陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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お久しぶりです神宮寺Re⑦です、今回は九条穂乃果と遠野めるる、橘輝夜がメインの話です。

※この話に主人公は登場しません。


第七章 -【Meritocracy】-

ワタクシがGBNでエリカ先輩たちと共にアイドル活動をはじめてから数日後の夏休み期間中。

いま居るのはセフレ(遊び相手)である遠野めるるの部屋に、彼と一緒に過ごしていた。

彼の両親は仕事中のため居ないわけだけど……

 

「ホノカもガンプラ作ってみたらどうだ?」

「……このワタクシが?」

「なんか気を詰めてる感じだったし、気分転換にでもはじめてみたらいいんじゃないかって思って」

 

単なる都合よく利用しているだけの関係のセフレなのに、なぜ……ワタクシのことを……

 

「無理にはじめてやるもんじゃないけど、ちょっと心配なだけだ」

 

そんな面と向かって見なくてもよろしくない……?そこまでワタクシどこか変なのでしょうか?

 

「……べ、べつにそこまでのことじゃありませんけれど」

「ならいいけど、本当に大丈夫なんだな?」

「大丈夫ですよ」

 

これ以上誰かに心配をかけるわけにはいかない。

それこそ、ワタクシは名家の令嬢というものを背負っているわけなのだし……

側から見れば恵まれている環境下にあるワタクシでも、悩みくらいあるのに……この感情をどうすればいいのでしょう……もうなにもわからないですわ……なにも……

 

「ところでそのガンプラは?」

 

テーブルに飾られている一体のプラモデルを指をさしたその先に彼の作品が飾られていた。

 

「あぁ……これか?ギャンシュトロームってやつだよ、劇場版機動戦士ガンダムSEEDfreedomに登場したやつでさ〜」

「ごめんなさい……さっぱりわかりませんわ……」

「これ作ってって前にスマホで調べ上げてる癖によく言うなお嬢様……?」

「それ以上言うと締め上げますよ?物理的に」

「僕の意思決定権どこ行ったんすか……?」

「そんなものありまして?」

「……友人付き合いどこかで間違ったかなぁ」

「冗談はさておき」

「冗談で済ませるほどなら最初から言うなよホノカ」

「少しは気を取り直しまして?」

「お互い様だろいろいろと」

「そう……かもしれませんね」

 

平常を装ってるワタクシではあるけれど……内心はGBNでの出来事から疎外感を感じずにはいられなかった。

ワタクシが居る必要あります?あの状況で……

別にワタクシなんて居なくても成立するようなところで、半ば強引にアイドルにさせられて……いったい何処に向かっているんでしょう……

 

「ガンプラってどのくらいで組めるものなんですめるる?」

「組むだけならHGモデルではやくて二時間からで、処理とかしっかりやろうとするとその倍以上はかかるかなぁ〜?それに全塗装なんかしようとすると最短の見積もりでも一、二週間はないと完成できないってもんでね?あぁこれは僕の話ね?人によってペース違うし他のグレードのやつだともっとかかったりするし、作品の中に物語を生み出すジオラマ系なんかは半年から年単位になる訳で」

「は、はぁ……」

「それに世界大会レベルになると一週間に一個レベルをほぼ何度も出してる人とか居るし、その合間に大作をちまちま進めてるような体力バケモン……というより趣味が生活の一部みたいな例外のちょっと規格外の人はいるしね〜」

「ちょっとなに言ってるかわかりません……」

「僕も人のこと言えたもんじゃないけど……」

「それで頼んだものはどのくらいで出来そうですめるる?」

「あと一週間ちょいあれば完成するよ?急ぎなのか?」

「いえ……そこまでの事じゃないんですけれど……そう言われるとちょっと……」

 

さすがに無理をさせすぎではないんですか……?と思いたくもなるわけでして……

 

「遅れそうなときは連絡するよホノカ?」

「よ、よろしくお願いしますわ」

 

***

 

金型製作工房T3(ティスリー)

おれの家の勤め先であるこの工房は代々続いているフィギュア製作を主とする工房だ。

そこでおれは学校のない日はその中で作業の手伝いを行なっていた。

 

「……進んだか輝夜?ってかいつもより暑いなぁ……空調機が故障でもしたか?あとで業者よんで点検してもらうか……」

「父さんこれいつまでやればいいんだよ?もう修理作業は慣れてきてるし別のこと教えてくれたって……」

 

橘真守(タチバナ・マモル)

おれの実の父親にしてこの工房の当主を務めている。

髪型はグレーよりの短髪の白髪、瞳の色は橙色で彩られている。

日々の疲れが抜けないのか目の下には隈までできてしまっているが……

 

おれの手元には商品を成形する金型の微調整をしていた。

防護服を身に纏って火花を散らせながら熱を帯び、真夏の気温を超える灼熱の中でやっていた。

 

「……まだ慣れはじめたばかりのやつに次の仕事を教える必要性はないな」

「なんなんだよそれ……」

「お前のやってることは何の役にも立ってないと思うだろうが、毎日必死に戦っている中でその先の楽しみに待ってる客がいることを忘れるなよ?」

「んなこと言ったってわかんねえよ……」

 

いくら息子とはいえ、作業がまともに上手くいかないことに才能のなさを痛感せざるおえなかった。

 

「いずれわかることになる、今日はそこまででいい、それと母さんから話があるらしいから着替えてリビングに行きな」

 

……話ってなんだよ?いままでなにも無かったじゃないかよ?おれになんか不満でもあるのかよ?

