陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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エリカたちの訪れた模型部の部室に生徒会長である橘輝夜が割り込んでくる話です。


第四章 -【蒼穹のプリンス】-

 

「──かくれんぼなんて!」

 

そうアカネが言葉を発したとき───。

 

「まったく……君たちは部屋の片付けを頼んだというのに、備品を許可もなく勝手に使用するとは──聞き捨てならないな」

 

「「カグヤ生徒会長!?」」

 

廊下で出逢った橘輝夜(タチバナ・カグヤ)そのひとがエリカたちの前に現れたのだった。

 

(えっ……!?ちょっ……!?このタイミングで!?)

 

突如として因縁の相手であるカグヤがガンプラバトルに乱入してきたことによって、エリカは戸惑いを見せはじめる。

 

「……やりあおうっての!?生徒会長!?」

 

アカネがカグヤにむけて挑発するような発言をした。

 

「──君たち(ごと)き、このおれの相手にならないということを教えてあげようか?」

 

(……いや!あの!ちょっと!勝手に話進めないでよ!アカネ!……アカっ)

 

疲労感が限界値に達しつつあるエリカは、この事態をなんとかすべく隠れていたビル影から一心不乱に飛び立つ。

 

「……っ!?」

 

カグヤの操るガンプラが目前と迫るエリカ。

見覚えるのある(ドラゴン)を思わせるシルエット──。

 

「ガンダムエピオングレイシャー──。カグヤ、処理(ミッション)を開始する」 

 

◇◇◇

 

ガンダムエピオングレイシャー。

カグヤの使用するガンプラ。

原典機では一振りだけだった〈ビーム・ソード〉を二振りに増加させ、両腕に強化用追加エネルギーパックを装備。

最大出力時の〈ビーム・ソード〉は原典機の三倍、いやそれ以上の威力と長さを誇る、すべてを切り裂く彼の剣である。

カラーリングはシルバーを起点として空色を組み合わせている。

 

OZ-13MS ガンダムエピオン

機動戦士ガンダムW終盤に登場。

数多くの戦場を駆け抜けたゼクス・マークスが操る決戦使用機。

ウイングガンダムゼロと同等のインターフェイス〈ゼロシステム〉を搭載し、リーブラ攻防戦にて行ったヒイロ・ユイが操るウイングガンダムゼロとの対決では、最後の一振りで勝とうとするが敗北してしまう。

 

「……ちょっと!カグヤ生徒会長!はなしを聞いてください!」

 

(こうなったら……わたしがやるしかないんだ……!あと一歩まで追い詰めたことがあるわたしが──!)

 

そう、エリカはカグヤに制止するよう試みるが……

 

「備品を無断で稼働させたのにも関わらず、やめるそぶりも見せないとは──どういう了見だね君たちは……!」

 

頼みごとをしたのにもかかわらず、それを無視されたカグヤは頭に血が昇ってキレていた。

 

(……あぁもう!やるしかないのこれ!やるし──)

 

視界がぼんやりし始めるエリカ。

意識がいつ無くなってもおかしくない状態でエリカは攻撃をしようとしていた……

だが──その攻撃をしようとした瞬間……。

 

「──GP・デュエルの時代はァ!すでに終わりを告げている!いつまでもいつまでも!思い出に引っ張られているのか!おまえたちはっ!」

 

長大な粒子の二振りの剣を形成させたカグヤ。

その剣をエリカのガンプラへと一気に振り下ろされる。

 

「……お願い!話を聞いて!……話を聞いてくだs──」

 

カグヤに対して静止するように促したものの、健闘もむなしく両腕を削ぎ落とされていくエリカのガンプラ。

行動不能状態に近くなっていたエリカのガンプラを目にしたアカネは……

 

「あたしのエリカに──!それ以上!手を……出すなぁァァァァァァァァァァァァァァ!」

 

両腕に搭載されている実弾を放ち、距離を詰めていくアカネ。

 

「君は所詮!大会一回戦で負けた!哀れで!未熟な!デューラーだろう!……誰に喧嘩を売っているか!知りたまえ!」

「……生意気ほざきやがっておせっちやろうがぁ!!」

 

激突する二機のガンプラ。

ビルに叩きつけられるアカネのシュヴァルゼッテ。

 

(……くそったれがぁぁぁ!こんなの!こんなのであたしは──!また負けるのか……またあのときみたいに……!)

