陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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フォース〈ASTERLISK〉は四度目となるフォースバトルを行う話です。


第六章 -【星に手を伸ばして】-

GBNでの広報活動として動画撮影を終えたわたしたちフォース〈ASTERLISK〉は四度目となるフォースバトルを行うこととなっていた。

 

「戦うフォースは……〈VANCANCES MERCURY(バカンス・マーキュリー)〉?ってやつみたいだよエリカ」

「アカネそりゃ見ればわかるけど、水中戦用の武器なんて装備させてないよ!?」

「ワタクシ……あの……辞退しても……よろしいでしょうか?」

「そんなこと言ってられないよホノカさん!運営からの仕事も兼ねてるんだからっ!」

「さ、さいですか」

「ところでなんで私たち水着に着替えなくちゃいけないの?」

「……あ〜その、えっと気分を高めようみたいな?」

「どこも高まらないけど……」

「エリカおねえちゃんボクは?」

「メアはわたしと一緒に戦うよ〜!」

「えぇ〜?ひとりでも倒せるのに〜!?」

 

(GBN運営からのAIダイバーなのはわかってるけどそんなことしちゃったら出来レースになっちゃうでしょ!?)

 

そうは言ってられないでしょハルナ!?ねぇ!?……え?水着着たのにテンションあがらないの?なんで?

 

◇◇◇

 

「フォース〈ASTERLISK(アスタリスク)〉!エリカ!ガンダムジャスティス・アスティカシア!でますっ!」

「ガンダムシュヴァルゼッテ・ハンティア!アカネ!やるよ〜!」

「ガンダムレギルス!ハルナ!いきまーす!」

S(スペリオル)ガンダム!ホノカ!参ります!」

 

艦艇ディーヴァから飛び出した四機のガンプラたち。

エリカたちが出迎えた視線の先には広大な森林と川が交差する地平線上が映し出されていた。

 

ジャブロー基地。

機動戦士Zガンダムおよびその劇場版に登場。

宇宙から降下作戦を行ったカミーユたちA.E.U.G(エゥーゴ)は、テンプテーションで会敵したシロッコのメッサーラに脅威を感じつつも地球連邦軍内部に先行して潜伏したレコアを救出するために作戦を開始する。戦乱入り乱れる中で基地を放棄することとなりTITANS(ティターンズ)は地下に埋設した核兵器を使用し、丸ごと消滅させることとなった。

 

エリカは左右に目を配らせて敵が出現しないかキョロキョロさせていた。

 

「……どこからくるのかな?ってかまたもや全員Sランクダイバーとか容赦ないね運営」

「言わなくても勝手に出てくるでしょエリカ」

 

そうハルナは小さなため息をしつつも相槌をうつ。

 

「おねえちゃん〜たーいーくーつー!」

「メアはちょっと大人しくしようね?お願いだから?」

「えぇ〜!なにもしないなんてつまらないよ〜!」

 

(そうはいっても……これ以上の戦力はあまりにも過剰すぎるんだよメア……)

 

「──敵を炙り出すよっ!」

 

アカネは狙撃銃を構えて、水中に潜んでいるであろうガンプラを誘き寄せるために幾度となく連射する。

海面には数弾の粒子が撃ち込まれたことで海水が蒸発し、無数の霧を生み出していた。

 

「……いったい何処にいるの!?」

 

ガンダムレギルスを操るハルナはアカネの攻撃に対し、間をとるように後方から警戒体制を敷いていた。

だがそれすらも反応がなく、フォース〈ASTERLISK〉はあまりにも手応えのない感覚に嫌気が差していた。

 

◇◇◇

 

深海で息を潜ませる三人の女性ダイバーたち。

海面からくる桃色の光に怯えることなく、作戦を遂行していた。

 

