「暑いなあ」
「暑いですねえ」
蝉の鳴き声がいろんなところから鳴り響く夏の道、これでもかと太陽からの暑い日差しを浴びながら私と初春は歩いていた。
「まさか水着のモデルだなんて。かわいい水着とかあるのかなぁ」
「そうですねぇ。新しい夏の水着とかほしかったしちょうどよかったです。」
そう私たちは水泳部の手伝いとして御坂さんと一緒に水着モデルを手伝うことになった。ちょうどプールとか行きたかったし超楽しみ!
「でも佐天さんはアスリートに見られるかもしれませんねぇ。スカウトされちゃったりして。」
「ん~正直それは否めないかな……」
目的地は町中のきれいなビル内だった。普段見られない光景に初春と歓声を上げる。
「なんか企業って感じ!」
「ちょっとドキドキしちゃいますよね!」
いややっぱりすごいなあ。御坂さんや白井さんはともかくとして水泳部の湾内さんと泡浮さんは落ち着いた感じだ。お嬢様学校はこういうの慣れてるんだねぇ。
「でもいいんですか?私たちが水着のモデルなんて」
「大丈夫ですの。どんな幼児体系でも科学の力でちょちょいと修正してくれるはずですの。」
「ひどいです白井さん」
「あはは……」
「い、いや!まだ私たちは発育途中なんだから!ね!佐天さん!」
なんか急に御坂さんから熱いまなざしと言葉を送られる。え、なんで私?
「まあ……」
そんなことを話しているとメーカーの担当さんがやってきた。ショートカットできれいな大人の女性だ。
「今日はよろしくお願いしますね。あれあと二人は?」
「二人?」
「あら、白井さん?」
「げ、この声は」
後ろからやってきたのは風紀委員の固法先輩と御坂さんたちと同じ常盤台中学の生徒、婚后さんだ。
「ぞろぞろと社会科見学か何かかしら?」
「婚后光子……」
「固法先輩も」
「あなたこそなんですのその恰好、休みの日も制服で外出するという校則お忘れですの」
婚后さんは制服ではなく着物で来ている。夏なのに暑くない!?いやまあいつも扇子もっててそういう家系なんだろうけど。眉毛事件で知ったけど結構癖が強いんだよね婚后さん……
「私は常盤台の生徒ではありませんの。一人のモデルとして参上したのですわ。」
「モデル?あなたも?」
「え!てことはまさか」
あ、婚后さんも一緒にモデルやるんだ。確かに美人だしね。
「固法先輩も水着のモデルを?」
「ええ、いつも通ってるジムで風紀委員の先輩に頼まれちゃって、あなたたちは?」
固法先輩は確かに水着のモデルとして最適だろう。いろんな意味で。
「私たちは水泳部の人たちに頼まれて」
「見たところ、初めての様ですからいろいろと教えて差し上げますわ。私子供のころからモデルをやってましたのよ。我が家のホールに響き渡る、オーディエンスの拍手喝采!今でもこの胸に響いてきますわぁ」
それを聞いたとき私たちはきっと同じことを考えた。
「オーディエンスってそれお家の方でしょう……」
あ、よかった。みんな思ってたことを白井さんが言ってくれた。
「それじゃあ好きな水着を選んでくださいね!」
私たちは試着室に案内された。そこには水着の天国というべきか。たくさんの水着がとってくれと主張し溢れんばかりに並べられている。壮観だ……
「あ、これかわいい!」
「こっちもです!」
これはテンション上がるー!
後ろを見ると一つの水着を取って固まっていた。それは水玉のかわいいやつ。隣にいる初春に肩をたたいた後御坂さんに声をかける。
「あ!それかわいいですね!」
「ほんとだ!フリフリもい感じです!」
「え、いや、これを着たいわけじゃ……」
そんなこと言って御坂さん、本当は着たいんでしょ?顔赤くなってますよ。着たいものを着ていいんですよ。
「私見てみたいなぁ、御坂さんのその水着姿!」
「私も!ぜひ着てみてください」
よし初春も乗っかってきたな。あと一押しで…。
「試着だけでも!」
「絶対かわいいですって!」
「そ、そう?そこまで言うんだったら」
「あら御坂さん、結構子供っぽいデザインが好きなのね」
げ、固法先輩
「そんなわけないじゃないですか、私はこっちです!」
御坂さんはすぐに水着を取り換えて試着室に引っ込んだ。
「「はあ」」
「なに、私何かした?」
私は選ぶのに時間がかかって遅くなってしまった。あんだけあったら時間もかかるよね!私が選んだのはシンプルな白のビキニ。下にはパレオをまいて隠している。
それにしても試着室の外が騒がしい。蛇が何とかって。なんで蛇?
