7月15日
鬱屈とする梅雨の雨が終わり半そでに腕を通す季節になった。
あれから数週間たった。最近になってよーやく落ち着いてきて今日も学校に通っている。
……まあすべて解決したってわけじゃないんだけどね。どーしても甚爾さんの昔の記憶とか見ると気分が悪くなる。
最近私ちょっと暗すぎ?
学校が終わって歩いていると校門の近くで初春を見つけた。……こっちに気づいてないね。よし。
「う~い~は~る~!」
人がいるけど思いっきりスカートをめくる。まだまだ修行が足りていないぞ、初春。
「へ……ヒィッ!」
「お、今日は淡いピンクの水玉か~」
「きゃあああああああああああああ!」
よし、今日のノルマ達成。
「いきなり何するんですか佐天さん!」
「おうおう、クラスメイトに敬語とは相変わらず他人行儀だねえ、それ親睦を深めるためにもう一回……。」
「きゃああああああ!」
移動してベンチに座ってため息をつく初春。どした?誰かにスカートでもめくられた?
「代わりにあたしのパンツでも見る?」
「結構です。もう、佐天さんは」
話を変えるために気になっていたことを聞いてみる。
「そういえばどうだった?」
「どうって?」
「決まってるじゃん。システムスキャン。」
「ああ、全然ダメでした。相変わらずのレベル1、小学生のころから横ばいです。担当の先生からも『お前の頭の花は見せかけか!!その花の力でお前の能力も咲きほこれ』って……」
どういう励まし方?熱血というかなんというか。突っ込みどころあるな~。能力があって悩んでるなんていいなぁ。とりあいず励ましますか。
「元気出しなよ、大体レベル1ならまだいいじゃん?私なんてレベル0、無能力者だよ?」
「へ?」
初春が理解できてないみたいな顔をする。やけにきょとんとしてるけどなんか励まし方間違えた?
「でもそんなのは気にしない、あたしが毎日が楽しければそれでおっけー。」
少しうそをついている。今は殺し屋の呪いに縛られた体だし、能力に対するあこがれはやめられない。
初春は急に立ち上がって大きな声を出す。
「いやいやいやいやいやいや。」
「?」
「佐天さん倒れてからいきなりムキムキな体になったじゃないですか!!なんなんですかあの身体能力は!!鍛えてたにしても急成長しすぎですよ!!オリンピック優勝間違いなしですよ!!」
そう、私はこの体になってからもレベル0だ。普通はレベル0でも微弱だけど能力値が計測される。けど私の場合本当の0。何も計測されない。
そのせいか倒れてから学校に行った後検査や実験ばかりだった。あの時は家にいる時間より検査している時間のほうが長かったと思う。
この天与呪縛の肉体は体育の授業でとてつもなく目立った。着替えるときにも筋肉をじろじろ見られるしなぜか拝んでくる人もいた。しかも自分の体なのに最初は力の加減が難しくてボールが彼方に飛んで行った。今はもう調整できるけど。
「佐天さんがなんでそんな力を手にしたかは知りませんけど、もうちょっと自分に自信を持ってもいいと思いますよ。」
自信、ね。自分の能力を誇りに思えないのは、甚爾さんの記憶が大きいのかな。「猿」とか「できそこない」とか酷い呪いが頭の中にこびりついてる。
「ていうか最近なんて呼ばれてるか知ってるんですか?能力からの」
「まあまあ、これ聴いて落ち着きなよ。」
話を変えるべく私は片方のイヤホンを初春の耳に入れる。
「あ、これ
「先行配信したのをダウンロードしたの。特典も欲しいから一緒にCD買いに行くよ!」
「あ、でも今日は白井さんとの約束があるんです。」
「白井さんて風紀委員の白井黒子?」
「念願かない、御坂さんに合わせてもらうことになったんです。」
御坂さん?白井さんは効いたことあるけど、聞いたことないな。
「学園都市でも7人しかいないレベル5!常盤台のエース!御坂美琴さんに!」
めちゃくちゃ興奮してるなー初春。けど初春に対してこっちは頭の温度が下がった。
「常盤台のレベル5?どーせ上から目線のいけ好かない奴じゃないのぉ。」
「そんなこと…」
「だってああいう人たちって自分より下の人間を馬鹿にしてこき使うじゃん。むかつくんだよね。しかも常盤台のお嬢様なんて。」
自分の発する言葉に熱がこもる。ちょっと言い過ぎたか。
「いいじゃないですかお嬢様!」
気にしてなかった。
「そうだ!せっかくだから佐天さんも一緒に」
「ええ、私はいいよ。」
「そんなこといわずに♪」
初春は私の左手をがっちりつかんで走り出した。こうなった初春は私でもとめられないんだよねー。こうなったらいくしかないか。
ファミレスの前でいちゃついてる二人を発見した。自己紹介されたけどツインテ―ルのほうが白井黒子、レベル4らしい。ショートカットのほうが御坂美琴、レベル5だってさ。
高レベルの人たちなんてレベル0を見下してるに違いない。ちょっと嫌なこと言って帰ろう。
「どうも、初春のクラスメイトの佐天涙子です。初春についてきました、能力値はレベル0でーす。」
「よろしくね佐天さん。」
あれ、意外と普通な返事だな…。
隣の白井さんはなぜかうなっていた。
「佐天涙子……その名前どこかで聞いたことがある気が……。」
「白井さん?」
「ああ、なんでもありませんわよ。よろしくお願いしますわ、佐天さん。」
白井さんが予定表を出して何か言おうとしたところで、御坂さんが拳骨をおみまいした。
やっぱり能力者同士の上下関係あるんだと考えていると、初春が「いつものことですよ。」といってきた。これがいつものことはそれはそれでどうなの。
「ゲーセンいこっか」
御坂さんの意外な提案に驚く。へえ、お嬢様なのにゲーセンとかいくんだ。
4人でゲーセンに向かっていると、御坂さんはもらったクレープ屋のチラシを凝視していた。カエルのキャラクターだった。なにこの安いキャラ。
白井さんに指摘されて御坂さんは否定するも御坂さんのカバンについてるゲコ太ストラップが目に入った。
あれ、もしかして意外と子供っぽい?