「……まったく、それくらいでおのおのと出てくるかってんだよ?なぁ?ところでカナエに頼んで作らせたMA(モビルアーマー)の調子はどう?」

「ピンピンしてんよ!大金はたいてやった甲斐があったってもんだよ!あねジャ!」

「ここではお姉様とお呼びなさい、下品だわ」

「……失礼しましたノヴァお姉様!」

「わかるならよろしくてリディア?」

「ノヴァこれからどうするつもりなのです?」

「ブルク?あなたは敵を捕縛して海に引き摺り下ろしなさい、あとはわたくしたち姉妹で肩をつけさせるだけよ」

「……では!先に行かせてもらいますよ!」

「好きにしなさいブルク、ただ仕事はしてもらうからね?」

「わかってるって!」

「フォース!〈VANCANCES MERCURY〉!ノヴァ!ごめんあそばせ〜!」

「同じくリディア!やっちゃうからね〜!」

「ブルク!勝つのは我々よ!」

 

◇◇◇

 

アカネは未だに現れない敵のフォースに苛立ちを覚えていた。

 

海面ギリギリを先行するエリカは黒く浮かび上がってきた烏賊(イカ)のようなシルエットを迎え撃つため、マシンガンの銃口を向ける。

 

「ワタクシが対処します!エリカ先輩っ!」

「あぁっ!ちょっと!そんな大袈裟に動いたら敵に見つかるってばホノカさん!」

 

エリカの必死に訴えかける制止を振り切ったホノカは長大な砲身の射撃武器を海に向かって三度砲撃していく。

 

「──そんな攻撃ごときでっ!当たるものですか!」

 

FP/A-77 ガンダムファラクト。

機動戦士ガンダム 水星の魔女に登場。

強化人士であるエラン四号が操り、ガンダムエアリアルと交戦したがスレッタの機体から発せられるもう一人の人物によって敗北する。

また後半戦では変わる五号によって戦いに身を投じる。

劇中終盤ではGUND-ARM(ガンド・アーム)を搭載する機体たちによって、戦いを終結させるために奮闘する活躍をした。

 

エリカのモニターに映し出される八の字を形成するガンプラが長物のライフルを構え、ホノカのガンプラに向かって小型攻撃端末を射出して機体の周囲を囲い込む。

 

「……たかがコラキごときで!このワタクシを止めようなどと!〈強制分離(ロックバースト)〉!」

 

上半身、コアファイター、下半身に分かれてその包囲網を掻い潜るホノカ。

コラキによって挙動不審になってしまうエリカは関節部にレーダー装置が接触したことによって稼働が固着してしまう。

 

「なんでこんなときにわたしがっ!海に落ちる──!?」

「エリカぁぁぁぁ!?」

「うるさいなぁ!そこのモブ!行かせはしないよ!」

「しつこいんだよ!……モブいうなし!」

「お互い様でしょ!」

 

◇◇◇

 

明るい空色から暗い藍色に視界が奪われるエリカ。

助けを呼びたいところではあるが、まるで言うことを聞かない機体に焦りの表情を滲ませていた。

 

「ようやくきたわね!アイドルさん!」

 

ノヴァとリディアによって出現する大型MAがエリカの前に現れる。

 

GNMA-04B11 トリロバイト。

機動戦士ガンダム00 2ndシーズンに登場。

プトレマイオスが作戦行動中の深海を航行していた最中に相対したアロウズが製造した三基の擬似太陽炉を動力源とする複座式の水中用MA。

両手のクローアームによって捕縛する能力を持ち、ガンダムマイスターたちを追い詰めるはずだったが船内の海水の注入時間を短縮させてしまったために、スメラギによる機転によって呆気なく破壊されてしまう。

挙げ句にGNミサイルの攻撃の余波でさえも利用され、宇宙に上がる手間を省くこととなってしまった。

 

「こんなんじゃ──!」

 

エリカは沈みゆく身体で徐々に消えていく眩い光に手を伸ばす。

 

「エリカっ!大丈夫!?」

「この状況のどこが大丈夫だと思うのハルナ!?」

 

援護にやってきたハルナのガンダムレギルス。

シールドから発した胞状の遠隔兵器を一斉射し、そのあと続けざまに射撃を連続して喰らわしていく。

 

「攻撃がきかない!?」

「それが!?どうしたってぇ!?」

「あまり舐めないでくれさるっ!?」

 

ノヴァとリディアは脇目すら振らずにエリカたちに急接近を試みる。

 

「なんなのこいつら!」

「あまりワタクシの神経を苛立たせないでくれませんか先輩たち!?」

「「ホノカさん!?」」

「いつまでさん付けなんですか!もう呼び捨てで構いませんわ!」

 

