「ありがとうございましたーー。」
病院を後にした私は、暑い夕日を浴びながら帰る。
あの後もう一回検査があってそれが長引いちゃった。なんか入学したときにの身体測定とかと見比べておかしいだとかなんだとか。ま、それはどっちでもいいか。あーーでも土日が潰れちゃったなぁ。
それよりも考えるべきは、昨日の出来事だ。昨日のことが夢だなんて思えない。ただ倒れてましたじゃすまない。
現に私の中に「伏黒甚爾」さんの記憶がある。呪術師だとか術式だとか呪霊だとか。私には理解できない怖いものがたくさんあった。
それに…甚爾さんは人を殺していた。
殺したら3000万の依頼を受けて五条悟を殺した後天内理子を銃で殺して夏油傑を倒した後に殺したはずの五条悟ともう一回戦って死亡…。
いやとんでもない人生だな…あと子供いるのに何してるんですか?本当に
そんなとんでもない人間の記憶が一気に入り込んで一日ねちゃったんだろうな。正直怖いのと現実が追い付いてなくて頭がいっぱい。
さすがの佐天さんもお手上げだ~~。
このことをどう処理するか考えて歩いていると気づいたら家の前だった。
この甚爾さんの記憶も問題だけどさらに大きな問題を私は抱えている。
手を洗って鏡の前で服を脱ぐ。
なんということでしょう、そこには素晴らしいムキムキBODYが!
「いやス○イダーマンか!!!!」
記憶だけじゃなくて天与呪縛も受け継いだらしい。お医者さんが慌ててたのはたぶんこれだろうね。そりゃびっくりするよ、一番びっくりしてるの私ですけど。
鏡の前で少しポージングを取ってみる。。
さらに天与呪縛の影響で五感も強化された。遠くにいる人の会話とか聞こえるし匂いにも敏感になった。最初は聞き耳立てるみたいで申し訳なかった。仕方ないので許してほしい。
とにかく色々なことが一般に起きて頭がいっぱい。甚爾さんの記憶があるから余計に。もーー無理休ませてよぉ
部屋着に着替えてベットにダイブした。ああ家のお布団気持ちいい〜。
ふとケータイを確認すると初春からメールが来てた。
「佐天さん倒れたって聞いたんですけど大丈ですか!?何があったんですか!?無事でしたら連絡ください。」
どこかから情報が流れたのかわからないけど心配なメールだった。さすっが親友初春。
「だいじょーぶ 明日から学校行けるから心配しないで待っててね!」
「よかった無事だったんですね。道にあるもの拾って食べちゃったんですか?」
私は犬か!いや今は犬並みの嗅覚してるからある意味犬だわ、はぁ。
疲れた。よし、もう一旦寝よう。一回寝てからにしよう。
寝たいんじゃないの、一回リセットしたいの。
そんなわけで私は布団の中に潜った。
寝ようとしたところに机の辺りから声がした。
あれーーなんか声がするなぁこっちは一回リセットしたいんですけどぉ………………ん?まってまって?声がする!?
急いで飛び起きて声のある方に目を向ける。
机の上にあの甚爾さんの墓の横にあった「天の逆鉾」と
「☆♪→¥○*・^=→☆*÷$」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」
武器庫呪霊がいた。
というわけで私は布団で隠れています。
いや呪霊じゃん!なんでいるの!あと天の逆鉾!なんであるの!もう情報過多なんですけど!
うう…もういやだ。初春に全部丸投げしたい。
落ち着け私、いや佐天涙子。まずは挨拶から始めよう!
「は、はじめまして~」
「☆♪→¥○*・^=→☆*÷$」
ああだめだ、全然わかんない。そもそも甚爾さんも会話してなかったか。
恐る恐る触れてみることにする。天与呪縛は五感が強化されて呪霊を知覚できる。顔や姿が何となくわかる。ゲームで敵が透明化した時にシルエットだけ見える感じだ。
触れてみると少しひんやりしていて気持ちがいい。よく見たら芋虫みたい。
「あ、でもちょっとかわい…」
そこで顔を正面から見る。
「……くはないかなあ。」
「☆♪→¥○*・^=→☆;;」
「ああごめんごめん冗談、冗談だから。」
なんとなく傷ついてることはわかってしまった。
「すごいことになっちゃったなあ」
膝の上に置いているきーちゃんを撫でながら呟く。きーちゃんというのはこの子(呪霊)の名前。ずっと武器庫呪霊ていうのはいやだから名前を付けた。武器庫呪霊だからきーちゃん。
甚爾さんは首に巻いてたな。もうすぐ夏だし首に巻いたら気持ちいいんじゃない?……さすがにまだちょっと嫌かな。
きーちゃんに触れながら天を仰ぐ。
甚爾さんの人生というのを見た。禪院家でされたことも。「猿」「ごみ」「無価値」たくさんの罵詈雑言、呪いを浴びて生きていた。せいちょうしてから禪院家つぶして出て行って、殺し屋やって、大切な人に出会って、子供を授かって、……大切な人が死んで、荒れて、泣いて、荒れて。
能力主義の世界でみんなが活躍している中で自分に能力がないことを呪ってしまうのがすごくわかる。なんで自分にはできないんだろうって。嫉妬して卑下して。甚爾さんも自分のことを「猿」って言ってたし。
でも子供を置いて人を殺して生きていく甚爾さんはとても怖かった。気持ちはすごくわかるのにそこだけは私は受け入れることができない。いつか受け入れる日は来るのかな。
そんな人の体と記憶をもった私は、怖い。
「怖いなあ……」
甚爾さんの記憶は中学一年生には刺激が強すぎる。
次回ようやく超電磁砲原作入ります。