《銀海総合掲示板》   作:にわか太郎

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※オリジナル魔法が出てきます


過去編:一万六千年前
幾万の夜を越えて


 

1:名無しの不適合者

はいはい。という訳で別スレでも告知した通り、この掲示板が発足してから今日で丁度千年の月日が経ちました。祝え!掲示板の誕生を!

 

2:名無しの不適合者

88888888

 

3:名無しの不適合者

やっとか

 

4:名無しの不適合者

……そういえば。これ、掲示板発足から一年目と五百年目の時も同じことやってなかったか?

 

5:名無しの不適合者

>>4 歴史は繰り返すってな

 

6:名無しの不適合者

気づけばワイらも立派に老人か

 

7:名無しの不適合者

時の流れは残酷ですな

そのせいで俺達の身体もヨボヨボに……

 

8:名無しの不適合者

>>7 なっとらんわボケ

 

9:名無しの不適合者

ですよねー

 

10:名無しの不適合者

ワイら、不老不死だからな

 

11:名無しの不適合者

今日も立派にニートやで(^^)

 

12:名無しの不適合者

>>11 うーん、この粗大ゴミ()

 

13:名無しの不適合者

 

14:名無しの不適合者

にしても、この千年は山あり谷ありって感じの時間だったな。それでも長かったンゴ……

 

15:名無しの不適合者

まあワイらが転生し始めた辺りが一番忙しかったにしても、色々あったもんな。この千年

 

16:名無しの不適合者

最後に大きく動いたのって何時(いつ)だっけか

 

17:名無しの不適合者

いつだっけ?

 

18:名無しの不適合者

>>16 <追憶の廃淵>に仕掛けを施しに行った時だと思う。……それにしても色々やったよな

 

19:名無しの不適合者

まあ、ちょくちょく事件は起きてたもんな

 

20:名無しの不適合者

ニャルラトホテプ主催

チキチキ!コテハン大運動会とかな

 

21:名無しの不適合者

あーね

 

22:名無しの不適合者

>>20 あの妨害ありまくり、何でもありのクソ運動会か。アレは酷かったな。あの時は確か……

 

23:名無しの不適合者

>>22 ニャル野郎が創った仮想世界(ゆめ)に一部コテハンが引きずり込まれて、強制的に競技に参加させられたんだよなぁ。見るも悲惨、聞くも悲惨でした

 

24:名無しの不適合者

ホントな

 

25:名無しの不適合者

流石に上位、最上位コテハンは引きずり込まれなかったけどな。だけど、中盤で事態を察知した一部の上位、最上位連中が参加してきた時は「マジか」って思ったけどな。今、思い出しても酷い

 

26:名無しの不適合者

>>25 いや、アレは救出目的での乱入だったから例外やろ。覚えてないんか?

 

27:名無しの不適合者

あー、そうだっけか。スマン

 

28:名無しの不適合者

でも、確かに酷い目にはあったよな

 

29:名無しの不適合者

特に競技内容がな

 

30:名無しの不適合者

玉入れ、大玉転がし、綱引き

リレー、障害物競走、借り物競走……

 

31:名無しの不適合者

夢だからできる何でもアリな競技でしたねぇ

 

32:名無しの不適合者

中でも借り物競走とか酷かったよな

明らかに持ち得る全力を発揮しないと、絶対に打破できないような事態とかもあったし……

 

33:名無しの不適合者

借りてくる物の中に「宇宙」があったの笑う

いや、どうやって借りてくりゃええねん

 

34:名無しの不適合者

確か、最終的に夢の外から黄昏の女神(マリィ)を連れてきたはず。それに神格は基本的に「宇宙」って扱いになるから、ニャル的にはOKだったらしいし

 

35:名無しの不適合者

 

36:名無しの不適合者

そんなことあったんか

 

37:名無しの不適合者

面白けりゃ良いの精神やね

 

