プリクラを取った後、自動販売機でジュースを買って休憩をとることにした。
白井さんと御坂さんと一緒のソファーに座って、春上さんと初春が連絡先を交換している。
「なんというか不思議な子ですわね」
「そう?普通の子じゃない?」
「なんか、昔の初春を思い出しちゃった」
「え?」
「昔?」
「ああ、入学したての頃に」
昔の話をするまえに春上さんが突然直進し始めた。
「春上さん危ない!」
その警告もむなしくガラスに直撃してしりもちをついた。そこまで深刻なケガにはなってないと思うけど……
「どうしたの?」
「うう……あれ」
指さした先には花火大会のポスター。なるほどそれを見たくて近づいたのかな?
「ねえ、みんなでいこっか!」
「いいですわね!」
花火かあ。確かに学園都市に来てから見たことなかったんだよね。みんなも乗り気だしこれは行くしかないでしょ!浴衣は……確かタンスの奥に眠っているはず!
一度家に帰ってから再集合することになった。浴衣を引っ張り出してなんなく着れることができた。
と、初春から連絡が。なんか困ってるみたいだね。ふふふ、佐天さんに任せなさい!
「で、なにしてんの?ミイラごっこ?」
「佐天さん助けてください!」
初春の寮に行くと帯でぐるぐる巻きになってる春上さんと初春の姿があった。何をどうすればそうなるんだ……
「はい、一丁上がり」
「ありがとうなの」
春上さんの着付けが終わり、次は初春の着付けに入る。
「ちょ、ちょっと恥ずかしいです」
「え?別に大丈夫でしょ」
「うう……」
そんな恥ずかしいか?これ?
「はあ、こんなことなら最初から佐天さんに頼めばよかったです。」
「でも初春頑張ってるじゃん」
「今度は私が力になる番ですから。ほら私風紀委員の試験になかなか合格できなくて、そのせいでほかの事にも自信が持てなくなって。」
ああ、入学したての頃か。懐かしいなあ。
「あの頃の初春って見ててほっとけない感じだったもんね」
「そんな私を佐天さんたちは励ましてくれたり相談に乗ってくれたじゃないですか。」
「ええ、そうだったっけ?」
確かに相談に乗ってたけど私のおかげって言われるとちょっと照れるな。
「はい、そのおかげで私は合格できたんですよ。だから私が春上さんの力になれたらいいなって、あ。」
そこで春上さんと目が合った顔を真っ赤にする初春。
「あっその私だけじゃ頼りないでしょうけど」
「うぅん、初春さんがルームメイトでよかったの、頼りにしてるの」
「……はい」
すごくうれしそうな顔をする初春。その顔を見るとこっちもうれしくなる。
「やっぱり初春は立派だよ」
「そ、そうですか?」
「うん、本当に」
私は悩んでた時に初春と話したおかげで自分を取り戻すことができた。こうして笑いあっているのも初春のおかげだから。
「私なんて立派じゃないですよ。」
「謙遜しなくていいって」
「まだまだですから。それに……やっぱり何でもないです。」
「?」
(私は佐天さんの後ろじゃなくて横に立ちたいですから)
「あ、佐天さん写真撮りませんか?」
「へ、別にいいけど」
「春上さんも一緒に!」
三人で写真を撮った。
赤く照らしていた夕日が去って月が出てきたころ、私たちは土手で御坂さんと白井さんに合流した。
うん、二人の浴衣いいね。似合ってる。
辺りは出店がずらっと並んでいてどこも活気にあふれている。やっぱりお祭りはこうでなくっちゃね。
「んーこのたこ焼き美味しい!」
「春上さんソースついてますよ」
「ありがとうなのー」
「あれ佐天さんスーパーボールすくい?……ってめちゃくちゃ取ってるわね」
「ああ、ものすごく素早く入れたら結構簡単にとれますよ。結構繊細でコツがいるんですけど。」
「え……はや……見えないんだけど……佐天さんにしかできないわよそれ。屋台の人の顔真っ青だしそれくらいにしたら?」
「確かにこんなに多くて困りますね。もう終わりにしますか。」
「……まいど」
「あれ皆さん射的やってるんですか?」
