陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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エリカたち模型部に新入部員として九条穂乃果がやってくる話です。
2025年最後の更新です!来年もよろしくお願いします!


第十章 -【新入部員は財閥令嬢!?】-

 

日差しも穏やかに過ごせる季節となってきた五月中旬。

わたしたちが活動する〈模型部〉はフィギュア製作に苦戦していた。

というか……最初に言い出したわたしが一番悪いんですけどね……はははは……

ってか真面目に活動してるのわたしだけじゃない!?

 

「……ぜっんぜん!進まないよぉ!まだ頭のパーツでさえもモデリング出来てないんだけどぉ!?これどうやって間に合わせるの!?」

 

3Dモデリングソフトを使用してキオ・アスノのフィギュアを作りはじめてはいるものの、まともに仕上がってこないことに自分の能力のなさを痛感していた。

 

「……期限まで二ヶ月しかないんだから、少しは余裕もって作業にあたってくれよエリカ」

「じゃあなにかやり方とか教えてくださいよカグヤ先輩!」

「見て覚えろ、って言ったらどうする?」

「なにもそれ教えてないですよね!?というか仕事投げてますよね先輩!?」

「その通りだ、だからまずは作業しやすい小物類からやってみて慣れていくのが手っ取り早い」

「それをもっともっと早く言ってくださいよぉぉぉぉ……!いままでのわたしの労力なんだったんですか!」

 

カグヤ先輩による助言はなんだかマネージャーが隣にいるような安心感があった。

 

「その調子だよエリカ」

「どこがだよハルナ!?」

「……あぁ〜ごめん、つい口を挟みたくなって」

「そんなことするならわたしのこと少しは励ましてよ!」

「まあ、その……がんばって」

「ハルナぁぁぁぁぁぁ……!」

 

って!こういうときにいつも顧問の先生はいないし!アカネもなんか用事あるとかで先に帰っちゃったし!わたしだけなんかバカみたいじゃん!

 

(ところでお姉さん?ガンプラの進捗は?)

(……帰りにクレープでも買って糖分補給したいなぁ)

(カレーうどん)

(……そこのメガネちょっと黙ってて)

(わたしのことなんだけど!?)

(いまは焼肉が食べたいんだよぉ!おにく!おにく!)

(……ガンプラは?)

 

ガンプラ……?え?あぁアレ?いま仮組み(ミキシング)が終わって調整作業中なんだよね……それどころじゃないこの日常でおざなりになっちゃってる(放置しちゃってる)けど。

もうそろそろでサフが吹けそうな感じだし、あとちょっとで完成できる……かな?

 

「上の空で誰と話してたのエリカ?」

「言わなくてもいいでしょ……それよりフィギュアが……」

「イマジナリーフレンドくんか、楽しそうでいいね」

「先輩それ嫌味デスか?」

「それくらい元気なら作業進められるだろ?」

「……そ、そ、そうですね〜」

 

◇◇◇

 

そんな他愛もない会話を繰り広げられていた最中に一人の女性がやってくる。

 

「遅くなってすまないね、活動は進んでいるのかい?」

「やっときたんですねセナ先生!」

「アタシはこの模型部と料理部との兼任でね?いつも来れなくて申し訳ないよ」

「兼任ならそう言ってくださいよ……来ないから心配になるじゃないですか……」

「……それ最初に来た時に言うべきだったんじゃないですかセナ先生?」

「カグヤくん、君は事あるごとに他人にやっかみをするのはほどほどにしないと痛い目に遭うよ?」

「もう遭いましたよ……ついこの前、先生に」

「わかっているのなら学習したらどうだ?元生徒会長なのだからそれ以上すると自分の面汚しになるよ」

「……知ってますよそんなことは」

 

……なんでいつもこんな空気悪いの?わたしのこと考えてる?というかハルナもなんかいいなよ!?

 

「ところで新入部員はまだ入りそうにないのかい?活動をはじめて三ヶ月以上は経っているだろうに」

「……なんで誰も興味持ってくれないんだろうね〜?ね?エリカ?」

「わたしいまフィギュアのことで頭いっぱいいっぱいなんだけど!?」

「なんかごめん」

 

と、模型部のドアがずりずりずりと開いていく。

誰かがやってきたんだろうけど、わたしいまPCと睨めっこの最中だからなんとかしてそこの……三人!