再びMS形態に合体したホノカのガンプラはインコムを使用して加勢する。

先にエリカを救助することにしたハルナは腕を掴み海上へと急上昇させていく。

 

「助かったよハルナ……!」

「まだガンプラ動かないの!?もう三分くらい経ってるんだよ!?」

「あと少しすれば解除されるはずだから……あとちょっとの辛抱かな?」

 

GBNではプレイヤー同士のヘイト対策として操作困難になりうる攻撃には時限式の制限を設けており、継続して攻撃を受けない場合には経過時間で元通りになるようシステムが組み込まれている。

 

その甲斐もあっては復帰することが出来たエリカの機体は、逆転を狙うために──。

 

(まぁあんま使うなって言われると使いたくなっちゃうのがオタクの性ってやつだよね!?エリちゃん!?)

(このタイミングで呼び出すのやめてもらっていいかな?)

(便利屋じゃないんだよ!?)

(ところでどっかこのあと遊びに行かない?)

(現実(リアル)で?虚構(ゲーム)で?)

(((((どっちも!)))))

(強欲だね〜!嫌いじゃないけど!)

(さてと!いっちょ!やりますかねっ!いくよ!わたしのガンプラ!)

 

「ジャスティスアスティカシア!TRAMS-AM(トランザム)!」

 

エリカの掛け声によってスクリーンが赤く発色し、機体の制御が三倍相当に上昇する切り札をMAに向けて戦意を高揚させる。

 

◇◇◇

 

一対一の攻防を続けるアカネとブルク。

意を決したアカネはコンソールを操作して……

 

「ちょっと痛いけど!我慢しなよ!──〈魔導死相剣(ペイヴァーシュ・ヘルレイン)〉!」

「パーメットスコア!3!」

 

ブルクは呼応するように機体の出力を上げて応戦する。

ライフルを投げ捨てて両手から粒子の剣を握り迎え撃つ。

 

「……負けるのは!あんたらだよ!」

「そんなこと!知るかってんだ!」

 

大きく振りかぶるように振り下ろすブルク。

だがアカネは真正面から回転させながら高火力の斧を差し向けた。

 

左右に分かれるように分裂させられたブルクのファラクト。

 

「こんなことがぁぁぁぁ!あってたまるかぁぁぁ!?」

「あと一機!やればあたしたちの勝ちねっ!」

 

◇◇◇

 

そのはずだった。

エリカたちのフォース〈ASTERLISK〉が勝機を見出したと思っていた。

 

だが突如としてステージが強制変更されていく。

これまでの海と地平線上の視界から、宇宙へと放り出されてしまったのだから。

 

「……ちょっと!?なにがどうなってんのこれ!?」

「バグ……?こんななんの脈絡もなしにやるなんて聞いてないよ!?」

 

エリカとハルナは左右を見渡しつつも困惑していた。

トリロバイトを操るノヴァとリディアはここで勝負に賭ける。

 

「水中用だからってね!GNドライヴ搭載機なら宇宙空間なんておちゃのこさいさいなのよ!」

「……ブルクの分も仕返ししてあげる!」

 

猪突猛進で向かってくるMAにホノカは決断をする。

 

「ワタクシが……!その間に倒してください先輩方!」

「ホノカ!?なにするつもり!?」

「あんた何を!?」

 

エリカはトランザムシステム使用後による急激な性能低下によって動作させられずにいた。

このままでは負けてしまうことを悟ったホノカは自らが囮となって時間稼ぎをする。

 

「……このまま道連れにしてやる!」

「勝つのはわたくしたちなのだから!」

 

……と、その中でまだ残っている囁く一人のダイバーがいることを忘れていた二人は。

 

「アレアレ?おねえさん達さ?あたしのこといないと思ってたの!?」

「相打ちじゃなかったのか!?」

「……まずいよ!時間がかかりすぎてるよ!」

 

四機のガンプラに囲まれることとなったノヴァとリディア。

そして……この戦いは──。

 

『──〈BATTE ENDED〉!』

 

試合終了の合図が鳴り響き、阿鼻叫喚の声を叫ぶ二人。

 

「「時間切れぇぇぇえええええええ!?」」

 

***

 

