陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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エリカを倒すためこれまで戦ってきたフォースがやってきて共闘する話。


第十九章 -【Sister's Reconciliation】-

 

皮肉なことに半ばレイドボスと化しているエリカの巨大化したザク(ザク・ブロッサム)に向かって自身のガンプラ(ガンダムシュヴァルゼッテ・ハンティア)をつかい猛攻を振るうアカネ。

 

だが、何度やっても攻撃が通じることがない。

たとえひとりでも大切な友達のことをこの最悪の状況から脱しなくてはいけないのに。

 

「……このままじゃ!ダメなんだよ!」

「アカネ!もういいよ!これ以上わたしに構わなくても……いい!」

「絶対やだっ!こんなになっちゃったあんたのこと!見捨てるわけにはいかないっ……!」

 

(届けさせてくれ──!あたしの大好きな気持ちをっ!)

 

涙ながらにエリカは自身のした行動の重さを理解しはじめていた。

 

「……こんなことになるなんて思ってなかった──こんな、こんなの……わたし…………」

 

暴走状態となり、エリカの操縦ではまったく反応を示さないザク。

 

(こわい……こわいよ……なにもかもが怖いんだよ……)

(いっそのこと消えたいよ……)

(どうしたらよかったの……)

(もうなにが正解かわからないよ……)

 

そんな中、一筋の緑色の粒子が駆け巡る。

 

「……ハルナ!?」

「なにがどうなってるのアカネ!?」

 

ハルナのガンダムポータントが援護に入った。

 

「細かいことはあとで話す!いまは暴走しちゃったエリカのザクを倒すことだけ考えて!」

「……わ、わかった!」

 

参戦したハルナによって、連続の射撃がザクを襲う。

だが、なにも変わることなく致命傷に至るまでには届いていない。

 

「二人でなんてこんなの倒せっこないよ!」

「まだだよ!まだ終わっちゃいけない!この世界を嫌いになってほしくないからっ!」

 

するとそこに実弾の攻撃が上空からザクに向かってシャワーのように雨粒が浴びせられる。

 

「どこからの攻撃っ!?」

 

☆☆☆

 

「フォース〈DRY FLOWER(ドライフラワー)〉!カエデ!加勢するぞ!」

「いくよ!ソウビ!」

「おっけい!サクラ!」

 

それはかつてエリカがフリーバトルで戦ったグスタフ・カールを操るカエデ、ソウビ、サクラで構成されたフォースたちだった。

 

「なにがあったのかは知らねえけど!倒せばいいんだな!?」

「協力ありがとう〈DRY FLOWER〉!」

「これは貸しにしとくからなっ!忘れんじゃねえぞ!」

「……そんなことわかってるって!」

 

援護に加わったフォース〈DRY FLOWER〉の三人によって、合計五人のダイバーで対処にあたっていた。

だが、ブレイクデカールの効力はいまだに衰えることがなかった。

 

「……なんで倒せないのっ!」

「まだ諦めるわけにはいかないよ!アカネ!」

「そんなのはわかってるって!けど……!こんなんじゃあ!」

 

◇◇◇

 

「なんなのこれ!?イベントやってるの!?だったらやるしかないよね……!フォース〈MARS RAY(マーズ・レイ)〉!やるよ!あんたたち!」

「「了解っ!」」

 

イベントだと勘違いしたフォース〈MARS RAY〉が続けて加勢に入る。

フォーンファルシアのオリバ、ガンダムグシオンリベイクフルシティのノノセ、ウーンドウォートのクロミも続けて射撃による攻撃を行っていく。

 

ザクを倒すべく八人で対処にあたるもいまだに勢いが衰えずにいた。

浴びせられるビームの実弾の雨によって、少しづつだが形成逆転の兆しが見えはじめていた。

 

はずなのだが──。

 

「……これならっ!いけるかもしれない!」

 

安堵するアカネだったが、俄然として決定打を打てないでいた。

 

(……ちょっと痛いけど!我慢してよね……!ハンティア!)

