陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。 作:神宮寺Re ⑦
静寂に時が流れるGBNの宇宙。
デュランダルが発した言葉によってエリカたちは選択を迫られていた。
「……なんの理由もなしに話進めんのなんなの!?」
エリカは半ば人質に取られている隣にいるメアのことを渡すわけにはいかない。
「……私あの、棄権しても──?」
「この期に及んでまだその話すんのハルナ!?」
「だってあんなの勝てっこないじゃん」
「てか敵のアイツらどうすんのよ?エリカ」
「倒し……たいけどそうも言ってられないよねこの空気……」
「エリカおねえちゃん!あの黒い女の人!ボクきらい!」
「落ち着いてメア……!」
漂う砕かれた隕石が目の前に何度も通り過ぎていた。
デュランダルによって再び紡がれる通信。
『時間だ、君たちの解答を聞こうか──?』
(答えもなにもそんなこっちの話も聞こうとしないでどうしろっての!?)
(……素直に運営に受け渡したらメアはどうなるの?)
(なんでハルナはそんな冷静なの!?)
『……了解した、実行権力をもって君たちに敬意を込め──力づくで引き取らせていただく』
『サユリ、アキナ?二人は手を出さなくてよい、下がっていろ』
『『お姉様の御心のままに──神のご加護があらんことを』』
デュランダルの機体の背後にはキュベレイMK-Ⅱが二機待機していた。
◇◇◇
「どうすんだよコレ!?本気だぞアイツ!?」
「……逃げるしかねえんですよ!ドラク兄さん!」
「しかしこんなの、それほどまでに固執するのは何故だ?」
「んなもんわかるわけねえでしょ!やられちまいますよ!」
ドラクとルチスは廃棄されていたクラップ級巡洋艦の発艦位置に潜めていながら様子を伺っていた。
「……構わん!オレはいくぞルチス!」
「ドラク兄さん!人の話を聞いてくださいよ!なんでこうなんだよ!」
ルチスの必死の抵抗を振り切りドラクは一心不乱にその場を抜け出していった。
◇◇◇
上半身にのみになっていたホノカの
「……これ以上ワタクシを置いていかないで──!」
必死に手を伸ばしても掴めることすら出来ないホノカ。
前回のゲリラレイドボスミッションで撤退を余儀なくされていたホノカは立て続けに精神を削られていたためしきっていた。
「ワタクシを……ワタクシのことなんて……誰も……誰も……」
◇◇◇
「GBN運営だかなんだかしらねえがっ!」
ドラクが旋回しながらデュランダルの操る機体に高速で接近を試みる。
「オレらの戦いに割り込んだこと!許さねえ!」
「ドラク兄さん!二人でやりましょう!」
「あぁ!」
一筋に光る二つに並行する赤い光がドラクを捉えた。
「……丸腰でくるとは!いい度胸だな!アァン!?」
『御託はもう済んだか?たかがトップ二〇〇程度の貴様は』
GBNポイントランキング年間上位にいるドラクとルチス。
だがデュランダルにとっては所詮……
「よく知ってんなァ!?ありがたいが!ここは渡さねえ!」
右手首を高速回転させたドラクは一撃必殺の王手をぶち抜くために狙いを定めていた。
『……まったく口だけはいいようだ』
「舐めるなァァァァァ!!」
一撃で隕石を粉砕できるほどの高い威力の拳さえも……
デュランダルはなにも無かったように退け、左腕から取り出した
「こんなのあってたまるかよぉぉぉぉ!」
「ドラク兄さぁぁぁぁん!!」
目の前で撃破されるドラクにルチスは……
「お前なんかにィィィィ!」
急速に接近してくるルチスに引き抜いたブレードを投射したデュランダル。
『……っ!』
「くそったれがぁぁぁぁ!」
健闘すら虚しくルチスもドラクと同じく一瞬で消失していく。
◇◇◇
納得のいってないエリカは戦意のないハルナを背にアカネと協力して打倒しようと画策していた。
「んでどうすんのエリカ?」
「どうするもなにもやるしかないでしょ!」
「でも勝ち目ないよ?」
「勝ちじゃないよ……せめて引き分けに持ち込むんだよ!」
「やれるのあたしたちで……?」
「二度も言わせないでよアカネ!」
エリカは自身のガンプラの背中にアカネのシュヴァルゼッテを積載させ、迫るデュランダルに向かって反撃の一手をお見舞いしてやろうとやる気に満ちている。
「……いくよ!アスティカシア!
