《銀海総合掲示板》   作:にわか太郎

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敗戦

 

一方、その頃──

 

銀水世界リステリアの遥か上空にて、二つの人影が縦横無尽に飛び交っていた。万全の状態で希望(エルピス)を振るうリムル。そして魔剣・斬撃皇帝で絡繰神達を両断していくアド・エデムである。

 

彼らは戦う手を止めず、しかし徐ろに呟いた。

 

「……やっぱ簡単には滅びてくれないか」

 

「ああ、自己修復機能もあるから余計にな。だが今、気になるのはそこじゃない」

 

アドは辺りを見渡し、疑問の言葉を漏らす。

 

「こいつらの動き、さっきから鈍くなってやしないか?攻撃が単調なのは今に始まったことじゃないが、それにしてもだろう」

 

「言われてみればそうだな」

 

二人はそう呟きながらも、次々と絡繰神の軍勢を滅ぼしていく。だが──

 

ガラガラガラガラ、ドオオオオオオオンッ!!!

 

「……?」

 

戦場に一際大きな轟音が鳴り響く。

 

ガラガラと崩れる音が幾重にも反響し、反発し合う魔力が互いに軋みを上げ、砕け散る不協和音が銀水世界リステリアの上空を裂いた。

 

リムルの振るった希望(エルピス)が絡繰神の胴を断ち、その向こう側に見えた光景に目を細める。

 

「あれは……」

 

パブロヘタラ宮殿が、崩れていた。

 

──否、宮殿だけではない。浮遊大陸そのものまでもがボロボロと崩れ、その全てが空から落ちる。かつての栄華を誇った銀水世界の象徴が、もはや見る影も形もなく崩壊しているのだ。

 

しかし、

 

「これは、不味いな」

 

アドは宮殿を見ず、虚空を見上げている。その様子を不可解に思ったのか、リムルがアドに問う。

 

「何があったんだ?」

 

すると、アド・エデムはカズマに繋げていた魔法線を辿り、状況を把握すると同時に呟く。

 

「隠者エルミデが滅ぼされた」

 

「……は?」

 

突然の事態にリムルは素っ頓狂な声を上げる。

 

「しかも、既にエルミデはその存在ごと絡繰神に写し取られている。今、浮遊大陸を攻撃しているのは、エルミデを写し取った絡繰神だ」

 

「はぁ!?」

 

「……しかし、状況を考えるとオットルルーの方も不味いだろうな。今はラインハルト達が彼女を守っているとはいえ、本気を出した正帝に強襲されんとも限らん」

 

アドはそう言い、戦う手を止める。

 

気づけば辺りの絡繰神は滅ぼし終えたようで、目に見える範囲にいるのは、空を覆う軍勢だけだ。

 

「じゃあ、ラインハルト達と合流するか?」

 

「ああ。……いや、待て」

 

「どうしたんだ?」

 

アドは俯き、諦めたような声音で告げた。

 

「……既に手遅れだったらしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

756:クズマさん

……今回ばかりは本気でマズい

俺達、というかオットルルーがヤバい

 

757:名無しの不適合者

マズいことになったって……

 

758:名無しの不適合者

何があった?

 

759:クズマさん

明らかに千体以上はいる絡繰神の大群が、オットルルーに向かって一斉に<銀世歯車悪滅爆壊(ボロウヴレム・アヴィラータ)>を発動しようとしている

 

760:名無しの不適合者

……マジで?

 

761:一級最強呪術師

待て待て

なーんにも助かってねえじゃん

頼むぜコテハン(ども)

 

762:名無しの不適合者

それは、マジか。マジかぁ……

 

763:名無しの不適合者

え、本当に終わったかもしんないって???

 

764:名無しの不適合者

何とかならないんすか?

いや、マジでどうにかならないの?

