陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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今回から第二巻《ユメノトビラ》の開始です。

※pixiv先行版と一部構成が異なります。

***

第二巻《ユメノトビラ》

『この世に生まれた意味って──。』

あらすじ
義姉であるアカネが生徒会長になり、エリカは一度彼女との距離が縮まったものの束の間、より一層の寂しさが募るばかり。そんな中で模型部の活動に顧問の先生となるミノウ・セナがエリカたちに現れる。セナは生徒会の役員から降り模型部部員となったカグヤと対戦することに。ハルナとの交際が進むも上手くいかないカグヤは心労が重なり疲弊していた。

二度目のフォースバトルに参加したエリカたちのフォース〈ASTERLISK〉はコードネームIRIS-9999のメアと遭遇する。そのなかでメアは『ワタシね?もう一度“人間“になりたいなって……そう思うノ──だからまた逢おうね?エリカおねえチャン』 とだけ告げて立ち去っていく。

これは星を追うものと星に打ちひしがれた者を紡ぐ物語──。

***


第二巻《ユメノトビラ》【AIダイバー編】
第一章 -【顧問が世界大会出場者!?】-


 

都立星羅(セイラ)高等学校。

四月となり学校に植えられている桜の花びらが開花し、気温も徐々に暖かさを取り戻しつつある季節となっていた。

十年前に共学となった本校は、都内にある進学校として有名である。

卒業した生徒の就職率は八割を超えて高く、本校卒業者で活躍している人物も多く存在していた。

 

そしてアカネ(蛭谷暁音)が生徒会長となってから一週間の時が経過したがわたしはなにも変わらず、これといってやりたいこともすぐに見つかるわけでもなく毎日をダラダラと過ごしていた。

 

いつも通り授業が終わった放課後──。

 

生徒会との公式大会基準で戦ったGP・デュエルに勝利したことによって晴れて部活として成立した〈模型部〉は、現状アカネ、ハルナ(七夕陽那)そしてわたしの三人で活動を行っていた。

とはいうものの……

 

「ガンプラ体験会用のガンダム、結局余っちゃったね……これ」

「参加が増えたのは良かったけど三箱残っちゃったかぁ……」

 

ハルナがため息をしながらわたしと目を合わせながら話し合っていた。

予定していた数は生徒たちに行き渡ったのはいいけど、これどうすんの……?

このままにしとくわけにもいかないよね?

かといって部外者に勝手に渡すなんてできないし……

 

「……ところで部活の顧問ってどうなってんのエリカ?」

「顧問……?あぁそういや今日来るって言ってたような?気がしないでも……ない?」

「どっちなのそれ?」

「わたしにはわかんないよ、だってそれどころじゃないもん」

「えぇ〜部長なんだからしっかりしてよ〜」

「押し付けられたのわたしなんだけど!?」

 

そう言われましてもですね?わたしの意志すら無視して勝手に決めさせられた感じなんですけど……?アカネはこんなときに生徒会の仕事の最中だし、困ったもんだよね……どうしろっての……ほんとうに。

 

☆☆☆

 

「やぁ〜暇そうにしてるから見にきたよ?調子はどうだね?」

「……ぅげっ橘輝夜(タチバナ・カグヤ)元生徒会長……」

「おぉ〜!カグヤじゃん!用事でもあったの?」

「なにもないけど、すこしばかり気になってね」

 

橘輝夜。

現三年生となり、この高校の元生徒会長である。

いや、なにもないなら来なくてもいいでしょ……

というか目的はハルナに会いにきたことくらいじゃない?

だって付き合いはじめたばかりの彼女だもんね?

彼女のことは見に来るよね?

わたしですか?

そんなこと生まれてこの方一切ありませんでしたけど?

誰も聞いてない?ごめんさっきのは忘れてください……思い出すのやめたいんですよ……

 

「そういえば今日顧問の先生が来るって話を言伝に聞いてね?」

「さっき話してたよそれ〜」

 

顧問のことより残りのガンプラのことをどうにかしようよ!?どうすんのよこの量!?

ってかわたしの目の前でイチャイチャすんのやめてもらっていい?

嫌味かな?そうなのかな?当てつけなのかな?見せびらかしたいのかな?

 

「……とくに用がないなら帰ってくださいよ元生徒会長さん」

「心外だねエリカくん?おれもこの模型部の(今日から)部員になったのに」

 

……はい?そんな話聞いたことないんですが!?