 

アカネがコンソールを動かしてSPスロットを使う。

 

「──あたしの想いに応えて!〈魔導死相剣(ペイヴァーシュ・ヘルレイン)〉!」

 

通常のMSの二倍以上の威力の増大した長大な双方向に連なる〈ツインビームサイズ〉が顕現し、ザクの右腕にめがけて振り下ろされていく。

 

抉り取られていくザクの右腕に、感触(手応え)を覚えるアカネ。

 

 

「……まだ!……まだダメなのか!」

 

 

◇◇◇

 

「まだ終わってないぞ!アカネくん!ガンダムエピオングレイシャー!カグヤ!でるぞっ!」

「わたしたちだっていますよ!ガブスレイ!カオリ!やります!」

「後輩が……!悲しい思いするのは嫌ですからね!ユイもいくよ!」

 

「カグヤ生徒会長に……カオリ先輩にユイ先輩まで!?」

 

現れたのは以前にGP・デュエルで戦った生徒会のメンバーだった。

十一人でエリカを助けるべく、各ダイバーが攻撃を繰り出していく。

カグヤもSPスロットを使い、関節部を狙って斬撃を向かわせる。

 

二つの〈ビームソード〉を合わせておおよそ通常時の六倍相当の大気圏にまで届いてもおかしくないくらいの粒子の剣が出現する。

 

「──切り裂け!〈戦美双璧斬刃(ディビジョン・ジュネーヴ)〉!」

 

左腕の肘から下を削ぎ落とすも、これでも勝利判定にならない。

 

「……これだけやってもどうして倒せないの!?」

 

大人数で撃破しようとしているのにブレイクデカールによる影響からか、確実な決定打を打てないでいた。

 

そんなとき──。

 

態勢を崩しはじめていたザクにメガ・バズーカランチャー並の威力を放つ砲撃が、脚部に向かってアカネの目前を掠めていく。

両脚を溶解していくその砲撃によって、倒せる見込みがたった。

 

「──なんなのこの威力!?」

 

ダイバー十一人による集中砲火によって、起死回生の一手を掴むことに成功する。

 

「これでならいけるぞアカネくん!」

 

頭部に向かって各ダイバーたちが射撃を繰り出し、ザクは機能停止にまで追い込まれる。

 

「あとすこしだぞ!気合い入れろよっ!」

 

フォース〈DRY FLOWER〉のカエデが、士気を上げるべく声を上げる。

 

「「「「「「「「「「「了解っ!」」」」」」」」」」」

 

浴びせられる大量の粒子の塊と実弾によってザクに穴ボコが開きはじめる。

 

ザクは左手でアカネを掴もうとしたが……

 

「──〈BATTE ENDED〉!」

 

「「「「「「「「「「「よっしゃああああああああああああ!」」」」」」」」」」」

 

暴走状態となっていたエリカのザクが無事に撃破された。

 

***

 

それから数分後、GBNのロビーに戻ってきたフォース〈ASTERLISK(アスタリスク)〉。

 

「……わたし!……わたし」

「いいよエリカ、もう……なにも言わなくていい」

「アカ……ネ……」

 

アカネはエリカを強く抱きしめる。

もう二度と離さないとそう誓うように。

 

「わたしよくないことしちゃった……でもこうしないと自分が許せないんだよ……!……納得なんてできないよ」

「あんたのその気持ちは間違いなんかじゃないから!もうこんなことしなくていいんだよ!あたしが側にいてあげるから」

「……ア、カネ……」

 

エリカは大粒の涙で瞼を腫れさせながら、その場でいままで溜め込んでいたものを吐き出す。

 

(……あほくさ、なによこの茶番は)

 

それを見ていたハルナは冷たい氷のような目でエリカたちを見ていた。

 

***

 

GBN運営管理室。

GBN大型基幹サーバーユニット〈メサイア〉内。

 

ここは各ダイバー情報とそれを管理するログデータの監視を主とするほか、GBN運営によって生み出されたAIダイバーNEMESIS(ネメシス)シリーズ一〇〇人ほどがが日々仕事をこなしていた。

 

「……かつての自分を見ているようで嫌になる」

 

プレイヤーのバトルログを見ていたデュランダルは、エリカによって事件がおきたこの惨状を目に溜め息をしながら小声でそう呟いた。

 

「デュランダル?お仕事中に申し訳ありませんがよろしいですか?」

「あれからの状況はどうだメイリン?」

 

そんな中、メイリンが通信を繋ぐ。

 

「サーバーサイド3の調査結果をお伝えしたく」

「いつもの部屋で聞くのは少々手間がかかるからここで話せ」

「かしこまりました、あなたの指示によって現状サーバーは封鎖状態として処理しましたが被害にあったダイバーが最低でも一〇〇〇人ほど確認されています」

「……思ったより被害規模が多いな」

「早朝によるタイミングと重なったようで、それだけの被害で済んだのは僥倖かと思われますが……ダイバーたちの安否が不明でして何度もやっても応答がないようです」

「あまりいい話ではないな」

「それに加えて、送り主の本当の目的がこちらのデータを丸ごと持ち出すことと考えると対策を講じなければいけなくなると思われます」

「……了解した、リボンズとイゼルカントに至急召集をかけるように連絡しろ、我々三人で対策会議を行う」

「では、そのように……失礼します」

 

(思ったよりも展開が早く進んでいるな……あまり状況は芳しくないと思ったほうが賢明か)

(しかし彼らは何のためにこのGBNを狙ったんだ?)