 

765:獣殿

おそらくは不可能だろう

かつてこの身で受けたことがあるゆえ、断言できるが……あの深層大魔法は確実(・・)に対象へ滅びの運命を強制するものだ。たとえ、それが誰であろうと、何者であろうとも逃れる術はない

 

766:名無しの不適合者

…………

 

767:名無しの不適合者

……これは

 

768:名無しの不適合者

詰み、ですかね

 

769:名無しの不適合者

ここまで来たのに……マジかよ

 

770:クズマさん

……悪いが、残念なお知らせだ

 

771:名無しの不適合者

>>770 ……まさか

 

772:クズマさん

たった今、オットルルーが滅びた

 

773:名無しの不適合者

…………

 

774:名無しの不適合者

ここまでか

 

775:クズマさん

というか、オットルルーが滅びたのを確認した途端に絡繰神が退いていった。何なんだよ、マジで

 

クソッ……

 

776:名無しの不適合者

俺らから興味が失せたか、はたまた……

 

777:名無しの不適合者

だけど、チャンスが無くなったわけじゃないだろ

 

778:クズマさん

>>777 ……まあ、そうだな

 

779:名無しの不適合者

方法はあるのか?

 

780:名無しの不適合者

オットルルーが《廃淵の落とし子》として生まれ変わるのは、ほぼ確定と見ていいはず。正帝が銀水学院を欲してるのは事実だろうから……

 

781:名無しの不適合者

つまり?

 

782:名無しの不適合者

オットルルーが生まれ変わり、彼女がパブロヘタラ(追憶)とともに銀水世界から飛び立ったタイミングを見計らってワイらは行動した方がええな

 

783:未来予知FOX

では、オットルルーの記憶はどうするんだい?

彼女が《廃淵の落とし子》として生まれ変われば、かつての記憶は追憶の彼方へと消え去ってしまう。その辺りの策は講じているのかい?

 

784:AUO

>>783 知れたことを

百合園セイア、貴様には視えているのだろう?

 

785:未来予知FOX

ふふっ、まあね

言ってみただけさ

 

786:名無しの不適合者

えーっと……

 

787:名無しの不適合者

それはどういうことで?

 

788:未来予知FOX

なに、簡単な話だよ

オットルルーはいずれ、蘇るという話さ

その記憶も含めてね

これは、ほぼ確定した未来だ

 

789:名無しの不適合者

……本当か?

 

790:未来予知FOX

>>789 今から千年後に君達も分かるはずだよ

 

791:名無しの不適合者

千年後ってーと

 

792:名無しの不適合者

原作開始から一万六千年前か

 

793:名無しの不適合者

長いなぁ

にしても皆さん、今回は本当にお疲れ様でした

 

794:名無しの不適合者

>>793 本当だよ

 

795:名無しの不適合者

完璧親父(ペルフェクティオ)も絡繰神を異界に引きずり込んで、完全顕現したと同時に異界ごと軍勢を消滅させたし。ホント、いきなりだったのに頑張ってくれたよ

 

796:名無しの不適合者

上位から最上位以外のコテハンも、かなり頑張っていたな。そういやバッハは今、治療中だっけか

 

797:名無しの不適合者

>>796 せやで

 

798:名無しの不適合者

……今回は本当に酷かったな

 

799:名無しの不適合者

ですねぇ……

大敗ですよ、大敗

 

800:名無しの不適合者

原作になかった展開だってのもあるけど、何の予兆もなく強襲してきたからな。いきなり過ぎて、初動で相手方に差をつけられたってのもある

 

801:名無しの不適合者

というか、いつの間にか絡繰神も撤退してるな

 

802:名無しの不適合者

用は済んだってことなのか?

 

803:名無しの不適合者

アイツら、本当に舐めてるな

 

804:クズマさん

……とりあえず、俺らも撤退させてもらうぞ

 

805:名無しの不適合者

>>804 本当にお疲れ様

 

806:名無しの不適合者

ワイらは見てただけだからな

何も言わねぇよ、本当にお疲れ様です

 

807:名無しの不適合者

本当に皆、よく頑張ったな

 

808:名無しの不適合者

今度からは緊急時に派遣するコテハンも決めた方が良さそうだな。今の内に考えとくか

 

809:名無しの不適合者

>>808 どうするのよ?

 

810:名無しの不適合者

まず、能力が万能寄りなコテハン連中を派遣した方が良かったかもしれん。球磨川とかは中位勢だけど、バッハの戦いを見るに、中位勢でも絡繰神相手に戦えることは十分に証明されたからな

 

811:名無しの不適合者

でも、万能寄りのコテハンって言ったら……ヨグ兄貴も戦場にいた(?)やろ。何が駄目だったん?