そうして私たちはクレープ屋に向かった。クレープ屋さんの近い公園で子供たちがたくさんいてとても楽しそうだ。弟を思い出す。
「佐天さん私たち席取っておくので買っといてくださいね!」
「お金は後でお支払いしますわ~」
白井さんはいいとして初春?今日あってばかりの人と二人きりって私気まずいんだよ?あといけ好かないって聞いてなかった?いやあの時初春興奮してて話聞いてないわ。
ていうか、なんか御坂さん、イライラしてない?
「あの、順番変わります?」
「えっ」
顔が一気に輝いてる。
「いやべつに私はクレープを買えたらいいのよ」
といいつつ横でゲコ太をゲットして嬉しそうな小学生をうらやましそうにみている。わかりやすすぎる。
「あと一個聞いていいかな?」
「?なんですか」
「いっていいのかわからないけど腕の筋肉とかすごいね、鍛えてるの?」
「え、マアソンナトコロデスカネー」
いえない……起きたら筋肉ムキムキになってましたなんて……
「ありがとうございます。これ最後の一個なんですよー」
「え、最後の一個って」
後ろを見ると御坂さんが悔しそうにしていた
「あの、よかったらこれ」
「いいの!本当にいいの!ありがとう!」
声でか!元気すご!
取ってもらった席でクレープを食べる。味覚が強化されて食べ物がよりおいしく、繊細な味を感じられるのはいいことだ。
「いらないっていってるでしょ!なによトッピングに納豆と生クリームって!」
「まあまあ遠慮なさらず。」
うわあ、最悪だ。てかどういう組み合わせ?嗅覚がよくなっているからか、白井さんが動くたびに、納豆の匂いがふわりと鼻に触れるのが不快。
「あんたの友達にはついていけないわ……」
「あはは…」
「でもよかったですね、お嬢様って感じではないけど、いいひとで」
それは確かにそうだ。呪術師たちもろくな人いなかったし、ここの能力者も性格悪いやつばかりだと思ってたから意外だったな。強いやつは性格が悪いって偏見がよくなかった。
と考えていると初春は不思議そうに後方を見ていた。
「どうしたの?」
「いやあそこの銀行なんですけどなんで防犯シャッターおろしてるんだろう。」
確かに変だな。誰もいないのかな。いや足音が聞こえる。三人か四人ぐらいかな。
突然シャッターが爆発した。
「初春!アンチスキルへ連絡とけが人の確認。急いでくださいまし!」
白井さんは私の背後の銀行のほうに飛び出した。
「黒子!」
「いけませんわお姉さま、学園都市の維持は風紀委員の仕事、今度こそお行儀よくしていてくださいな。」
そういって白井さんは銀行から出てきた男三人と対峙した。白井さんレベル4だし大丈夫か。私は逃げるかな?
