《銀海総合掲示板》   作:にわか太郎

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今回は短めです。


総軍突撃

 

「<混沌より溢れよ怒りの日(ドゥゾルスト・ディエスイレ)>」

 

私こそが新世界の秩序だ、と言わんばかりに黄金の獣は声高らかに宣言する。それは旧世界の法を否定する、新たなる世界秩序の流出そのもの。

 

ラインハルトから溢れ出す黄金の魔力は、たちまち小世界を覆い尽くす。……しかし、これしきの流出で打ち倒せるような(やわ)な世界ではないことをラインハルトは知っていた。ゆえに、これは攻撃などではない。単なる合図、開戦の号砲である。

 

同時に、ラインハルトの背後に控えている軍勢が擬似的な神性を帯び始めた。それは一人一人が主神級の存在格に匹敵しており、その巨大なまでの魔力を余すことなく存在全てに浸透させていく。

 

「来たか」

 

黄金は目を細め、静かに言葉を紡ぐ。

 

するとラインハルトと、彼に率いられし軍勢(レギオン)の前方から途方もない魔力が発生した。それは新世界たる修羅道(ヴァルハラ)の流出を阻むように、現行の秩序が修羅道黄金至高天(ドゥゾルスト・ディエスイレ)と鬩ぎ合いを起こしているのだ。

 

前方から光が差し、やがてそれは晴れてゆく。

 

「──それはこちらの台詞ダ、侵略者。キサマは如何なる理由デ、この世界を襲撃していル?」

 

その整然とした声の正体は、神魔射手オードゥス。九つの尾を持つこの魔弾世界の主神である。

 

「卿が神魔射手オードゥスだな?」

 

だが、オードゥスの質問を躱すかのように、ラインハルトは悠然とした様子で彼に問いかけた。

 

「そうダ」

 

その問いにオードゥスは答える。

 

「であれば、話は早い。卿、私と爪牙達の相手をしてはくれんかね?無論、拒否権などはないが……案ずることはない。卿ほどの主神であれば、我らが示す愛にも余裕をもって耐えれよう」

 

「……キサマは何を言っていル?」

 

オードゥスは意味がわからないといった様子で、ラインハルトとその軍勢を()めつける。

 

「ふむ、分からんか?つまりは──」

 

ラインハルトは自身の聖遺物である聖槍に莫大なまでの魔力を込め、もはや一つの宇宙(ヴェルトール)に等しいそれを、眼前の主神へ思い切り叩き込んだ。

 

「……っ……!?<魔弾防壁(ゴルロム)>!!!」

 

ガガ、ガ、ガガガ、ガギィイイイイイイイ!!!

 

だが、オードゥスは(すんで)のところで強大な魔法障壁を展開する。その刹那、凄まじい爆音が基地内に轟いた。ここが魔弾世界でなければ、その激突の余波だけで軽く数度は滅亡に瀕していただろう。

 

「ほう、流石は深層世界の主神。手を緩めたつもりはないが……少なくとも数百万の魂を内包する私の槍を、こうも容易く()なしてみせるか」

 

ラインハルトがそう言葉を発した瞬間、間髪入れずにオードゥスは魔法陣を展開した。九つの尾が一斉に蠢き、その黄金の獣に銃口を向ける。

 

「<魔深流矢波濤砲(ベレニツィア・ノイン)>」

 

九つの尾銃から発射されたのは、魔弾世界の深層大魔法<魔深流矢波濤砲(ベレニツィア・ノイン)>だ。だが、込められている魔力の量が尋常ではない。当たれば深層世界でさえ、ただでは済まない威力の魔弾が九発。

 

先程の聖槍による先制攻撃、一発一発がラインハルトの総軍を内包した槍撃を凌駕する威力だ。だが、黄金はその顔に不敵な笑みを浮かべていた。

 

「なるほど」

 

ラインハルトは静かに言葉を口にする。

 

「──卿はその合理性ゆえに、愛というものを真に理解はしていないのだな。なれば今こそ、卿に我が愛を示してみせよう。もはや残滓とはいえ……その力、幾分も衰えてはいまい?卿の出番だ、マキナ」

 

そうするとラインハルトは槍を改めて構え直し、先程のように詠うが如く詠唱する。

 

我は終焉を望む者。死の極点を目指す者。唯一無二の終わりこそを求めるゆえに、鋼の求道に曇りなし。幕引きの鉄拳、砕け散るがいい──

 

そうして聖槍に纏った力は、唯一無二の終焉を望む男の渇望。逃れようのない絶対なる幕引き。

 

その一撃の名は──

 

「<人世界・終焉変生(ミズガルズ・ヴォルスング・サガ)>」

 

黄金の獣は(おもむ)ろに聖槍を構え、迫りくる九つの魔弾に槍で触れる。すると──

 

「……!!」

 

バリンッ!!!