「すみません時間かかって」
私は試着室を開けると固法先輩以外みんなでそろっていた。まず目に入ったのが婚后さんに巻き付いている蛇。かわいい!うちのきーちゃんにもリボン着けてみようかな。それに白井さん。あれもう隠す面積が少なすぎて水着じゃなくて裸では?
私はみんなから声をかけられることもなくじっくりと視線を向けられる。
「え、どうしたんですかみなさん……」
(な、なんて筋肉なのかしら!)
(男らしい……)
(佐天さんってすごい筋肉してますわね)
(もはやエロいというより美しい完璧な肉体ですの)
(かっこいいな佐天さん、私を簡単にお姫様抱っこで持ち上げちゃうし……)
え、なんでみんな黙ってるの?
(佐天さん筋肉すごいわね……いや待って何なのあのおっぱいは!私と同じくらいだと思ってたのに!あんなのを隠していたなんて!)
御坂さんに関してはさっきからずっとにらんでくるし。
(まさか!おっぱいが大きく見える水着!もしくはパッドね!不正してるに違いないわ!これは私が確認しないと……)
「あ……あの、御坂さん?なにかありました?」
御坂さんは何も言わずに前に来て私のおっぱいを鷲掴みした。
「佐天さん!不正はだめよ!」
「きゃあああああああああ!」
御坂さん!なんで急に!ていうか不正って何ですか!
私を襲った御坂さんは「え……あ……え……」といいながら四つん這いになって絶望した。
「御坂さん人を襲っておいて絶望するのやめてください!」
「まさかここまで……手にのしかかる重量感、直に伝わる柔らかさ、しっとりとした感触、これは間違いなく本物……」
そこで私は御坂さんの頭にチョップした。もちろん手加減はしたけど。
「イタイ……」
「私のおっぱいの感想言わないでくれます?恥ずかしいので。あと偽物じゃないですから。」
「お姉さま、大きさがすべてじゃありませんのしっかりしてくださいまし!」
「そうだ!6月からその筋肉がついたのよね。それで大きくなったんだ!」
「いや別にサイズは変わってませんけど」
「ぐう!」
御坂さんはそのまま倒れこんだ。
「お姉さま!あなたには黒子がついていますわよ!」
あ、さっき熱いまなざしを向けられたのってそういうことかぁ。納得がいった。
「じゃあそういうことで失礼しますね」
「どさくさに紛れて何触ろうとしてんの初春。なんでいけると思った?駄目だからね?」
「いいじゃないですか減るもんじゃあるまいし!」
「落ち着いて変態おじさんみたいになってるから」
「じゃあせめて筋肉だけでも……お願いします」
あとさっきからなんでこの子頬を赤らめてるの?筋肉なら別にいいんだけど。時々筋肉触りに来るのよこの子。幻想猛獣の後くらいから特に。
「はぁ別にいいよ」
「やった……それじゃあ失礼しますね」
そういって私の腹筋を触り始める初春。そこなの!?ちょっとくすぐったいんですけど!
そして何も言わず私の筋肉を触り始める湾内さんと泡浮さん。びっくりしたよ?すごい自然に触り始めたから。せめて許可取って?
今度は婚后さんが近づいてきた。
「佐天さんすごい美しい体ですわ。写真のモデルや彫刻のモデルの仕事とかやってみませんか?すごく売れると思いますわ。」
「いくらですか?買います」
「初春?まだやるって言ってないんですけど!?」
初春の返事がめちゃくちゃ早かったぞ今。親友が私の裸の写真を持ってるの想像すると嫌なんですけど。
「いや、やっぱりだめです。佐天さんの体を見世物にするなんて!」
「初春……」
やっぱりいい子だ。私のこと思ってくれて。
「仕事ではなく私が個人で買い取ります。」
「おいこら初春」
だめだこの子、何とかしないと……
「そう……そうよね……私はまだまだ成長するんだから……今は年下に負けててもいずれ……」
「そうですの!自信を持ってくださいましお姉さま!」
あ、御坂さんが立ち直った。良かった。
「ちょっと、何でこんなに騒がしいの」
固法先輩が試着室から出てきた。固法先輩の水着姿は私たちを黙らせた。本物の巨乳というものを見たからだ。みんな息をのんで固法先輩の胸元に目が吸い寄せられる。
正直いつもの制服姿や今日のジャージ姿から大きいことは分かっていた。分かっていたことだ。だがここまで……!!