「男の子が一人足りないんです!」
ええ、うそでしょ。
「じゃあ私と初春さんで……」
「わたしもやります」
「…わかった」
いまちょっと考えたね。わたしだってやる時はやるんだから。こんなこと起きたらさすがに逃げてられない。周りの人が多くて聴覚だけじゃ居場所が探りずらい。探している女の人に尋ねる。
「すみません。その男の子の私物ってあります?」
「え?ええ、ハンカチがあるわ」
もらったハンカチをすんっと匂いを嗅ぐ。あっちか。
匂いをたどると銀行にいた仲間が男の子の手をつかんでいた。
「待て!」
私は一瞬で近づいて男の手を無理やり引きはがした。
「なんなんだてめえは!」
男はナイフを取り出して襲い掛かってくる。
振り下ろされるナイフが遅く感じる。冷静にナイフを持った手を右足で蹴り飛ばした。ここからどうすればいいんだろう。
横にいた男の子が今にも泣きそうだったので慌てて「大丈夫だよ」と声をかける。あ、逃げられた。
男は急いで車に乗って走り出した。と思ったら御坂さんに突っ込んでいた。御坂さんは電気をまとっている。
「そう、あの方こそが学園都市230万人の頂点、7人のレベル5の第三位、」
御坂さんは空中にはじいたコインを玉にして超電磁砲を車に向かって放つ。受けた車は吹っ飛んだ。
「超電磁砲(レールガン)、御坂美琴お姉さま常盤台中学の誇る最強無敵の電撃姫ですの!」
白井さんの言葉を聞きながら御坂さんの後ろを見ると逃げ遅れた女の子がいた。やばい、あの子が車に押しつぶされる!
私は体を低くして地面を蹴り宙を舞う。女の子に一気に接近する。急がないと間に合わない。
女の子が車に気づいて叫び声をあげていた時に、スピードを落として女の子に抱き着いた。よしスピード調節完璧。車が目の前に近づいてきたその時、私は女の子の体を抱えたまま足に力を入れて空を飛ぶ。車線を飛び越えて、安全なところに歩道に着地した。
「すごい!もう一回やって!」
女の子は無邪気で楽しそうだ。よかった~間に合った~。
私の体から力が抜ける。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「あはは、大丈夫。」
大丈夫だけど本当に疲れた。というか安全確認してくださいよレベル5。
黒子視点
「超電磁砲(レールガン)、御坂美琴お姉さま常盤台中学の誇る最強無敵の電撃姫ですの!」
超電磁砲を打つお姉さまかっこいい~なんて凛々しい表情……カメラで写真を撮って額縁に飾って……ぐふふふふふふふ。
そんなお姉さまへの愛を考えていると後ろから悲鳴が聞こえた。
「きゃああああああああああああああ!」
まずいですわ女の子と佐天さんががあんなところに。ですがもうわたくしのテレポートでは間に合いませんの!
……いや待ってください佐天さんいつのまに!?
その瞬間ありえない光景をみた。
なんと佐天さんは女の子を抱えたまま地面を蹴って空中に飛び上がり車を回避しましたの。
「佐天さん!え、どうなってんの?飛び上がって、え?」
お姉さまも驚いていますの。わたくしもレベル0なのにあの身体能力は信じがたい。
レベル0、佐天涙子……
はっ!
「思い出しましたわお姉さま」
「黒子?どうしたの?」
そうだ最近噂になってたのにどうして気づきませんでしたの。お姉さまに続けて話す。
「レベル0でも微弱の能力値が計測されるのはお姉さまも知っていますわよね?」
「ええ、それは知っているわ。」
「ですが佐天さんは能力値が完全に0。何も計測されなくなりましたの」
「ええ!じゃあ能力なしであの身体能力ってこと?」
「ええ、ですから…」
「そうなんです!」
「うわびっくりした!驚かせないでくださいまし初春!」
突然後ろから初春が声を上げた。
「学園都市230万人、多くの能力者がいる中で唯一能力値すら0!能力がない代わりに人間離れした身体能力と五感!能力から逸脱した者、佐天涙子柵川中学が誇る強靭無敵の原石ですの!」
「わたくしの口調を真似しないでくださいまし初春!」
はあ、まったく初春は
ん、やけにお姉さま笑ってますわね。
「お姉さま、何かうれしそうですわね。」
「へえ、佐天さん強いのか…あんまワクワクさせないでよね」
あーーこれ佐天さん
佐天視点
「ありがとうございました!なんとお礼を言っていいか…」
「いえ…あの…」
なんか感謝された。すっごい深々と頭を下げてくる。
「ほら、あなたたちも」
「「お姉ちゃんありがとう!」」
「っ!!」
感謝されると何かが満たされる感覚になった。そんなキラキラした目で見られても私はそんな…
少しくらい誇ってもいいのかな…
考え込んでいると御坂さんがやってきた。
「お手柄だったね佐天さん。かっこよかったよ。」
「いえ、どうも…御坂さんのほうが」
「お姉さま―」
言いかけたところで白井さんが御坂さんに飛びついた。
「こら黒子どきなさい!あ、佐天さん後で勝負よ!」
「ええ、今からですか!?」
「うーわ、絶対言うと思いましたの」
御坂さん、かっこよかったですよ、けどいきなり勝負仕掛けるのは理解できないかな。
実験で別の視点を入れたら思ってたより長くなってしまった……。誤字していないか心配。
呪術のセリフも少し強引ですがねじ込んだので書きたいことはかけました。
次回はおそらく更新すこしおくれます。