陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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お久しぶりです神宮寺Re⑦です〜!実質的に今回からストックなしの完結RTAです!……いつ終わるんだろうこれ()

エリカたちは夏休みにビーチへとやってくるお話です〜!夏!といえばやっぱり水着で海の家で食べる焼きそばですよね!


第八章 -【あなたになにが】-

夏真っ盛りの八月初旬。

わたしたち模型部は夏休みを生かして電車に乗って隣県にあるビーチへと気晴らしにやってきていた。

 

颯爽と水着に着替えてわたしとアカネそしてハルナは海岸線へと小走りで向かう。

 

「久しぶりにきたね〜!海だよ!海!」

「みりゃわかるって……アカネ!」

 

アカネが生徒会の仕事から解放されたからなのか、いつも以上にはしゃいでいた。

両手に海水の温度を感じながらわたしに向かって波しぶきを掛け合っている。

……こんなことしてていいのかなんて思っちゃうけど、たまにはいいよね!?答えは聞いてないんだけどね!

 

「……で、なんで私まで誘ったのエリカ?」

 

少しだけ遠くからハルナがわたしに向かって神妙な面持ちで話しかけてくる。

 

「あぁ〜やぁね?ガンプラのアイデアで困っちゃってさぁ?わたしのガンプラまだ未完成でまともに使えてないし……あはははは……」

 

そう、わたしの新しく製作したガンプラであるガンダムジャスティス・アスティカシアはいまだに完成の日の目を浴びたわけではなく……現状は暫定措置でGBNで使用しているわけで……って!?なんでそんな中途半端なんだよ!?と言われても仕方ないっていうか……

 

(こんなことよりフィギュア製作はどうなったんです?)

(遊びに来たんだから!そんなことはいまはなし!)

(とりあえずかき氷食べたい)

(はぁ!?海の家と言ったら焼きそばだろうが!なにいってんだコイツ!)

(……そこのお嬢さん?海水浴にきたらナンパされるのがオチですよ?わかってないんですね?)

(と、色欲まみれの煩悩(ぼんのう)がささやいてるよ?わたし?)

 

……どうにかしないと自他共に、んなこと知らねえよ!勝手に脳内会議してろよ!分身体ども!

と、まぁそんなこんなで生きていますわたし。

 

◇◇◇

 

お昼近くになってきたためわたしたち三人は、海の家〈Memory of EDEN(メモリー・オブ・エデン)〉へと足を運んで空いた腹を満たそうとしていた。

同じく水着姿の男性の店員さんに声をかけて注文を各自する。

 

「わたしは……んじゃカレーライスとメロンソーダフロートで」

「じゃああたしは冷やし中華とお茶で〜」

「私は焼きそばかなぁ〜」

 

「カレーライスとメロンソーダフロート、冷やし中華にお茶、焼きそばですね〜!少々お待ちください〜!」

 

木製の椅子とテーブルでリラックスする三人は、今後の模型部の活動についての報告書をまとめようとタブレットに記載するため案を出すことになった。

……わたしがはじめたフィギュア製作だけでよくない?そもそも時間がなくない!?部員も九条穂乃果さんくらいしか増えてないのにこれ以上なにをどうしろと言うの!?

 

「……さて、今回の議題ですが──」

 

両手に腕を組んでなにやら真面目なお話をするであろうアカネを見たわたし。

 

「その○ヴァごっこいい加減にやめよ?しらけるよ?」

「……え〜!たまには雰囲気出そうと思ってやってんのにさぁ〜!こちとら生徒会のことから離れたいんだよ〜!頼むよエリカもん〜!」

「と、おっしゃっておりますがどうするんですかエリカさん?」

「ハルナはその……なんで乗り気なの?わたしだけバカみたいじゃん」

「馬鹿なのは子どもの頃からじゃんエリカ?」

「……聞き捨てならないことを言うねアカネ?立ち場を弁えて言ってくださる?ここは学校じゃないんだよ?」

「なんで私だけハブられるみたいな状況に一変してんの?なにこれ茶番?」

「違うんだってハルナ〜!つい悪ノリしただけなんだってばぁ!」

 

あーその別に悪い意味でやってるわけじゃないんですよ!わかってくださいよ!ハルナ!

……って言ってもこれはよくないよね、さて本題に!

 

「っていうかハルナ?そのベール取ったら?暑いよ?気温四五°だよ?倒れるよ……!?」

 

そう、この日の気温は最高気温四五°の酷暑以上の熱波を帯び砂浜を見るとめまいがするほど視界が淀みつつあった。

……このままだと干からびて死んでしまうよ〜!な、どうあがいても絶望の真っ只中ってわけ!この地球を冷やしてくれないかなぁ!……できるわけないかさすがに。

 

「外せないよ……前にも言ったじゃん理由があるって……私がどんな気持ちでここに来たのかわからない癖に」

 

んなこと言ったってさぁ?なんかこう……モヤモヤするじゃん?

