陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。 作:神宮寺Re ⑦
「私、カグヤ生徒会長と付き合うことになったから」
いつものお昼どきの屋上でハルナが開口一番に言い出したことにわたしは
「……えっと、ごめんもう一回いい?かな?」
「だから生徒会長と付き合うことにしたって言ったの」
「それっていつから?」
わたしに続くようにアカネがハルナの話に耳を傾ける。
「おとといから、もうホテルにもいったし」
「……も、もうホ、ホテルにもいったってぇ!?」
わたしが一年かけて彼氏だったアキトとそういう風になるまでかかったのに!?知り合ってまだ二ヶ月くらいしか経ってないよね!?どうなったらそういうことになんの!?
冗談じゃないよね!?……あ、あれ首元になんか小さく赤い痕みたいなのが見え──。
キ、キ、キスマークってことぉ!?
ま、ま、ま、マジじゃんこれ!そういうことヤッたっていう証明じゃん!……これが陽キャの行動力なの?なにそのスピード感……こわ。
「っていうか生徒会とはGP・デュエルで戦うことになるんだよハルナ!?いいのそれで!?」
「それとこれとは話が別だよ、私たちが負けるとは思ってないし」
「どこから湧いてくんのよその自信は……」
アカネが呆れながらもそんなことを吐き出す。
「だって二人ともGP・デュエル経験者なんでしょ?負けるわけないでしょ」
「なんたる信頼感……わたしそこまで強くないんだけど……」
決勝戦でカグヤ生徒会長には負けたし、それに前だって勝てなかったのに。
……と、わたしがFG○にログインしようとすると──。
「あ、あれ?なんでログインできないの?なんで!?」
「どうしたのエリカ?ソシャゲでなんかあったの?」
「わたしのアカウントにログインできなくなってるんだけど……とりあえず運営に問い合わせなきゃ……」
いつもプレイしているソシャゲがなぜかログインできずにはじめられないでいた。
すぐにわたしは運営に問い合わせメールを送って、対応を待つことになった。
「大丈夫なの……?」
心配そうに弁当を食べながらアカネはわたしを見つめる。
「問い合わせはしたから大丈夫とは思うけど……」
(まさかこんなときにアカウント乗っ取り?……勘弁してよもぅ)
わたしの完凸したバーサーカーがぁ!これまでの育成してきた時間を返せぇぇぇぇえええ!
☆☆☆
ガンプラ体験会最終日。
テスト期間の終了を告げるこの日は、体験会終了後にわたしたち三人と生徒会によるGP・デュエルでのエキシビジョンマッチが体育館で開催されることになった。
大会用に調整されたGP・デュエルの筐体とそれに集まるように入ってくる生徒会の面々と先生たち。
観客にはガンプラ体験会を終えた生徒やカグヤ生徒会長を見にきた在校生でいっぱいになっていた。
「それではこれより先生立ち会いのもと、生徒会および模型部もといガンプラ同好会による
副生徒会長であるトオルによってわたしたち三人と生徒会のメンバーが向かい合う。
「GP・デュエル全日本大会の規定に基づき、ガンプラ損傷ダメージレベルは最大レベルのSで行います、またガンプラが場外に出た場合は破損扱いとなります。勝敗は最後に残ったガンプラが多いほうとします。それでよろしいですね?」
「ああ、構わないさ」
橘輝夜生徒会長が説明を受けて背筋を伸ばしてやる気に満ちた表情で頷く。
「わたしたち三人で倒すよ!ガンプラ同好会!行くよっ!」
「よし、やるかっ!」
「……ま、なんとかでしょ」
すると、カグヤ生徒会長の左右にいた書記である
「カグヤ生徒会長……?あの、はじめてなんですけどいいんですか?私達で?」
「大丈夫なんですか?……やったことないんですよ?」
「カオリくん、そしてユイくんはおれのサポートに徹してもらえればいい」
「わかりました生徒会長」
「……で、できるかなぁ」
「期待しているよ二人とも?」
「「は、はいっ!」」
カグヤ生徒会長だけかと思ったけど書記と会計もいるのね……
このバトルに勝てないと模型部再興はまた夢のまた夢なんだ、絶対勝たなきゃ……いけないんだ!
