《銀海総合掲示板》   作:にわか太郎

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私の記憶(■の記憶)

 

250:名無しの不適合者

そういえば思ったんだけどさ

 

251:名無しの不適合者

>>250 いきなりどした?

 

252:どーもくん

どーも?(なにか気になることでも?)

 

253:名無しの不適合者

素朴な疑問なんだけど、魔王学院の登場人物に憑依した転生者って居るのかなって

 

254:造船長

ンマーこれだけの転生者が集まってんなら、そういう奴が居ても不思議じゃないな

 

255:名無しの不適合者

結局のところ、どうなんだろうな。居ない気もするし、居てもおかしくはないと思うが。誰か、そういうのに詳しい奴はおらんか?

 

256:グランドロクデナシ

……そうだね。今のところ、そういった転生者の存在は確認できないかな。なにせ、今は魔王学院の原作開始から一万七千年も前の過去だからね

 

257:名無しの不適合者

流石にそうか

 

258:名無しの不適合者

まぁ、うん。知ってた

 

259:グランドロクデナシ

それに僕の千里眼はあくまで「現在の全て」を見通せるモノに過ぎないしね。そもそも小世界が多元的平行世界すらも内包している以上は、ね?

 

260:名無しの不適合者

あーね。千里眼で見通せる範囲も、一つの小世界に限定されるわけか

 

261:名無しの不適合者

マーリンが駄目なら他の、別世界への干渉が可能な連中なんかも……

 

262:グランドロクデナシ

何事にも例外はあるけど、基本的にはアウトだろうね。自分の世界であれば話は別だろうけど

 

263:名無しの不適合者

なるほどなぁ

 

264:名無しの不適合者

一応、小世界の外でも程度の差はあれ、能力や権能自体は使えるっぽいんだが……やはりというべきか、己の世界で行使する時以上の効果は出づらいね。やっぱ何かしらの策は講じた方がよさそう

 

265:名無しの不適合者

むず痒いな

 

266:名無しの不適合者

めんどくせぇ……

 

267:和尚

ふぅむ、中々に面倒なことになったのう。わしとしては事態解決に力を貸してやりたいところじゃが、舞台となるは三界の外。わしの力も一種の権能である以上、真価は発揮できん。すまんのう

 

268:名無しの不適合者

やっぱりそういう感じになるか

 

269:名無しの不適合者

……そういや話は変わるんだが、時系列的にはそろそろノアが生まれる頃だよな?

 

270:名無しの不適合者

>>269 せやな

 

271:名無しの不適合者

そういえばそうか

 

272:名無しの不適合者

銀水聖海の環境に慣れるのに必死だったから、すっかり忘れとったわ。もうそんな時期か

 

273:名無しの不適合者

正直、原作介入してみたいみたい気持ちはある

 

274:名無しの不適合者

生ノア観たいンゴ

 

275:名無しの不適合者

だけど*1銀水世界に行こうにも、途中で*2深層十二界の領海に侵入しちまうんだよなぁ……

 

276:名無しの不適合者

>>275 *3魔王ェ……()

 

277:名無しの不適合者

ジニア爺ちゃんと敵対したくねぇもんな。でも事情を話したら通してもらえたりしねぇかなぁ……ひょっとしたら深層世界を旅してる連中が、既に何らかの方法で接触してたりして

 

278:名無しの不適合者

>>277 *4大魔王と敵対してしまったら一巻の終わりだし、そもそも何の準備もなしに深層十二界のような超深域にまで潜れるかって言われたら……

 

279:名無しの不適合者

無理だろjk(常識的に考えて)

 

280:名無しの不適合者

だよねぇ

 

281:名無しの不適合者

ワイらが原作に介入できるの、何時(いつ)になるんやろか……?