わたしが書いたときカグヤさんの名前なんて見ませんでしたけど?まさか?ははは……まさかね〜?いやいやいやいや……

 

「……あ〜それ、エリカがひとりで大変そうだからってアカネが書いて出したって」

「職権濫用!この人たち阿漕なこと平然とやってる!最低だよ!」

「まあまぁそう言わずにエリカくん」

 

どうもこうもあるかよぉ!

勝手に話を進ませるなっていってんだよ!

部長になったのわたしなんだから話くらい通すのが筋でしょうよ!なに考えてんのこの人たち!

 

「……ってことは」

「今日からよろしく頼むよ、ハルナとエリカくん」

 

よろしくできるかよ!

一番この状況で得してんのハルナだけじゃん!

わたしになんもいいことないじゃん!

 

「よ、よろしくお願いします……」

 

どこもよろしくできるような気分じゃないんですけどね?

ってかわたしのバイト先にきたときなにしてたの二人とも……

んなことはどういいや、残りの部室の片付けやっちゃおう。

 

「そういえばハルナ?部活終わったらどこ行こうか?」

「ええ〜今日は家に帰るよ〜」

 

だ!か!ら!人前で!仲!良!く!するなって!言ってんでしょうがぁ!このすかぽんたん!

 

「二週間くらいデートしてないんだぞ?」

「それとこれとは話が別だよねカグヤ?」

「……それはわかってるが」

 

一気に空気を悪くしないでよ!こっちの身にもなってくれよ!話すならここじゃなくて廊下でやってよ!

人前でイチャイチャチュッチュする流れに持ち込もうとするな!

 

「さすがに親御さんに話しはしておかないといけなくないかい?」

「気が早すぎるよ〜気持ちはわからなくもないけど」

 

……もうそこまで話進んでるの?ロマンティクス(二人でホテルに行って)しちゃったから?

いや、したのに振られたわたしはいったいなんだったのか……

その真意を確かめるためにわたしはアフリカの奥地へと向か──。向かうな!向かうな!どこに行こうとしてるんだわたしは!

 

砂漠(地球)って、なにもないね」

「誰と話してるのハルナ?」

宇宙(惑星)と交信してる」

「世界観が壮大だね、まるでパニック映画のプロローグとかにありそうな導入だ」

「……ちがう!ちがうちがう!そういうことじゃないですから!」

 

(……ってかさ〜、もう帰りたいんだけど)

(あぁぁぁぁ!録画しておいたアニメ見てないよぉ!?)

(手がいたいので保健室行かせてくれない?)

(わたしの春なんてものは!ありませんでした!閉廷!解散!)

(で、いつまで見せられるんですかこの仲良しカップルの戯言を……)

(ガンプラの改造案がまるで閃かないよ!問いかけても出てこないよ!……あっ、またなんかパーツ落ちてる)

 

「誰かいるのかい?」

「……わたしですか?なんのことです?」

「エリカにはイマジナ(ry」

「あぁ!言うな言うな!もういいからなにも言うなハルナ!」

「べつに隠すことじゃないでしょうよ」

「それはわたしが決めることだよ!」

「えぇ〜……」

「ところで誰なんだい?そのイマジナリーなんとかって言うのは?」

 

その話題はもういいでしょうよ!わたしのことはただのモブだと思ってればいいじゃん!

 

「……あぁえっと、ですねこれにはワケがありまして」

「ワケ……?とは」

 

引き下がってくれよぉ〜たのむよ〜わたしのことを聞いたってなにも面白くないんだからさ〜勘弁してよ……

 

「……ってあれ?誰か来ましたよカグヤさん?」

 

すると扉の前から人影が浮かび上がって──。

 

◇◇◇

 

「ここが復活した模型部……なのね」

「ごめんなさいどなたですか?」

 

わたしがはじめて見たその人に声をかける。

入ってきた大人の女性は白髪ショートの髪型でサファイアのような綺麗な碧い瞳をしていた。

おそらくはモデルと大差ないような長身のスタイルで、スラッと伸びる脚にはグレーのタイツを履いている。

 

「今日からこの模型部の顧問になった美濃 瀬那(ミノウ・セナ)だよ、よろしく頼むよ?」

「先生だったんですね!失礼しました!いまお茶とかを出しま──」

 

わたしはお茶を出そうと脚を運ぼうとしたのだけど……

 

「あぁそういうのはいいよ、ところでちょっとアタシとGP・デュエルしてくれない?この中に全日本大会に出たことがあるやつがいるって聞いたんだけど?」

「……おれのことですか?」

「へぇ〜あなたが?とてもそんな風には見てないね」

「どういう意味ですか?」

「そのままの意味だよ、まるで歩きはじめたばかりの子鹿のような風貌だってことだよ?心外だったかな?」

「おれに喧嘩売ってます?」

 

なんか顧問のセナさんとカグヤがバチバチし出したんだけど!?

