とある佐天の天与呪縛(フィジカルギフテッド)   作:凡の人間

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はい、遅れるとか言っておいてあげました。レベルアッパーの前にダミーチェックです。


ダミーチェック

天気予報通りの雨の中、私と初春は降り注ぐ雨の音を聞きながらバスに揺られていた。

 

「楽しみですねえ、学び舎の園!」

 

「ていってもさあ、ただ女子高が集まってるだけの町でしょ?」

 

「その集まってる学校が普通じゃないじゃないんですよ!」

 

初春テンションたっかいなあ。

 

「常盤台中学はもちろんほかの学校も名だたるお嬢様学校なんですよー。今日は白井さんが招待してくれたから入れますけど私みたいな庶民は一生縁がない場所なんですよ!」

 

「卑屈だなあ」

 

「最近の佐天さんがそれをいいますか、ずっと元気ないのは佐天さんじゃないですか。」

 

痛いところついてくるなあ。

 

「大体初春はさあ」

 

「なあんだ、今日行くケーキ屋さん、チェックしてるじゃないですか」

 

こら初春、人のものかってに見ちゃいけません。私も楽しみにしてたのばれるのちょっと恥ずかしいんだから。

 

私が行きたいケーキ屋について語っていると、アナウンスがされた。思ったより早く着いたな。

到着したのでバスを降りたがまだ雨が降っている。

 

「大丈夫ですよ、3、2、1」

 

その瞬間雨がやみ太陽の光が差し込み水たまりに反射して明るくなった。

 

演算によってわかるらしいけどたまには外すくらいの茶目っ気があってもいいと思うんだけど。なんかお堅いし。

 

入り口は駅みたいな場所だった。招待状を見せて中に入るととてもきれいでどこか幻想的な街並みが目に飛び込んだ。

 

歩いてみると横断歩道や信号までデザインがまるで違う。学び舎の園の学生はみな気品あふれている。さっすがお嬢様学校。まるでおとぎ話の世界に入ったみたいだ。

 

「あれ思ったより時間なくない?」

 

「急ぎましょう。」

 

時間がないことに気づいて少し走った。もちろん初春に合わせて。

 

走っている最中に花壇にホースで水をやっている人が目に入る。水をやっている人は私たちに気づいてないみたいだ。一瞬ホースの水が一気に出たことで初春に水がかかろうとしていた。

 

これ初春が濡れちゃうじゃん!

 

急いで初春の横に行き私が水に濡れる。すごく冷たい。着替えもらえるかなあ。

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

花壇に水をやってたひとがタオルが持って声をかけてきた。軽くタオルでふき取り待ち合わせ場所まで向かった。

 

 

 

「急に着替えといわれましてもそれくらいしか用意できませんでしたの。」

 

「いえ、十分です。」

 

本当にありがたい。濡れた状態で歩きたくないからね。

 

着替えてみんなの前に出る

 

「サイズはどう?」

 

「ちょうどいいんですけど足がスース―しますねこれ……」

 

(佐天さんそれにしても足の筋肉すごいなあ)

 

(ものすごい筋肉ですの)

 

(筋肉ゴリラですねえ)

 

……なんか足のほうに視線が寄ってる気が。あと初春なんか失礼なこと考えてない!?

 

 

目的のケーキ屋に着いて初春がすごーく時間をかけて悩んでいた。私はチーズケーキって決めてたけど。

 

「佐天さんなんかきょろきょろしてるみたいだけど何かあった?」

 

「いや、別にそんなことないですよ~」

 

気のせいかもしれないけどなんかつけられてるんだよね。相手は一人。歩く音とペースがこちらをうかがってるみたいだった。まあ考えすぎかな。

 

初春がまだ悩んでいると電話がかかってきた。どうやら風紀委員の呼び出しらしい。休みなのに大変だなー

 

ケーキのテイクアウトを約束して初春と白井さんは店を後にする。そのタイミングで私はお手洗いに向かった。

 

お手洗いで手を洗っていると後ろで扉が開いた。

 

後ろに振り向いて確認すると確かに姿は見えない、けど呼吸する音、体臭、足音。わたしにとって存在を認識するのに十分すぎる情報だ。

 

この人が私たちをつけてた人?いやでも早とちりはよくないな。思い切って声をかけてみる。

 

「あの、いますよね。能力を使って。何か用ですか。」

 

「っっっ!」

 

なにか焦ってる?

 

「あ、もしかしてなにかのサプライズ?だから姿を消しているの?」

 

鏡のほうをちらりと見ると姿が見えた。長めの前髪で背の低い女の子だ。

 

その人は慌てて出ていった。

 

なんだったんだろう?