そう言われておれは作業着を脱ぎ、私服に着替えて家に戻っていった。

 

◇◇◇

 

家のリビングにはおれの母親である橘椎菜が真剣な眼差しで椅子に腰掛けている。

向かいの椅子で話を聞くために重い腰を下ろしながらおれは母さんと目を合わせた。

 

橘椎菜(タチバナ・シイナ)

おれの母親でこの金型製作工房T3の看板娘として嫁いできたらしい。

髪型は黒寄りの茶髪で瞳の色はエメラルドの輝きを放っている。

 

「……ところであの(ハルナ)さんとはどうなったわけ?」

「結婚を前提に付き合ってるけど、それをなぜ母さんが気にする?」

「その彼女はどこから来たの?」

 

……そういえば聞いたことなかったな?

そこまで気にするような問題なのか?おれは就職間近の高校生でそれどころじゃないんだが!?

 

「……聞いてない」

「あなたは何処からきたかわからないような女の子と共にする気なの?」

「そんなのおれたちのことに関係ないだろ?母さんだって恋愛結婚だったんだろ?」

「……たまたま上手く行っただけの話よ、それは」

「たまたまで済ますのかよ……」

「そんなことより仲良かった同級生が居たわよね?あの子たちのどちらともお見合いする手筈を整えてあるから」

「はぁ……!?なにを勝手に進めてんだよ!?おれはハルナと結婚するって言ってんだよ!話を聞いてくれよ母さん!」

「この二人のどちらかと結婚しなさい、その子のことは諦めて」

 

手元に出された写真には生徒会で一緒だった枢木唯(クルルギ・ユイ)三宅 佳織(ミヤケ・カオリ)の二人がおれの視線の先に置かれていた。

 

「……おれの意見(気持ち)は無視かよ!?人のことなんだと思ってんだよ!?なぁ!?」

「じゃああなたは人の人生背負えるくらい簡単だと思うわけ?それはまぁ楽でいいわね」

「おれのことなんだと思ってんだよ……」

「選択するのはカグヤだけど、後悔しても知らないからね」

 

そうは言われたっておれのこと見てるのかよ!?

勝手に決めて、勝手に話を進めて、勝手に人生決めるようなことをしておいて何様なんだよ!?

 

落胆するおれの気持ちを知らないで母さんはその日はなにも取り合ってはくれなかった。

 

この先、おれはどう進めばいいんだよ……

 

***

 

GBN運営管理室。

そこでボクは常々から用意していたAIダイバー〈NEMESIS(ネメシス)〉シリーズの再稼働に向けて他の管理者とともに事にあたっていた。

 

「……リボンズくん、正気なのか?」

「あぁ、これはもとよりボクが計画していたものなのだから好きに使わせてもらうよ」

「しかし……脅威に対しての対処事案がキルモードでの使用になるなんて……こんなのどんな反感をダイバーたちから買うかわかりませんよ?いいんですか?」

 

ボクの周囲には開発に関わった作業員が数名集まっていた。

たかがゲームとはいえ、その世界が窮地に追いやられてようとしているのに呑気に遊びほうけているほどボクは暇じゃないんでね?あぁ……デュランダルのことかい?あいつのことは最初から信用してないさ、なにをしようとしているかわからないが敵になるならもう少し戦い方というものを教えてあげるよ……

 

「……その決定権はボクにあるが君たちにそれを覆す真似はさせないよ、なにがあってもね?」

「脅し……ですか?」

「そう思うなら少しは身の振り方を考えたらどうなんだい?」

「無礼を許してくれ、イゼルカントはどうした?」

「あいつなら有給休暇中だろ?今頃ハワイでも行ってるんじゃないのか?」

「……こんな夏にですか?」

「そうでもしないとやってられないだろうが」

「それはまぁ……ですね……」

「〈NEMESIS〉シリーズでのキルモード使用許可は決定事項だ、変えるつもりはないしどのみち正式なお披露目をする算段は付けてある、あとの作業は君たちに任せるよ」

「どちらに行かれるのです?」

「……ちょっと気晴らしにね」

 

デュランダル、絶対に君の望み通りにはさせない──。

 

