陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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エリカはフィギュア製作があらかた進んでいた。その中でようやく完成した新型ガンプラをホノカたちに見せる話。

今回で第二巻《ユメノトビラ》は終了となります〜!


第二〇章 -【きみが望むことを】-

 

──日差しも夏目前と迫った七月初旬。

 

フィギュア製作の3Dモデリングソフトで「キオ・アスノ」を作り上げていたわたしはようやく原型の作業を終えていた。

とはいうものの、はじめてのこともあって歪なところは多々あるけどなんとか目標となる期日には間に合ったのはいいんだけど……

 

「……もうパソコン使いたくない!むり!もう無理!こんなの人がやる仕事じゃないよ!」

 

怨嗟(えんさ)の愚痴を吐き出すわたし。

言い出しっぺがやらなきゃいけないことだったけど、正直なにも考えたくないなにも見たくない……

 

「ものづくりは簡単にできるもんじゃないからな、敬意をもって商品がどんな風に作られていくかを想像することも大事だぞエリカくん」

 

向かいの椅子に座って橘輝夜先輩と話をするわたし。

 

「でもガンプラだって開発者のやる気が感じられないものもありますよね?」

「いまその話はしてないだろ」

「すみません……カグヤ先輩ところで進路どうするつもりなんですか?ここで油売ってていいんですか?」

「まぁ……ハルナに念を押されてね、父親と話をするつもりだよ」

 

へ、へぇ〜……ってかハルナは今日休みなの?部室に来ないけど?

 

「ハルナはどうしたんです?」

「……用事があるから先に帰るって言っていたが」

「ハルナが用事?いままでそんなこと一つもなかったのに?」

「人のことあんまり詮索するのはよくないぞ」

「そりゃわかりますけど……」

 

今日は部活の活動がひと段落していたため、今後のことをアカネとハルナの三人で話し合うつもりだったのに。

 

「……エリカ先輩、暇なんですか?」

「ホノカさん嫌味かなにか?」

「作業お疲れ様です」

「そりゃどうも」

「で、これからワタクシとGP・デュエルでもしてくださいません?」

「え〜……なんでよ、カグヤ先輩とやればいいじゃん?」

「いまはエリカ先輩に頼んでいるんですよ」

「そんなこと言われてもさぁ……」

「ガンプラありますよね?」

「あるけどさぁ……」

 

ようやく完成させた新作を一応練習で使うかもしれないと持ってきてはいるけど、いまはそんな気分じゃないんだよね。

 

「とりあえず見せてくれません?」

「新しいのを作ったのかエリカくん?」

「ここぞとばかりにわたしに注目するのやめてくれません?……出しますけど」

 

せっせこ小型のポーチから取り出していくわたしの新しいガンプラ。

部室の中央にあるGP・デュエルの筐体にそれを鎮座させる。

 

「これがわたしの新しいガンプラの"ガンダムジャスティス・アスティカシア"です」

「イモータルジャスティスがベースなのか」

「でもかなり形状が変わってますよこれ」

「蒼と白の色合い……それに左右に開いた不等号が際立つシルエット……それにGNドライヴも付いている、モチーフとしたのはガンダムAGE-3か?」

「まぁだいたいあってますカグヤ先輩」

「REAL、いい曲ですよね〜一時期ヘビロテしてましたよ」

 

REAL。

機動戦士ガンダムAGE キオ編からのオープニング曲で機動戦士ガンダムZZの「アニメじゃない」をもじったJ-PoP。

 

「でもこのガンプラ……まだ武装が(ライフルさえも)ないですけど?」

「昨日完成したばかりだから間に合ってないんだよ!フィギュア製作なんて言い出さなければもっとはやくできてたのに!」

「それはエリカ先輩が勝手にやりはじめたことじゃないですか」

「……面目次第もございません」

 

ガンダムジャスティス・アスティカシア。

わたしが作り上げた新型のガンプラ。

機動戦士ガンダムSEED freedomに登場したイモータルジャスティスガンダムをベースに、ジオン系のザク(( ○ ))の腕やドム試作実験機(THE ORIGINの)の腰部、そしてディジェ(アムロが乗った)の両脚などを組み合わせ両陣営の双方をリミックスさせ「ガンダムAGE-3」と「ダブルオーガンダム」を組み合わせたもの。