 

 

お手洗いから戻ると御坂さんが白井さんと電話していた。常盤台中学が関係しているとのことなのでこちらに来てほしいって内容。私たちは首を傾げたが風紀委員の支部に向かった。

 

詳しく話を聞くと常盤台中学の生徒が立て続けに襲われているらしい。それもペンで変な眉毛にしてるとか。

 

「そういえば今日は佐天さんは常盤台中学の制服を着ていますの。何かおかしな人を見つけませんでしたか?」

 

「あっ、それなら……」

 

私はお手洗いで起きたことを話す。そこでもう一度調べるとダミーチェック、重福省帆まで特定できた。

 

まちがいない、この人だ。

 

そこで初春の出番だ。パソコンを操作して学び舎の園の監視カメラの映像を、モニターに映し出す。これが能力じゃない素のハッキングってすごすぎない?

 

カメラの映像を限定すると犯人の場所が見つかった。

 

「ここは佐天さんが先頭に行ってほしいですの」

 

「え、何でですか」

 

「あなたの強化された五感の出番ですわよ」

 

 

 

 

突然大役をまかされた。あとで白井さんのテレポートで来てくれるにしても責任重大なぁ。

 

発見された場所を匂いで探ると常盤台中学の生徒を見つめている重福省帆の姿があった。

 

「みーつけた。何の恨みを持ってるか知らないけどそのいたずらは乙女を傷つけるよ。さあ観念して……」

 

重福省帆は能力を使い姿を消したが私には関係ない。走って逃げようとするところで腕をつかんだ。

 

「は、離して!」

 

「離したら逃げるでしょ」

 

御坂さんたちに通信で場所を伝える。

 

「どうして…何でダミーチェックがきかないの!あなたには見えないはずでしょ!」

 

「人間が人を認識するために必要なのは視覚だけじゃない。臭跡、足跡、私は能力値が0の代わりに五感が強化されてんの。」

 

私は自分の体の説明をした。あっちの世界風にいうと「術式の開示」だ。情報を開示することによって能力が底上げされる。今回はあまり意味はないけど。

 

「風紀委員ですの、おとなしくお縄につきなさい」

 

テレポートしてきた御坂さんと白井さんがきて挟み込む形になった。

 

ダミーチェックが切れた重福さんにもう打開のすべはない。

 

「っっっ!これだから常盤台の連中は!」

 

隠し持っていたスタンガンを私のお腹に当てる。でも

 

「な、なんで…」

 

「残念、私体も強くなってるからこのぐらいの電気じゃ効かないみたい、だね。」

 

すぐに後ろにいた御坂さんが電気で気絶させた。

 

「手加減はしたからね…よし佐天さん、私と勝」

 

「初春ーアンチスキルに連絡してー!」

 

 

 

私たちは重福さんを近くのベンチで寝かせてアンチスキル到着を待っていた。

 

「そういえばこの人の眉毛はどうなんですかね」

 

私は重福さんの髪を上げる。すると見えたのはなんというか個性的な眉毛だった。

 

重福さんは私に気づいて座りなおして眉毛を隠した。

 

「おかしいでしょ。いいわ、笑えばいいわ、あの人みたいに」

 

「「「あのひと?」」」

 

重福さんは自分の過去、もとい今回の犯行動機を語った。うん、途中から話が見えないんだけど…

 

「なによ、どうしたの、さあ笑いなさいよ。」

 

「いやえっと…」

 

んー別にそこまで悪いわけじゃないよね。私は左手で重福さんの顔に触れ右手の指で眉毛に触れる。

 

「変じゃないよ。そのくらいただのチャームポイント。私はかわいくて、好きだよ」

 

その瞬間重福さんの顔が真っ赤に染まった。

 

「罪な女ですわね」

 

えええええええええええええ!

 

 

アンチスキルが到着して重福さんが車に運ばれる前に立ち止まり顔を赤らめながら私に「手紙書いてもいいですか。」と伝えてきた。

 

「はい、いいですよ」

 

重福さんは満足そうにして車に乗り込んだ。

 

「いやーそれにしてもあの方佐天さんに完全に惚れてましたわね。あなたの口説き方はどこで習いましたの?」

 

「え」

 

「ほんとすごかったわねえ、まるでプロのヒモが女を口説いてるみたいだったわ」

 

プロのヒモ…それ完全に甚爾さんじゃん!!私記憶が入ってからあの人によってるのかなあ。気づかないうちに自分が、「佐天涙子」が変わってきてるのかもしれない。

 

「それにしても完全に姿を消してたわね」

 

「たしかにそうですわね」

 

「まさかバンクのデータが間違ってたとか…」

 

「ま、まっさかぁ」

 




次回はレベルアッパーです。更新は…未定としておきます。明日上がるかもしれないしそうでないかもしれません。
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