「景品いっぱいあるのー」
「ああ、初春さんに春上さん。これなかなか倒れないのよ。超電磁砲なら簡単なのに……」
「お姉さま、店ごと吹き飛ばすつもりですの。まあ私ならもっとスマートに……」
「あんた瞬間移動でずるするのだめだからね」
「あはは、確かになかなか倒れないですよねー」
「佐天さんの場合、お店の人が目を離した瞬間に弾を投げて当てるほうが簡単そうですの。」
「…………いや、私そんなことしませんからね」
「佐天さん今ちょっと考えましたよね?」
「考えてないから!」
と、花火大会を存分に楽しんでいた。花火がまだなのにこんなに楽しいなんてお祭りっていうのはすごいね。
「まったくお姉さまったら」
「いいでしょう!お祭りなんだから、こういうのは雰囲気よ。」
出店とちょっと離れたところで集まった私たち。御坂さん大好きなゲコ太のお面をつけていた。正直御坂さんの言うことわかるな。雰囲気で買ったりすることあるよね。
二人の会話を聞きながら綿あめを食べていると、見慣れない大きな車が止まっていることに気づいた。
「あれ、なにあの車」
「MAR、先進状況救助隊のトレーラーですわね」
「例のポルターガイスト対策ですかね」
「ポルターガイスト!じゃああの噂マジなんだ!」
「こんな人の多い場所でポルターガイストが起きたら大変ですし」
確かにお祭りということもあって人が多い。こんなところで起きたら被害が大きくなる。近頃頻発してるしここで起こる可能性は0じゃない。
「それにしてもあんな警備のなかで花火見物だなんて、風情もへったくれもありませんの。」
確かにたくさん仕事してる人を横目に花火を見るというのもちょっとなぁ。あ、そういえば。
「いいところ知ってますよ!」
土手から少し離れた高台で花火を見ることになった。
ヒューっと光が打ちあがるとどんっと来る衝撃と、満開の花みたいにきれいで鮮やかな花火が、離れていても五感に伝わってくる。
ここ穴場だって聞いてたけど本当に人がいない。昔花火大会に行ったことがあるけど人がいすぎて花火があんまり見えなかったことがあるから、花火の全体を見れたのは初めてかもしれない。
この五人で見れて本当良かったな。
「ふふっ」
「どうしたの春上さん」
「思い出してたの、私にも初春さんと佐天さんみたいな友達……」
話している春上さんの表情が暗くなって踵を返すと歩き出した。
「春上さん、どうしたの!?」
突然歩き出した春上さんを初春と一緒に追いかけた。と言っても走っているわけでもないのですぐに追いつけたけど……
「どこ……どこなの?」
「春上さん?」
「どこなの……」
なにか探し物を探しているようにつぶやき始めた。どこ?春上さんは何かを探してるの?
「どこって、なにが」
突然、地面が揺れ始めた。
「えっ、これ」
「ポルターガイスト!?」
嘘、こんなところで!?凄まじい揺れで足がおぼつかない。地面に亀裂ができ始めた。
初春は……しゃがみ込んだ春上さんを守るように覆っていた。
その近くに立っていた街灯が地面から外れて、初春のほうに倒れ掛かった。
「初春危ない!」
瞬時に初春のところに近寄り、倒れかかる街灯を蹴り飛ばした。街灯はごんっと地面をはねて飛んで行った。
「よかった……」
地面の揺れも収まった。初春と春上さんも無事だ。
「佐天さん、大丈夫?」
白井さんの瞬間移動で飛んできた御坂さんが叫んだ。
「ええ、なんとか」
「あなたたち大丈夫だったかな」
後ろから声をかけてきたのは……大きなヒト型兵器?ロボットだった。顔の部分が透けて金髪の女性が出てきた。
「あの方は」
え、白井さん知り合いなの?
まだうずくまっている春上さんに声をかける。
「春上さん、大丈夫ですか?」
「無理しないで」
「どこ……どこにいるの?」
春上さんは私たちがいないかのようにペンダントを握りしめる。今までで一番悲しそうな顔をしていた。
遅くなってすみません!次は早めに上げます(n回目)