陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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復讐相手のダイバーを見つけたエリカは……


第十七章 -【茜色に染まる宇宙】-

 

「あれ……?サーバーサイド3にログインできないんだけど……?」

 

いつものようにGBNにログインしようとしたわたしは使っていたサーバーにアクセスできないことに違和感があった。

 

……なんで?なにが起こってるの?

定期メンテナンスとか?そんなアナウンスとかあったっけ?

メールフォルダを見てみてもそんな文言は確認出来なかったためにため息をつきながらも……考えても仕方ないや、他のサーバーにいこっと……

 

わたしは再度サーバーサイド6にログインし、自身のガンプラとともにアイドル活動を再開していた。

 

「ザク・ブロッサム!エリカ!奏でるよ!」

 

◇◇◇

 

〈オーブ〉連合首長国。

機動戦士ガンダムSEEDに登場。

カガリ・ユラ・アスハを首謀とする南太平洋ソロモン諸島に存在する島国である。主人公であるキラとは双子関係にあたり、たびたび戦果に巻き込まれる。

続編であるSEED destinyではシン・アスカと敵対するが、大気圏からラクスとともにキラが現れたことで危機を脱する。

 

劇場版であるSEED freedomでは〈ファンデーション〉による軌道間全方位戦略砲〈レクイエム〉によって国家の存亡の危機に瀕した際、デスティニーガンダムおよびアカツキガンダムの防衛によってそれを免れている。

 

多くのビル群を見渡しながらエリカはふたたびGBNで歌を響かせる。

 

「──♪」。

 

ザクの手のひらで手を振りながら想いの丈をぶつけていく。

GBNで最初に歌ったときと同じく、誰もエリカのことを見ているわけではなかった。

 

それでも彼女は己の目的である復讐のために、いま、ここで自身を際立たせようとしている。

 

どこからか彼女に向けられる視線を感じ取った。

でも、ここにはいまのところ他のダイバーの姿はない。

冗談かと思うだろうが、エリカの視界の中には誰もいない。

 

「……なんだろう?見られてる気がするんだけど誰?」

 

寒気を感じつつもエリカは変わらず歌唱を続ける。

歌っていたビル街から場所を変えようと、彼女はガンプラに搭乗する。

 

「さて──どこにいこうかな……」

 

どこに行こうか考えても、彼女は行くあてもあるはずがなくただ惰性でGBNの空を飛翔していた。

 

変わることのない風景に退屈しつつもエリカはガンプラを動かして、この世界を探索(ダイブ)していた。

 

☆☆☆

 

ラグランジュ3。

機動戦士ガンダム00 2ndシーズンに登場。

リボンズ達イノベイター率いる外宇宙航行艦〈ソレスタルビーイング〉号を発見したプトレマイオスは最終決戦に向けて各ガンダムマイスターのガンダムに追加装備を加えた上で出撃する。

 

待ち受けるアロウズ艦隊を撃退した彼らはイノベイターたちと邂逅し、それぞれの想いを背負って人類の未来を切り開いた。

 

エリカの目の前に身の覚えがある背中から赤い粒子を放出するガンプラが視線の中に入る。

その瞬間からエリカは画面のパネルを操作してフリーバトルモードへと強制移行させていく。

 

(……あのガンプラ!……あいつは!あいつだけは見間違えるはずがない!)

 

見間違えるはずもない。

あの光景を忘れずはずがない。

間違えるはずがない──!あのガンダム(スローネドライ)だけは!

 

(だってあのガンプラはわたしとアカネを巻き込んだ(いま)まわしき機体(ガンプラ)……!ようやく会えた!ようやく悲観を達成できるんだ!)

(どれだけ!どれだけおまえを倒すためにここまでやってきたと思ってる……!)

(貴様(おまえ)が……!貴様(あんた)さえいなければ──!こんなことにならずに済んだっていうのに!)

 

「──だれ!?」

 

放出し続ける赤く光る粒子。

エリカは己の憎しみの感情を解き放つようにコンソールを操作する。

スクリーン上に表示される"BLAKE DECAL(ブレイクデカール)"の文字。

エリカのザクは周囲に紫色のオーラ(怨念)を纏わせる。

 

(絶対におまえだけは!おまえだけは……!許さない!)

