンによって仕留める……殺意が余りにも高すぎやしないか? 

 アリアはジェーン・ドゥ(エア)の言ったことに困惑しつつも被弾はケラウノスが一丁破壊されただけに留め、被弾を最小限に抑えた。

 

「(どうする? このまま手をこまねいていてもジリ貧だぞ……!?)」

 

 ドローンを切り飛ばし、背後から強襲してきたブレードドローンを既のところで上半身を傾けることで躱すと通り過ぎる前に推進機関を掴み取る。

 

「らぁっ!!」

 

『あはっ! お手てがお上手ですねぇ!』

 

 掴んで保持した端末をブン投げ、たまたまその軌道上にいた別の端末へ追突し爆発。

 その奥にいたモビルアーマーに向けて爆炎を突っ切り、アルテミスを展開。高く掲げたソレを振り下ろそうと────

 

『また、私を殺そうとするんですか?』

 

「ッッ!!?」

 

 悲しげに目を伏せ、告げられた言葉にC4-621(アリア)の動きは止まる。

 そして……

 

『────ほんと、優しいですよねアナタは』

 

 嘲の声とともに凄まじい衝撃がコクピットを襲う。

 

「キャアァァアッ!!?」

 

『警告:胸部装甲を損傷、密閉機構に不具合を確認。コクピット内の空気流出』

 

 レイヴンの胸部装甲が引き裂かれた様な傷口がつくられ、その下の素体の部分がひしゃげているのが見えた。

 そしてエルメスの下部からは先端に赤熱した鉤爪を備えた大型のアームが伸びており、ソレがレイヴンのアーマーを切り裂いて抉ったのだろう。

 

『あぁ、なんで躊躇うんですか? なんで止めるんですか? そんなだから私はこんなに苦しいのに辛いのに、悲しいのに!!! 

 だったらあの時に私を選んでよ! なんで!? なんでなのよ!!!』

 

 ただでさえ正気に見られなかった言動が更に支離滅裂となり、錯乱した様にしか聞こえない叫びが撒き散らされた。

 しかし、それを言ってる彼女の中ではきちんと繋がっているのだろう。

 

『やり直せると思ったのに! この身体なら!! なのにアナタは私に会いにきてくれなかった!! 

 気持ち悪い奴らに身体を切り裂かれて! 変な薬を飲まされて!! やめてって言ったのにアイツらは! 

 それでも待った! 待ったのに!!!』

 

『どうせ忘れていたんでしょう!? アハ、アハハハハ!! なら思い出させてあげる!! 絶対に忘れられないくらい鮮烈に、苛烈に、強烈に!』

 

 もうひとつのアームを展開し、鉤爪を赤熱化したその先端を沈黙しているレイヴンに向けてジリジリと近づけさせていく。

 

『両腕と両足はいりませんよね。逃げられたら面倒ですもの……フフッ、素敵ですよね。

 大丈夫ですよレイヴン、死ぬまでずっと私がお世話をしてあげます。何処かひっそりと私と死がふたりを分かつまで、ね』

 

 そして、アームがレイヴンの装甲に触れようとした瞬間───

 

 

 ───レイヴンのフェイス部分の一部が展開。その下に隠れていた双眸が現れる。

 

 青白い光が走り、エルメスのコクピットに衝撃が走った。

 

「きゃっ!?」

 

 堪らず悲鳴を上げ、ジェーン・ドゥ(エア)は何事かと思ってモニターへ目を走らせれば驚きに見開く。

 そこには4つ目を妖しく光らせ、両腕から蒼白いブレード生やしたレイヴンが己の機体のアームを断ち切っていた姿がそこにはあった。

 

「ヒッ……!」

 

 真っ直ぐに見つめられたことにより、引きつった悲鳴が無意識に零れる。

 

「私を、私をそんな目で見るなぁ!!!」

 

 だが次の瞬間に激高したジェーン・ドゥが叫び、ドローン達を呼び寄せればそれら全てをレイヴンに向けて突撃させる。

 

「アナタが悪いんですよ!!」

 

 砲台型がレイヴンを囲み、ビームを放つ。

 

『────』

 

 レイヴンが僅かに身動ぎした瞬間、その姿がブレたかと思えば掻き消えた。

 放たれた複数のビームは何もいない空間を通り過ぎ、端末達が切り裂かれて爆発する。

 

「このっ……!」

 

 漆黒の宇宙空間に青白い光と深紅の残光が軌跡となり、縦横無尽に駆ける後ろを追う様にしてブレード型ドローンが追従した。しかし、背後からレイヴンを撃っても有機的な動きで躱されるか、その速度によって簡単に振り切られてしまう。

 おまけに途中で急制動をかけられたことでレイヴンのすぐ真横を通り過ぎ、背後から切り裂かれて端末が複数堕とされた。

 

「気持ち悪い動きを……!」

 

 エルメスの上部にあるビーム砲が光を放つ。しかしその攻撃は逆に展開したブレードで弾かれ、あらぬ方向へと逸れたビームによって端末を撃ち落とされる始末。

 

 ジェーン・ドゥに苛立ちと焦りが滲み、より苛烈に攻撃を仕掛けた。

 しかしそのどれもが及ばず、彼女はその顔を歪めてしまう。

 

「なら、これならどうですか!!?」

 

 ジェーン・ドゥは叫び、奥の手を用いようとして───不意に視線を上げた。

 

「はぁ!? 撤退!!? 何故! ───マ・クベが死んだ!? チッ! あれだけ偉そうに言っておいて!! 

 こちらの方は? 役立たず共は皆死にましたよ!! チッ、分かりました、分かりましたよ!! 帰れば良いんでしょう!」

 

 興が削がれたとばかりに最後に彼女はドローン達をレイヴンの周囲で自爆させ、その煙幕を目眩ましとして機体の方向を反転させる。

 

「さようならレイヴン、続きはア・バオア・クーでやりましょうか。その時こそアナタを殺してみせます」

 

 最後にそう言い残し、ブースターから膨大な光を放って戦線を離脱していく。その背を煙幕から抜け出したレイヴンが赤い四つの目でしばらくの間見つめていたが、直ぐに視線を逸らして母艦であるコロンブス級へ向け直すと展開していたフェイスパーツが閉じ、カメラアイが封じられ全身から力が抜けてしまった。

 

『おいアリア! 無事か!?』

 

 直掩に回っていたガンナーガンダムを駆るカイがブースターを吹かし、レイヴンへ通信を試みるが返信はない。

 

『アリア、おい! 返事しろ!! クソッ、直ぐに救護班を手配してくれ!! コクピットにダメージが入ってる!』

 

「……ェ、ア……」

 

 朦朧とする意識の中でC4-621(アリア)は友人の名を紡ぐ。

 

 なぜ? どうして? という意味も込めて。

 

 そして、完全に意識を失う中で脳裏に過ぎるのは愛する人(ミア)の顔だった。

 

 

 

 




マさんナレ死。赤いあんちくしょう共はテキサスコロニーでドンパチして痛み分け的な感じで脳内補完を頼みます。

後継機

  • 既存機体を魔改造
  • オリジナル機体
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