(どのみちわたしたちのやることは決まっている、そちらがその気なら全力で立ち向かおうじゃないか)

 

***

 

エリカたちと別れたハルナのスマホに通知が入ってくる。

その通知は電話によるものだった。

応答ボタンを押したハルナはその声の主と話しはじめる。

 

「あなたのやることはわかってるわね?」

「……ええ、わかっていますよシーアお母様」

「なら早く連絡をよこしなさい、なんであなたにこの惑星(地球)に行かせたのかわかっているんでしょうね?」

「言われなくてもわかってますよ、それじゃ」

「……ちょっ!ちょっと!ハルナ・ゼナム・ローレライ!返事をなさい!」

 

ぷつりと切れる着信。

 

(……まったく子供のことを都合の良い駒のように扱いやがってお母様は……)

(……私にはやるべきことがあるの、たとえそれがみんなを裏切ることになったとしても)

(だから絶対に間違えるわけにはいかない)

 

それはハルナが抱えるには重すぎる責任と、それに反抗(逃げだ)したい彼女の気持ちが入り混じり、いますぐにでもこの環境から逃げ出したい葛藤の最中だった。

 

***

 

その日の夕方にGBNを終えたわたしとアカネは家に帰って夕食を食べて、テレビを見ながら休憩していた。

 

その中のニュース映像にGBNのことが映し出される。

 

『GBN内においてサーバーが何者かに乗っ取られる事件が発生した模様です、なおこのあとからGBN運営管理者デュランダルによる会見が開始との連絡がこちらに入っています……それではどうぞ』

 

GBNのサーバーが乗っ取られた……?どういうこと?

そういえばサイド3に入れなかったのはこういうことだったの?

 

『ガンダムシリーズおよびガンプラを愛する者たち、わたしはGBNで運営管理をしているデュランダルです。サーバーサイド3による事案につきましては俄然とした対処を我々は行っています。ですが、いまこのGBNは何者かによる攻撃によって均等が崩れようとしています。この侵略ともとれる事案に対しわたしは協力してくれる賛同者を探しています。サーバーを管理できる者、ウイルス対策に長けている者、またGBN内にて調査活動を行ってくれるユーザーを欲しています。この危機に対して、手を挙げられる勇気のある者はGBN運営までメールを送っていただけますと助かります。それぞれの特性に合わせたあなたにしか出来ない仕事をしてもらう予定です。詳細につきましてはGBN運営のお知らせに記載していますのでそちらをお読みください。……デュランダルでした』

 

なんだか大事になってない?

GBNに一体なにが起こってるの?

……わたしたちはこのままでいいのかな?

 

「……アカネ?ニュースみた?」

「ごめんいま片付けしてるから」

 

アカネは食べ終わった夕食のキッチンの後掃除をしていた。

 

(……そんなことより将来のほうが心配だよ!進路調査票になんて書けばいいの!)

(てかハルナなんですぐに帰っちゃったの?またカグヤ生徒会長とイチャコラでもしてんの?)

(バッテリーが切れました、充電してください)

(積みの消化やれてないよ!貯まるいっぽうだよ!)

(わたしのデスティニーガンダム・ルヴァンシュ使えなくなっちゃったし、ザクで今後使わないといけないの……)

(……そういえばガンプラの完成作品の投稿してないや)

 

……ちょっといきなり一気に話はじめないでよ!処理が追いつかなくなっちゃうでしょ!静かにして!エリちゃん!

 

***

 

それから真夜中になり、就寝時間になったわたしたち。

 

今日はアカネが一緒に寝たいというので同じベッドで二人して寝転んでいる。

 

スマホを見ているわたしにアカネが……

 

「……なにやってるのエリカ?」

「あぁこれ?塗装したガンプラの写真をネットにアップしようとしてるの」

「それはじめてどんくらいだっけ?」

「GP・デュエルはじまったときくらいだからどんくらいだろ……?」

「まぁだいたい七年くらいになるんじゃない?」

「そんなにやってたんだ……わたし」

「それよりもう寝るよエリカ……」

 

パジャマを着ていたわたしたちは今日、お互いの体温を感じながら眠りについた。

 

***

 

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