38:名無しの不適合者

……あのクソ運動会以外にも色々あったよな

他には呪術世界(平行世界)の死滅回游で既存の結界(コロニー)を荒らしまくったり、幻想郷で起きた大異変を解決しに派遣されたり、田舎生活を満喫したり……まあ色々な出来事があったわな

 

39:名無しの不適合者

あったなぁ……

 

40:名無しの不適合者

懐かC

 

41:名無しの不適合者

……それとムルガや無神大陸の子供達も、この千年で随分と成長したよな。見た目こそ子供の頃から変わらないけど、立派に育ったもんだよ

 

42:名無しの不適合者

ムルガなぁ

精神は相変わらず見た目に引っ張られてるけど、知識量に関してはもう大人顔負けだもんな

 

43:名無しの不適合者

隠者エルミデも可愛がってるし、この前は大魔王ジニアのところにも遊びに行ってたよな。……二律僭主や第一魔王が孫的な立ち位置だとしたら、ジニアにとってムルガは曾孫ポジなのかな?

 

44:名無しの不適合者

いずれにせよ、可愛がってることに違いはない

 

45:名無しの不適合者

だな

 

46:名無しの不適合者

……そういえばさ

 

47:名無しの不適合者

>>46 ……?どうした

 

48:名無しの不適合者

もうそろそろなんだけど、オットルルーとパブロヘタラが<追憶の廃淵>で具象化される頃なんじゃないか?ほら、セイアが言ってた時期的にさ

 

49:名無しの不適合者

あー、確かに

 

50:名無しの不適合者

言われてみれば

最近、正帝の動きも目立ってきたしな

 

51:名無しの不適合者

だけど、別にリステリアには行かなくてもいい気がする。銀水世界には常に魔法線を繋いでいるし、いつでも世界の状況は把握できるはずだよ

 

52:名無しの不適合者

>>51 それはそう

 

53:名無しの不適合者

じゃあ、銀水世界の様子でも観察するか?

 

54:名無しの不適合者

やることないしな。見ようぜ

ヨグ兄貴

 

55:全なるもの

>>54 了解。じゃあ現地の様子を映すよ

えーっと。確か、こうして……

 

56:名無しの不適合者

ちょっと映り悪くね?

 

57:全なるもの

調整中。もう少しお待ちを

 

58:名無しの不適合者

にしてもリステリアなんて久々に見るなぁ。ワイら、近年は動画ばっか漁ることしかやることなかったし……ちょうど暇してて良かったな

 

59:名無しの不適合者

最近、千年続けてた魔法研究ニキが念願の魔法を遂に完成させたって動画しか見てなかったしな

 

60:名無しの不適合者

>>59 ああ、あの話題になったやつか。あれ凄かったよな。でも、確か当初の予定では二次元(くうそう)三次元(げんじつ)にする魔法を創る予定だったらしいけど……別のヤバい魔法が出来上がってたよな

 

61:名無しの不適合者

予定の魔法よりも凄いもんが完成してたなぁ

 

62:名無しの不適合者

至高魔力(デクス)>だっけか

己自身の魔力をあらゆるものに変質させることで、万物万象を再現する魔法。しかも使いやすいように術式改良も施してたから、ワイらでも簡単に使えたし。あれ、マジで画期的すぎるだろ

 

63:名無しの不適合者

>>62 普段は殆ど関わりのない深層十二界の魔王でさえ、興味や関心を示してたな。ノアやアムルですら術式の完成度について手放しに賞賛していたくらいだし、本当に画期的だったんだろうよ

 

64:名無しの不適合者

最初は可能性を操る魔法を研究するのとばかり思ってたけど、その更に上を行きましたね。共通魔法を起点に置いて、そこから術式の簡易さと完成度を追求していった結果がアレですか……

 

65:名無しの不適合者

術式配布は神過ぎた

 

66:名無しの不適合者

>>64 魔力自体をあらゆる力やエネルギーに変質させたり、物質や秩序なんかの有形無形を創造することも可能。果ては<至高魔力(デクス)>を己自身に適用して、練度次第では世界の秩序が許す範囲で万象を実現させることさえできるとか偉業だもんな

