陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。 作:神宮寺Re ⑦
四回目のデートのあとにGBNをすることになった私とカグヤ。
ログインして数分が経ったあと私のフォルダに一通のメールが届いていた。
「なんかGBNからメールが来てるんだけど、こういうことってあるのカグヤ?」
「たまにアンケートとか送られてくるからそれじゃないのか?」
アンケート……?なら別にいいけど、あまりこういうのって普通は話をしちゃダメなやつだよね?
とりあえず開いてみよっか……なんなのかわからないとどうしようもないわけだし。
私はフォルダからGBNの依頼メールを読んでいくと──。
◇◇◇
『GBNをいつもご利用いただきありがとうございます。あなた方プレイヤーが楽しんでくださっていることにわたくしたちは感謝をしています。さっそく本題ではありますが我々はあなた方に特別なご依頼を承ってもらいたくこちらにメールを差し上げました。ご依頼内容は以下のとおりです。
〈GBN-AIダイバー感情育成プログラム〉について。
・AIダイバーを用いた開発プログラム
・互いに触れ合っていただいて喜怒哀楽の感情を蓄積
・それに伴う些細な変化をモニタリング
・上記の事柄を複数で観測することによって得られるデータ
それらをわたしたち運営は必要としています。
これらを踏まえて開発中のAIダイバーへの育成に参加されてもよい方はこのまま返信してください。
また、相互で情報共有のため随時
それに加えて本計画では参加されたダイバー様方のみにだけ、ほかの方との交流も許可します。
なお、このことについては身近な人や親族などにも他言無用である秘匿事項になりますため決して口外しないようお勤めください。
最後にこのプログラムに参加を申し込まれるダイバーのみなさんはこちらにサインとIDを控えたものを参照の上、検討していただきますことをお願い申し上げます。』
◇◇◇
「だってさ?どうするカグヤ?」
「まぁいいんじゃないのか?参加しても」
「じゃあそうしよ!」
「おう」
私とカグヤはGBNから依頼されたプログラムに参加するため、メールを返信して運営からの対応を待つこととなった。
***
あれから一時間後、GBN運営の返信メールから指名された場所にやってきた私たち二人。
「……ここでいいんだよね?」
「そのはずだが」
荒れ果てた地の中にあった施設に入っていく私たち。
見たところなにかの収容しょなのはわかったけど……
「ようこそおいでくださいましたハルナさんカグヤさん」
「あなたは……?」
「〈GBN-AIダイバー感情育成プログラム〉の統括指揮を任されておりますメイリンと言います、これからよろしくお願い致します」
「よ、よろしくお願いします」
「ところでなにをすればいいんだメイリンさん?」
「それではこちらにお進みください」
メイリンさんに案内され、施設内を歩いていく。
その中には数々の部屋があって多くの子供がそこで遊んでいた。
◇◇◇
中枢部へと招き入れられた私たちはそこで一人の人物と出逢う。
「よく来てくれた、この育成プログラムに参加してくれたことを心より感謝申し上げる……デュランダルだ」
「……彼女がこの〈GBN-AIダイバー感情育成プログラム〉の管理者であるデュランダルです。なにかお困りのことがありましたらこの方にご相談されますように」
「……そ、そうですか」
「もしかして運営の上層部の方ですか?」
カグヤがデュランダルに向けて質問を投げかけるように話す。
「ええ、もちろんですとも?なにか気掛かりなことでもありましたか?」
「い、いえべつに……」
「ではこちらに──」
私とカグヤはメイリンさんによる手招きによってとある部屋へと入っていった。
◇◇◇
「これがいま我々が開発を進めておりますAIダイバーの研究室になります」
多くの機器類とそれを行なっている運営の作業員数十人が事にあたっていた。
「……すごい人数ですね」
「開発の人員はおおよそ五〇〇人おります」
「そ、そんなに……」
「これがGBNの裏側ってことなのか……?」
「あなた方の参加されたプロジェクトは見せれるところだけ、だということをご理解ください」
「わ、わかりました」
「それもそうだよな……」
通された部屋を抜けて、私とカグヤは開発の最深部にあたる場所へとやってきた。
***
十列におよぶカプセルに入っている人間の姿を目にした私たち。
思わず少しだけゾッとして鳥肌が立ってしまう。
「こちらがAIダイバーの生産場所になります、この中からお二人にお一人選んでいただき育成してもらいます」
「この中からですか……?見たところ一〇〇〇人くらいいますよ?」
「これらは現在稼働している
「そうは言ってもね……」
「なんだか話が大きくなってきたなハルナ……」
「だよね……」
思わず足がすくむほど、気軽なノリで返事をしてしまったことに立ちくらみしそうになっていた私。
そこで一人のAIダイバーを選んだけど、本当に私たちでいいのかな……?
