陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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エリカたち模型部はハルナがガンプラを持ち込んだ教会〈パラオ〉へと訪れる話です〜


第五章 -【広報活動です!】-

ハルナがわたしの了承を受けたことで体験会用のガンプラが持ち寄られた、東京の多摩地方の外れにある教会〈パラオ〉へお昼前にやってきた模型部の四人。

橘輝夜(タチバナ・カグヤ)先輩は工房の手伝いがあるということで今回は来ていないみたいだけど。

 

「あの……どうしてワタクシまで来る必要があるんです?」

「部員なんだから視察を兼ねて参加できる人は来ないとおかしいでしょうホノカさん!?」

「そもそもの話、エリカ先輩の不手際が原因ではありませんか?」

「それはそうだけど!なってしまったものは仕方ないでしょ!」

「……なんだかごめんねエリカ」

「いいよハルナは謝んなくて、このあたしのエリカが余計なことしたのが悪いんだから」

「アカネェェェェェ!もうそれ以上言わないでぇぇえええ!」

 

ところでなんかこのあたりわたしの実家の近くって感じだけど……なんだろうこの懐かしい感じは……

そんなことを思い浮かべながらもわたしたち四人は教会〈パラオ〉の門をくぐる。

 

◇◇◇

 

「あなたたちがハルナのお友達?相葉 七実(アイバ・ナナミ)よ?よろしくお願いね」

「お久しぶりです七実さん」

 

教会のエントランスに入り、シャンデリアに目を奪われていた。

わたしたちの目の前に現れたのは黒と白のシスターの服装を身に纏った若い女性で黒髪ロングの髪型、瞳はアメジストの輝きをしていた。

背丈と風貌からおそらく年齢は三〇代くらいといったところかもしれない。

 

「見ない間に少しだけ凛々しくなったわねハルナさん?染川 寧々(ソメカワ・ネネ)、みなさまよろしく頼むわ」

「……えぇまぁ寧々さん」

 

同じく七実さんと違って藍色の服を着た同年代くらいの茶髪ロングの瞳は金色の女性がわたしたちを出迎える。

 

「つかぬことを聞くんですけどこの教会〈パラオ〉はいつ建てられたものなんですか?」

 

そうわたしが七実さんに尋ねる。

 

「あぁこの施設?これは先代から受け継がれたもので今年で創立一〇〇年になったみたいね、あっという間ね」

 

もうここは一〇〇年も経っているところなんだ……

ところでガンプラはいったいどこへ?

 

「ここで話すのもなんだし、中でゆっくりしていってね?」

 

七実さんと寧々さんの案内によって教会内にある大広間に通されることとなった四人は恐るおそる入っていく。

 

◇◇◇

 

「ここが主に子供達と過ごしていてる場所よ、奥には厨房があったり一通りの生活に必要なものは揃えられているわ」

 

数多くの長方形のテーブルが連続して設置されており、その両方に椅子が規則正しく並べられていた。

ここで食事をしたり遊んだりするところなんだろう、たぶん。

 

「……おねえちゃんたちだれ?」

「あ〜!ハルナおねえちゃんだ!」

「ずっと待ってたんだよおねえちゃん!」

「おねえちゃんがくれたがんぷらたのしかったよ!」

「これこれ〜!みてみて〜!」

 

わぁああああああ!?なんだか大勢の子供達がわたしたちに駆け寄ってきたぁ!?

 

「落ち着いて!落ち着いてね!逃げたりしないから!みんな!」

 

そうハルナが手に持ったガンプラを見せてくる子供たちに向かって宥めるように両手を広げる。

そんなに一気にこられても大丈夫だから!

 

「ハルナおねえちゃんのおともだち?」

「おねえさんはなにしてる人なの?」

「うん!そう!おともだち!がっこうでべんきょうとかしてるよ!」

「ワタクシあまりこういうの慣れていないんですけれど……」

「なんだか人気者みたいだね〜エリカ?」

「え……?そ、そうだね?アカネ」

 

七実さんと寧々さんは苦笑いをしながらもわたしたちを見つめていた。

 

「もうそろそろでご飯の時間だし、みんなで食べましょうか!」

「ごはんだ〜!たべる〜!」

「きょうはなに〜?」

「かれーがいいな!」

「おむらいすだよ!」

「ひやしちゅうかだよ!わかるもん!」

「はんばーぐがいい!」

 

おおぅ……なんだろうこの既視感(デジャヴ)しかない光景は……脳内のわたし(イマジナリーフレンドエリちゃん)が呼び起こされてしまいそうだ……

 

(呼びましたか?寝てたんですけど)

(はぁ?ちょっと黙ってなさいよ!)

(そんなことより夕飯のメニューは?)

(今日の当番はアカネでしょ!?わたしは知らないよ!)

(……ちょっとうるさいよ!そこ!やられちゃうよ!)

