陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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ハルナはカグヤを倒すために奮闘する話&エリカはメアに伝えたいことを言う話。


第十六章 -【煌めく粒子の中で】-

 

ハルナは自身のガンプラの持つ特殊なシステム〈TRAMS-AM-System(トランザム・システム)〉によって機体を紅く染め上げていた。

総合パラメータを飛躍的に一定時間向上させることで、自身のパートナーであるカグヤを倒して起死回生を図るために。

 

ガンダムポータントの周囲には膨大な粒子量によって、宇宙を覆い尽くすほどの明るい緑黄色に輝く光が包み込む。

一方でカグヤは錯乱状態になったことで冷静さを欠き、自分を見失っていた。

 

「……おまえまでおれを!おれを!見捨てるのかよ!」

 

その姿から目を離さずにハルナはカグヤを取り戻すために攻撃をはじめる。

 

「いい加減に私をちゃんと見なよ!あんたが誰と戦ってるのかを!」

「──黙れぇぇえええええええ!」

 

二振りの大型化した長大なる粒子の剣を一心不乱に振り払うカグヤ。

それに対してハルナは傷ひとつつけることなく三倍にも及ぶ凄まじい速度でカグヤに近づくために回避していく。

 

(あのときちゃんとカグヤのことを見てなかったのは私だ)

(だから今度は私が見ないといけない)

(せっかく自分で手に入れたんだからその責任を負わなくちゃ)

(もうカグヤは一人じゃないんだから……!)

 

ハルナの放ったビームライフルの一筋の光線によって、カグヤの操るエピオンの左脚を貫通し、挙動が疎かになる。

カグヤのエピオンとの距離が数メートル近くになったことですかさずハルナは左手にある実体剣で右脚を斬り落とす。

 

「……まだ!まだ終わりじゃねぇ!これくらいでおれが!」

「もう忘れちゃったのカグヤ?」

 

ハルナがカグヤを煽るようにそんなことを零す。

 

「私に勝ったことがない……あなたが!敵うはずないってことをさぁ!」

「──おれを馬鹿にするやつはぁぁぁぁ!〈戦美双璧斬刃(ディビジョン・ジュネーヴ)〉!」

 

カグヤがエピオンのSPスキルを使用してことでハルナに危機が訪れる。

その攻撃を受けてしまえば対抗してきたこれまでの想いも何もかもが無にしてしまう。

そんなことはさせまいとハルナは……

 

「いくら威勢が良くても……!その程度でこの私に勝とうなんて!一〇〇年早いっての!」

 

カグヤのSPスキルが発動する目前でハルナは両腕を一瞬にして切断していく。

 

意図も容易くハルナの攻撃によって手段を失ったカグヤ。

ハルナは臆することなく説得を試みようとする。

 

「これ以上私と戦っても意味ないよ!あなたにはこんなことをしなくてもできることがあるじゃん!」

 

◇◇◇

 

エリカはアカネと離れたことでIRIS-9999(アイリス・フォーナイン)と対峙していた。

だが、メアはエリカの声に聞く耳を貸そうとしない。

なぜなら──。

 

『おねえちゃんまで!ワタシのことを嫌うんだ!』

「……違う!それは違うよ!わたしは!」

 

IRIS-9999にとってこの世界はなにもわからない、知らないまま無理やり戦わされている中で生きていた。

そんな中で仲良くしていたエリカと再び出逢えたことで嬉しさがあったものの、いまはこうして敵となって現れてしまっている。

 

それがメアにとっては許せなかった。

許せるはずもない、敵なんかじゃないのに痛みつけられているのだから。

 

だがそんな二人の間を一人のダイバーが加勢する。

 

「たかだかこれくらいのレイドボス!ワタクシにやられてなよ!」

 

ホノカのSガンダムが割って入る。

両手に構えたビームスマートガンによって狙いを定めていく。

自身の力を示すようにホノカは大出力の狙撃をメアに向かって撃ち放った。

 

メアは抑え込んでいた怒りを心頭にそれをビットステイヴを機体の前面に展開して防御に徹する。

放たれたビームが周囲の隕石に拡散して花火の如く散りばめられる。

 

