機動戦士ガンダムーRavens descend on U.C.ー 作:シャア、あんたちょっとセコイよ!
────集まったな。では、これよりブリーフィングを開始する。
ことの発生はおよそ3時間前の丁度世界時間において12月30日、フタヨンマルマルジャストの事だ。ア・バオア・クー攻略のために集結中だった第一連合艦隊にジオンからの不意打ちと呼べる大規模攻撃により、主力艦隊含む全体戦力の30%と頼みの綱でもあるソーラ・システムを失うという損害を被る自体に陥った。
現在、ホワイトベースを中心に残存兵力の集結を急がしており指揮系統については総指揮官たるティアンム閣下が戦死したことにより、グリーン・ワイアット中将に引き継れたようだ。
……そうだ、諸君の思っている通り我々は戦いを始める前から出鼻をくじかれたという訳だ。しかし、まだ我々は負けてはいない。
戦力の再編が済み次第、ヒトフタマルマルに当初の目的通りにア・バオア・クー要塞への侵攻を開始する。
作戦が開始次第、ソロモンと同じようにパブリク隊が撹乱幕の展開後、艦艇及び砲撃部隊によるパブリク隊の撤退を支援。
撹乱幕の展開が終了次第、全モビルスーツ部隊は我々のいるSフィールドの防衛網の突破を試みる。
我々のいるSフィールドは第一、第二連合艦隊とは真反対に位置し、配置された部隊は他のフィールドよりも数は少ないものの練度の高い精鋭たちが集められ、上層部からは防衛網の突破を期待されている。
…………先の攻撃のせいか、ガンダムのパイロット達には著しい精神負荷が見られたために可能ならば待機を命じたいところだが我々は有名になり過ぎた。
反攻の象徴であるガンダムは嫌でも注目の的だ。あの機体たちが前線に出ないとなれば味方の士気に影響が出るかもしれない。
…………泣いても笑っても、これが本当の最後の戦いだ。ジオンもそれが分かっているのだろう。過去類を見ないほどの激戦になる。
昨日まで隣にいた戦友が、もしくは己自身が死ぬかもしれない。そんな戦いに出撃しろと私は命令するのだ。
しかし、ひとつだけ約束してくれ。必ず、この艦に戻ってきてくれ。そうしたら私に幾らでも恨み言や気の済むまで殴ってくれていい。
そして、終わったら盛大に祝おう。凱旋し、祝勝のパーティーをな。
たらふく食って、たらふく飲んで、皆で肩を組んで歌うそんなパーティーを。
以上でブリーフィングを終了する。
……必ず、この戦争を勝つぞ! 総員、第一種戦闘配置!!
増設されたタッチパネルによって些か手狭となったコクピット内部、ケイトがそのパネルへ繋いだタブレットを操作しながら同じようにシートに収まり機体の調整をしていたアリアへと尋ねた。
「アリア・レイ、調子の程は?」
「まだ多少の鈍痛はありますが、戦闘に支障はありません」
額に
「そうですか……酷い場合には鎮痛剤の投与などを考えていましたが問題は無いようですね。
レイヴンのサイコミュセンサーの感度を下げていたお陰で著しく貴方への負荷を低減してくれたようでなによりです」
その発言にアリアは作業の手を止め、胡乱な目でケイトを見遣り尋ねてみた。
「……ちなみに、下げてなかったらどうなってました?」
「脳が焼ききれて
「聞いておいてなんですが、もう少しオブラートに包んでくれませんか?」
ゲンナリとした様子のアリアにケイトは些事だと言わんばかりにのたまう。
「生きているのなら問題はありません。それで、オプション装備の慣熟はできましたか?」
「えぇ、とんでもないじゃじゃ馬ですがアレなら彼女と渡り合うことができるでしょうね。不具合も出てきませんでしたし」
