スキル【10匹の熊】 作:switch2当選しました
一匹目の怪獣、朝倉アサヒ:スキル名【転生】
二匹目の怪獣、一色イロハ:スキル名【共有】
三匹目の怪獣、上野ウサギ:スキル名【幸運の星】
四匹目の怪獣、ダイアナ・デルタ:スキル名【三角貿易】
五匹目の怪獣、大阪オズ:スキル名【四大魔法】
六匹目の怪獣、川瀬カナエ:スキル名【自然回復】
七匹目
八匹目の怪獣、倶楽部クレア:スキル名【灰銀装甲熊】
九匹目
十匹目の怪獣、ジュリエット・ジャガー:スキル名【10倍】
50/ 訃報
その日世界中に一つのニュースが響き渡った。
世界一の冒険者、ジュリエット・ジャガー逝去。
死因は老衰。
永遠に君臨すると思われた王座の陥落だった。
人々はこぞって涙し、慄き、次の世代について思いを馳せた。
まずはイギリス全体の株価が急落した。
そして余波はヨーロッパに留まらず世界全体へと波及した。
暗黒の時代が訪れると思われた。
一方で冒険者たちは奮起した。
世界で最も強い冒険者は誰だ。
その問いに、自分の名が挙げられる未来が絵空事ではなくなったのだから。
各国も見込みある上澄みの冒険者たちへ、リソースの集中を怠らなかった。
これまでジュリエット・ジャガーを擁するイギリスが独占していた地位、名声や外交的圧力を我が物とするために。
次の世界一位の冒険者を排出した国が覇権国家となる。
世界中がそう感じていた。
イギリスだけが出遅れた。
すぐさま次の候補者を擁立するには、ジュリエット・ジャガーの存在感は大きすぎたし、彼女の遺言が次の方針の決断を鈍らせた。
「妾の財産はそのまま安置しておけ。
いずれ取りに来る」
ジュリエット・ジャガーの言葉を盲信し莫大な領土と財産を安置せよとする者。
戯言と切って捨てすぐさま国家に還元し活用しようとする者。
イギリスはいっそ可哀想なくらい混乱していた。
次の世界一位はイギリス抜きで決まると思われた。
51/ 倶楽部クレア脱落
日本で最も貢献度の高い冒険者についての議論は少ない。
弱冠二十五歳にして他を圧倒する冒険者の名は倶楽部クレア。
スキル【灰銀装甲熊】を持つ召喚系のスキルホルダーだ。
世界一位の空席には彼女も奮起した。
幼少のみぎりより一身に期待を背負ってきた。
それに相応しい自尊心も育て上げてきた。
しかし極限での一歩を誤った。
彼女が使役するミスリルベアは強い。
人類が既知の階層で敵となるモンスターはいない。
しかしそれ以上ではない。
ミスリルベアは一匹だ。
多面的な戦局に対応できない。
倶楽部クレアに攻撃手段はない。
殲滅力をミスリルベアに依存している。
倶楽部クレアは生身の人間だ。
敵の攻撃に晒された時なすすべがない。
倶楽部クレアはアイルランドのダンジョンで敗れた。
ジュリエット・ジャガーがかつて撤退した階層で、進行不能な傷を負った。
そして受けた傷には、治療阻害の追加効果があった。
外部からのスキルやアイテムによる治療を跳ね除ける。
倶楽部クレアの復帰は絶望的と思われた。
日本政府は方針を転換し、広く次世代の有望な冒険者を支援する方向へと舵を切った。
倶楽部クレアは外国の狭い病院の一室で、忘れ去られようとしていた。
52/ 僕にとって
病室のベッドで、かろうじて動く左手で。
倶楽部クレアはウェブサイトの更新ボタンを繰り返し押していた。
サイト名は『デルタトレード』。
こうなってしまう直前に彼女が、支援者から紹介されたサイトだ。
あの時はこんなもの、必要ないと思っていた。
自分の力だけで頂へ辿り着けると思っていた。
今はその頂への唯一の糸がこのサイトだった。
1.自己回復能力増強系スキル(条件あり) 2.十億円 3.十二億円
なんとか伝を辿り、会員の権利を得たクレアが募集した内容はこうだ。
報酬は自分の財産いっぱい。
全財産は九億といくらかだったが、応募側へのインパクトと訴求力を重視して借金もした。
この取引が成立すれば、支払い可能だと判断したスポンサー企業によるものだ。
あけすけに言えば恩情だ。
今日で三日目になる。
応募者はまばらで、条件を満たさない、言い換えれば受けた呪いを躱せないスキルが多かった。
また、条件を満たすものも一日では不足していた。
そして何より、運営側と噂される3番の承認がなかった。
ある時未練がましく更新ボタンを押し続けていたクレアの手が止まった。
新しく現れた取引の項目はこうだ。
1.倶楽部クレアの指定ギルドへの加入 2.スキル【10匹の熊】 3.猫のポーズ
倶楽部クレアは取引の詳細を確認し、承認ボタンを押した。
諦めかけた夢の続きがあった。
とりあえず一人称はわけてます。
俺、私、あたし、この◯◯、ワイくん、名前呼び、?、僕、本官、妾。
七匹目の設定なーんも決まってなくて草