 

67:名無しの不適合者

ワイらが考える魔法の究極形ですな

空想具現どころか万有具現ですよ

 

68:名無しの不適合者

当時から見ていたけど、やっぱり魔法研究ニキの熱量が凄かったのもあるだろうな

 

69:名無しの不適合者

あの人、名無しってレベルじゃないだろ

確実にコテハン上位以上は狙える技量がある

 

70:全なるもの

調整、終わったよー

 

71:名無しの不適合者

おっ、来たか

 

72:名無しの不適合者

待ってました

 

73:名無しの不適合者

変わり身が早い!!

 

74:名無しの不適合者

 

75:名無しの不適合者

さて、リステリアの様子は……って、あれ?

 

76:名無しの不適合者

>>75 どうした?

 

77:名無しの不適合者

いや、ちょっと見てみろよ

あそこ、何人かコテハンの姿がないか?

 

78:名無しの不適合者

うん?

 

79:名無しの不適合者

…………

 

80:名無しの不適合者

あ、ホントだ

 

81:名無しの不適合者

……居ますねぇ

 

82:名無しの不適合者

それに、だ。ちょっと待て。あそこに居るの、コテハンだけじゃねぇぞ。アイツ、まさか……

 

 

 

 

 

 

 

一万六千年前──

 

深層九十九層。銀水世界リステリア。

 

そこは最早、滅びかけの世界だった。血だまりのように赤く染まった海には、銀海クジラが無数に浮かんでいる。すでに生きてはいない。

 

そして、このリステリアで唯一、元の姿を保っているのが<追憶の廃淵>だ。空と海を繋げるその渦巻きから大小、二つの黒い泡が溢れ出た。

 

その小さい黒泡が弾けるように割れれば、中にいたのは大きなネジ巻きと、歯車の瞳を持つ裁定神オットルルーである。

 

彼女ははた、と気がついたように目を開けた。

 

そうして、大きい泡に視線を向ける。

 

オットルルーは呟く。

 

「これは……」

 

同時に黒い泡が弾け、そこから巨大な浮遊大陸が。そして、パブロヘタラ宮殿が姿を現した。

 

「……これは皆さんが仰っていた──」

 

オットルルーはパブロヘタラ宮殿の深層に転移する。そこには、どういうわけか<絡繰の淵槽>の姿があった。オットルルーの持つネジ巻きが光を放ち、<絡繰の淵槽>と共鳴している。

 

「……任せてください」

 

彼女はネジ巻きを見つめ、追憶により生じた自らの記憶に導かれるように魔法陣を描く。

 

それは絡繰世界の魔法だ。ネジ巻きを魔法陣に差し込み、ぎい、ぎい、ぎい、と三度回す。

 

「<絡繰歯車淵連結(ディス・ディドゥーゼ)>」

 

滅びゆく銀水世界リステリア。

 

その《淵》である<追憶の廃淵>もまた終わろうとしている。されど<絡繰の淵槽>が光を放ち、<追憶の廃淵>に干渉する。その渦巻きが徐々に遅くなっていき、銀水が無数の歯車に変わる。

 

それらが次々とパブロヘタラ宮殿の中へ入ってきて、深層にある<絡繰の淵槽>に落ちてきた。

 

歯車と歯車が噛み合い、そうして<絡繰の淵槽>と<追憶の廃淵>が銀水に溶けて交わり、液体となった。更にその液体はどこまでも果てしなく延ばされていき、凍りつく。それは延々と続く氷の床──<絡繰淵盤>であった。

 

彼女はそれを鋭く見つめ、呟く。

 

「……皆さんの想いは分かりました。オットルルーは皆さんの判断に従います」

 

そう呟いた後、オットルルーは宮殿に魔力を送る。そうして宮殿は急上昇を始め、ある場所へと向かい始めた。黒穹である。

 

そして、そこに居た人物と対面する。それは隠者エルミデの絡繰神──正帝ヴラドだ。

 