☆☆☆
ニューホンコンシティ。
機動戦士Zガンダムおよびその劇場版に登場。
主人公であるカミーユ・ビダンが道中で出逢った少女のフォウ・ムラサメと恋仲になり、互いを知り合っていた最中にティターンズが開発した大型MAサイコガンダムが街中へと来襲。
そのパイロットであるフォウは反地球連邦組織であるエゥーゴのカミーユと敵対することになり、ホンコンは戦禍に巻き込まれてしまう。
錯乱状態となったフォウはスードリに特攻し、爆散した。
「ガンダムエピオングレイシャー、カグヤ……片をつけさせてもらう!」
「ガブスレイ!カオリ!でますっ!」
「同じくガブスレイ!ユイ!いきます!」
発進される生徒会のガンプラ三機。
続くようにエリカたちも……
「デスティニーガンダム・ルヴァンシュ!エリカ!やるよ!」
「ガンダムシュヴァルゼッテ・ハンティア!アカネ!いくよっ!」
「ガンダムポータント!ハルナ!……勝つよ!」
◇◇◇
エリカたちにとってはおよそ三回目となる市街地戦闘だ。
アカネが指示役となったわたしたちは、戦術を考えた。
「ハルナは前に出て!そのあとにエリカ!戦術フォーメーションS34でいくよ!」
「わ、わかったよアカネ!」
「おっけい!」
アカネからの指示である戦術“フォーメーションS34”はガンダム00にて刹那のエクシアとティエリアのヴァーチェが対スローネ戦で使用したものだ。
GNフィールドを張った砲撃型であるガンダムヴァーチェの後方に近接型のガンダムエクシアが待機し、相手から攻撃が行われた際に互いを連携しあうもの。
「GNフィールド展開──!」
ハルナのガンダムポータントが粒子の膜を張って先制していく。
続くようにエリカが後方に待ち伏せ、カグヤたちの攻撃を待っていた。
アカネはエリカが見える位置に陣取って狙撃態勢へと移行する。
「わたしたちじゃない……!?」
それをみたカグヤはハルナのガンプラには興味を示さず、アカネのもとへと龍型に変形させ近づいていく。
「最初から狙いはあたしってことね──!」
「露払いをさせていただこうか……!」
急速に人型に変形させたカグヤは両手に掴んだ〈ビームソード〉をアカネが使用するスナイパーライフルめがけて近接戦を仕掛ける。
「……二度同じ手は!通用しないっての!」
アカネはライフルを持ち替えて、ツインサイズを形成させた。
「それはどうかな──!カオリくん!ユイくん!」
「「生徒会長!」」
カオリとユイの操るガブスレイが持つ〈フェダーイン・ライフル〉から射撃を喰らってしまうアカネ。
(……あの生徒会の取り巻き!ほんとうにGP・デュエルはじめたばかりなの!?)
☆☆☆
何度も撃ちだされる射撃によって視界が見えなくなっていくアカネ。
RX-110 ガブスレイ。
機動戦士Zガンダムに登場。
木星から帰還したパプテマス・シロッコによる技術援助によって製造された可変TMS。
戦いの中で恋仲になったジェリドとマウアーが搭乗し、宇宙へと上がったカミーユがゼータガンダムを受領後にティターンズによる急襲を受けて、戦端が開かれる。
戦いの中で彼を慕うマウアーはジェリドを庇って戦死した。
アカネの危機にエリカとハルナは助けに向かった。
「……ど、とうすればいいの!?」
「生徒会長を先に叩くしかないよっ!」
だが、ハルナは彼と恋人になったことで迷いが生じていた。
たかが遊びといえど彼のガンプラを傷つけたくない。
その気持ちだけが、彼女の行動に現れていた。
「……ごめん私、やっぱり戦えないや」
「なんでよハルナ!?模型部の再興がかかってるんだよ!?」
そうエリカに言われてもハルナにとっては、敵となっているカグヤのことを心配していた。
以前に戦ったときとは違って彼女には戦う理由がない。
「私やっぱり悪い女の子だからさ……!エリカはここで倒されてよ!」
「なんなの……!ねぇ!ハルナってば!やってる事おかしいんじゃないの!?」
模型部の再興の目的に反するようにハルナはエリカに銃口を向ける。
その状況にエリカは理解が追いつかないでいた。
それを見ていたカグヤは──。
「……おれの前に敵として現れるんじゃねぇ!」
「なによっ!?いまはあんたの味方だよ!ちょっかい出さないで!」
ハルナの言葉はカグヤに届かず、互いのガンプラがぶつかり抱き合った。
そのままカグヤは場外に向けて力強く操縦桿を動かして突き落とそうとする。
「……このときを待ってたよ!」
絡み合ったカグヤとハルナのガンプラを視認したアカネはスコープを覗きこみ狙撃を行った。
「ぜったいに負けてたまるもんかっ──!」
「生徒会長をやらせはしないんですから!」
カグヤを狙った攻撃の間に入るカオリのガンプラが、その攻撃によって大ダメージを受け、退場していく。
(あいつ……!自分から身代わりになるなんて!)