 

◇◇◇

 

「……部員募集の張り紙を見てきたのですけれど、ここであってます?」

「えっと、部活に入りたいってこと?」

「……まぁそんな感じなのだけど」

「名前を聞いてもいいかな?」

「ワタクシは九条穂乃果(クジョウ・ホノカ)と申しますの、すこし……お邪魔だった?」

 

チラッと横顔を見たら紫髪のツインテールで眼の色は……エメラルドの宝石のように潤った瞳をしてた、と思う。

同級生に似たような人はいなかったし、たぶん一年生なのかな……?もしかしてガンプラ体験会とかに来てたりした?

 

こっちはいま忙しいときなんだからこれ以上情報を増やさないでほしいよ!パンクしちゃうよ!わたしのCPUのメモリがぁ!……ヤバいなんかいま処理落ちしそうな勢いになってる。

 

「九条……?あの九条なのか?」

「どうしたのカグヤ?そんなに驚いた顔して」

「〈クジョウ・コーポレーション〉、おれたちが行ったショッピングモール〈ロンド・ベル〉とか〈アウドムラ〉を作るために出資した企業のことなんだが……まさかその娘がここに来ようとは……」

「紹介ありがとうございます、カグヤ先輩」

「……んじゃあ純粋な御令嬢さまってこと?」

「ええ、ワタクシは先にありました通りの娘なのだけど本当に模型部はここであってます?」

「ここであってるよホノカさん?どうかしたの?」

「……こんな小汚いところでよくできますね、と思っただけです」

「ここを作り上げていった先輩たちに失礼すぎるだろその物言いは」

「あれあれ?もしかしてワタクシ怒らせちゃいましたか?世界大会予選落ちのカグヤ……セ・ン・パ・イ?」

 

(なんでそんなことを知ってるの……?)

 

「いまなんつったんだ?先輩に対してその言い方は聞き捨てならないが?」

「……だ・か・ら、予選落ちして呆気なく散ったダサい先輩だって言ったんですよ?事実でしょう?お忘れになって?」

「貴様ぁぁぁぁぁぁ!」

「カグヤ!ねぇちょっと!前もそうだけど売られた喧嘩に手を出すなって言ったじゃん!落ち着いてよ!」

「だったらGP・デュエルでおれが勝つことを証明してやるよ!」

「──カグヤってば!ねぇ!私の話くらい聞いてよ!さすがに怒るよ!?」

 

(あぁ〜この流れ……止められないやつだ……)

(ここにわたしは居なかったことにして無になろう寿限無寿限無)

 

「構いませんけど、負けても泣き言を言わないでもらえますか?」

「いい度胸じゃねえか……!」

「あぁもう!いつもこんなになるんだから私のこと無視しないでよカグヤ!」

「もしかして彼女さんですか?大変ですのね〜」

「……だったら戦うことしなくてもいいじゃないですか!」

「だって先輩がやる気なんですもん、そこは尊重すべきでは?」

「それは……そうかもしれないけど……でも!」

 

***

 

「ガンダムエピオングレイシャー!カグヤ!でるぞ!」

S(スペリオル)ガンダム!ホノカ!いきますのよ!」

 

インダストリアル7。

機動戦士ガンダムUCに登場したコロニーで、『ラプラスの箱』と目されるユニコーンガンダムを極秘裏に所有するビスト家が袖付きとの譲渡のため、マリーダ・クルスの乗るクシャトリヤと宇宙連邦軍が交戦し戦争が再び開始されることとなった場所である。

 

カグヤは出撃した即座に龍型のMA形態へと瞬時に変形させ、滑空していた。

視界に映るビル群を見下ろしながらホノカのガンプラを探す。

 

「……奴は──どこだっ!」

 

映るスクリーンには見る影ひとつも現れない。

彼女の操るガンプラをはやく確認したいカグヤは、そびえ立つ高層ビルに降り立ち、二対の〈ビームソード〉を発振させる。

 

「どこからでも──かかってこいよ!おれを怒らせたこと後悔させてやるからなっ!」

 

◇◇◇

 

『まったく……口だけはいいんですね』

 

見上げた視線上にあるビルに佇み、カグヤのガンプラを確認したホノカ。

自身は橋下の影に隠れて、攻める態勢を整えていた。

 

『──ちょっとばかし遊んでもらいましょう』

 

彼女はSガンダムの分離状態にある三つのパーツの下半身部分であるGボマーを発進させ、陽動作戦を開始する。

 

『すこしは楽しませてくださいよ?カ・グ・ヤ・セ・ン・パ・イ?』

 

◇◇◇

 

「どこからの射撃だっ!?……下からだとっ!?」

 