 

◇◇◇

 

「…………下ばっか向いてないで!前に!出なよ!アカネ!」

 

アカネの操縦する手のコンソールを重ねて鼓舞させるハルナ。

 

「……ハルナ!?なんであんたが!?」

「ここは──!私が引き受ける!」

「ぽっと出の初心者風情(はじめたばかりのやつ)が!世迷言とは!」

 

操縦の入れ替わったアカネのガンプラ。

その中でハルナはスロットのなかに"○○"のアイコンがあることに気づく。

 

「…………これを使えば!」

「往生際がぁぁぁ!悪いな──!アカネくんもエリカくんも!全日本大会の厳しさを知らない!半端者どもの癖して!」

「…………いま、なんて言った?」

「おれに口答えする気か──オイ!?」

 

ハルナのなにかがこのときはじけた。

 

「……いまなんて言ったっていってんだよ!もう一度言ってみなよ!」

「半端者ども!と言っただろう──!」

「……よかった、これであんたを倒す理由が──できたからさ!」

 

スロットにある"鎌"のアイコンをクリックしたハルナ。

そして──。

 

「こ……こいつ!?狙撃機じゃなかったのかよ!?」

 

上から見下ろすように〈スナイパーライフル〉を銃身を逆手に持ち構えたハルナ。

ハルナの戦う意思に呼応したかのように強く煌めき出す赤いツインアイ。

 

「私の友達を!侮辱するやつは!ぜっっっったい!許さない……!しねええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

体を大きく捻らせたそのガンプラは二連に連なる鎌の形状の剣先をカグヤのガンプラの胴体めがけて切り裂いていく。

 

「こいつは──悪魔……いいや!死神(デスサイズ)かよ!」

 

「──〈BATTE ENDED〉!」

 

◇◇◇

 

(あは……はははははは……なにこれ……なにこれ……わたしが勝てなかった相手をついさっきはじめたばかりの初心者のハルナが倒しちゃうとか……はは……ははは…………はははははは……)

(わたしの存在価値なんて……もう、ないじゃん……)

(……わたしなんてもう、もう……いる意味ないじゃん)

(あっ……なんだろこれ……視界が突然暗くなっ──)

 

涙模様を浮かべるエリカはその場にバッテリーが切れたかのように倒れ込んでしまう。

 

「……ちょっとエリカ!?エリカァァァァ!」

 

◇◇◇

 

あれから数分後、わたしは保健室のベッドにいた。

ここ最近からガンプラばかり進めてて寝落ちばっかしてたからまともにふかふかのベッドで寝るのはいつぶりになるだろうか……

 

「……ちょっと!疲れてるならそう言ってよ!心配かけさせないでよ!」

 

アカネがわたしのことを思ってかそう言葉をかける。

 

「だ、だいじょうぶ……だから──わたしのことはいいから」

「よくないよ!なんでなにも言ってくれないのエリカ!」

 

ハルナも続けてわたしに話しかける。

そ、そう……は言ったって──。

(もう……いいよ、もうどうでもいいよ……こんな世界なんて……わたしは必要とされてないんだから……)

 

「少しは私たちのこと頼ってよ!なんでいつも自分で全部背負おうとすんの!」 

 

(そんなこと言われても……言える状態なんかじゃなかったじゃん……どうすればよかったの……)

 

「そういえばあんたが前に行ったクリスマスデートのときあたしどこに居たとおもう?」

 

と、アカネが話しだす。

 

「……家?」

「あんたがリア充してたときあたしはケーキ屋のバイトしてたんだよ!……だから!この埋め合わせしてもらうからね!?わかったね!?いやとは言わせないよ?エリカ」

「……ぇぇぇぇ」

 

(いや、なんでここでいうの?……い、い、いいけどさぁ)

 

「それ、私もいっていい?」

 

と、ハルナも同調する。

 

「いい?エリカ」

「まぁいいよ……とりあえず寝かせて……」

「よし!そんじゃ!どっか行こっか!三人で!」 

 

そうしてわたしたちは三人でのデート?の約束をすることになった。

 

***

 

寒さも少しづつなくなり、暖かくなってきた二月。

週末に会うことになったわたしとアカネ、ハルナはショッピングモール〈アウドムラ〉にきていた。

 

ショッピングモール〈アウドムラ〉。

都内から少し北に離れた場所にある大型商業施設。

衣服類をはじめとする店から日用品、映画館などの娯楽もすべてここで賄えるほどの憩いの場所である。

 

「……小さい頃に三回くらい来たことあるけど、結構リニューアルされてるんだね〜かなり綺麗になってるし」

 

アカネが首を上を向けて建物を見ながらそう言っていた。

二十年前に建設されたこのショッピングモールは幾度かの改修を繰り返して、いまこの時も現存しているかなり長寿地元の人たちから数多くの思い出とともに愛されている建物だ。

 

