陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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カグヤとデートをすることになったハルナはいろいろな場所へと行く話。


第十四章 -【私を恋人にしてくれない?】-

 

喫茶〈アド・ステラ〉。

学校の授業を終えた午後の放課後、二日目にあたるガンプラ体験会を終えた私とカグヤは、都内の中心地のすこし外れにあるこの創業七八年の老舗(しにせ)喫茶店に訪れていた。

 

そこでカグヤはナポリタンとコーンスープ、ビーフシチューのセットにホットコーヒーを頼んで私も同じメニューを注文していた。

あんまりお肉類は食べたくないんだけど、カグヤとならなんとか食べられそうかな?大丈夫だよね私?吐かないよね……?

 

「誘ったのはおれだけど……あんまりこういうの慣れてないんだよな」

「そうなの?意外だね」

 

私にとっては手慣れているもんだと思ってたけど、そういうわけじゃないんだね?生徒会でよく見る女子二人とも行ったりしなかったってこと?そんなのあり得るのかな?

 

「……っていうかさカグヤ?」

「なんだよハルナ」

「模型部の件ってなんで上手く進まないの?どうなってるの?」

 

私が気になったのはガンプラ体験会を成功させはじめているのにも関わらず、GP・デュエルの公式戦基準でエリカたちと彼に勝てなければいけないことに疑問を抱いていた。

そもそも模型部としてなら部員を集めて活動するわけだから結果を求めてくるっていうのはわかることだけど。

 

でも、わざわざGP・デュエルで対戦しなくちゃいけない理由ってなんなの?

 

「……それには生徒会と先生達の間に見えない壁があるみたいなもんなんだよ、おれに掛け合ってから模型部再興の活動をはじめられただろう?」

「そのことに関しては感謝してるけどさ……それとこれとは話が違うじゃん?」

「先生達を納得させる条件を提示しないとそもそもおれたち生徒の活動は出来ないに等しいものだって君でもわかるだろう?わかってくれよ」

「そこまで言うんなら……わかったけどさぁ……」

 

会話をしていると注文していたメニューが運ばれてきた。

出来たてほやほやのあたたかい夕食に、私とカグヤは待ち望んでいた。

 

「こちらビーフシチューです、お熱くなっておりますのでご注意ください」

 

最初にテーブルに並べられたのは熱々のビーフシチューだ。

ほどなくして、メインであるナポリタンが届けられる。

 

「こちらナポリタンです、それではごゆっくりどうぞ」

 

ホットコーヒーは二人とも食後に飲むと伝えてある。

さぁさぁ食べよ!食べよ!

ゆっくりと食べはじめる私とカグヤ。

そういえばカグヤのことなんも知らないや、なにか聞こっかな?生徒会長になったのっていつなんだろう?

 

「えっと、カグヤが生徒会長になったのっていつぐらいなの?」

「二年生になったときから、だね」

「なにそれ大抜擢じゃん」

「……なんというか学年成績トップなとこもあるけど、他のクラスメイトからの推薦があったようでね、なんか勝手になってしまったみたいで」

「彼女とか簡単にできそうだもんね?なんでいないの?」

「……全部断ってる」

「なんで?」

 

ほんとになんで?それだけできるなら断る理由なくない?

まさかそっちのほう、とか?

なわけないか……?ないよね?

 

「君も知ってると思うけど、おれは金型製作工房T3の息子でね?そのこともあって学業との両立が最低限だから余裕なんて微塵もないんだよ……」

「でも学生なんだから恋愛とかするのは普通じゃない?興味ないの?ほんとに?対象は同性だったりする?」

「いやいや……興味は……あるけど……いろいろその……」

 

その?なに?なんかあるわけ?

 

「……両親がいつも喧嘩してて、あんまりいい印象ないんだよそういうのに」

 

あ〜……あぁ……そういうことね。

つまり苦手意識があって、踏み出せないってことだよね?

 

「じゃあさ私と恋人になるっていうのは?別に本気でとは言わないよ?」

「……おれにいってるのか?」

「話してるのはカグヤだけだよ?ほかに誰がいるの?」

 

いま私が話をしてるのはカグヤだけ、あなたしか見てないんだよ?

 

「……ほんとにおれでいいのか?」

「まぁ私そもそも彼氏とかいたことないし、いいでしょ?私にしておきなよ」

「君がいいなら構わないけど」

「やった!じゃあ今日から恋人同士ね?」

「よ、よろしくたのむよ」

 

ナポリタンとビーフシチュー、そしてコーンスープを平らげた私とカグヤは食後のコーヒーを待っていた。

 

「……こちら食後のコーヒーになり──」

 

店員さんが持ってきたホットコーヒーが私の服に溢れてしまい汚れてしまう。

 

「申し訳ありませんお客様!すぐに拭くものと替えのものを持ってきますので!少々お待ちください!」

 

慌てた店員さんが手をあたふたさせて私を気にかけていた。

 

「大丈夫かハルナ……?」

「大丈夫だいじょうぶ!店員さん疲れてたのかな……?」

「店員さんより自分の心配をしなよ」

「あははは……」

 

こんなときもあるよね、っていうかそこまで気にしなくてもいいのに……真面目すぎじゃない?