 

右肩部にある〈ビームサーベル〉を抜き出したエリカは復讐相手であるダイバーに近接戦闘を仕掛ける。

 

「……ちょっと!いきなりなんなの!どういうつもり!?」

 

困惑するダイバー。

だが、エリカはお構いなしに力を振るう。

即座にダイバーは〈GNバスターソード〉で斬撃を切り結ぶ。

火花散る双方の剣。

ブレイクデカールを使用しているエリカは問答無用でまともに声を聞こうとしない。

 

「あなたと戦う理由がない!いいかげんにしてよ!」

 

エリカからの攻撃を止めようと必死に訴えかけるダイバー。

なにかが頭の中ではち切れるように、エリカはブレイクデカールの力を増幅させていく。

三倍以上にまで巨大化したエリカのザクは〈ビームサーベル〉を捨てて、ガンプラを左手で強く握り込める。

 

「……おまえが居たせいでめちゃくちゃになったんだ!GBNも!大切な友達(アカネ)も!なにもかも!ぜんぶ!」

「自分だけ不幸ぶればどうにかなるとでも思ってるの……!私だって好きでこうなったんじゃない!」

 

散らばる隕石に叩きつけるように投げつけるエリカ。

大きな衝撃がダイバーにのしかかる。

 

(わたしのことなんでもうどうだっていい……こいつさえ倒せればそれでいい……もとから生きてたって意味なんかなかったんだから……!だからここからいなくなれよ!クソ野郎が!)

 

「……おまえの話なんて聞く必要がない!おとなしくわたしにやられてろよ!」

 

黄色い粒子弾の射撃がダイバーを襲う。

通常の三倍もの大きさになったことで受けるダメージは高速でボウリング球を体に打ち付けるほどの打撃で悲鳴をあげていた。

 

「……きゃぁあああああああ!?!」

 

思わず両眼を閉じ、蓄積されていく痛みに耐えきれないダイバーは意識を失いかけていた。

朦朧とする中でダイバーは左眼を開けてエリカに視線を向ける。

 

「……あなたが苦しんだように私も苦しかった!けどこんなことをしてもどうにもならないよ!私の話を聞いてよ!」

「ぐちぐちうるさいんだよ……!知ったような口を聞きやががってぇええ!」

 

エリカは己の力を振りしきり、〈ビームマシンガン〉を放り投げて両手に〈ビームサーベル〉を発現させる。

 

「死ねぇぇぇえええええええええええ!」

 

両眼のハイライトのないエリカは一心不乱にダイバーのガンプラへと斬撃を振り下ろす。

 

「…………くそったれがぁぁぁぁぁぁ!」

 

両腕を削ぎ取られたことによって行動不能に陥るダイバー。

そして消失していくガンプラ。

 

「……あははははは!綺麗なもんだよね──!GN粒子の光ってのはさぁ!」

 

爆発と同時に赤い粒子が舞い散る。

達成感と喪失感を同時に味わうエリカ。

 

☆☆☆

 

「……やったよアカネ!倒したよ……!わたしの願いは叶ったよ!ねぇ!褒めてよ……!褒めて……褒めてってば!なんでどこにもいないの……わたしはずっとあのときからここに居るのに……どこにいけばいいの……教えてよ……あのときからわたしは死んでたんだよ……いっそのこと死なせてよ……どう生きたらいいかわかんないよ……」

 

もうこの世界で生きててもなにもいいことなんてなかった。

彼氏なんてできても、ただの道具にされていたようで生きた心地さえもなかった。

わたしにとって最初からこの世界はずっと白黒の世界だった。

あのときがむしゃらに逃げずに死んでいてさえいればこんな苦しまずに済んだのに。

 

なんでここまできてしまったんだろう……

もう、どうでもいいよ……こんなわたしなんて……

こんな世界なんて……!どうなったって構わない!