「それは僥倖。技術局もいきなりあんなデカブツをロクなテストもせずに持ってきた時は舐めているのかと思いましたが、不具合報告もないのならいいでしょう」
話題の元となっている新しい装備はその大きさからホワイトベースの格納庫へ納めることは出来ず、現在はワイヤーで繋げ艦の外へ繋留しているのだ。
「さて、もう少しで作戦開始ですか。……アリア・レイ」
「なんでしょう?」
「貴方にはこれからも協力して欲しい実験があるので私のために死なないでくださいね」
「恋人が待っているので死ぬ気はありませんよ。それと、実験は付き合いませんから」
「それは残念です」
ケイトは肩を竦め、タッチパネルへ繋げていたコードとタブレットを回収しコクピットの出口へ足をかける。
「ご武運を。こんな馬鹿らしい戦争に貴方のような子供が死ぬことなどあってはなりませんから」
「……はい」
作戦開始時刻間近となり、レイヴン専用格納庫では整備士や研究者などの作業員たちは慌ただしく機体から離れる。
『機体固定アーム解除、何時でも出れますよ』
コクピットにてケイトからの許可が降り、機体を固定していたアームなどが外れ自由となったレイヴンが水平エレベーターによりカタパルト前へと運ばれた。
「はい。レイヴン、出ます」
本来ならカタパルトで射出されるレイヴンだが、今回はそれはせずにカタパルトユニットの上を歩行して宇宙空間へその身を晒す。
不意にレイヴンはカタパルトの縁を蹴れば勢いによって宇宙空間へその漆黒の巨体が投げ出されればAMBACによってくるりと姿勢を変え、僅かにブースターを吹かした。
レイヴンが向かう先にあるのはホワイトベースの直庵に停泊しているコロンブス級があり、そこにアリアの目的のモノがあるのだ。
『こっちだアリアちゃん! ユニットの準備は出来てる!!』
コロンブス級へ近づけば通信とともに誘導棒を振り、レイヴンを誘導する人影を捉える。
「了解しましたアストナージさん」
その人物、アストナージの誘導に従いコロンブス級の船首へ向かえばそこには作業用装備のボールやノーマルスーツの作業員たちが船外活動しながらとあるモノに集まっていた。
ソレは傍から見れば大型の戦闘機にも見えるだろう。
大小の二対の主翼、端には4つの大型ブースターをメインに無数の小さなブースター。
鋭利的なシルエットのこれこそ、連邦の技術者がCOMとレイヴンから得られた戦闘データを参考に、クロエが運用したプロトバルテウスがブルーディスティニーとの戦闘で確認できた問題点を洗い出し再設計を行い、アリアとレイヴンの為に用意したオプション装備『コルウスユニット』である。
『既に最終調整は済んでいる。何時でも出せるから!』
「ありがとうございますアストナージさん、お手数をお掛けします」
『君みたいな小さな子を戦わせるんだ。戦えない俺たちが出来ることをやっただけさ。
……必ず生きて帰るんだぞ!』
「はい。必ず帰ってきます」
アストナージにそう返し、アリアはコルウスユニットの機首部分にある空きスペースへレイヴンの身体を収めると、その背面はプラグが接続された。
座るような形のレイヴンの前面を覆うように機首部分が下がり、完全に下がればボルトによって固定しバイザーへ文字が表示される。
───Confirming connection of enhanced option equipment ‘Corvus’.
───Fire control system, OS pattern changed.
───Identification code changed from ‘Raven’ to ‘Coronis’.
───System changes complete.