するとそこに……二人のカップルがわたしたち三人のいるところへとやってきた。

 

◇◇◇

 

「なんでエリカ先輩たちまで来てるんです?」

「この人たちは知り合いか?ホノカ」

「ええ……まぁ……部活でいろいろとありまして」

 

あれ?この男の人……どっかで見たような……気がするんだけど?見間違いじゃないよね?

 

「どこかで会ったことがあります?」

 

わたしがホノカさんの連れている男性に食べかけのカレーライスのスプーンを置いて、目を合わせて話してみる。

 

「……心当たりないけど、もしかして〈AXIZ(アクシズ)〉の店員さん!?」

 

ほら!やっぱりそうじゃん!あのときのお兄さんじゃん!……いや、待って?じゃあこの人がホノカさんの?

 

「お知り合いでしたのね?めるる?言ってくれれば良かったのに」

「そうは言ってもただの他人だろ?わかるわけないじゃん」

 

……ってかデート中に知り合いに会うのって気が引けるっていうか、いますぐここから立ち去りたいのが山々なんだけどいつ解放してくれますかね?部活動のことなにも進んでないんですけど?

 

「……先輩たちお楽しみ中すみませんでした、それでは」

「っておい!ホノカ!先にいくなよ!まだ来たばっかだろうがよ!」

 

あんまそれといって話すこともなく立ち去っていく二人。

……気をまずくしちゃったかなぁ?プライベートだし、なんとも言えないかぁ。

 

「お邪魔虫も居なくなったことだし、議題へと移りましょうかみなさん?」

「なんでそんなに目の敵にするように冷静なのアカネ!?人の心とかないの!?どっかに置いていっちゃったの!?」

「……リア充なんて滅べよマジ」

「アカネさん……?目が死んでますよ?今にでも世界を恨んでいるような眼差しやめてもらっていいですか?」

「ん〜?なんのことかなぁ!?いつも通りのあたしだよ〜!ほら〜!エリカLOVE♡なアカネだよ〜!信じて〜!」

 

どこも信じられないよ!?その殺意マシマシな挙動みたら逃げ出したくなるよ!?……あのなにも進んでないんだけど、こんなのでいいんですかわたし?

 

「相変わらず仲良しでいいね〜」

「「これのどこがだよ!?」」

「息ぴったり、エリカのフロートのアイスもたっぷり乗っかってるね〜」

「嫌味か貴様!?」

「っていうか、模型部の話どこいったの?」

 

いきなり正気に戻すなよ!それどころじゃなくなっちゃったじゃん!こんなことばかりしてるからやりたいことも見つからないんだよ……わかりましたここでわたし切腹します。

 

よき人生を──!来世でまた会おうね!みんな!

 

「まだ終わってねえよエリカ!ここで死んでどうすんだよ!」

 

……ごめんなんでわたしの思考を読んでるのアカネさん?

な、そんなこんなで夏休みを満喫しましたとさ!おしまい!

 

いやいやいやいや……終わるな終わるな!まだはじまったばかりじゃねえかよわたし!

 

***

 

海の家でエリカ先輩たちと不意に出逢ったから一週間後、模型ショップ〈AXIZ〉へとやってきていたワタクシ。

なんて言っても、作りたいプラモデルがあるわけでもなくただ惰性で彷徨っているようなもぬけの殻状態で箱を見つめていた。

 

……念の為めるるから製作してもらった渾身のSガンダムを持ち歩いてるにはいますけれど。

 

ガンプラ作ってみたらどうだ?と彼に言われてきてみたはいいもののこんなに種類があるんじゃなにを選べばいいかなんて決められるはずもなく……

 

「あれ?ホノカさん?どうしてここに?今日はひとり?彼氏?さんは?」

「ハルナ先輩ですか……まぁ一人ですけれど」

 

なんでこんなときに限って来るんですかね……それにカグヤ先輩まで連れてきて……この順風満帆なカップルは!

 

「ところでハルナはなにか買うつもりで来たのか?」

「……っていうより最後のデートを楽しみたいから?」

「なんだよ最後って……辛気臭いこと言うなよ?これから二人で住むアパートのことだって話さないといけないのに」

 

……同棲をするってことですか!?学生の身分で!?ご両親の了承は!?なにがどうなったらそこまで進むんです!?ワタクシなんて好きと言っても有耶無耶にされてるのに!?