惑星〈ローレル〉衛星軌道上外縁。

隕石落下阻止のためにMSヅダを運用していた艦船〈グワジン〉の船内では〈シーア・ゼナム・ローレライ〉が指揮を執り行っていた。

 

「……被害状況を知らせて」

「部隊の半数がMIAの報告を受けています」

「人員が足りていないっていうのに特攻までして死んでどうすんのよ、ジリ貧なのに」

「そうは言われましても、結果はそう覆せませんよ」

「……わかってるわそんなことは」

「どちらへ行かれるのですか?」

「これから一〇年前に使用した時空間転移装置の再調整するために出向くのよ、気が滅入るけれどね」

 

シーアはグワジンから離れて、お付きの警護人を携えて艦内をあとにした。

 

◇◇◇

 

「……調子はどう?」

「シーア様お久しぶりです、御足労いただきありがとうごさいます」

「挨拶はいいから、で?進捗は?」

「現在の再稼働シークエンスは20%と言ったところでしょうか、まだこちらも解析に時間を要していまして……簡単に使用できるもんじゃないんですよこれ」

「そんなことは百も承知よ、だけどそうせざるを得ない環境にいるということは理解してくださって?」

「……住人の半数以上が犠牲になってもなお、呑気にやってて良いのでしょうか私たちは」

「勝手に死なれては困りもんだもの、その分の報酬は上げるわよ?家族がいるのでしょう?」

「……息子と娘が一人づつですが」

「あなたの働きに見合った額を用意するよう上層部に打診しておくわ、たまには羽を伸ばしなさい」

「恐れ入りますシーア様……」

 

惑星〈ローレル〉の大気圏外に聳える瓢箪の兵器の内部でそんな会話するオペレーターとシーア。

 

「またお仕事ですか?」

「これも責務のうちよ、ここは任せたから」

「……はっ!」

 

多数の作業員の敬礼とともにシーアは手を軽く振りその場をあとにした。

 

◇◇◇

 

「シーア様!お待ちしておりました!」

「それで話ってなに?」

「この機体についてなのですが、シーア様は一度使用されたとおっしゃっていますけど性能の三割も発揮されていません」

「さすがに歳には敵わないわね……」

 

シーアと整備員の目線の上では一機の特別な機動兵器が各所にモニタリング装置が装着され、再起動の手筈を整えていた。

 

「まだお歳は一五〇歳ですよね?」

「平均寿命の半分じゃない?それでこの有り様なんて……向いてないわね」

「そう謙遜なさらずに、娘さんはどうしてらっしゃるのですか?」

「家出したもんだから連れ戻す算段をさせたところよ」

「年頃の娘さんですね〜!いいんじゃないですか?そういうのも」

「……簡単に言うわね、どっかの惑星に飛んじゃったかもしれないのに」

「急に壮大な話になりましたな……」

「まぁそんなことはいいわ、娘がこの兵器を使用することになるだろうからなる早で調整頼むわね?」

「本来なら使わずに済むのがいいのですが……」

「そうなってしまったときのために貴方がいるのよ」

「ありがとうございます!シーア様にそうおっしゃって頂くと力が湧いてきます!」

「……あんま面と向かって言うのやめてくれない?恥ずかしいわ」

 

この場からはやく抜け出したいところの中でシーアはこれから行われる作戦に向けて自身のモチベーションを高めていた。

 

***

 

 





■新規キャラクター設定

フォース〈VANCANCES MERCURY〉

ノヴァ:Sランク女性ダイバー。カナエから提供されたMAのガンプラを操る。

使用ガンプラ:トリロバイト

リディア:上に同じ。

使用ガンプラ:トリロバイト

ブルク:連携のためにひとりMSを操ることになるダイバー。

使用ガンプラ:ガンダムファラクト

◇◇◇

惑星〈ローレル〉

〈シーア・ゼナム・ローレライ〉:惑星〈ローレル〉で部隊指揮をしている獣人種のひとり。娘としてハルナ・ゼナム・ローレライがいるが、家出してしまっていることを気にかけている。一度MSに乗った経験があるが性能を発揮できずにいた。

◇◇◇

時空間転移装置:一〇年前にやむおえず使用された兵器。再び稼働させることとなったためにシーア主体による作戦行動に向けて準備が行われている。

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