「……この開発プロジェクトにご参加していただいたこと誠にありがとうございます、それでは──出てきなさい
一つのカプセルが選出され、目の前に出現する棺桶。
扉が開いてひとりの女の子が私たちを出迎える。
「……IRIS-6666、あなたはこれからこの人たちと一緒にGBNを旅してください」
「こ、この人たちと?」
「そうです、あなたはここにいるハルナとカグヤと家族になったのです喜ばしいことですよ」
「か……ぞ……く?」
髪型は金髪のショートで眼の色はエメラルドを彩っていた彼女。
おおよその背丈と体型から想定される年齢設定は十歳くらいに見えた。
「ハルナさんカグヤさん、彼女に名前をつけてください」
「え?なまえ?……まだなにも知らないのに?」
「育成プログラムなんだから名前ないとわからないだろハルナ」
「それもそうだけどさ……」
「なにか思いついたか?」
「うぅーん……なにか……なにかないかなぁ、なにかないカグヤ?」
「おれに言われてもすぐには出てこないよ」
「そうだ!ユメってのはどうかな?」
「ユメ?なにかあるのか?」
「夢を見つけてほしいから”ユメ“、どうかな?」
「いいんじゃないのか?」
「んじゃあこの子の名前はユメで!」
「ユメですね、ではそれで登録します」
「お願いします!」
私とカグヤが育成することになったAIダイバーのIRIS-6666の名前は「ユメ」に決まり、彼女とGBNをともにすることに。
◇◇◇
「……あなたがハルナ?それで隣にいるのがカグヤ?」
「そうだよユメ、これから私たちと一緒にいろんなところに行ってみようよ!」
「ああそうしよう!」
「よろしく!ママ!パパ!」
「なんだか本当の家族になったみたいだねカグヤ?」
「なにかのロールプレイをしてるみたいだなおれたち……」
「たしかにそれもそうだね〜」
私たち三人は晴れ渡る空の下でこのGBNを散策する壮大な旅に出向いていった。
◇◇◇
AIダイバーであるユメを育成していくプログラムに参加していた私たちは今日の訪問で四回目になっていた。
広大なGBNから保護している幼きAIダイバーのいる施設にやってきた私とカグヤ。
そこで子供であるユメと共にGBN内にある家へと帰ることになっている。
「ずっと待ってたんだよパパ!ママ!」
「待たせてごめんね〜!寂しかったよね〜……!」
小柄な体重のユメを抱き抱えて私は施設の男性職員である「ミライ」と会話をすることに。
「ユメはどうしてました?」
「ここ最近来るのが遅いって何度もぐずってて、人肌が恋しいんだと思うのでちゃんと見てあげてください」
「……いつもすみません!ほら!カグヤも!」
「お世話になってます、ありがとうございます」
「いえいえ!これが仕事ですので!」
「それじゃ失礼しますね」
「くれぐれも極端な言動とかは控えてくださいね?影響を受けていつ歯止めが効かなくなるか開発している我々にもわからないので……」
「……そこまで考えなきゃダメなんですか?」
いくら育成ゲームみたいにやるとはいえ、気にしすぎるのもよくない気がしている私だけど……なにもできなくならないのかな?