「これくらいでワタクシが!」

「ちょっと!それ以上攻撃しないでよホノカさん!」

「レイドボスなら!さっさとぉ!やられてなさいよ!」

「……それ以上やったら──!」

「うっさい!静かにしてくださいよエリカ先輩!」

 

まったくエリカの気迫せまる忠告を無視してホノカは射撃をメアに加えていく。

 

『──ワタシ、そこにいるおねえちゃん!大っ嫌い!死んじゃえば……いいよ!』

 

ビットステイヴを連結させた二艇のビームライフルが砲撃態勢となって、反撃を開始する。

 

一度それがどの程度の威力を誇るのか身をもって知っているエリカはホノカを退避させようと……

 

「はやく!ここから逃げてホノカさん!あんなのを受けたらひとたまりもなくなる!」

「先輩ごときが……!このワタクシに命令するなんて!」

「お願いだから話を聞いてよ!」

 

エリカの忠告を無視したホノカは何度も何度も射撃をメアに向かって撃ち出す。

ハルナのガンダムポータントが放出した粒子の波がエリカたちの目の前をなだれ込むように視界を覆っていく。

 

「これは……ハルナの光!?」

 

その光景を見たエリカが目の瞳孔を大きく開き丸くして見上げる。

 

「……ワタクシが!倒して差し上げますっての!」

 

 

『消えなよ──!この世界からさ!そこのうざいおねえちゃん!』

 

 

結合したビットステイヴがライフル二艇に接続し、大火力の砲撃を繰り出すシークエンスへと移行する。

身を挺してエリカはホノカの前にガンプラを前進させ、防御態勢を整えた。

 

「エリカ先輩!?そこをどいてよ!ワタクシがやるんだから!」

「あぁもう!」

 

押つ押されつつの取っ組み合いとなる両者。

数メートル先には貯まっていくエネルギーの膨張帯が二人を捉えている。

 

「……先輩はどいて!」

 

ホノカが機体の左手を使ってエリカのザクを弾き飛ばす。

 

「なにをやって!?」

 

その直後、メアが操るガンプラから惑星をも消滅させてもおかしくないほどの砲撃が……

 

『──消えてしまエエエエエエエエエ!』

 

ホノカがその粒子の渦を視界に捉えた刹那のとき、目の前が白光りになっていた。

その様を見ていたエリカは唖然としていた。

 

「なんなのよ!なんだっていうのよ!おかしいでしょ!このワタクシが!ワタクシのガンプラが勝てないなんて!」

 

Sガンダムの分離機構によって爆発の煙から抜け出したコアファイターで戦線離脱していくホノカ。

 

「……あの攻撃から逃げ切ったのホノカさん!?よ、よかった……」

 

安堵の表情を浮かべるエリカ。

だが、これで終わったわけではない。

エリカにはメアに言わなくちゃいけないことがあるのだから。

 

◇◇◇

 

ハルナがカグヤのエピオンを封じ込めたあの後。

行動不能となったガンプラを背にカグヤは泣き崩れていた。

 

「思い知った!?……私を敵にしちゃダメなこと?」

 

SPスキルを使用してもハルナに勝てなかったカグヤ。

もうどうしようにもないくらい無気力に苛まれていた。

 

「……なにをしてもなにをやっても上手くいかねえのしんどいんだよ!助けてくれよ!おれを!」

 

思いの丈を叫ぶようにカグヤはハルナに気持ちをぶつけていた。

 

「なんだちゃんと言えるんじゃん、言わなきゃわかんないよそういうことはさ?」

 

エピオンに寄り添うようにハルナのポータントが支え合う。

ガンプラから抜け出した二人は……身を寄せ合うように強く抱きしめあう。

 

「カグヤが辛いときになにも出来なかったのは私だし、これからはあなたのことを見つめるから覚悟しておいてよね?」

「……こんなおれでもいいんだろうか」

「あ〜!?いま私のこと見る目ないやつじゃね?みたいな顔したぁ〜!?」

「そ、そこまで言ってねえよ!」

 

お互いの視線が二人だけの空間が時を止めるほど静かになる。

見つめ合う二人は……

 

