《銀海総合掲示板》   作:にわか太郎

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ちょっと次章はプロットを練り直す作業に入るので遅くなります。代わりと言っては何ですが、一万五千年前と一万四千年前の間に番外編(長編)を挟む予定です。結構、時間がかかるものでして。


残された疑問

 

時は僅かに遡り──

 

魔弾世界テルネス。火山要塞デネヴ。

 

「<断罪刃弾(ゲゼルデ)>」

 

「第三十六──SS擲弾兵師団(ディルレワンガー)

 

赤き斬撃と万にも及ぶ銃剣が鬩ぎ合っている。

 

そこでジリジリと火花を散らし、戦いを繰り広げているのは黄金の獣(ラインハルト)と魔戦絡繰エルガンデだ。

 

それは一つ一つが深化した攻撃によるもので、下手をすれば魔弾世界の秩序による制約を無視し、この火山要塞デネヴをさえ吹き飛ばしかねない。

 

そうして鬩ぎ合いを止め、彼らは互いに後退する。そこでエルガンデは絡繰神を複数召喚した。

 

「行きなさい」

 

合図と同時に、絡繰神は黄金へ突っ込んでいく。

 

そして無数の<断罪刃弾(ゲゼルデ)>を発動し、その赤き斬撃をラインハルトの総体へと叩き込む寸前──

 

「<深源死殺(ベブズド)>」

 

黄金が持つ槍の先が黒く染まった。

 

それは根源殺しの力を纏っており、ラインハルトが槍を一閃、瞬く間に<断罪刃弾(ゲゼルデ)>が消滅した。

 

「……!」

 

濛々と煙が立ち込め、瓦礫の粒子が中空へと舞い上がる。そうして絡繰神はその場で静止し、眼前で泰然と神殺しの槍を構える黄金の覇王を見た。

 

「それは二律僭主の……」

 

エルガンデは神眼()を細める。

 

それは絡繰世界が収集していた情報の中にあった魔法。大提督との戦闘において二律僭主が使用し、その後の戦闘においても使用が確認されている魔法だ。そして、それを黄金が扱っている。

 

絡繰機構が確認できる情報の中で、この魔法の使い手は二律僭主以外に一人もいなかったはずだ。

 

そんな絡繰神の疑問に対し、黄金は答える。

 

「二律僭主でないと使えない、などと言った覚えは無いが?そして卿、私に注視するのは構わんが……周りを気にしなくてもよいのかね?」

 

「何を……」

 

ラインハルトは絡繰へ問いかけるように言った。そして当然、その言葉に絡繰神(エルガンデ)は疑問を呈する。

 

しかし、その謎はすぐに氷解していった。

 

「──ははははははははははははッ!」

 

その疑問を無視するかのように、精悍そうな男の声が火山要塞に──否、魔弾世界中に響き渡る。

 

「素晴らしい!実に素晴らしいぞッ、お前達!何やら面白そうな予感がしたので、この世界に足を運んでみれば……まさか、これほどまでの事態に発展しようとは!一時はどうなるものかと思ったが存外、転生という選択肢も捨てたものではない。ああ、自己紹介がまだだったな」

 

その男は制帽を被り直し、向き直る。

 

「俺の名は甘粕正彦(あまかすまさひこ)。最終的な階級は大尉で、麹町憲兵分隊長を務めていた。そして現在は()(せい)として──ふむ、これ以上は長くなる?そうか。では、前口上はこのくらいにしておくとしよう。さて、その代わりと言ってはなんだが」

 

そこで甘粕は腕を天に掲げ、声高らかに叫んだ。

 

「早速、お前達の掲げる正義(ゆうき)とやらを試させてもらうとしようかッ!これこそは裁きをもたらす神の光杖、人類史が生み出した既知最強の鉄槌。神鳴る裁きよ、降れい雷ィ──!!

 

間髪入れずに彼は膨大な力を発する。

 

そして魔弾世界の遥か黒穹に何かが顕現した。

 

それは夥しい数の力の塊であり、その結果として幾千幾万もの神なる杖が創形される。そして、そこから発展させるように甘粕は邯鄲法(ユメ)を回した。

 

ロッズ・フロム・ゴォォォォォッド!!