 

言わんこっちゃない……少しは静かにしてほしいのに……

 

***

 

お昼時となった教会〈パラオ〉は子供たちとわたしたち四人で食事をすることとなった。

本当はすぐに帰るつもりだったんだけど……

 

「というわけで今日はカレーです!さあさあみんな並んで!」

「かれーだ!やっぱり!」

「このまえだってたべたじゃん、かれー!」

「こら!わがまま言わないの!おねえさんたちが見てるでしょ!」

 

あぁ……お構いなく……ほんわかしてるだけなので……

というかこの状況、小さい頃のまんまだ……懐かしすぎる……

みんなどうしてるんだろう……

 

「私も手伝いますよ」

「あたしもやります!」

「……ワタクシも」

 

こういうのはみんなでやったほうがいいよね!

わたしたち四人も加わって協力してテーブルクロスをひき、スプーンを人数分を並べて配膳していく。

 

◇◇◇

 

「それではみんなで〜!いただきます〜!」

「「「「「いただきます〜!」」」」」

 

子供達と一緒に両手を合わせて今日のお昼ご飯であるカレーを食すわたしたち。

 

「ハルナは辛いもの大丈夫なの?」

「ここのは甘口しか作らないから大丈夫だよ」

 

そりゃそうだよね、子供達が食べられなくなっちゃうもんね。

 

「ハルナさんあれからどうしたの?」

 

七実さんが真剣にハルナの顔を見ながら近況を知りたがっていたのか聞き出していた。

 

「あれからですか?とりあえず見ての通り友達とか恋人とかできたりしましたけど……」

「あなた恋人できたの?……あれで?」

「……まぁ流れで」

「これから大変になるのはあなたなのよ?」

「わかってますけど……」

「本当にわかってる……?」

 

ハルナになんかあるの?そこまで気にすることなの?そこまで大事な話なのかな?あまりこういうの聞くべきじゃないのかな……

 

「ハルナのおかげで子供達は少しだけ楽しめること見つけられたみたいだし、これからも来てくれない?」

「そうしたいところなんですけど……私にも事情が……」

「なら仕方ないわね、けどあなたはこの先超えなければならない壁があるのでしょうけど、立ち向かえる勇気はある?ハルナさん」

「そんなこと言っても今更どうしようにもないですよ……?」

 

思わず口を呑んでしまったわたしは甘口のカレーをかきこんでいた。

 

「後悔しない道を選びなさいね?どうにかできることとどうにも出来ないことはあるんだから」

「……そんなの知ってますよ、そもそも軽い気持ちでこんなところに来てませんし」

「なにかあったら迷わずここに来ていいんだからね?いつでも待ってるから」

「どうしてそこまで……」

「あなたは私たちにとっても娘みたいなものなんだから当たり前でしょう?」

「ハルナ?わたしなにも知らないんだけど、なにかあったの?」

「エリカには関係のないことだよ、なにか出来るようなことでもない」

 

その返事にわたしはどう応えればいいかわからないでいた。

なにも話してくれないじゃん!?ここに来たのだってハルナのことがあったからなのに!?なんでなにも言ってくれないの!?友達って言ってたけどわからないよ!

 

未だにハルナとの溝が消えることもなく、この日は報告書を提出するためにメモ帳に記載してその場で解散することとなった。

 

ところでハルナはいったい……なにがしたいの?

 

***

 

あれから一週間後。

GBNでデュランダルから言い渡された広報活動の仕事を受けることとなったわたしたちフォース〈ASTERLISK(アスタリスク)〉は、アイドル衣装にチェンジしてこれから行う仕事へと足を運んでいた。

 

「……なんでこうなっちゃんだろうねエリカ?」

「そんなこと言われたってわかんないよ!」

「用意は出来たましたか?」

「準備おっけいですサユリさん」

「緊張することなくてよエリカさん?」

「ど、ど、どうも!」

「というか本当にワタクシもやるんですか?」

「ホノカさんもフォース〈ASTERLISK〉のメンバーなんだからやるしかないでしょ!」

「……あまり気が乗らないのですけど」

 

そんなこと言ったって仕事を任されたんだからやるしかないでしょ!