 

「……売る価値すらないよ、キミ程度の実力ほどじゃあね」

「ちょっと!少し言い過ぎなんじゃないですか!顧問だからって生徒を貶すような発言はよろしくないんじゃありません?」

「キミのガールフレンドがこうも言ってるよ?」

 

あぁなんかもうこれ止まらないやつだよ!止めなきゃダメなやつだよ!よくない波動がビンビンきてるよ!

 

「私のことはいいですけど、カグヤにひとこと謝ってくれません?」

「じゃあアタシに勝ってくれたらそうしてもいいよ」

「……わかりました、やりましょう」

「ちょっとカグヤ!?相手は先生だよ!?」

「それとこれとは話が違う、おれを怒らせたのはこの人だ」

「血気盛んなことは褒めてあげるけど……彼女がいるからいいところ見せたいのかな?さぞ強いんだろうね?」

「…………なにが言いたい?」

「それはバトルで証明できるでしょ」

 

わたしが止められるような隙はほとんどなく、カグヤさんと顧問のセナ先生がGP・デュエルで練習試合をすることになった。もうどうなってもわたし知らないよ!

 

◇◇◇

 

ゼダンの門。

機動戦士Zガンダムに登場。

ジオンが最終決戦として使用した資源衛星を連邦またそれに近い勢力が一年戦争後に接収したもの。

ハマーン・カーンが率いる公国軍残党は、この本拠地に小惑星〈アクシズ〉を向かわせ激突させた。

その後、ティターンズは大規模な損害を受けてこれまでに培ってきた戦力の多くを失うこととなる。

 

「ガンダムエピオングレイシャー!カグヤ!状況を開始する!」

「ゲルググ!セナ!……お手並みを拝見させていただくよ」

 

双方向から発射された二機のガンプラ。

練習試合であるためGP・デュエルのダメージランクはDとしており、作品そのものが傷つくことはない。

 

カグヤの操るガンダムエピオングレイシャーは機動戦士ガンダムW(ウイング)に登場したその機体を銀色と空色のカラーリングに改められ、〈ビームソード〉を二振りに増加させ出力を上げるために追加でエネルギーパックを備えている。

 

gMS-01 ゲルググ。

対するミノウ・セナが操るガンプラは機動戦士ガンダムジークアクスに登場したもの。

ジオン公国軍のエースである”シャア・アズナブル”が鹵獲した「ガンダム」をリバースエンジニアニングし量産化したこの機体は、連邦系の技術とジオンの系譜がリミックスされていた。

スガイ機は白と赤のカラーリングに彩られ、クランバトル内で戦った「ガンダム」にマブを戦死されたことにより彼女はそれに「執着」するまでに変わり果てる。

静止させようとしたボカタの声は届くことがなく、彼女を止めるにはコックピットを貫くしか方法がなかった。

 

セナのガンプラはジオン公国軍正式配備のカラーリングである濃緑色に彩られ各部位に筋彫りによるディテールアップが施されている。

 

「──本気でいかせてもらう!」

「キミのその力……アタシの本気で応えてあげるっ!」

 

カグヤは両手に力強く握る〈ビームソード〉を顕現させ、対するセナのゲルググに向かって近接戦闘を試みる。

 

「──ほぅ?やる気はあるみたいだね、だからなんだって話だけども……!」

 

セナに急接近するカグヤのガンプラ。

動じることもなくセナは両手に掴む〈ビームライフル〉を撃ち込んでいく。

 

何度も発射された桃色の粒子がカグヤの両脚を掠めていく。

 

「……舐めてるんですか!先生!」

「──は?それはキミのことだろ」

 

(まったく、たかがこの程度の実力で全日本大会に出たっていうのか……聞いて呆れるな)

 

至近距離まで近づいたカグヤは〈ビームソード〉を交互に繰り出して、セナのゲルググを追い詰めようとした。

 

だが──。

 

原典機の三倍相当の長大な〈ビームソード〉を振り回したカグヤの攻撃に意図も容易く交わしたセナ。

 

「……所詮その程度か」

「なんで当たらない──!こんな近くな距離なのになぜだっ!」

「キミはガンプラの性能に頼りすぎているからだよ、考えもなしに力をばら撒けば勝てるとでも思ってるの?」

 

……そう、カグヤはなにも思考を働かせることもなくただがむしゃらに己の力を誇示することだけばかりこだわっていた。

 