 

神の杖が、加速度的にその深さを増していく。

 

これは本来、衛星軌道上から音速の十倍もの速度で金属の棒を叩きつける宇宙兵器。れっきとした人の手により生み出されるであろう「兵器(・・)」だ。

 

それは人類史の中でも既知最強の鉄槌であり、kinetic energy penetrator──その究極形に他ならない。そして、その宇宙兵器を形作るための創法が今、深化した。それが意味するものとは(すなわ)ち、

 

「<魔弾防壁(ゴルロム)>っ!!」

 

ジ、ジジ、ジジジジジジジイイイイイイッッ!!

 

防壁が音を立て、幾万もの神杖を防いでいく。

 

それは息を呑むほどに凄まじい攻防であり、同時に世界を揺るがすほどの激しい鬩ぎ合いだ。それは余波だけで深層世界の次元に亀裂を入れ、それどころか損傷させるほどに凄絶な威力を見せた。

 

しかし、そこに不思議と疑問は浮かんでこない。

 

そも、人という括りにおいて、甘粕正彦という男の意志力は群を抜いている。その根源の強度は言わずもがな。浅層世界であれば、平行世界を含めたあらゆる可能性を淘汰しかねない規模の根源(たましい)

 

下手をすれば、意志力だけで最上位勢にさえ並びかねない圧倒的な自我を男は有していた。これが仮に「座」の存在する世界であれば、その渇望は誇張抜きに太極(カミ)の領域へ達していたことだろう。

 

「なるほど、強度は申し分ない……では、次だ。ところで、お前達は不適合者(おれたち)(てき)と見做しているのだろう?ならば必然、それに対するお前達は正義の英雄(ヒーロー)ということになる。英雄ならば魔性退治と洒落込めよ。古今、それがおまえたちの武勇伝というものだろう」

 

だが、そんなことなど知らぬ、関係ないとばかりに甘粕は続けざまに己が邯鄲法(ユメ)を回していった。

 

──終段(ついだん)(けん)(しょう)──

 

そうして彼は悍ましいものを召喚する。

 

その要塞に召喚されたのは月をも呑み込む、暴食の太陽さながらの巨体を有する黒龍だ。そして、その咆哮により巻き起こった震動は大地ではなく生命の根源(たましい)を揺り動かし、跡形もなく粉砕する。

 

それは紛うことなき魔神(フォーモリア)の一部だ。

 

「<海原に住まう者・血塗れの三日月(フォーモリア・クロウ・クルワッハ)>ァッ!」

 

火山要塞デネヴが、その強大な黒龍の巨躯によって崩壊していく。そして、みるみると崩落していく要塞が完全に崩れきった頃、絡繰は気付いた。

 

「……!?!?」

 

思考原理(ほんのう)に乱れが生じている。

 

死にたい、滅びたい、殺してほしい──あらゆる負の感情が濁流のように、正帝の思考を侵すように、烈々と雪崩(なだ)れ込んでくる。なんだ、これは。

 

私は。私、は、ワ、タシは。wt4は──???

 

「<黄金の破壊(ゴルデネ・ハガラス)>」

 

そして、更なる轟音が魔弾世界に響き渡った。

 

隙を見計らい、撃ち放たれた絶滅の光輝。

 

それは黄金による必滅の破壊光。その絶対なる死が一切を無視してエルガンデへと直進したのだ。

 

無論、通常であれば表層が焦げるに留まるだろう。しかし、今のエルガンデに抵抗力はない。自己認識も不可能であり、無力同然と言っていい状態だ。避ける手段など存在しない。ゆえに──

 

「……ぐっ、うぁっ……!?」

 

有無を言わさず、その強大な根源が崩れていく。

 

エルガンデは呻き声を上げているが、それは自己認識が崩壊したがゆえに発せられた呻きだろう。

 

何より、甘粕が召喚した黒龍──天に座す魔神の軍勢による精神汚染が強力すぎた。ゆえに、その絡繰は攻撃を受けたことに気付いてさえいない。

 

そして黄金は神眼()を細め、ゆるりと歩を進める。

 

「……あっ……」

 

そうしてエルガンデの前へと歩いていき、歯車(むね)の奥にある根源を神殺しの聖槍にて一気に貫いた。

 

か細い声を発し、絡繰神は膝から崩れ落ちる。

 

「…………」

 

その衝撃で歯車が地へと落ち、やがて魔戦絡繰たる絡繰神は、その存在を完全に崩壊させたのだ。

 

そうして墓場の王は要塞の奥を見つめる。

 

どうやら、(すんで)のところで間に合ったようだ。

 

 

 

 

 

668:名無しの不適合者

よしよしよしよしっ!!