わたしたちはサユリさんとアキナさんの手解きのもとでGBNの要である施設へと立ち入ることとなった。

 

「これからはレポーターとしてあなた方に宣伝をしていただきます?よろしいですね?」

「わ、わかりましたサユリさん……!」

「ワタクシあまりこういうのは……」

「そんなこと言ってないでやるよホノカさん!」

「私は別にどうでもいいかな……」

「ハルナはこういうのやったことあるの?」

 

アカネが首を下ろしながらハルナを見つめる。

 

「そこまでじゃないけど……多少は……ね?」

「ふぅぅぅぅうん……」

 

意を決したわたしはGBNの裏側へと飛び込んだ。

 

◇◇◇

 

極度の緊張感と空気感の差が激しい中でわたしは気を張ってマイクを握りながら責務を全うしようとしていた。

 

「えぇ〜と!みなさま!GBNをご愛顧いただいてありがとうございます!この度わたしことエリカは!アイドル活動の一環として運営様からお声をかけて貰いまして!……な、なんだっけ……」

「エリカ!ちょっと!カンペ読まない!カメラ見てカメラ!」

「あうううぅ……」

 

宣伝動画を撮影するためにアカネが手を振るう。

私の後ろには球体状の大型筐体が堂々と居座っている。

そう……これこそが……ええぇーと……

 

「みなさま!ご覧ください!こちらは!GBN大型基幹サーバーターミナルユニット〈メサイア〉です!プレイヤーのGBNの日々の記録を管理しているものになります!大きいですねぇ〜!わたしの身長の一〇〇〇倍はあろう巨大さでしょうか!惚れ惚れするような規模です……!」

 

……声が震えながらもわたしはGBN運営の管理下のもとにあるこの大規模なサーバーユニットに動画を通してダイバーたちに紹介していた。

 

「あそこになんか人がいるよ!?」

「……な、なんでいるのでしょう?」

 

ホノカさんもうちょっとはっきり喋って!

 

「ここには数多くのAIダイバーが我々人間の補助としてサーバー管理を受け持っているようですね!だよねエリカ?」

「そうそう!そうなんです!GBNサーバー保守基幹システム〈フェレシュテ〉というものがあり!ここではAIダイバーによる保守が行われており!我々との共存関係で成り立っているみたいです!」

「ここで!こちらを管理しているイゼルカントさんにお聞きしたいと思います!」

 

カメラをホノカさんに手渡したアカネがイゼルカントにしどろもどろになりながらも話しかける。

相変わらずホノカさんは慣れないことをしているためかずっと固まったまま。

 

「……ワシが管理しているイゼルカントだ、よろしく」

「よろしくお願いしますイゼルカントさん、ここでは主になにをしているんですか?」

「見ての通りここではGBNでのプレイヤーログや危険行為の監視またそれに伴う警告を担当しているのじゃがのぉ……いかんせん人手が足りてないのが実情なんじゃよ?だからこそAIダイバーに助けてもらっているのが現実での」

「それでなぜ今回はあたしたちに紹介をしてもらおうと?」

「どうせデュランダルの差し金じゃろ?あいつにはいろいろと面倒事を押し付けられてての、困ったもんでな〜?」

「カットカット!こんなの使えないでしょ!撮り直しだよ!」

「すまぬ……つい、いらんことを喋ってしまって……」

「お、お気になさらずに……はははは」

 

えええぇ!?またやり直すの!?これでもう三回目だよ!?あんまり時間かけたところでなにも変わんないよ!?

そうこうしている内になんとか撮影し終わったわたしたちはフォースバトルを行うこととなっていた。

 

◇◇◇

 

水着姿へとダイバールックを変えてフォース〈ASTERLISK〉は四度目となる戦いに向けて準備していた。

 

「水中戦なんてまともにわたし対策なんもしてないんだけどなぁ!?」

「私あのそもそもなにもわからないんだけど?」

「ワタクシ……やめていいですか?なんでこんなことしなくちゃいけなんです?」

「これもGBNの宣伝のためだから!人肌脱ぐしかないんだよ!……やりたくないけど」

「……エリカおねえちゃんこれからなにするの?」

「メア、えっとね!これはね!お宝探し……かな?」

「……どういうことなの?」

「そんなのわたしが知りたいよ!」

 

あまり気乗りしないながらもわたしたち四人は──水着でガンプラバトルをする事ととなったみたい……どうしてそうなった!?

海水浴なんて虚構(ゲーム)じゃなくて現実(リアル)のがよっぽどいいよ!絶対に!

 

***

 

 





教会〈パラオ〉

相葉 七実:〈世紀戦争〉以来、戦火に巻き込まれた子供などを保護している〈パラオ〉に従事しているシスター。掃除、洗濯などの家事をこなすほか子供達の面倒を見ているお姉さん。

染川 寧々:上に同じ。

***

□GBN運営

イゼルカント:GBN運営にて〈メサイア〉の管理担当者となっている女性。デュランダルから仕事を任されているがあまりいい気持ちをしていない。

▽GBN大型基幹サーバーターミナルユニット〈メサイア〉
イゼルカントが保守をするGBN基幹システムのひとつ。サーバー管理のほかバグの発見および処理、また不正を働くダイバーの監視に使われている。

◇◇◇

▽GBNサーバー保守基幹システム〈フェレシュテ〉
同じくイゼルカントがメインで担当するシステム。AIダイバーたちが一般の運営管理者と混ざって活動しており、人間を補助している。

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