 

「今度ワタクシと勝負しません?」

「余裕があるときにね〜」

 

そうしてわたしたちは放課後の部活動を終えて互いに帰路についた。

 

***

 

はやめにエリカたちと帰りが一緒になる前に私は学校を後にしていた。

私は隠していた巨人をもう一度確認しにいくために山へと登っていた。

 

「GNシステムrepose(リポーズ)解除──プライオリティを〈ハルナ・ゼナム・ローレライ〉に」

 

森林にカモフラージュしていたその兵器が姿を現す。

飛び乗ったわたしはコックピットで通達がきていないかチェックしていた。

 

「ただいまサキブレ」

 

私がここにやってくることができたのはこの機動兵器のおかげだったけど、よかった誰にも見つかっていなくて。

全高18mにもおよぶ巨体は他人に見つかってしまえばこの世界では異物として捉えられても仕方がない。

ましてわたしの生体情報が登録してある以上、問題を起こすわけにもいかない。

 

GNW-100 サキブレ。

劇場版機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-のエピローグに登場。

主人公である「刹那・F・セイエイ」が地球外変異性金属生命体、通称「ELS」と和解しその後人類とともに外宇宙へと旅立つために開発されたワークローダーのひとつ。

頭部にはELSが搭乗可能になっているほか、新規に製造された純正太陽炉または擬似太陽炉を主な動力とする。

 

『……我々〈ローレル〉はGBNへと侵攻作戦を大々的に執り行うものとします。これに際し、先見部隊であった者たちには苦労があったことでしょう──だが戦いは終わってはいません!立ち上がれ民衆(戦士)たちよ!故郷が焼かれたことを忘れてはなりません!これは戦争なのです!人が人として生きていく為の!』

 

映っていた映像はわたしの母親である〈シーア・ゼナム・ローレライ〉その人だ。

……子供に責任を押し付けておいて自分たちで解決しようとしないとか、ふざけるのも大概にしてほしいんだけど。

 

「なんでこんなことを私がやらなくちゃいけないのよ……」

 

逃げることのできない血筋からわたしは嘆くことも許されずにその現実をただ受け入れるしかなかった。

 

***

 

──およそ一ヶ月前。

 

生徒会の仕事も迫る体育祭に向けての準備で忙しい中であたしはGBNでとある人物を探していた。

 

〈ゲリラレイドボスミッション〉でエリカはあたしが巻き込まれたことを境に復讐することになった。

そしてその元凶はいまだにわからないまま。

そのときのプレイヤーログを確認してみると……

 

◇◇◇

 

『無理に近づくのは危険だからやめろ……!彼女はレイドボスなんかじゃない!離れるんだ!そこのダイバー!』

 

◇◇◇

 

……この男性ダイバーの言葉をいま冷静に聞くとあたしは対峙していたガンダムスローネドライの一般プレイヤーが誰かに操作されていた、という可能性が浮かび上がることになる。

 

じゃあそいつは誰なの……?なんでそんなことをしたの?

 

沸々と湧き出す怒りの感情があたしの魂を黒く侵食する。

そこに一人のダイバーがやってくる。

同い年くらいの桃色の髪をした女の子が。

 

「あなたがアカネさん?プレイヤーログでやっと見つけたよ」

「なんです?あたしになんか用でも?」

「あなたの友達を巻き込んでしまったことを謝ろうと思ってきたの」

 

ダイバーネームは「アイリ」と表示され、ランクはAランクとなっていた。

登録されているガンプラには「ガンダムスローネドライ」……それじゃあこの人はあのときの?