 

669:名無しの不適合者

何とか倒せたな

 

670:名無しの不適合者

意外に終わりは呆気ないのね

にしても、まさかエルガンデが投入されるとは

 

671:名無しの不適合者

多対一とはいえ、あの災人ですら追い詰められかけていたくらいだからな。よく勝てたもんだよ

 

672:名無しの不適合者

てか、オードゥス乗っ取られてたの草

 

673:名無しの不適合者

>>672 いつの間に変わってたんですかねぇ

 

674:名無しの不適合者

最初から乗っ取られてた可能性()

 

675:名無しの不適合者

>>674 それな

 

676:名無しの不適合者

まあまあ、勝てたんだから良いじゃないの

 

677:名無しの不適合者

前回の獣殿とニートは戦犯でしたが、今回の彼らはよくやってくれました。ジーク・ハイル!

 

678:名無しの不適合者

ジーク・ハイル

 

679:名無しの不適合者

ジーク・ハイル

 

680:名無しの不適合者

そんなこと言ってる場合か

てか、今回一番ヤバかったのは正帝陣営じゃねぇよ。突如、魔弾世界を侵食した「アレ」は何??

 

681:名無しの不適合者

なにって

 

682:名無しの不適合者

>>680 そりゃあ、ねぇ……?

 

683:名無しの不適合者

どう見ても奈落迦(ナラカ)の侵食定期

 

684:名無しの不適合者

いやぁ、どうやって来たんでしょうね

 

685:名無しの不適合者

その結果、不死の呪い(アムリタ)を撒かれかけるとか堪ったもんじゃないですねぇ……お糞ですわよ

 

686:名無しの不適合者

正帝と共謀している可能性があるのがなぁ

 

687:名無しの不適合者

ナラカに関しては今、ワイらで考えても仕方ないから後回しでええやろ。動機も何もかもが分からないんだから、それを調べようもクソもないし

 

688:名無しの不適合者

せやな

 

689:名無しの不適合者

後に回そう、そうしよう!

 

690:名無しの不適合者

うーん、この()

 

691:名無しの不適合者

こういうことをするから毎回、先手を取れずに後手へ回る羽目になるのでは?ボブは訝しんだ

 

692:名無しの不適合者

>>687 お前、さては夏休み最終日まで宿題をやらないタイプの人間だな?文面から伝わってくるぞ

 

693:名無しの不適合者

 

694:名無しの不適合者

……とりま惨事は避けられた、のか?

 

695:名無しの不適合者

>>694 分からん

 

696:名無しの不適合者

この戦闘がまだ、正帝による転生者分析の一環である可能性は否定しきれん。いい加減、こっちも積極的に動くべきでは?後手に回るのはなぁ

 

697:クズマ

最悪、俺達が発見しきれていない世界の転生者が、正帝に乗っ取られている可能性もあるんじゃないか?だとしたら、かなり不味いだろ

 

698:名無しの不適合者

>>697 マジヤバですね

 

699:名無しの不適合者

しばくぞ、さっき後回しにしようとか言った奴

 

700:名無しの不適合者

……転生者探索、強化する?

 

701:名無しの不適合者

>>700 今までは上位勢以上は探索組に回さなかったけど、今回の件で積極的に動かないと不味いってことが理解できたからな。まあ、ただ……

 

702:名無しの不適合者

存在規模とかの問題がな

 

703:名無しの不適合者

>>702 そういや一回、多元宇宙を内包する泡沫世界に誤って入界した名無し(上位勢)が居たよな?