「クソがぁぁああああああ!おれに力をよこしやがれよ!──〈ゼロシステム〉!」

 

〈ゼロ・システム〉。

機動戦士ガンダムWの作中内にて使用されたこのシステムは機体の基本性能向上と引き換えにパイロットの負担をすべて無視するものである。

高度な情報分析と予測を同時に行い、脳に直接伝達するインターフェイスだ。

そのためパイロットにはそれ相応の暴走状態にまで追い詰められるため、精神的な負荷がかかってしまう呪われたシステムである。

 

「……うるさいよ、紳士ならもう少し冷静になったらどうなのかな?」

「──おれを怒らせたことを後悔させてやるっ!」

「威勢だけは相変わらずいいんだね、反吐が出るよ……そのウザさは!」

 

頭に血が昇ったカグヤはセナに自身の力を見せつけようと剣を振り下ろす。

それすらセナは左手から伸ばしたピアノ線をカグヤのガンプラの両手に括りつける。

 

「……この程度でっ!」

「反応が遅いんだよいつもキミは──!」

 

ゼダンの門のクレーターめがけてガンプラを動かすセナ。

星を形づくる小惑星の四方の半円状の上部にカグヤのエピオンをぶつけた。

 

「こんなことで……!」

 

「──キミはいったい誰と戦っているのかな?」

 

見下すようにそれを視認するセナ。

もともとセナは彼のことを相手にすらしていなかったことが名実のもとに晒されてしまう。

 

「ちょっと!練習試合なんですから少しは手加減したらどうですか先生!」

 

バトルを見ていたハルナのガンプラであるガンダムポータントが意を切らしたように駆けつける。

 

「ただこの程度の遊びごときにそこまで怒ることないじゃない」

「……もういいじゃないですか!これ以上なにがしたいんですか!?」

「それはキミの彼氏に聞いたらどうだ?」

「ちょっとカグヤ!しっかりしてよ!」

「戦いの間に入るんじゃねえよハルナ!これは先生とおれのバトルだ!」

 

(色恋沙汰(恋人とイチャイチャ)なんかしてる暇があるのなら少しは自分のことくらい知ったらどうなんだいこのクソガキは)

 

「興醒めだよ、今日のバトルはこれくらいにしておくといい……」

「ふざけんなよ!まだはじまったばかりだろうがよ!逃げるのかよ先生!」

「その言葉、そっくりそのままキミに返すよ」

「…………なんだとっ!?」

 

痺れを切らしたセナはバトルを中断させるボタンを押していった。

 

「──〈BATTE ENDED〉!」

 

一気に静まり返った模型部の部室は外で行われていた運動部の掛け声だけが響き渡っていた。

 

***

 




■登場しているキャラクター

旭川エリカ:本作の主人公。十年前に起きた大気圏から突入してきた巨人によって故郷を焼かれており、必死に逃げて生き延びた一人。その戦火で自身を守るために「イマジナリーフレンドエリちゃん」を脳内に住ませており、おかしくなった精神を安定させようとしながら生きている。

蛭谷暁音:エリカと同様に故郷を焼かれており家族を失っている。児童養護施設〈KARABA〉で出逢ったエリカと養子縁組したことで同居する間柄となる。いまでは都立星羅高等学校現生徒会選挙として奔走する。

七夕陽那:転校生としてやってきた女の子。普段からベールを身につけており、修道院〈パラオ〉で子供たちと過ごしたりしている。元生徒会長の橘輝夜と交際をはじめている。惑星〈ローレル〉から来たとエリカたちにカミングアウトしており驚かせている。

橘輝夜:エリカたちと模型部再興に向けて行動している一人。以前では生徒会長として同好会時点で敵対していたが今ではハルナと交際をはじめたこともあり、変わりつつある。

■新登場キャラクター

ミノウ・セナ:過去にGP・デュエル全日本大会決勝戦で夜刀神 鞠愛と戦ったことのある人物。いまだに彼女に対する想いを引きずっている。

使用ガンプラ

ゲルググ(GQ)

形式番号:gms-01
武装:ビームライフル×2
ビームサーベル

ビルドダイバーズ二次設定
かつてGP・デュエル全日本大会に出場したことのある美濃 瀬那が製作したガンプラの一機。大会決勝戦時に夜刀神 鞠愛とのバトルで使用していたガンダムヴァーチェにかわり機動戦士ガンダムGquuuuuuXに登場したゲルググをbeginning劇中内でのカラーリングであるジオン公国軍正式配備カラーである濃緑色に塗装され、工作としてディテールをはっきりさせる筋彫りが各所に施されている。

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