 

「なんできたの?」

「あのとき操られていたことを知らなくて後悔した、そして彼のことも裏切ってしまったからこんなこともうしたくないの」

「……だからなに?」

「ミミズク・リリナ、この名前を覚えておいてほしいそれだけ」

「あたしが代わりにやっつけろとでも言いたいの?」

「未来を決めるのはあなただよ、また会えたらいいね」

「ちょっと!話はまだ終わってないんだけど!ねぇってば!」

 

それからなにも言わずに立ち去っていったアイリ。

 

「ミミズク・リリナ……こいつがあたしのエリカをおかしくさせたやつだっていうのか!こんな奴がのうのうと生きているから!この世界は!だからいなくなっちゃえばいいんだよ!」

 

あたしはこの日から黒き煙が包み込むようにそのダイバーの行方を探して躍起になっていた。

 

***

 

GBN運営管理者専用フロア。

ここでは日々サーバー内のメンテナンスを行なっている管理者およびその従業員が休息するために備えられた部屋。

そこでデュランダルは一杯のブラックコーヒーを飲んで席に座っていた。

 

「一段と今日も調子が悪そうじゃないかデュランダル?」

「リボンズ、きみはちょっかいを出すためにわざわざ会いに来るのか?」

「それは心外だな、これからの対策についての話をしにきたと言うのに」

「決まったのか?カツラギさんからの了承も得たという訳だな?」

「イゼルカントが手伝ってくれてね、最初からこうするべきだったのだよ」

 

手渡しされた数十枚の資料を読んだデュランダル。

書かれた文章をよんだ彼女は唖然としていた。

 

「……本当にこれをやるつもりなのか?AIダイバーNEMESIS(ネメシス)による未知の脅威に対する殲滅作戦というのは?」

「いまにはじまった話じゃない、こちらは危険に晒されている上にまともに話を聞こうとしない者たちなのだから当然だろう?慈悲など必要ないに等しい」

「しかしこれでは……こんなもののために企画したわけではない……このような使い方はあまりにも……」

 

(デュランダル、きみは人の企画を横取りしておいて似たものを先に成功させておきながらよくそんな綺麗事を喋れるな)

(あげく使用目的まで明かさないでおきながら、仕事をこっちちに投げている)

(きみの企画はそもそもボクが企画したものをそのまま趣旨を変更してカツラギさんに提出したものだったろう?忘れてはいないからな)

(本来のNEMESISシリーズの目的は不義理を働くダイバーをこのGBNから永久追放させるためのものだと知りたまえ)

 

「……きみの言いたいことはわかるが決定事項だ、従ってもらう」

「了解した」

 

◇◇◇

 

人体を生成する培養ポッドの中に眠る少女の姿に手をかざすワタシ。

 

あの日から日常はすべて変わり果てた。

消えることのない懺悔の毎日。

 

あんなことが起きてさえいなければ、家族が居たはずなのに。

いつから判断をワタシは間違えてしまったのだろうか……

 

「……もうすぐ会いに行けるからなミズキ」

 

幼き娘の人生を紡ぐことが叶わないまま、なにもさせてあげることができなかった運命に足掻こうとしていた。

 

***

 





■新規設定ガンプラ

ガンダムジャスティス・アスティカシア

型式番号:STTS-909E-03/GN-0000A
武装:ザクマシンガン
GNビームナギナタ

動力源
GNドライヴ×2 Nジャマーキャンセラー

特殊システム「TRANS-AM」

機体解説 ビルドダイバーズ設定
エリカが使用するイモータルジャスティスガンダムの改造ガンプラ。
橘輝夜とGP・デュエルで再戦することになった"デスティニーガンダム・ルヴァンシュ"が修復不可能なまでに大破したために「イモータルジャスティスガンダム」を軸に新規で製作がされたものである。

機動戦士ガンダム00セカンドシーズンに登場した「ダブルオーガンダム」と機動戦士ガンダムAGEの「ガンダムAGE-3」をモチーフとして改造されており、関節部等にジオン系のガンプラが使われ、カラーリングは蒼と白を主体としたものになっている。

なお、エリカがフィギュア製作に時間を取られていたために完成当初は武装類などが間に合っておらず手近にあったジオン系のザクマシンガン等をメインに使用し場を凌いでいるのが実情である。
そのため不完全な状態でエリカと上手く同調せず、本来のポテンシャルを発揮できていない。

新たなる翼を手にした彼女は宇宙を華麗に羽ばたく。

◇◇◇

サキブレ

形式番号:GNW-100
武装:なし

ビルドダイバーズ二次設定
七夕陽那〈ハルナ・ゼナム・ローレライ〉が地球にやってきた際に乗ってきた機体。基本的に原典のものと大差はない。ハルナのはじめて作り上げたガンプラであるG・ポータントを見たときに「似ている」と言ったのはこのため。

***


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