カグヤの目線から突き上げるように反対側の外壁めがけて放たれる一直線の粒子の渦。

彼のいる場所から、ホノカの場所を逆算して〈ビームソード〉を両手に持ったまま変形させ急降下していく。

 

「生意気なことをっ──!」

 

Gボマーを追いかけるカグヤは誘導さへていることに気づかない。

ただ、むしゃくしゃしたこの感情の吐きどころをどうにかしたい一心でそれを追い続けていた。

 

「こんなわかりやすい作戦にハマるなんてねっ!」

 

カグヤが後ろを振り向くと、Gコアを操る彼女の姿。

見かねた彼はMS形態へともどして剣を振るう。

 

「そこかぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

「……反応が──!鈍いんですよ!」

 

背中めがけて射撃を何度も打ち付けるカグヤのガンプラ。

ついさっきまで追っていた分離しているGボマーのことさえも彼は頭の中に入っていなかったのだ。

 

「これしきのことで……おれがっ!」

 

飛行能力を急激に低下させられたカグヤのエピオン。

滞空する力も残されていないため、制動すら効かずにコンクリートの地面へと落とされていく。

 

「……なんなんだよっ!?どうしたんだよグレイシャー!」

 

◇◇◇

 

「──さて、お遊びはここまでにして本気で行きますか!いくよ〈ALICE〉!」

 

上半身を構成するGアタッカー。

メインユニットであるGコア。

下半身とメイン武装を主にするGボマー。

 

それらを空中に一筋の線を描きながら、合体シークエンスに入るホノカ。

 

各部位がMSを形作って、大きな巨体へと変貌していく。

 

「Sガンダム!ホノカ!推して参る!」

 

MSA-011 Sガンダム。

雑誌企画「ガンダム・センチネル」に登場。

A.E.社がエゥーゴとの共同開発によって生み出され『究極のガンダム』を目指して製造された試作モビルスーツ。

無人MS構想を掲げたことによる試験的に人工知能「ALISE(アリス)」を搭載し、戦闘の素人でもエースパイロット並みの能力を付加させるもの。

リョウ・ルーツ少尉の機体として戦場を駆け抜け、のちに『ペズンの反乱』とよばれる軍事衝突を起こした。

 

ホノカは彼に向かって腰部に据える〈ビーム・スマートガン〉を速射していく。

 

「ほらほら!どうしたんですか!ワタシに勝つんでしょう!?……さっきまでの威勢はどこにいったんですかねぇ〜!セ・ン・パ・イ?」

 

噴煙の中でカグヤは二対の剣を振り切り、視界を広げようとする。

飛び上がった彼はホノカのガンプラへと急速に近づく。

 

頭部から射出された〈インコム〉がエピオンの両腕を撃ち抜き、〈ビームソード〉が地面へと落下する。

攻撃手段を失っているカグヤは迷いなくホノカのガンプラへと突貫していった。

 

「……こいつ!場外に追い込むつもりなの!?だからなに!」

 

ぶつかり合う二機のガンプラ。

ホノカは下半身部分と武装を分離させ、挟み撃ちにしようと行動に移す。

 

「なにをしたっ!?」

「……見ればわかるでしょう!」

 

操縦している半身を犠牲に、ホノカはカグヤのエピオンの胴体部を狙撃するために操縦桿を掴む。

 

カグヤはその場から離れようと腕を解きほぐそうとするも、強固な力によって身動きが取れなくなっていた。

 

「なんだよ!これ!……こんなことでおれがっ!おれがっ……!」

「さようなら──!センパイ!」

 

Gボマーからの射撃が無情にもエピオンを貫いていった。

 

 

「〈BATTE ENDED〉!」

 

 

***

 

 




■新規キャラクター

九条穂乃果:エリカたちの模型部に訪れた〈クジョウ・コーポレーション〉の御令嬢で〈ロンド・ベル〉、〈アウドムラ〉などの大型施設を建設するために多額の資金を出資している。エリカは知らない橘輝夜のGP・デュエル世界大会の初戦で負けた過去を知っている模様。

◇◇◇

使用ガンプラ

Sガンダム

形式番号:MSA-011
武装:ビームスマートガン
ビームサーベル
ビームガン

ビルドダイバーズ二次設定
九条穂乃果がGP・デュエルなどで使用するガンプラ。製作には友人が関わっている。MS形態固定であったHGUCモデルをGアタッカー、Gコア、Gボマーと変形できるようにかなり工作が加えられている。
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