「ご自身が子供の頃のことをよく思い出してください、それがわかれば危険なことは起きないはずなので」
「……そ、そうですか」
子供の頃と言われても……私そもそも母親のことしか知らないんだけど……父親なんてちゃんと居た記憶さえないのに。
「ここにいつまでも居るわけにはいかないから帰るぞハルナ」
「わ、わかった」
「レポートの提出を忘れずにお願いしますね〜!」
そうこうして私たちはGBN内に保有することになった古民家へと帰路についた。
◇◇◇
アトラとクーデリアたちの家。
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ、エピローグに登場。
小麦畑の真ん中にある家でアトラ・ミネコスタと三日月・オーガスの間に生まれることとなった暁・オーガスは養子縁組することで家族となりクーデリア・藍那・バーンスタインとともに暮らすこととなる。
「ようやく着いたな……」
「どこまで歩かせるんだかGBNの運営は……」
私たちのほかにも同じような家族が転々と暮らしており、日々助けあって生きていた。
家に入って疲れを癒そうとするカグヤ。
厳密にいえばこれは体験していくプログラムなので、ちゃんと休めるわけではないけど。
って!?なにも言わずに自分の部屋に行くのは違くないかな!?
「……ちょっとカグヤ!」
「なんだよ?」
「帰ったらユメと遊んでてって前から言ってるよね!?」
「勝手に押し付けんなよ……やりたくてやってる訳じゃないんだから」
「もおおおおぉぉぉ!なんなの!意味わかんないんだけど!」
かくいう私も父親のことなんて知らないから余計に振る舞いがわからない中でやっているのに!
まだちゃんと恋人としても進みはじめたばっかりなのにこんなこと出来るわけないと思っても、はじめてしまったからにはやらなきゃいけないし責任もってよね!お互いに!
「パパママ!喧嘩しないで!仲良しなんでしょ……?」
上目遣いでメアが私たちを悲しそうな顔で見つめてきている。
「えぇ?……それはそう、だけど……これは違うの!パパがやることやってくれないからで!」
「いつも怒ってばかりのママは怖いよなぁ?ユメ」
「カグヤそんなこと思ってたの?」
「……ここでの話だよ、現実との区別くらいつけろよ」
「いまはユメのこれからのこと考えていかなきゃいけないんだよ!?私たちの子供なんだから!」
「それはわかってるが……そんなにキリキリしてたらなにも言いたくなくなるだろ?ユメのこと考えてないのはハルナだぞ」
「んなこと言ったって完璧な母親なんかじゃないんだから手探りでやってくしかないじゃん!」
「そこまでは求めてないよ、ただあんまり喜怒哀楽の感情を反復横跳びで振るとユメがパンクしちゃうだろ……だから──」
「だからなに!?」
「落ち着いて話し合おうな?」
「イライラさせてるのはカグヤじゃん!?」
「だからその態度をやめろって言ってんだよ、自覚を持てよ」
「ついさっきまであんたの行動でそんなこと言えるの?」
「……パパママ!お願いだから!これ以上喧嘩しないで!」
「なんなんだよさっきっからさぁ!」
もう以前のような関係には戻れないのかもしれないという烙印を押された気分に私はなっていた。
そこで私は意を決してカグヤとユメを外へと連れ出して遊んでもらうことにした。
「んじゃ夕食の時間までたっぷりパパに遊んでもらおうかなぁ?」
「……仕方ないなぁやるか!ユメ!」
「あそぶあそぶ〜!」
私の提案によって、家事が終わるまでの間に体力を使い切る作戦!これでならいけるよね!
そそくさと外に遊びに出るカグヤとユメを窓から見守りながら私はユメのメンタルレポートを家屋の中で入力していった。
***
〈GBN-AIダイバー感情育成プログラム〉
ハルナとカグヤが参加することになるAIダイバーを育てていくもの。そこで二人は「IRIS-6666」を受領して「ユメ」と名づける。
メイリン:GBNで上記のプログラムの統括指揮を任されている。なおこのプログラムの最高責任者はデュランダル。