 

そんな音とともに、まるで<魔深流矢波濤砲(ベレニツィア・ノイン)>が最初から存在しなかったように消え失せる。

 

「何故ダ?」

 

オードゥスは疑問に思い、その深層大魔法を再度撃ち放つ。だが、結果は同じ。何をするでもなく、その波濤の魔弾は消え去っていったのだ。

 

「……そういうことカ」

 

だが、オードゥスは得心したように目を細めた。

 

「ワタシが放った<魔深流矢波濤砲(ベレニツィア・ノイン)>の歴史そのものヲ、その槍に纏った力で滅ぼしたカ」

 

「流石に理解が早いな。卿の神眼()で<人世界・終焉変生(ミズガルズ・ヴォルスング・サガ)>の深淵を覗いたか。しかし、甘い──」

 

ラインハルトは槍を掲げ、更に詠唱する。

 

すると辺りに数多無数の髑髏が生み出された。

 

「第八──SS騎兵師団(フロリアン・ガイアー)

 

それはオードゥスの足場を爆発させ、

 

「第九──SS装甲師団(ホーエンシュタウフェン)

 

髑髏の戦車によって主神を迎え撃ち、

 

「第十──SS装甲師団(フルンツベルク)

 

髑髏のパンツァーファウストで集中砲火を行い、

 

「第二十四──SS武装山岳師団(カルスト・イェーガー)

 

地面に横たわる髑髏を地雷に変性させ、その悉くを爆破させては先程のように集中砲火を行い、

 

「第三十六──SS擲弾兵師団(ディルレワンガー)

 

万を超える軍勢(レギオン)が銃剣と化して突貫する。

 

そうした幾千幾万の髑髏達は、本来の彼を構成する(たてがみ)たる武装親衛隊とは似て非なるもの──ラインハルトにより産み落とされた修羅の戦奴。(すなわ)ち、死者創造の異能。元の軍勢(レギオン)に加え、こうした無限の兵力を彼は惜しげもなく運用できるのだ。

 

そうして彼の総軍は出揃った。

 

詠唱とともに召喚されたのは、数え切れないほどの数で埋め尽くされた大軍勢。これこそが黄金の獣──ラインハルト・ハイドリヒが誇る爪牙。

 

かつて既知世界の総軍さえも削り、打ち破ったとされる至高の軍勢(レギオン)。総軍による主神への突撃。

 

「さあ、いざ往かん──」

 

その名は──

 

「<至高天・聖槍十三騎士団>」

グラズヘイム・ロンギヌス・ドライツェーン・オルデーン




〜【転生者達の強さ区分】〜


【コテハン勢】→「固定ハンドルネーム勢」の略。こうしたコテハンを有している者は大抵、その世界において図抜けた強さを持つ猛者であることが多い。しかし人数が人数であるため、個々人の強さにはかなりのムラが存在する。


【下位】
戦闘向きでない者の大半は、ここに分類されることが多い。一般的に深層世界の中でも強者とされる存在と同等の実力を持つとされている。元々戦闘向きでない者も、世界観補正により深層世界級の基礎スペック・戦闘能力を獲得している。積極的に表舞台に出ない上位以上の猛者が紛れていることがあるので侮ることはできない。

ペンギン、カエル顔の医者、レオナルド博士、アイスバーグ、藤丸立香、ハチワレ……etc

【中位】
かなりの数の実力者がここに区分され、最も強さにムラがあるとされるエリア。中には限定的に、最上位勢に食い込むことが可能な猛者も存在する。上位の深層世界の元首と同等の力をもつ者が多く、中には主神級の実力を持つ者も存在する。

シド・カゲノー、上条当麻、博麗霊夢、小鳥遊ホシノ、テスカトリポカ、黒崎一護、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ、球磨川禊、ミラボレアス、日車寛見、髙羽史彦、アーカード……etc

【上位〜準最上位】
チートキャラ、フィジカルギフテッド(ゴリラ)……エトセトラ。物理概念問わず、あらゆる分野において図抜けた強者・怪物達が区分されるエリア。第三魔王の力を吸収し、深化した者もここに該当する。不可侵領海が相手でも一日は時間稼ぎができる。

安心院なじみ、無慙、エジソン卿、リムル=テンペスト、Q(Q連続体)、ペルフェクティオ……etc

【最上位】
その作品におけるラスボスや超越者の大半がここに区分される。大体が遥か深層に位置する小世界の出身。素で下位の不可侵領海達と互角以上に渡り合うことができるガチの猛者集団であり、多次元全能(クラス)の怪物が複数控えている。上位の不可侵領海が相手でも三日以上の時間稼ぎが可能。

管理人、高遠夜霧、藤井蓮(永遠の刹那)、メルクリウス、ラインハルト、第六天波旬、赤屍蔵人、美堂蛮、神祖、大十字九郎(&旧神デモンベイン)……etc
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