ex08/ 明るいところで待ち合わせ
【トンネル】が開き、ジャガーを先頭に三人がやってきた。
人を対象に指定できるため、待ち合わせなく合流できる。
「すまない。取り逃がした」
「ジャガーさんが取り成してくれたんですけど、やっぱり疑われてしまって……」
「結局その場で事情を聞いただけじゃったの」
辺りを見回し、散りつつも足跡を残す灰と熱を認め、そして三人の視線が座り込む少女に集まった。
「そうか。燃えたのはミリアの屋台じゃったか……」
ジャガーがそう溢す。
「知り合いなの?」
「でしたら、親御さんに連絡を」
「いや、ミリアはみなしごなんじゃ。
何年も前に父も母も亡くしておる」
ex09/ ミリアちゃん大人気!
「ミリアちゃんと最近お話した?」
「してないー」
「したかも!」
「えっ、ミリアちゃん、最近会えないよ?」
「前はお父さんの畑に手伝いに来てたよ」
「うちも来てた!」
「こっちもー」
「最近また来てくれるようになったんだ!」
「そうなの?」
「屋台が大人気だから来なくて良くなったって、お父さんが言ってたよ」
「それってたまねぎサラダの時でしょ?」
「そうそう、でも出来なくなってー」
「えっ、変わったの?」
「変わったよ!」
「何になったの?」
「なんか……ピーマンとか焼いたやつ?」
「うええ。美味しくないよー」
「ママが、焼いた野菜は悪くなったやつだから、食べないのよって」
「ミリアちゃんお料理じょうずなのになー」
「たまねぎサラダ! 食べたい!」
「食べたいね」
「食べたいー」
ex10/ あの頃の
アサヒは信用の取り戻し方を知っている。
成果を出せば良い。
裏切ってしまったと気づいた時の絶望を知っている。
歯車さえ噛み合えば、打ち破ることができる。
「取り敢えず、眼の前のことを全部やろう」
アサヒは気の置けない仲間たちを見回して言った。
ひとまず五人。今日いない仲間も、呼べばすぐ来る。
「とりあえず、火事は二度と起こさないようにして。
そっちで起こった誘拐も解決して。
あと屋台王になろう」
ex11/ ファンタジー交易王
ダイアナ・デルタから共有されているスキル【三角貿易】についておさらいすると。
スキル、物品や金銭、労力などを一律で交渉のテーブルに上げ、交換する場を作るスキルである。
このスキルに場所を問わずアクセスできるようにしたのがウェブサイト、デルタ・トレードだ。
アサヒがマジックアイテムを取り出した。
コピー紙程度の大きさで、見た目はただの板。
この板はデルタ・トレードにアクセスできる。
通常はスマホやパソコンがあれば事困らないデルタ・トレードだが、このマジックアイテムには一定の需要が存在した。
電波を必要としないのだ。
ジャガーもこの板を使って今回アサヒたちを呼び出した。
「これを君にあげる」
アサヒが差し出したそれを眼前の少女、ミリアが訝しげに覗き込む。
「世界中の人と交換ができるマジックアイテムだよ!
欲しいものがあるんだけど、これと交換しませんかって言うの!」
「でもわたし、なんにも持ってない……」
一張羅の布の服、母の形見の石の耳飾り。
ミリアの財産はそれが全てだった。
「いいや、何でも手に入る
欲しいものは何でも。いくらでも」
アサヒが強く断言した。
「最初だけは種銭がいるから、ジャガーさん何か私物出して下さい。
それでカメラを交換してもらおう」
あらゆる場所でエルフの生写真に異様な高値がついている、とても恥ずかしい世界があるのだが。
大体ジャガーが悪い。
きっと何でも手に入る。
ミリアちゃん(68)の生写真
ポケモンの激オモロSSを書いていますよ