 

812:全なるもの

>>811 今回は単純に全リソースを完璧親父が顕現するための通り道と、銀水世界の保護に割いていたから他に回せるだけの力が無かったんよ……

 

813:名無しの不適合者

なるほどな

 

814:名無しの不適合者

しかも、オットルルーを蘇生しようにも相手方が妨害してるのか全く蘇生できねぇ

今回ばかりはクマーでさえ匙を投げてるし

 

815:名無しの不適合者

本当に詰みだな

 

816:名無しの不適合者

過負荷(マイナス)でも干渉できんのか……

 

817:名無しの不適合者

その他も試したんか?

たとえば滅んだ事実を無かったことにしたりとか

 

818:名無しの不適合者

>>817 試したけど、無理

これ以上、オットルルーに干渉しようとすれば完全に滅びる可能性さえあるからな

 

819:名無しの不適合者

マジか

 

820:名無しの不適合者

じゃあ本当に千年後を待つしかない、か

 

821:名無しの不適合者

こればっかりは本当にしゃーない

切り替えていけ

 

822:名無しの不適合者

>>821 おけ

 

823:名無しの不適合者

……それにしても今回はノアとアムルも居たってのに、守りきれなかったっていうのが(つら)いな

 

824:名無しの不適合者

ホントにね

 

825:名無しの不適合者

如何せん、絡繰神の数が数だったからな

世界ごと滅ぼすわけにもいかないし

 

826:名無しの不適合者

本当にイカれた数の軍勢だったしな

しゃーなしよ

 

827:名無しの不適合者

第二計画(サブプラン)のために本気出しすぎだろ、アイツら

 

828:名無しの不適合者

>>827 <絶渦>を操ったところで、連中が言うところの正義を実行できるとは限らんからな

 

829:名無しの不適合者

魔法線を辿って状況は大凡把握していたけど、あの様子からして正帝も未来を知ってるっぽいしな

 

830:名無しの不適合者

>>829 え、マジで???

 

831:名無しの不適合者

マジ。バッハと正帝ドミエル(第一魔王ジゼル)戦の時に言ってた

要するに、あっちも原作知識はあるっぽいのよ

 

832:名無しの不適合者

>>831 ……絶望的やんけ!!!

え、銀水聖海に転生してきた誰かが絡繰神に存在を写し取られたりしたん?ヤバくね???

 

833:名無しの不適合者

ヤバいですねぇ

 

834:名無しの不適合者

原作乖離も甚だしいな

 

835:名無しの不適合者

何か、何か対策を講じねば……!

 

836:名無しの不適合者

倒せば解決ってわけじゃないのが面倒臭いねんな

 

837:名無しの不適合者

策ったって奴らも周到に策を巡らせてるし

 

838:名無しの不適合者

もう原作通りに事が進むわけじゃない

 

839:ピンクの悪魔

ポヨ

 

840:名無しの不適合者

とりあえず頑張らんことには始まらん

 

841:名無しの不適合者

この一年ですら濃厚だったのに、千年か……

 

842:名無しの不適合者

>>841 ワイら、外的要因さえ無ければ不老不死だしな。根源も劣化しないし、気長にやろうや

 

843:名無しの不適合者

それな

 

844:名無しの不適合者

それに正帝も策を練るってんなら、こっちだって負けないように策を練るまでだ

 

845:名無しの不適合者

ま、死なないように慎重にやろうぜ?

 

846:名無しの不適合者

それはそう

 

847:名無しの不適合者

>>845 そうでなけりゃ滅ぶだけよ

 

848:名無しの不適合者

とりあえず目下の課題として、まずはパブロヘタラとの関係強化だな。正帝に負けんようにせんと

 

849:名無しの不適合者

>>848 せやな

 

850:名無しの不適合者

おそらく正帝はパブロヘタラ(偽)の深部にある<絡繰の淵槽>を奪いにくるだろうし、事を起こされる前に関係を強化していかないとな

 

851:名無しの不適合者

だけど、その前にワイら信用されるのか?

まだ仮加盟しかしとらんのやけど()

 

852:名無しの不適合者

>>851 それに関しては考えがある

 

853:名無しの不適合者

ま、大丈夫やろ

 

854:名無しの不適合者

為せば成る

為さなくてもなるようにはなるんやで

 

855:名無しの不適合者

本当かな……?

 

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