 

 

 

 

 

 

 

コポ……と泡が生まれる音がした。

 

 

──空も海も大地すら、すべては滅びに近づくだろう。

 

 

内側で、猛る想いが渦巻いている。

 

 

 

──ゆえに、我らは滅びた。

 

──しかし、この身は剣となりて戦い続ける。

 

──いつか、この世界で、

 

──両手を血に染めるしか能のない愚か者が、

 

──子を持てる日を……。

 

 

 

 

──いつか……。

 

 

 

 

生じては消える無数の泡。

 

成るか否かは、想いの強さと数奇な運命。

 

泡の中で抗う声が響く度に、それは強く波を渡る。

 

(ふち)》の深淵にて生まれた小さな泡は、ゆらゆらと漂いながら、外へ外へと泳いでいく。

 

そして──

 

 

 

 

同時刻。銀水世界リステリア。

 

大地があり、海が一面に広がっている。

 

その上空には浮遊島があった。

 

天まで届くような高波が、耐えることなく潮騒を響かせる。

 

されど津波のような激しさはなく、幾つもの高波は静かに押しては引き、幻想的な光景を作り出していた。

 

その波を渡るように、銀海クジラと呼ばれる多くの魔法生物たちが空を泳いでいる。

 

銀水世界の海水はすべてが銀水であり、この世界の生物はそれに適応している。とりわけ銀海クジラは、その水を己の力に変えることのできる数少ない種族であった。

 

クジラたちは列をなし、規則正しく一定の方向へと泳いでいる。円をなしているのだ。

 

そしてその中心には一際巨大な高波があった。

 

いや、波というよりは渦巻きである。それは山よりも遙かに巨大であり、銀水世界の海と空をつなげていた。

 

追憶(ついおく)廃淵(はいえん)>。

 

そこには滅びた世界の追憶が溜まる。今はもう存在しない世界。故郷へ馳せる想い、元首への忠心、在りし日の仲間たちとの思い出。

 

行き場を失った感情は、この<追憶の廃淵>に引き寄せられ、時としてそれが具現化する。

 

<追憶の廃淵>に寄せられるのは滅びゆく者や、滅びた世界への想い。そんな世界の住人たちも、殆どの場合は滅びているのだ。

 

「成功した!」

 

そんな銀水世界にて、羽化(うか)()(かい)の主神フレイネアは驚喜のあまり破顔した。

 

彼女の目の前には、黒い泡に包まれた銀髪の幼子がいたからだ。

 

後の()(りつ)僭主(せんしゅ)ノアである。

 

「さあ、羽化しなさい。我がオルドローブの元首、シューザ」

 

フレイネアが魔法陣を描けば、黒い泡が割れた。

 

鱗粉がノアの体に降り注いでいき、それが光を放つ。目映き燐光が場の全てを照らし出すと、フレイネアは満足そうに笑った。

 

だが次の瞬間、放たれた光は消えた。

 

光とともに鱗粉が黒い影に覆われ、飲み込まれていく。

 

「な、ぜ……?これは……?」

 

フレイネアが眉根を寄せる。

 

未だ目を閉じたままの彼は、再び黒い泡に包まれ、浮かんでいる。

 

その背中に羽根がないことを確認すると、フレイネアは失意の表情を浮かべた。

 

「……失敗……いや。そうと決まったわけでは……」

 

呆然とした呟きが漏れ、がっくりとフレイネアは膝をつき、頭を垂れた。

 

すると──

 

「失敗とはなにか?」

 

フレイネアが目を見開く。

 

「……シューザ?」

 

「……シューザとは?」

 

フレイネアの言葉を受け、ノアは聞き返す。

 

「……覚えて……いないの? あなたは羽化世界オルドローブが元首、シューザ・オルドローブ。羽化世界とともに滅びたあなたを、<追憶の廃淵>を使い、作り直したの」

 

ノアは静かに黙考する。

 

「私と、その民たちが羽化(うか)(おう)シューザを追憶した。想いを結集し、再誕したのがあなたよ。本当に……本当に覚えていないの?」

 

「……少なくとも、私は前世にてシューザと呼ばれた記憶はない」

 

「……どうし、て……?」

 

「この身と精神は確かに、私が私であると認識できている。だがその認識とは裏腹に、私にはまた別の記憶が存在するようだ」

 

幼子は続ける。

 

「そして、それもまた別の私だという自覚(記憶)がある。前の私の精神と、それに紐づけられた記憶が。不可思議なことではあるが──」

 