 

『きみを救ってくれるものが現れるよ──』

 

どこからか声が聞こえてくる。

でもその声には聞き覚えはない。

けれど、どこか優しくて、どこか悲しげで、希望に満ちていた。

 

「……ようやく見つけたエリカ!いままでどこに行ってたの!ずっと探してたんだよ!」

 

それはわたしの友人であるアカネだった。

 

☆☆☆

 

「……やったんだよアカネ!アカネを巻き込んだダイバーを倒したんだよ!」

「なにを言ってるのあんた……!」

「なにって……!復讐したんだよ!あいつを!これでわたしたちを切り裂いたやつに会わなくて済むよ!」

 

アカネからの返事がない。

まして復讐のためにGBNでアイドル活動をしていたことにさえも知らないから。

 

「なにそれ……なんなのそれ……!いままであたしのいない間GBNやってたのは復讐のためってこと……?冗談だよね……?」

「それのなにが悪いの……?わたしはずっとあの頃からそうだったのに」

「…………あたしがずっと見てきたのはそんなあんたじゃない、そんなあんたなんて大嫌いだよ!」

「おかしいってアカネ!そんなのおかしいよ!」

「おかしいのはあんただよエリカ!こんなことして楽しいわけ!?バカなんじゃないの……!」

 

アカネは自身のために復讐を果たしたエリカに対して、嬉しさなんか微塵も感じなかった。

むしろそんなことをした友人のことが許せなかった。

そんなことをしてもらうために友達になったんじゃない。

 

(……あたしの気持ちはずっと届かないままだったの)

(ずっとそばで見てたあたしはなんだったの……)

(あたしの大好きだったあんたはどこにいったの……?)

 

「これだけわからないならさぁ!……パーメットスコア!3!」

 

パーメット。

機動戦士ガンダム 水星の魔女に登場。

データストームを転用した軍事兵器「GUND-ARM(ガンド・アーム)」に搭載しているシステムの総称。

巨人であるモビルスーツに人間そのものをリンクさせ、十倍以上もの情報量を乗せて流入させるもの。

そのため身体への影響が顕著に現れ、最悪の場合には植物人間化してしまう弊害を持っていた。

 

アカネの掛け声とともにうねりをあげるガンダムシュヴァルゼッテ・ハンティア。

機体各部位から赤く発色し、エリカへと戦う意志を示す。

軋む関節部位にもろともせず、アカネはただずっと心の宝箱にしまっていた気持ちを曝け出そうとしていた。

 

「ちょっと……!アカネ!わたしたちには戦う理由がないよ!やめてよ!」

「……あたしの気持ちを踏みにじったあんたを許さないっ!」

 

三倍もの巨人に〈ツインビームサイズ〉を形成し、挑んでいくアカネ。

戦う理由なんてものはアカネが決めるものだ。

むしろいままでずっとなにも言ってくれなかったエリカにたいして、怒りの感情を向けるのはなんら間違いじゃなかった。

 

「……それ以上ガンプラの性能を上げたら!もたないよアカネ!」

「それがどうした……!そんなことを気にしてまであたしはあんたに勝てないっていうの!」

「…………そんなこと言ってないよ!もうやめてよ!」

 

エリカの言葉には目をくれずに鎌を振るうアカネ。

その攻撃でさえ、ブレイクデカールを使用しているエリカのガンプラにとっては傷ひとつさえつけられない。

 

「あんたを!あんたをどんな気持ちでここまで見てきたか、知りもしないくせにっ……!大っっっっっ嫌いなんだよあんときから!」

 

◇◇◇

 

……そんな気持ちなんて嘘なはずなのにあたしは真逆のことを言いはじめる。

ずっと前からエリカがおかしいことなんてとっくの昔に気づいてた、けど気づかないふりしてたのはあたしのほうだった。

 

けれど、自身の気持ちにでさえ蓋をしていたあたしはこの感情をどうしたらいいかわからなかった。

 

エリカに彼氏ができたときは一緒に喜んだ。

同時に嫌悪感を抱いたのも事実だった。

ずっと隣にいたのはあたしだったのに。

なぜ、あたしじゃなくてあいつ(アキト)だったんだ。

 

どうしてあたしを選んでくれなかったんだ……

あたしの大好きなあんたはどこにいっちゃったんだ……

 

はじめて会った時からあたしはずっと好きだったのに──!

 

***

 

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