 

「こちらタオルになります、替えのコーヒーをお持ちいたしましたのでどうぞ」

 

私の汚れた制服を拭くために店員さんはタオルとコーヒーを携えてやってきた。

 

「すいませんご心配をおかけして!」

 

「いえいえ、こちらのミスですので!やけどとかはなされてませんでしょうか?」

 

コーヒーをこぼした場所は私の履いている網タイツだ、皮膚との接触が近いこともありかなり店員さんが気にしていた。

 

「大丈夫です!こういうのには慣れてるので!」

「そ、そうですか……?もし大事なようなら病院に行ってくださいね?」

「わかりました……!ご心配いただきありがとうございます!」

 

ホットコーヒーを飲み終え、喫茶店を立ち去る私とカグヤ。

 

「ほんとうに大丈夫なのか?」

「気にしないでいいよ!それよりつぎはどこにいこっか?」

「行きたい場所とかあるのか?あるならそこでいいが」

「カグヤの行きたいところでいいよ、私この場所のこと知らないし」

 

そうして私たち二人は地下鉄をつかって街の繁華街へと向かった。

 

☆☆☆

 

地下鉄に乗ってから二〇分、降り立った場所で遊ぶ場所を探す私とカグヤ。

 

「これってなに?」

 

私が指をさした建物に目を向けるカグヤがこう答える。

 

「そこは……電波塔だよ」

「でんぱとう?ってなに?」

 

イルミネーションに照らされる赤い塔を見上げて私はカグヤに質問をした。

 

「通信を繋ぐ重要な建物だよ、テレビから交通網に使われるものまであって暮らしに欠かせないものなんだ」

「へ、へぇ〜……!私の世界にはこんな大きい塔なんて見たことなかったから新鮮!」

「そういえば気になってたんだが、ハルナはほんとうに“ここ"で生まれたわけじゃないんだよな?」

「前に見せたでしょ?他の人たちには私にあるものはないじゃん?それが答えだよ」

 

前にベールを取ったのを見せたのはあなただけなんだからね?エリカとアカネにさえ見せてないし。

それでも私を信じてくれないの?

 

「そっか、なんでおれに話してくれたんだ?」

「なんかわかんないけど……怖い人じゃなさそうだったから」

「でもGP・デュエルで戦ったときおれは君に失礼なことを言ったろう?それでもか?」

「あ〜あのときはアカネがまともに戦う気がなかったからイライラしちゃっただけ」

「そ、そうか……」

 

どうしたの急に?私ってそんなに怖いの?

 

「私のことほんとは嫌いだったりする?」

「そういうわけではないんだが……まだちょっとな」

「まぁいいけど」

 

そうこう歩いているうちに繁華街の店に入ることになった私とカグヤ。

歩いていると一つの模型専門店を見つけ、そこで買い物をすることにした。

 

☆☆☆

 

模型&ホビー専門店〈AXIZ(アクシズ)〉。

都内にあるこの専門店はプラモデルの数はもとより、工具類や塗料、それに周辺機器に至るまで揃う都内最大級のホビーショップだ。

 

「そういえば私のガンプラってまだ塗装とかしたことないんだよね?カグヤ教えてくれない?」

「構わないが……店員さんに聞かないと」

 

エリカたちはいつも自身のガンプラを持ち歩いていたのを見ていた私は、カバンから組み上げたガンダムポータントを取り出す。

 

「あのすいません〜!塗装とかってできたりしますか?」

 

カグヤが店員さんに尋ねると塗装や工作スペースがあるところに案内された。

 

そこには大量の瓶塗料とエアブラシと呼ばれる道具にマスク、塗料を吸い込むブースに筆までありとあらゆるものが揃えられていた。

 

「おぉ〜!こんなにあるんだね〜!」

「もしエアブラシを使うならマスクを付けてくれ」

「わかった!わかったって〜!」

 

カグヤに促され、マスクを着用してガンプラのパーツをバラして塗装に入る私。

えぇ〜と、どれにしよっかなぁ?とりあえずオレンジにしよ!好きな色だし!

 

「おれは店内で買い物してるから終わったら呼んでくれよ」

「えぇ〜!彼氏なんだからそばにいてくれるんじゃないの〜?いけずぅ……」

「あぁもう!わかったから!」

 

案外チョロいのかもしれない。

ってか実際女の子をひとりにするのは彼氏としてはダメなんじゃない?

 

「それでなにか困ったことはないか?」

「んん〜塗装ってどんなふうにやればいいのカグヤ?」

 

塗装とかはじめてだし、経験者に聞くのが一番だよね?