「いやちょっと!?そんな未完成のやつでそんなことしたら!」
「あぁもう!こっちの身にもなってよね!」
一瞬にして紅く染め上げられるエリカのジャスティスがデュランダルの機体へと近づく。
二人の行動によってハルナは援護に向かうため紅い光線を目印に追撃する。
「あのガンプラは──GNフラッグ!?それも擬似太陽炉を左右に付けてるの!?人が操縦できるもんなのあれ!?」
SVMS-01X グラハム専用ユニオンフラッグカスタムⅡ。
機動戦士ガンダム00 1stシーズン終盤に登場。ユニオン軍のエースパイロットであるグラハム・エーカーが国連軍より引き渡されたGN-Xのうちの一機の擬似太陽炉を愛機であったフラッグに半ば強引に無理やり取り付けたもの。
ガンダムによって世界を変えられ、戦友であったハワードとダイルの二人を亡くしたグラハムのフラッグに対する愛と狂気と執念が具現化した欠陥機だ。
デュランダルのものは擬似太陽炉であるGNドライヴ[T]を一基右肩に増設しており、GNビームサーベルも二対になった改造が施されている。
カラーリングは白色で塗装されており、半艶であるセミグロスによって塗装されていた。
「……また君にもう一度出逢えようとは!これぞまさしく運命だ!」
対峙したデュランダルのGNフラッグとエリカのジャスティス、そしてアカネのシュヴァルゼッテ。
(どういうこと!?初対面ですよね!?いつ会ったの?)
両端に発振した薙刀で赤い粒子の剣を左手で受け止めるエリカ。
アカネも援護にあたるために鎌を顕現をさせ、攻勢に加わる。
対してデュランダルは右手の剣で斬り結ぶ。
「……まったく二対一というは久方ぶりだな、だがその程度では!」
「このくらいでっ!」
「あたしたちが!やられる訳が!」
二人の斬撃を押し切ったデュランダルは、漂流していたデブリに勢いよく衝突させられてしまう。
「……こんなの!勝てる訳ないよアカネ!」
「でもメアを守らないとなにされるかわかんないじゃん!」
「それもそうだけど!」
『二人ともそこから退避して!』
「ハルナ!?」
「……なにするつもり!?」
『助けにきたに決まってんでしょ!』
ハルナは腕部のシールドに搭載しているビットを一斉射し、デュランダルを退けようと試みた。
放たれた粒子の砲弾が純白のGNフラッグを囲い込む。
だが──その攻撃は後方からの砲撃によって意図も容易く消し飛ばされていく。
「まったく……手を出すなと言ったサユリ、アキナ」
『お姉様を傷つけさせはしません!』
『すぐにこちらの了解を得ない貴方達が悪いのです!』
急速に近づく二機のキュベレイMK-Ⅱ。
万事休すの状態となってしまったフォース〈ASTERLISK〉。
「……さて、遊びはここまでにしてこれで終わりにしようか──」
デュランダルは迫るハルナのガンプラに剣撃を喰らわした。
対するハルナはコアユニットと胴体を分離させて突撃させようとする。
その反撃にデュランダルは即座に対処し、左脚のキックで彼方へと飛ばしていく。
「まだ終わりなんかじゃ……!」
ビームライフルの射撃すら直撃させることができなく……
再度放たれた砲撃によってハルナのレギルスは撃破されてしまう。
「……こんなの勝てっこないよ!」
「ハルナぁぁぁ!」
「まだ!まだ終わってない!」
「いい加減に現実を受け入れたまえ──君達如きでは……!相手にならないと!」
逆手持ちした左手の剣撃がアカネのシュヴァルゼッテを貫通していく。
「……なんなのよぉぉぉぉこいつ!」
「アカネ!ふざけんなっ!こんなの!こんなはずじゃ!」
二振りのビームサーベルを結合させたデュランダル。
「……っ!?」
向かってくるエリカのジャスティスの反撃を交わし、無慈悲にも真っ二つに撃ち落とされてしまう。
『──〈BATTE ENDED〉!』
***
熾烈な戦闘の末にわたしたちはGBN運営の管理室へと半ば強引に連行されていた。
とは言ってもこっちの事情も知らずに、まったくこれっぽっちも納得なんかいってない。
ホノカさんは先ほどのバトル以降すぐに帰ってしまった。
「騒ぎ立ててすまないと思っている、そこに座りたまえ」
「……ど、どうも」
ふかふかの椅子にあたふたしてしまうわたし。
緊張して鳥肌がぜんぜんおさまらない。
「君の活躍はよく拝見させていただいている、最近ではファンもつき始めたようじゃないかエリカくん?」
「お、お陰様で……」
もともとそんなつもりでアイドル活動をはじめてないんだけど……
わたしの目の前には先ほどまで戦っていたデュランダルという運営管理者が、豪華な祭殿にある来客用のテーブルと椅子へと誘導していた。
話を聞くためにわたしはそっと腰掛けてデュランダルの言い分を知る必要があった。
「メア……