「まだダメだよ?」

「なにがだよ!?」

「こんなところでそんなことするの?空気読めないの?」

「生殺しかよ!?」

「そういうことは現実(リアル)でやらないともったいないよ?」

「……それもそうか」

 

◇◇◇

 

並行する多大なる砲撃からガンプラが掠めたことでエリカのザクは挙動が恐ろしく低下していた。

 

「これじゃまともに戦えないよ!しっかりしてよブロッサム!」

 

武装まで失い、丸裸の状態になるエリカのザク。

変わらずメアは戦意を抑えられずにいた。

 

『おねえちゃんも!ボクのことが嫌いなんだ!みんな!みんな!」

 

エリカが意を唱えてもメアは聞く耳すら持とうとしていない。

 

「……あぁもう!駄々っ子の言うことなんて聞いてられるかっての!」

 

二度目の砲撃態勢となったメアのガンダムエアリアル改修型。

もはや対抗する術すらないエリカに……

 

「こんなんじゃ!」

 

『少しはしっかりしなさい!ここはアタシが道を切り開く!』

 

セナのゲルググがエリカの窮地から救うべく参戦してきた。

 

「セナ先生!?なんで!?」

『なんでもクソもないでしょう!教え子が危ないときは手を差し伸べるのが先生なんだから!』

 

両手に掴むビームライフルを連続射撃によって隕石へと直撃させ噴煙を起こすセナ。

 

『詳しいことは知らないけど!あとは任せたよエリカさん!』「はい!セナ先生!」

 

『うるさいんだよ!おばさんは!すこしだまってて!』

 

(だれがおばさんだってぇ!?)

 

セナを睨みつけるメアは砲撃を繰り出すために向きを左に寄せる。

もう一度あの攻撃を受けたらクリアすら叶わない。

確信していたエリカは決意とともにおぼつかないザクを動かしてメアに近づこうとする。

 

「……はやく!はやく!メアに!わたしは!」

 

(ここは先生としてやることやんなくちゃいけないね!)

 

右手のライフルを捨てて腰部からサーベルを取り出したセナはメアのガンプラに突貫するように豪快にバーニアを吹かす。

機体の負荷には省みずに一撃を与えるためだけに。

ただひたすらに急速に加速していく。

 

「これくらいのことは!させてくれないとねぇ!」

 

メアの目前に現れたセナのゲルググ。

それが持つビームサーベルによって左手に抱えていた合体したビームライフルが斬り落とされた。

 

『おまえも!ワタシの敵かぁぁぁ!』

 

体をくねらせたメアはセナに砲撃を喰らわしていく。

 

「少しくらいは生徒の役に……立てたか……!」

 

フィールドから消えていくセナのゲルググ。

その流れ弾がエリカのザクにもろに直撃してしまう。

 

「まだ……!まだ終わったわけじゃない……!」

 

ザク本体から切り離された背中のコアファイターがメアのもとへと向かうべく駆け抜けていく。

 

(わたしにはあのときちゃんと応えてあげられなかったけど……!)

(今なら……ちゃんと言える!)

(わたしは!あなたと──!)

 

開くメアのいるコックピットハッチ。

エリカはそこに入るようにガンプラから身を投じていく。

 

そうしてメアとエリカは互いの想いを通じ合わせるように──。

 

「あなたが人間になりたいのなら!……わたしは!わたしはあなたと友達になるためにここにきたんだ!」

 

静まりかえった宇宙でメアは……

 

『おねえちゃんのことが……あの日からずっと好きだよ……!』

 

その一言でメアは……浮かべる涙の雫とともに微笑みで返していた。

ガンダムエアリアル改修型から発せられる虹色に鮮やかに広がっていくパーメットの輝きがGBNの空間をキラキラにして……

 

『MISSON!!!──COMPLETE!!!』

 

◇◇◇

 

「「「「おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」

 

エリカたちのフォース〈ASTERLISK〉が参加した二度目のゲリラレイドボスミッションはロビーで映像を見ていた沢山のダイバーたちの拍手喝采の中で幕を閉じた。

 

***

 

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