 

704:名無しの不適合者

あーね

 

705:名無しの不適合者

>>703 事故で銀泡内部に侵入した瞬間、その泡沫世界の理が決定的な破綻を起こしかけたやつな。その後、色々したから大事には至らなかったけど

 

706:名無しの不適合者

それ以来、基本的に上位勢以上の転生者は探索組には回されなくなったんだっけか。でも、事故とかを除けばどうとでもなる問題とちゃうんか?

 

707:名無しの不適合者

>>706 どゆこと?

 

708:名無しの不適合者

>>707 例えば、神座勢とかは条件次第で探索組に回せそうなんだよな。覇道神とかは触覚(ぶんしん)を生み出せたりするし、それらを活用すれば泡沫世界でも問題なく活動できるようになるんじゃない?

 

709:名無しの不適合者

あー、なるほど?

 

710:名無しの不適合者

最初から流出や太極域に至っている超越者は論外として(求道神を除く)、永劫破壊(エイヴィヒカイト)で覇道流出に至った練炭や獣殿なんかは探索組に回しても良いかもね。活動(アッシャー)形成(イェツラー)しか使えないように調整して

 

711:名無しの不適合者

最悪、創造(ブリアー)までなら疑似使用可とかにしたり

 

712:名無しの不適合者

それなら適任かもね

本人が頷くかは別として

 

713:名無しの不適合者

まあ総軍を引き連れていくのは論外だけどな!

 

714:名無しの不適合者

>>713 それはそう

 

715:名無しの不適合者

なんか存在規模が云々って話してるけど、それに関しては*1A Voice Behind Me(背後から聞こえる声)で何とかなるんじゃ

 

716:名無しの不適合者

>>715 あっ

 

717:名無しの不適合者

>>715 あ……

 

718:名無しの不適合者

そういえば

 

719:名無しの不適合者

>>715 存在規模の調整とか、能力/権能の最適化も可能だったっけ。すっかり忘れ去ってたわ……

 

720:名無しの不適合者

探索組とかでもなければ基本、俺達の活動範囲は深層世界とかだしな。気にする必要なかったし

 

721:名無しの不適合者

お前ら、なんでこう……

 

722:名無しの不適合者

ワイら、妙なとこでガバばっか起こすよなぁ

 

723:名無しの不適合者

……話、戻そうか

 

724:名無しの不適合者

>>723 ウッス

 

725:名無しの不適合者

ッス

 

726:名無しの不適合者

すんません

 

727:名無しの不適合者

で、誰を探索組に回すよ

 

728:名無しの不適合者

>>727 神座勢(触覚)は確定みたいなものでは

あと他上位勢以上も何人か……いる?

 

729:名無しの不適合者

一番の適任は……練炭か?

 

730:名無しの不適合者

いや、獣殿とかが良いのでは

 

731:名無しの不適合者

ニート!

 

732:名無しの不適合者

>>731 ねぇよボケ

 

733:名無しの不適合者

>>731 メルクリウス超うぜぇ……

 

734:名無しの不適合者

てか、本人がどう思ってるかによるだろ

行くか行かないのか、決めるのはワイらじゃねぇ

 

735:名無しの不適合者

せやな

 

736:名無しの不適合者

で、本人方はどう思います?

 

737:獣殿

私は構わんよ

それに、それが未知であるのなら尚更だろう

 

738:名無しの不適合者

じゃあ練炭は?

 

739:練炭

行くつもりは無かったが……

この馬鹿を抑えつける奴は必要だろうしな

今はまだ状況次第、としか言えないぞ?

 

740:名無しの不適合者

>>739 十分過ぎます

 

741:名無しの不適合者

ありがてぇ……

 

742:名無しの不適合者

>>737 戦闘が終わって早々、スンマセン

 

743:名無しの不適合者

じゃあ他の連中はどうしようか

 

744:名無しの不適合者

それはだな──

 

*1
あらゆる権能を内包する機構(システム)




ちなみに番外編(がいでん)は妖怪ウォッチ編をやろうと思っています。妖怪ウォッチ2からの物語(ストーリー)を起点にする感じで。そうして他作品にも手を出していきたいけど、それは外伝小説として執筆するべきか。

このまま番外編を続けるか

  • 続ける
  • 時間が掛かってもいいから本編はよ
  • たまに投稿する程度にしてほしい
  • 外伝小説として執筆してほしい
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