「お疲れ様です、オットルルー。準備はできましたか?」

 

エルミデの絡繰神は柔らかい笑みを浮かべ、オットルルーに問うた。

 

「はい、問題ありません。オットルルーは当初の予定通り、行動を開始します」

 

「……よろしい。では、参りましょうか」

 

その言葉にエルミデは頷き、彼らは銀水世界リステリアの領海から離脱した。

 

そこから時が経ち、リステリアの空がぐにゃりと歪む。歪みの向こうから現れたのは、複数の人物からなる集団。それは千年の時を経ても変わらず、そこに在り続ける不適合者──転生者達だ。

 

彼らは正帝ヴラドに存在を悟られないように、息を殺し、オットルルー達がパブロヘタラ宮殿とともに領海から離脱したタイミングで隠蔽を解く。

 

「──あの様子を見るに、オットルルーは生前の記憶を保っているだろう。正帝による支配も確認できた。当分の間は悟られまい」

 

そこで口を開いたのは、異様に長い銀髪を持ち、夕闇を具象化したような外套を羽織っている背の高い男だ。それは混沌の力によって成長を遂げた不可侵領海、二律僭主ノアである。

 

その様子を見ていた幾人かがノアの言葉に首肯する。そして、すぐ横で待機していた佐藤カズマが魔法陣を描いた。それは界間通信の術式だ。

 

「じゃあ、さっそくパブロヘタラの連中に連絡するか。もはや原作とも違う道を進んでいるわけだし、備えるに越したことはないだろ」

 

複数の術式を流れるように組み上げ、カズマはパブロヘタラへと連絡を取る。その合間に、ノアは滅びかけの銀水世界を見渡した。

 

「……何か思うところがあったか?」

 

転生者の一人がそう問うと、ノアが答える。

 

「仮にも私の故郷だ。それが、こうも荒れていてはな」

 

見渡す限り、不毛の大地と化している銀水世界リステリア。空も海も大地も赤く染まり、かつて誇った栄華は今や見る影もない。

 

普段、表情を表に出さぬノアでさえ思うところがあるのか、悲しげな雰囲気を纏っていた。彼は徐ろに手を前へ出し、三つの魔法陣を描く。

 

それを見た転生者が眉を顰め、ノアに問う。

 

「何をする気だ?」

 

その言葉にノアは答えず、見ていろとばかりに魔法を発動した。一つ目の魔法は──

 

「<背反影体(ダヴエル)>」

 

彼は秩序に反する影を掌に纏った。そして、その影響を次の魔法陣に及ぼせるように細工しつつ、二つ目の魔法陣を描く。続く二つ目は──

 

「<黒七芒星(デムド・イヴ)>」

 

潜った魔法を深化させる黒七芒星。その魔法を根源の外郭に描き、内包する魔力を深化させると同時に、ノアは最後の魔法陣を描いた。

 

「<至高魔力(デクス)>」

 

瞬間、世界が陽炎のように揺らめく。

 

それは、たった一人の転生者が成した偉業。

 

有形無形問わず、万物を再現することができる創造魔法の一種にして、あの大魔王ジニア・シーヴァヘルドをして驚嘆に値すると言わしめた魔法。

 

それをノアは行使した。

 

すると、世界の様相が一変する。赤く染まった全てのものは正常な色を取り戻し、空は澄み渡るような青空に戻った。海もかつての青へと回帰し、崩れていた大地でさえも一瞬の内に元に戻る。

 

これほどの深層世界を前にして、持てる力を存分に発揮した<至高魔力(デクス)>。その結果にノアは眉一つ動かさず、しかし喜色を滲ませていた。

 

「形だけだが、これで暫くは問題あるまい」

 

「……相変わらず凄まじい魔法だ」

 

そんな二律僭主の姿を横目に、転生者達は呆れたような表情で眼下を静かに見下ろした。

 

その美しき、銀水世界リステリアを──




眼下に広がる景色は、かつての世界──
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