「とりあえずお腹すいたしさ?ごはん食べようよごはん!」

 

ハルナがおもむろにパンフレットを手に取り、飲食店を探す。

 

「なに食べよっか?エリカ」

「え……?わたし……?べつになんでも──」

「なんでもは、いくないよ!?食べたいやつある?」

 

カグヤ生徒会長とのGP・デュエルの一件で倒れてしまったわたしのことを気にしてか、アカネはずっとこの調子だ。

 

「……じゃとりあえずハンバーグとかで」

「うしっ!じゃそれにしよう!レッツゴー!」

「お、……おー」

 

あんま気乗りしないけど……アカネがいつもと違うから。

 

 

わたしが提案したハンバーグが食べられるお店、ステーキ&ハンバーグ〈アレックス〉へとやってきた。

店内は明るく、多くのテーブル席が並んでいた。

お昼どきというのもあって店内は活気に満ち溢れていた。

 

「……三名さまでご来店のアカネ様〜」

 

店員さんが名簿からわたしたちを呼ぶ。

 

「「「はぁ〜い」」」

 

案内されたのは奥のテーブル席。

三人ということもあって余裕のある広さが確保されていた。

そそくさと椅子に座るハルナとソファー側に並んで座るわたしとアカネ。

 

「……さぁーて!食べるぞォ!」

「相変わらず元気だねアカネ」

「ちゃんと食べなきゃやっていけないからね!ところでハルナは大丈夫なの?」

「私はポテトとジュースだけでいいよ……?」

「ここはあたしが奢るから好きなの食べなよ!ほいさ!ほいさ!」

「…………んーじゃあこのランチワンプレートで、ドリンクつきのやつ、あとさっきの」

 

そうハルナが答えるとアカネはわたしに話しかける。

 

「エリカは?なんでもいいよ?食べなきゃしんじゃうよ?」

 

このショッピングモールにくるまで歩きで十五分かかっていたため、かなりお腹が空いていた。

バスはあったけどアカネが「歩いてこ?」なんていうもんだから……

 

「そうさせたのアカネじゃん……」

「あははっ!ばれチャッタかぁ〜!めんご!めんご!」

 

そうして注文のブザーを押して店員さんを呼ぶ。

 

「ランチのワンプレートと、あとワンポンドのハンバーグを二つにサイドに唐揚げとポテトお願いします」

 

アカネが店員さんにそう伝える。

店員さんの名札には「サユリ」と書かれていた。

 

「かしこまりました、では少々お待ちくださいませ」

 

注文を受けた店員さんは厨房のほうへと歩いていった。

そんなとき──。

 

「……やぁこんなところで会うなんて奇遇だね?デートかい?」

 

そう、橘輝夜生徒会長だった。

 

(……また会うのかよ、偶然かなんか知らないけどこう立て続けに出てくると怖さのほうが勝っちゃうよ……)

 

***

 





□使用ガンプラ

橘輝夜

《蒼穹のプリンス》

ガンダムエピオングレイシャー

形式番号:OZ-13MS/Ka-03
武装:ビームソード×2
   ヒートロッド
   エピオンシールド
   エピオンクロー×2

ビルドダイバーズ二次設定
《蒼穹のプリンス》ことタチバナ・カグヤが主にGP・デュエルで使用するガンプラ。RGガンダムエピオンを全塗装したものであり、エピオンの特徴的な武装であるビームソードを二振りに増やしている。

"グレイシャー"とは英語で「氷河」を意味しており、その名称と同様に蒼と白色をメインとする塗装が施されている。

十年ほど前に廃部されていた模型部の再興を目指すエリカに勝負を挑むGP・デュエル経験者であるカグヤは自身の信念と確たる強さを示すために剣を振るう。

***

蛭谷暁音(七夕陽那)

ガンダムシュヴァルゼッテ・ハンティア

形式番号:MDX-0003/A-01
武装:ロングビームスナイパーライフル(ツインサイズ)
   ビームサーベル×2

ビルドダイバーズ二次設定
アカネが四年前からGBNで使用するために製作していたガンプラ。

腰部にはミラソウル製フライトユニットを追加し機動力を補っている。
カラーリングはミリタリー風に濃緑色を彩る。

シュヴァルゼッテの武装である"ガーディアン"を排除し、狙撃用の武装であるビームスナイパーライフルを基本とする対大型機体用に改造される。

なお、スナイパーライフルは反転させることでツインビームサイズとなり近接戦闘にも対応させている。

***

ショッピングモール〈アウドムラ〉。
エリカたち三人が休日にやってきた大型商業施設。
プラネタリウムがあるなど、かなり充実したサービスをしている。
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