突然後ろで何かが倒れる音がした。振り返るとさっき復帰したはずの御坂さんだ。
「これが胸囲の格差社会か……あとは頼んだわよ黒子……」
「お姉さま!しっかり!おねええええええええさまあああああああああああ!」
「佐天さん巻いてるパレオどかしてもいいですか?下半身もしっかり確かめたいので」
「何を!?」
カオスだ……
私たちはカオスな試着室から出てモデルルームに案内された。てっきりプールとかで泳げると思ってたんだけど。
担当さんがリモコンを操作すると景色が南国の砂浜で海が見える場所に変わった。木も触れるし温度も再現されてるしすごくない!?
それもカメラマンなしで自動撮影で写真が撮られるらしい。私の肉眼でも見えないなんてどうやってとってるんだろう?
そこからは海で遊んだり日光浴したり砂でお城作ったり(初春を中に入れて)と自然体で楽しんだ。
でも途中雪山や砂漠、荒れる船に景色が変わったりしたけどね。私体丈夫でよかった。
キャンプ地に切り替わった後担当さんが声をかけてきた。どうやらカメラのエラーで調整するからそこで料理して待っててほしいとのことだ。
料理していいの!これは私の腕が鳴るぜ!
ということで私はカレーのルー担当になった。私は華麗な包丁さばきで野菜をどんどん切っていく。
「おお~佐天さんなんか手際よくなりましたね。元々うまかったですけど。」
「まぁ最近はね~料理に時間かけること増えたし」
多分味覚が強化されてからだね。どうせならおいしいもの味わいたいから料理を練習している。
「あ、やっぱり人参はいちょう切りですよね~」
「うん、そっちのほうがルーと一体化しておいしいからね」
私たちはあっという間にカレーを作った。
御坂さんたちのお米が完成したみたいだ。婚后さんたちのルーも完成したのでみんなで囲んで食べることにした。
「いただきまーす」
米をルーに絡めて食べる。うん、完璧。
「佐天さんが作ったカレースパイスが利いてすごくおいしいですの」
「それでいて辛すぎずコクがあるわね」
「ええ、スパイス入れるんですよ。隠し味も入れて。」
それにみんなで作って食べるとよりおいしい。
「みんなで作って食べるとおいしいでしょ」
「あなたいい人ですわね。お名前は?」
え、婚后さんって御坂さんの事知らなかったんだ。同じ学校だからてっきり知ってるものかと。
「え、御坂美琴だけど」
「御坂……どこかで。まあいいですわ。これを機にお友達になって差し上げてもよろしくてよ。御坂さん。」
「そう、ありがとう」
御坂さんと婚后さんが友達になったところで放送が入った。
「システムが復旧しましたので撮影再開しますね」
「え、もう!」
「あ、食べてて大丈夫ですよ。それじゃあ一枚とりますね」
全員で食べてる写真を撮った後も撮影は続いた。
「おいしかった~こういうモデルなら大歓迎かな」
「楽しかったですね!」
「喜んでいただけて良かったです」
本当に楽しかった。最近色々あったからかな。こういうことが続けばいいのに。
「あれ御坂さんは」
「え?」
「お姉さま」
実は私は御坂さんがみんなについていくふりして戻ったのを知っている。試着室で着替えるときもあの水着見てたし。きっといまごろ……
いいんですよ御坂さん。だれにもみられてないですから自分が好きなものを着てください。まさかあれを着ている姿がたくさんの人や知り合いに見られることなんてないでしょうし。なにか操作ミスでもしない限り大丈夫でしょ。
オリジナルの部分が多いですがなんとか書ききれました。
次回はスキルアウトです。