《銀海総合掲示板》   作:にわか太郎

20 / 73
今回、文章の書き方がかなり異なります。
息抜きのつもりで書いたので、普段の魔王学院風の書き方とは違うことをご留意ください。


【閑話】ただ飲んで、ただ駄弁るだけ①

 

深層十二界。魔眼世界ゴーズヘッド。

 

ガンガンガンッと辺りに音が響く。

 

静寂に支配された魔眼世界ゴーズヘッド。その空と大地に、本来聞こえるはずのない音が轟いていた。そこには大勢の人(だか)りが見え、彼らは資材を次々と魔力で創造し、運搬し、組み立てていく。

 

ある者は機材をより強固に、ある者は天才的な頭脳で足りないと感じた部分を補い、ある者はその強大な権能で魔眼世界の空と大地を整える。

 

そこかしこで動き、働いている彼らの正体は銀水聖海の外に起源をもつ存在──転生者だ。

 

ガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!!!

 

「……はい、そこの方は<創造建築(アイリス)>で浴槽部分の創造を頼みます。リムルさんは外郭部分の各次元エンジンの設計と、ナラム・シンの玉座(メインエリア)を担当。アイスバーグさんとレオナルド博士は現在の作業が終わり次第、本船(もとぶね)の外装部分の作成に移ってください。それと水銀(メルクリウス)さんと黄金(ラインハルト)さん、ミカさんにアリスちゃんは──」

 

 

 

 

 

 

 

「……まさか転生してまで残業させられるとは。某企画よりは数段マシだが、流石に堪えるな」

 

「まあ、確かにそうですね。俺もカルデアでレポートを書いて提出している方がマシだと思ったのは、これが初めてですよ。何で現場の総指揮が俺なんですか……」

 

「カルデアでマスター業をこなしていたところが買われたんじゃないか?俺も某企画での働きぶりが評価されたのか、事務方に回された。まったく嬉しくないがな」

 

「そうなんですかねぇ……」

 

魔眼世界の一画に建てられた仮設住宅の一室にて、仕事の愚痴をこぼしている一人と一匹の動物がいた。藤丸立香とペンギンである。

 

「だが、全く意義の見出だせない仕事をするよりかは良いと思うぞ。スコップで土を掘り、それをひたすら埋め直させるような作業に比べたらな。まあ、人以前にペンギンを働かせるような労働環境はどうかと思うが……」

 

「あ、あはは……」

 

死んだ目を浮かべるペンギンに対し、藤丸は苦笑いをするしかなかった。

 

「だが、福利厚生はしっかりとしているからな。働きがいはあるし、同僚も勝手に仕事を投げ出さない。働いた分だけ見返りのある、未来のある仕事だ。某企画と比べたら天国だな」

 

「それで本当に天国に逝かれたら困るので、やめてください……」

 

「……それもそうだな」

 

割と洒落にならない話をしつつ、ペンギンは缶ビールを。藤丸は缶ジュースで乾杯をしていた。これが今の彼らに与えられた憩いの時間なのだ。

 

「ん、ペンギン。いる?」

 

そんな憩いの中、玄関奥から声が聞こえた。

 

「……?ああ、いるが……って」

 

玄関奥から出てきた謎の人物。

 

それは黒いドレスを身に纏い、ひび割れたヘイローを浮かべる狼耳の少女──砂狼シロコ(シロコ*テラー)だ。

 

「さっきぶり」

 

「シロコか、こんな時間にどうしたんだ?」

 

ペンギンが驚いたように彼女へ視線を向ける。

 

「ん、私も仕事が終わったから泊まりに来た。これ、お酒とジュースとおつまみ」

 

「おお、ありがとう。……せっかくだし、この面子で細やかだがパーティーといこう。どうせ明日は休みだ、飲まなきゃやってられないからな」

 

「ですね。俺も明日は午前中だけですし、ご一緒させていただきますよ」

 

ペンギンの言葉に藤丸は首肯する。

 

「……じゃあ改めて乾杯」

 

「乾杯」

 

「ん、乾杯」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。