「常々我々は来るべき未知の脅威に対してAIダイバーを用いた計画を進行中でね?彼女はその中の一人なのだよ」
「そ、そうですか……」
わたしの他にもアカネとハルナもここに来ており、背後に立っていた。
同じようにデュランダルの付近にはサユリとアキナという二人の女性が警護に当たっている。
「……そもそもの話なんですけど、その未知の脅威って?」
「君も知っての通りではあるだろうがGBNでなにか違和感を感じたことはないか?」
「バグ……というかサーバーに入れなかったりしましたけど」
「それ以外にも半ば脅迫に近い声明文を送られていてね?対処するにあたってこれ以上の被害を出さないためだと言うことを理解してほしい」
「……現状のことはわかりました、でもメアはここは嫌だって言ってるんですよ?」
「こちらとしてもそちらにご迷惑をかけたことは承知している、だが元々彼女の今後における最終決定権は君たちにはない」
「そんな理不尽なこと……」
「今に始まったことではない、君にもあるのではないか?例えば──勝手に理想を押し付けてきた挙句に想定していない言動や行動を取られたら被害者意識ばかり肥大化する下劣で失礼な人間に苦労したことは?」
「……いまのところ心当たりはないですけど」
「それは良いことだ、そんなものは無いほうがマシなのだが下手に大人をやっていると蛆虫のように湧いて出てくるという事を知っておいたほうがいい」
「そ、そうですね」
……話が重すぎて疲労感が半端ないんだけどいつ帰してくれるのこの人達?
「ところで君はニュータイプをどう思っているのかね?」
ニュータイプ。
機動戦士ガンダム、それ以降で主人公達につけられた概念というか解釈のような単語。
たまたま兵器を動かせて敵をやっつけれたからなのか、そもそもの定義があやふやで時代によって性質が異なっているし不確定なものばかりであるけれど。
「……ちょっとわたしにはそういうのはなにも」
「自論ではあるが所詮この世界にニュータイプなんてものはいないと考えている。たかが兵器を操り敵軍を退けられたからと言って半ば神のように英雄視するのは単なる夢物語ではないのだろうかと、ね」
「ですけどアムロだってシャアといろいろあったじゃないですか?」
「一時には共闘したりもしたが結局お互いの理念の差を埋められずに消息不明となったではないのかな?」
「……どちらの言い分も間違いではなかった気がしますけど」
「そうでもしなければ人々に”問えない“だからだろう」
「かも……しれませんね」
あんまり重くるしい話はしたくないんだけど……
「辛気臭い話を聞いてもらって悪いことをした、ところでハルナくん?君のお母様はなんというのだね?」
「前回はお世話になりました、えっと私……のですか?」
「あぁ、見当違いでなければ一度聞いておきたくてね」
「〈シーア・ゼナム・ローレライ〉、ですけど」
「そうか……やはり──」
ん……?なんかハルナの名前と違くない?どういうこと?わたしの聞き間違い?ってか前回っていつ?どこで会ったの?
「ハルナ……?それってどういうこと?」
「エリカが気にする事じゃないよ」
そうは言われてもさぁ……?
そもそもわたしハルナのことなにも知らないんだけど?
惑星〈ローレル〉から来たことくらいしかわからないよ?
「君たちには一時的にIRIS-9999を保護してもらう事にしよう、それで構わないな?」
「……穏便に済ませていただいてありがとうございます」
「だが少しでも君たちには我々の実情を知っていてほしい、サユリ?アキナ?頼んでもよいな?」
「「はっ!」」
デュランダルの一言によって敬礼する二人。
「というと……?」
「フォース〈ASTERLISK〉、これから我々と活動を共にして頂きたい」
「……はい?」
「メアをそちらに受け渡す代わりに、我々GBN運営が置かれている現状を君たちの広報活動として仕事をして貰いたいのが条件だ」
「わ、わかりました……」
そう言われたわたしたちのフォース〈ASTERLISK〉はGBNにおける実状をほかのダイバー達に知ってもらうために活動をしていくことに。
……えっと、これからどうなるんです?これ?
ってかこれって直々に運営からのお仕事依頼ってことぉぉぉぉ!?
***
□新規設定ガンプラ
ユニオンフラッグカスタムⅡ
形式番号:SVMS-01X/M-03
武装:GNビームサーベル×2
プラズマソード×2
ディフェンスロッド×4
動力炉:GNドライヴ[T]×2
ビルドダイバーズ二次設定
GBN運営管理者であるデュランダルがエリカたちと交渉の際に使用されたガンプラ。機動戦士ガンダム00に登場したGNフラッグをカスタマイズしたものであり動力炉であるGNドライヴ[T]を二基に増設される改造がなされている以外は外観上の変化はない。カラーリングは白色の半艶で彩られている。