とある佐天の天与呪縛(フィジカルギフテッド)   作:凡の人間

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虚空爆破

「AIM拡散力場は能力者にとって身近な現象だ。AIMとは…」

 

今日もみんなと並んで能力者に関するつまらない授業を受けている。いままで能力者について勉強してもわかんなかったな~。結局は才能に行きつくし。

 

でも能力に対する憧れはやめられない。いろいろなことがあったけどそこは変わらない。

 

……ていうか今の私が能力手に入れることができるのかな。今は縛りで身体能力とか五感とか底上げされてるけど。これ能力手に入ったら縛りを破ることになるのかな。

 

もし能力を手にしたら甚爾さんの記憶や情報が消えるのだろうか。できることなら消えたほうがいい。やっぱりこの力は私なんかが持っていい力じゃない。元の場所に返してあげるべきだ。

 

なんて考えていると前で初春がまじめにノートをとっている姿が見えた。たまには初春と一緒に買い物行きたいなあ~

 

私は先生にばれないようにこっそり話しかける。

 

「帰り、セブンスミストに買い物に行かない?」

 

「あ、でも風紀委員の仕事が…」

 

「いいじゃーん、パトロール中ですって言っておけば」

 

「今回はそういうわけにはいかないんですよ。事件が事件ですし」

 

「そっかぁ」

 

最近爆発事件が相次いで起こっている。風紀委員はその爆弾魔を捕まえるべく仕事が増えているらしい。

気分転換に買い物行きたかったのにぃ。

 

 

学校が終わってまっすぐ帰っていると御坂さんにあって公園でお茶することになった。

 

「黒子と一緒で初春さんも大変でしょう?」

 

「みたいですねえ、今日も買い物誘ったんですけどねえ」

 

「爆弾魔が捕まるまでは仕方ないか」

 

「佐天さんも捜査に協力したら?」

 

「へ?」

 

「だってすごい力持ってるじゃない。事件を早めに解決できるかもよ。」

 

「いやいや私なんかじゃ…だめですよ」

 

……御坂さんが思っているより良い力じゃないんですよ。誰からも認められない、嫌われた力ですし。

 

「はあ~レベルアッパーとかあればなあ」

 

「レベルアッパー?」

 

「ええ、都市伝説ですよ。なんでも使えば簡単にレベルが上がるみたいですよ」

 

「へえ…」

 

「あるわけないですよね~ははは」

 

できればあってほしい。そして能力を手に入れたい。そうしたら今までの悩みから開放されるはず。

 

 

 

後日私たちはみんなでセブンスミストに行くことになった。白井さんは仕事だとかでいないけど。

 

「こんなパンツはどうじゃ初春」

 

「無理無理無理です!」

 

「これだったらあたしにスカートめくられても堂々と見せつけられるでしょ」

 

「見せないでください!見せつけないでください!」

 

ああ~照れてる初春がかわいいんじゃ~

 

パジャマコーナーに行くと御坂さんがマネキンの前で立ち尽くしていた。うーんこのパジャマは子供っぽいというか…小学生でしょ。

 

「ねえこれ…」

 

「ねえ初春、こんなに子供っぽいの着る人いないよねぇ。」

 

「小学生の時は着る人いましたどさすがに今は」

 

「そうよねえ!中学生になってこれはないよね!うん!」

 

御坂さん、めちゃくちゃ汗かいてるな。。ちょっと申し訳ないことしちゃったかな。ここは一人にさせよう。

 

「まあパジャマですし誰にも見られないからこれはこれでありかもですね。あ、私たちは水着見てきます。いこ、初春。」

 

「え、ああはい」

 

少しの間水着を見て戻ると御坂さんがうなだれていた。「なんでもない」じゃないですよね!?少しの間にいったい何が。

 

その後服を見ていると初春の電話がけたたましく鳴り響く。

 

「はいもしも…」

 

「初春!グラビトン事件の速報ですの!」

 

なんと観測地点はここセブンスミストだということが判明した。嘘ぉ!

 

「御坂さんは避難誘導をお願いします。佐天さんは…」

 

「私もやるよ。初春が危険な目にあったらやだもん」

 

「……わかりました。ではお願いします。」

 

そこで私たちは避難誘導を開始した。思ったより人が多くて時間がかかる。

 

終わり際に眼鏡をかけた学生がカエルのぬいぐるみをもって歩いていた。

 

「あの、今すぐ避難してください」

 

「っ!ああそうするよ。その前にお手洗いに行きたくて。それからでも構わないだろう?」

 

そういって男は走り去っていった。

 

……なにか怪しい。それにあのぬいぐるみに異物が入っていた。なにか予感がする。

 

私はある人に電話を入れた。

 

「もしもし白井さん」

 

「佐天さんですか!今少し忙しいですの!」

 

「爆弾ってなにがもとになって爆発するんですか?」

 

「アルミニウムですわ。ぬいぐるみに入っていますから佐天さんも気を付けてくださいまし!それと今回の狙いは風紀委員、初春さんですわ!」

 

アルミニウム……ぬいぐるみ……まさか!

 

電話を切り走って初春がいるところに向かう。初春が危ない!

 

走っていると前方に初春が見えた。その奥に御坂さんと……ツンツン頭の人が

 

「逃げてください!あれが爆弾です!」

 

初春に放り出された爆弾は小さくなり原型が崩れようとしていた。

 

今なら!

 

私はまだぬいぐるみとして残っている部分を蹴り飛ばした……がかすっただけで遠くに蹴り飛ばすことができなかった。

 

しまった……やっぱり私の力じゃ救えない……このままじゃ……

 

だけど私の前にツンツン頭の人が飛び出してきた。

 

 

 

 

結果を言うとこの事件はけが人、死者0で終わった。あの爆弾を消してくれたツンツン頭の人は何者だったんだろう?あれが都市伝説の「どんな能力も効かない男」なのかな。

 

アンチスキルが到着して犯人が車に入っていくのが見えた。その近くで白井さんを見つけた。

 

「白井さん」

 

「佐天さん、無事で何よりですわ」

 

「あの、犯人……」

 

「ああ、今輸送されますわ。まったく、あの犯人のいうことはちっとも理解できませんでしたの。嫉妬と強者に対する不満による逆恨みですの。」

 

「はあ」

 

「嫉妬というのは醜いものですわね。それが人を動かす強いエネルギーになるから厄介ですの。」

 

「そうですねー……」

 

嫉妬は醜い、か。それは私が一番よく知っている。私もああだったらと自分の中にポツポツと「何か」が自分の中心にたまっていく。たまっているものが容量を超えて自分が飲み込まれそうになる感覚。

 

あの鳥居をくぐる前から「劣等感」や「嫉妬」があった。さらに甚爾さんの記憶や感情が重なって時々目の前すら真っ暗になって見えないの。

 

あの犯人のことは絶対に許せない。初春を狙って多くの人を巻き込んだのだから。でもなぜか他人事だと思えないよ。

 

(……佐天さん、たまにとてつもなく暗い時がありますの。なにか深い影がありそうですわね。)




虚空爆破事件でした。アニメ版でもAIMバースト終わるまで嫉妬や劣等感で悩んでいる場面がありましたね。アニメ版暗い今作の佐天さんはあと少しで自分を取り戻しますのでしばしお待ちください。

今度こそ次回は幻想御手(レベルアッパー)です。
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