それを聞き、フレイネアは思わず聞き返した。

 

「……では、貴方はシューザでは……?」

 

「少なくとも私の持つ記憶に、卿が言うようなシューザという存在がいないことは確かだ」

 

「…………」

 

フレイネアは一瞬、押し黙る。

 

だが次の瞬間、彼女の神眼()が赤く染まったかと思えば、その羽根が大きく広がった。まき散らされた鱗粉が魔法陣を描き、青い火の粉が散る。

 

「あなたは……あなたはシューザではないっ……!!」

 

青き炎が怒濤の如く、立ち尽くすノアに着弾した。

 

ゴオオオオオオオォォォとその炎は更に火勢を増し、竜巻の如く渦を巻いた。

 

ため息を一つつき、フレイネアは踵を返す。

 

「僕がいない間に悪さをするのは感心しませんね、フレイネア」

 

その声を聞き、彼女は焦ったように振り返る。

 

そこに立っていたのは長い金髪の青年だった。

 

青き炎はかき消されており、直撃したと思われた幼子も無傷。その青年が幼子を助けたのだ。

 

「<追憶の廃淵>の制御は困難を極めます。貴方の気持ちも理解できますが、そろそろ受け入れてはいかがでしょうか?羽化世界は滅びたのです」

 

金髪の青年は言う。

 

「黙りなさいっ!私は、私は必ず羽化世界オルドローブを復興する。そのためにはシューザを……シューザを完全な形で蘇らせなければならないっ!!」

 

フレイネアが大きく飛び上がり、鱗粉の魔法陣を描いた。

 

「消えなさいっ、隠者エルミデ。そして忌々しきシューザの(まが)(もの)……!!」

 

青年は悲しげな顔で、彼女に指先を向けた。

 

「残念です。貴方がそこまで歪んでいようとは──」

 

「がっ……!!」

 

フレイネアが魔法を放つより先に、下方から飛んできた銀海クジラが彼女の体に食いついていた。

 

「こんな……ところで……シューザ……あなたは……どうして…………」

 

ぱくり、と銀海クジラはフレイネアを丸呑みする。

 

それで滅びたのか、それとも身動きが取れないのか、彼女が外へ出ようとする気配はなかった。

 

事が終わると青年は、黒い泡の中にいるノアと目を合わせた。

 

そうして二律僭主ノアの──

 

「ようこそ、《廃淵(はいえん)()とし()》。僕の名前は隠者(いんじゃ)エルミデ。この銀水世界リステリアの元首を務めております」

 

──数奇な運命が、動き出した。

*1
銀水世界リステリア。深層九十九層に到達し、銀水聖海の遥か深くに沈んだことで栄華を極めた世界。世界元首は隠者エルミデ。銀水聖海の最深に位置する「深淵世界」に最も近い小世界。上空には浮遊島が点在しており、天まで届くような高波が絶えることなく潮騒を響かせている。海水は全て銀水であり、《淵》の一つである《追憶の廃淵》が海と空を繋げる巨大な渦巻きとなって存在した。エルミデは名の通り隠遁していたため、銀水世界を知る者は少ない

*2
大魔王ジニア・シーヴァヘルドが支配する、銀水聖海でも深淵に近しい場所に位置する十二の小世界。かなり近くに密集している世界群であり、魔眼世界ゴーズヘッド、個別世界グラウヴェノア、牙獣世界ドゥーダウス、聖川世界リブラヒルム、鬼刃世界ミヒャイム、有翼世界アリファーバ、停滞世界ザガロ、震動世界バルドンアデネス、擬態世界ライメニ、人馬世界、雷鳴世界、降魔世界で構成される

*3
銀水聖海における「魔王」とは、不可侵領海と呼ばれる者達の代表格。深層十二界を支配し、銀海史上初めて深淵魔法に到達した魔導の覇者「大魔王ジニア・シーヴァヘルド」の後継者候補十名たる存在を指す称号のことである

*4
深層十二界を支配し、銀海史上初めて深淵魔法に到達した魔導の覇者。銀水聖海の覇者ともされる偉大な存在で、彼の継承者候補には「魔王」と呼ばれる強大な存在がいる

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