 

「だいたい30cm程度離れてからゆっくり薄く馴染ませるようにやってくといいよ、塗料とうすめ液の比率は大丈夫なんだよな?」

「比率ってそんなに重要なの?」

「塗料が多すぎるとダマになりやすくなったりするから、コップに入れてかき混ぜてほどよく底が見えるくらいに薄めないと表面がザラついてしまうんだよ、湿度が関係したりするから日によって変わることもあるけどね」

「そっか、それは重要だね」

 

ガンプラのパーツと睨めっこしながら私は、自分のガンプラであるガンダムポータントを自分色に染め上がていく。

おぉ〜!これが塗装なんだね!結構体力つかって疲れるけど色がついてくるとめっちゃ楽しいじゃん!

 

およそ三時間ほどかかって全パーツを塗り上げた私は、乾燥して手で触ってもいいくらいになったのでもう一度組み上げていく。

 

「できた〜!これが私のガンダムポータント!」

「ようやく出来たようだね」

「教えてくれてありがとうカグヤ!かっこいいねコレ!」

「楽しめたようでなによりだ」

 

閉店時間が迫ってきたため、カグヤは先に買い物を済ませて店先で私を待っていた。

 

使った道具を片付けて私は店内をあとにする。

 

「待たせてごめんねカグヤ〜」

「別にいいよ、さてこれから帰るか」

「えっ?帰るの?恋人になったんだしどこかで泊まろうよ」

「……ちょっとまて、泊まるってなんだよ!」

「いやだから、近くのホテルに──だめ?」

「さすがに早すぎないか?まだお互いのこと知らないんだぞ!?」

「いいじゃんべつに!いこ!」

「おいちょっと〜!急に引っ張るなよ!」

 

私は右手でカグヤの左手を掴んで徒歩数分圏内にあったホテルへと入っていった。

 

☆☆☆

 

ホテル〈スウィート・ウォーター〉。

都内にあるビル型のこのホテルは、出張などで使うサラリーマンや旅行先で訪れた家族などいろいろな人が使用する滞在場所だ。

そこでホテルに着いた私は汗をかいたこともあり、カグヤを部屋に待たせてシャワーを先に浴びていた。

 

「そういえばこの痕……カグヤはどう思うんだろう……」

 

心配になりながらも温水シャワーを浴びながら体から出た汗を流していった。

 

◇◇◇

 

「……待たせてごめんねカグヤ?」

「あぁ終わったのかハル──おゔぇ!?」

 

どうしたのカグヤ?私になんか変なとこある?

 

「なんでタオルのままなんだよ!服を着ろよ!そこにあるだろうよ!恥ずかしくないのかよ!」

 

あれぇ〜?私のからだを見て興奮しちゃったのかなぁ?顔が真っ赤だぞぉ〜?

 

「……べつにカグヤにならいいよ?それに私たち恋人じゃん」

「それとこれとは話が違うだろ!」

 

あぁもう!じれったいなぁ!こうなったら押し倒してやるっ!

 

カグヤをベットに押し倒した私はじっと見つめ合った。

 

「……ハルナその痕って──」

「ようやく私のからだ見てくれたね?これね……病気の後遺症なんだ」

 

そう、わたしはウイルスにおかされて体の胸から下にぽつぽつと赤い痕が残っている。

これでも彼は私を受け入れてくれるのかな……?

 

「……つらくないのか?」

「いまは平気だよ?たまに薬飲まないといけなくなるけどね」

「そ、そっか……」

「で、カグヤはどうしたいの?」

「どうって……?」

「ヤりたくないの?私と」

 

私は彼を誘っている。

紛れもなく誘惑している。

べつに減るもんじゃないし、彼ならいいかなってだけだけど。

 

「いいんだな?おれで」

「めちゃくちゃにあなただけのものにしていいんだよ?」

 

私とカグヤはその夜、お互いの肉体を己の欲望のままに(むさぼ)りあった。

 

***

 

 





喫茶〈アド・ステラ〉
カグヤがハルナとの待ち合わせ場所に指定した都内にある創業七八年を超える老舗の喫茶店。ランチタイムには多くの常連客で賑わう。

模型&ホビーショップ〈AXIZ〉
ハルナがカグヤと訪れた場所でエリカたちも利用しているホビーショップ。
ここでハルナは自身のガンプラである「ガンダムポータント」をはじめて塗装することになる。

ホテル〈スウィート・ウォーター〉
カグヤとハルナがデート先で宿泊することになる施設。

***

ダイバー:ハルナ

ガンダムポータント:追記

形式番号:GNW-100P/H
武装:GNビームライフル
GNピアスソード
   GNビームサーベル×2

ビルドダイバーズ二次設定
ハルナがはじめて製作したガンプラ。
GBNで使用した際は素組みの状態であったが、カグヤと訪れたホビーショップにて彼女の好きな色であるオレンジに塗装され完成度が向上している。

***


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