そして、同時にアラームの音が鳴る。
『作戦開始!!』
オープンチャンネルから放たれた号令とともに、その腹にビーム撹乱幕のミサイルを抱えたパブリクが出撃していった。
『モビルスーツ隊、発進準備!!』
命懸けの箒星たちが飛んでいく中で声が掛かる。
既に周囲の作業音やボールは出撃に巻き込まれないように離れており、レイヴンの姿を固唾を飲んで見守っている姿が見えた。
アリアは彼らを順に、最後に遠い位置に見える地球を見た後にゆっくりと息を整え前を見据える。
「アリア・レイは『コローニス』で出ます!!」
強化オプション装備『コルウスユニット』を装備したことでレイヴンから名を『コローニス』へと変え、その後部ブースターから膨大な炎を放出し無数の命の華が咲き乱れる戦場へ流星となって突撃した。
速度メーターが一瞬で跳ね上がり、刻まれた速度は優に
そして、ジオンの防衛隊は一際目立つようにブースターの光を放つコローニスを堕とそうと攻撃を集中させる。だが。
「無駄!!」
艦艇のビームによる砲撃は当たる直前で見えない壁に弾かれるように霧散し、お返しとばかりに機首下部から一門、肩から伸びるようにして展伸された二問のテュフォンの計三問の砲が口を覗かせる。
「堕ちなさい!!」
その声とともに放たれた青白い奔流と電磁力による超加速された砲弾が放たれ、進路上に存在するジオンのモビルスーツや航空機、艦艇を消し飛ばし幾つもの爆炎が生み出された。
『ッ! あれを近づけさせるな!! 星喰らいだ!』
一瞬でゴッソリと削られた自戦力を見て防衛隊はコローニスを最優先目標に定める。
しかし、ゲルグクやリックドムなどのモビルスーツの攻撃。ガトル、ゴブンがその速度を活かして近づこうもするがそのどれもがコローニスの出鱈目すぎる機動性を前に容易く振り切られるか攻撃はそもそもかすりもしない。
「─────!」
左右の目が素早く動き、その目線を追うようにして無数のレティクルが刻まれアリアは操縦桿のボタンを押し込んだ。
瞬間、コローニスの装甲の一部が展開し、そこから無数のミサイルが解き放たれる。
放たれたミサイルは全てAS弾頭であり、そのカメラによって捉えた獲物をミサイルが撃ち抜かれるか爆発するまでそのあとを追い続ける。
懸命にミサイルから逃れようとする航空機やモビルスーツ達を後ろからビームで薙ぎ払い、アリアは次々と敵の防衛戦力を削り続けた。
「やっぱりゲルググは動きの悪いやつが多い……!」
そしてアリアは気がついた。ゲルググが他のモビルスーツよりも動きが悪いことに。
彼女は知らないが、先の戦いでジオンのパイロットなどの人材は払底しておりそれを補うために学徒動員をしたことで新型のゲルググには多くの新兵や学徒兵が数合わせのために割り当てられていたのだ。
ビームライフルの実装が想定よりも早まってはいるが、それでも焼け石に水としか言えないタイミングでの実戦投入だったためにベテラン達の機種転換も間に合っていない。
故にアリアは狙いをゲルググに定め、優先的に撃破することを選ぶ。
1機落とす度に彼らの悲痛な思念が伝わるが、それを無視してアリアは冷酷に命を摘んだ。
『アイツを自由にさせるな!! 新入り達を殺させるなぁ!!』
『この悪魔がぁ!』
『やめろぉ!!』
当然、そんなことをすれば余計に敵側の狙いが苛烈になるがアリアからすれば自分に注目されればされるだけほかの味方が自由に動くことができる。
そうすれば孤立した敵は囲まれ、多勢に無勢となり撃破された。
「死にたくないのなら、そもそも戦争を起こさなければいいでしょうに!」
『ヒッ、助けて、母さ────
すれ違いざまにブレードで切り裂き、上半身と下半身が分かたれたゲルググは爆散。
『お前ぇえええ!!』
「私だけ見てていいとでも?」
激昂してリックドムが刺し違えでもコローニスへ切りかかろうとしたところで、背後からの友軍に攻撃で蜂の巣となりリックドムはデブリの仲間入りする。
『流石の暴れっぷりだなホワイトベースの鴉!』
『我らが勝利の女神に続け!!』
『ジオン星人に連邦の意地を見せてやれ!』
アリアと鬼神の如く活躍に当てられ、勇ましい雄叫びと共にジムやボールたちが突撃していった。
鴉の羽ばたきにより戦火は大きく広がり、ア・バオア・クーの戦いは激化の一歩を辿っていく。
コルウスユニットのイメージは特殊出撃の黒栗のブースター装備姿です。
ユニットのジェネレーターのエネルギーはIフィールドとブースターに割り振って、武装のエネルギーはレイヴンから供給する感じにしてます。
連邦の技術者「近づかれたら不味いんだったらカッ飛んで動き続けてミサイルやらビームをばら蒔いた方がええやろ!!」
一年戦争の時代に
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