「……ちっ!」
舌打ちをするカグヤ。
カグヤはハルナのガンプラめがけて左脚を蹴り上げてビルへと叩きつけた。
「……ちょっとカグヤ!なにすんの!」
「そこでおとなしくしてろ!これ以上おれをイラつかせるな!」
「ふざけないでよ!」
そしてカグヤはエリカへと接近を試みた。
「きみは……!おれに勝てないことを教えてやる!」
二振りの〈ビームソード〉を使ってカグヤはエリカのガンプラに近接戦を仕掛ける。
対するエリカは背中から〈アロンダイト〉を取り出して応戦した。
「……負けてらんないんだよ!こっちはぁ!」
切り結ばれる剣先、だがカグヤのほうが一枚上手だった。
右手で受け止めた〈アロンダイト〉を強引に振り切り、左手にある〈ビームソード〉で胴体部めがけて斬撃を繰り出す。
大きく傷がついたエリカのガンプラ。
そして〈アロンダイト〉は損壊し、使いものにならなくなっていた。
「この程度でわたしが倒せるとでも!──ジョイントロック……!強制解除!」
〈アロンダイト〉を投げ捨てるエリカ。
そして左側にまとめてある翼の一つが切り離され、
「……飾りじゃなかったのかその翼はっ!」
「わたしのことあんま舐めてんじゃあないよ──!」
左手に持った扇状のビームサーベルをカグヤへと反撃に使うエリカ。
だが──その攻撃はユイの射撃によって阻止された。
「カグヤ生徒会長!まだ戦えます!援護します!」
エリカの使用した翼が攻撃を受け、使用不能になってしまう。
対抗手段をなくすエリカ。
手元にはライフルとブーメラン、そしてハイメガキャノンしか残されていない。
危機に陥ったエリカの目の前を狙撃が掠めていく。
「……アカネ!」
「その程度で……!おれに勝てると思うなよ!」
再度〈ビームソード〉でエリカのガンプラめがけて振り下ろすカグヤ。
勢いよく振り下ろした〈ビームソード〉は、エリカのガンプラの右半身を削ぎ落としていった。
「…………どうして勝てないっ!」
エリカは残る攻撃手段が〈ハイメガキャノン〉しかないため、それを使いカグヤへと砲撃を差し向ける。
「これで!」
「この至近距離からだとっ!」
放たれた〈ハイメガキャノン〉がカグヤに直撃を受けようとしたとき……
「お慕えしています……!生徒会長!」
放たれた攻撃がユイのガンプラに当たり、彼を守るように撃破されていった。
「ユイくんっ……!」
生徒会側のガンプラはカグヤの機体だけとなり、エリカたちが戦闘可能なのは実質二機となっていた。
「……これではもう戦っても意味がないな」
カグヤはタッチパネルを操作して、バトルから棄権することを選択する。
「──〈BATTE ENDED〉」。
無事エリカたちが勝利を掴み、エキシビジョンマッチは終わりを告げた。
ほ
「……お疲れ様でした、これにより模型部の活動を承認します」
その一言によってわたしたちは緊張から解けたように安堵の表情を浮かべた。
「……勝ったよエリカ!」
「そ、それはそうなんだけど……」
「私の出番あんましなかったね」
そうなんだけど……
ハルナはなんで裏切ろうとしたの?
ちょっとわたし意味がわかんないんだけど、なにがしたいの?どういうつもりなの?
「なんでハルナはわたしに攻撃しようとしたの?」
「戦う必要ないんだから当たり前じゃない?ここで勝っても負けてもたいして変わらないじゃん」
変わらない……?なんでどうしてそうなるわけ?
模型部の活動はどうでもいいってこと?
本気でそんなこと思ってるの?
本当にわたしたちの味方なの?
なに考えてるのハルナ……?
「……それよりも疲れたぁぁ!はやくカグヤと一緒に帰らないとなぁ〜」
……ちょっと、わたしの気持ちはどうでもいいの?
友達って言ってたのは嘘ってこと?
そんなわけないよね……?
「家に帰るよエリカ、あんたのガンプラも破損しちゃってるんだから」
「わ、わかったけどさぁ……」
ハルナのGP・デュエルでの行動に対する疑心が奥底に残って、落ち着かないわたし。
それを見かねてかアカネが……
「たまには一緒にどっか食べに行こっか?ハルナは生徒会長と帰るみたいだしさ?」
「……えぇ〜?また行くの〜?」
模型部の活動が認められたこの日はアカネと夜食を食べに街中へと歩いていった。
***
三宅 佳織:橘輝夜の側近である生徒会の書記。
枢木唯:同じく側近の生徒会の会計。
使用ガンプラ
RX-110 ガブスレイ
武装:フェダーインライフル
肩部メガ粒子砲
ビームサーベル×4
脚部クロー
ビルドダイバーズ二次設定
都立星羅高等学校現生徒会の三宅 佳織および枢木唯のふたりが使用するガンプラではじめてながらもGP・デュエルで善戦する。
製作は橘輝夜が行っており全塗装で完成されている。