***

 

惑星〈ローレル〉衛星軌道上。

これから行われる観艦式に向けて、戦力を集結させていた。

 

「シーア様お戻りになられましたか?」

「……遅れて済まないわね、状況は?」

「構いません、我々の宇宙機動艦隊の残存戦力はムサイ級五隻、グワダン級三隻、敵から奪取したアルビオン級二隻の合計一〇隻です。またこれに配備されている機体としてゲルググ五〇機、エースパイロット向けに先行配備のアクトザクを二〇機を整備中とのことです。なお、作戦開始後に合流する艦艇としてドゴスギア級三隻および一五〇機の増援が追随する予定であります。よろしいですね?」

「それでよろしくてよ、では余はこれからひと仕事いくわ」

「ご武運をシーア様」

 

◇◇◇

 

余はこれから遠く遠く、遥かに遠くに離れた惑星へと向かうために兵士達のいる宇宙港に足を運んでいる。

 

「お待ちしておりましたシーア、今日もまたご綺麗で」

「……ムラン環境大臣、今日も変わらぬのご鞭撻感謝いたします」

「これも我々の手筈があってのこそですよシーア陛下?」

「またそれですか、言いたいことはわかりますが」

「それより良いのですか?こんな非常時に貴重な兵力を集わせて?」

「それどころではないのは承知の上でやっているのです、貴方方だって死にたくはないのでしょう?」

「所詮は老いぼれのわたしたちではありますが、そこまで長生きしたいとは思ってはいませんよ」

 

なんともまぁ嘘が下手ですこと、ならなぜここまで来ているのです?聞いても仕方ないですね……

 

「では参ります──」

 

◇◇◇

 

「ここに集いし戦士達よ!〈シーア・ゼナム・ローレライ〉である!わたくしたちの目的は!ただの侵攻作戦をするためにやるわけではないことを心しておきなさい!」

「「「「「おおおおおおおおぉ!」」」」」

 

一斉に右手を挙げる兵士たちからの歓声を受け止めて余は、これから行われる大事にあたり戦意を向上させまいとしている。

 

「我々がすべきことはなんだ!この世界を生き抜くことだろう!例え痛みを伴ったとしても!生きた証を残さなければならない!君たちにその勇気はあるか!それが無いものはここから立ち去りなさい!」

 

「んなわけないだろ!シーア!」

「いつ死ぬかわからないんだ!やれることはやらせてくださいよ!」

「ここにいる奴らなんて身元がないやつらばかりなんですぜっ!」

 

「……その心意気に感謝の意を表する!常々我々は突如として飛来した敵に!故郷を!街を!思い出を奪われてきたのだ!そしてつい先日でも多数の被害が出てしまう惨事となっているのは知っていることだろう!無念であってならない!このままでは種族として絶滅の危機に立たされていることに変わりはない!なればこそ!この惑星〈ローレル〉を離れ、君らの勇気に免じてこの世界を変えようではないか!ローゼス!ローレライ!ローゼス!ローレライ!」

 

「「「「「「「ローゼス!ローレライ!」」」」」」」

 

◇◇◇

 

「まったくこんなことをするために余は生きてきたわけではないのだがな……」

「そんなことをおっしゃらずに、いい演説でしたよ〈シーア・ゼナム・ローレライ〉陛下」

「……まったくこの有様では娘に顔向けできないね」

「娘さんはいまどちらに?」

「探索中よ、先見部隊にやらせているわ」

「……シーア陛下、これより作戦時間です」

 

付き従っている警護人の声掛けに対して、余は無重力空間で手で会釈をして合図をする。

 

「わかったわ、ではいきましょう──これからの未来に」

 

***

 

 





■登場キャラクター

橘輝夜:七夕陽那と結婚を前提に交際中であるが母親にお見合いの話を進められている。

橘真守:金型製作工房T3の当主、妻である椎菜とは恋愛結婚の末にこの工房を守っている。

橘椎菜:橘真守と結婚した才女。ただし輝夜の交際には反対している。そのためお見合いの話を了承もなしに進めている。

◇◇◇

GBN運営

リボンズ:NEMESISシリーズであるAIダイバーを生み出した張本人。デュランダルのことを敵対視している。

プロジェクトNEMESIS:リボンズが主幹とするAIダイバーの総称。デュランダルのプロジェクトIRISでは「転生」した人間の魂が入っているがこちらは機械的な処理のみをするため非人道的な効力を厭わない。

◇◇◇

惑星〈ローレル〉

〈シーア・ゼナム・ローレライ〉:惑星〈ローレル〉内での指揮官を務めている。だがMS操作技術はそこまで高くなく、環境大臣などに祭り上げられているため政治的側面のほうが強い。

ムラン環境大臣:年配の男性。シーアを知っている人物。彼女を煽てておけばいいと思っている。



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