 

「……なんかムカつきますね」

「なに?」

「ムカつくって言ってるんですよハルナ先輩が」

「えっと、なんか私悪いことした?」

「そのわたし苦労してないんです〜!みたいな面が忌まわしく大嫌いなんですよワタクシ……!」

「……へぇ〜この期に及んで場所も考えずに不機嫌を撒き散らすんだ?ダッサいね」

「あんま店の中で問題起こすのはよくないだろハルナ……?穏便に解決しようぜ?」

「じゃあ私がGP・デュエルでホノカさんと戦って勝てばいいよね?」

 

はぁ!?まともにGBNで活躍できなかった奴がワタクシとやり合おうってんですか!?ふざけてます?

 

「ハルナはガンプラ持ってきてないだろ?おれのエピオンを使うしか方法ないぞ?」

「じゃあそれでいいよ、いいよねホノカさん?」

「べつに構いませんけれど、後悔しないでくれます?」

「二度とその生意気な口を聞かせないようにしてあげよっか?」

 

この女……!ワタクシのことを馬鹿にして!

 

「いいでしょう……受けて立ちますよハルナ先輩……」

「そのままじゃ面白くないからガンプラ交換しよっか?ホノカさん?」

「はぁ!?なにを言ってるのかさっぱり!?」

「大会規定のSランクレベルじゃないとやった気しないでしょ?ね?カグヤ?」

「……なに考えてんだよハルナ、木っ端微塵にぶっ壊れるんだぞ?」

「だから?」

「だからっておま……作品を作り上げたこっちの気持ちくらい知ろうとしろよ……」

 

◇◇◇

 

宇宙要塞〈ソロモン〉。

機動戦士ガンダムGQuuuuuuXに登場。

地球連邦宇宙軍はジオン公国軍の拠点のひとつである月面基地〈グラナダ〉に向けて小惑星を衝突させる作戦を決行する。

それに際してシャア率いる陽動部隊は奪取した強襲用揚陸艦ホワイトベース改めソドン改とともに阻止をするため戦線を開始した。

その作戦の中でシャアは要塞内部で兄妹のひとりであるアルテイシアと一線を交えた、直後ガンダムからサイコミュが突如として稼働し「時が見える……!」と超常現象を目撃する。

ソロモンの半分を喪失させたその現象を人々は「ゼクノヴァ」と呼ぶこととなった。

 

「ガンダムエピオングレイシャー!ホノカ!参ります!」

 

半ば人の意思すら無視してハルナ先輩から渡されたカグヤ先輩のガンプラを使うこととなったホノカ。

 

(めるるに作ってもらったS(スペリオル)ガンダムとは違うとはいえ、これはあのカグヤ先輩のガンプラ……壊すことなんてそんなことあっちゃいけない!そんなことしちゃったらワタクシは……!)

 

◇◇◇

 

「さて、これで他人のものを使うのは二回目だけどまぁ余裕だよねこれくらいのことじゃあ!Sガンダム!ハルナ!出るよっ!」

 

(人のことなんも知らないでわかったような口でほざくお嬢さんなんて、私の相手にすらならないのだからわからせてあげるよ!)

 

飛び出した両機は互いの距離を測りながら、いまかいまかと攻撃の手段を整えていた。

 

◇◇◇

 

飛行形態(ドラゴン)に変形させ、ハルナのSガンダムを探すホノカ。

視界には散らばった隕石群が遮るように通り過ぎていく。

 

すると、一直線に二時方向からの射撃がホノカの操るエピオンを掠める。

 

「……遊んでるんですか!このワタクシに向かって!」

 

急速にMSへと戻すホノカ。

左手に握る膨大な粒子の剣を使い、辺り一面の石ころを薙ぎ払う。

 

クリーンにやったことでかつて自分が使用していたガンプラを捉えたホノカは一騎打ちさせまいと背中のバーニアを威勢よく噴出し急接近する。

 

「……っとと!ようやくやる気になったんだ!」

 

射撃を行なっていたハルナが迫り来るホノカに対して長い砲身の武装を前方に構え受けて立った。

 

「人のガンプラをよくもっ!」

「それは──!お互い様でしょ!」

 

火花散る両者のガンプラ。

剣先で銃を溶解していくホノカ。

いくら互いの機体を交換したとはいえ、負けられない戦いがそこにあった。

 

「ワタクシはっ……!ワタクシが!」

「しのごの!言って!どうにかなるとでも……!」

 

破壊された武器には目もくれずにハルナはロックを外して、近接戦へと持ち込む。

ハルナには多少のハンデがあるとはいえ、放り出した両手に発出し顕現させた細く光り輝く刃を構えた。

 

「……その程度のことで!ワタクシがっ!やられるとでも!」

 

ホノカは機体を切り裂くように左手を振り翳したはずだった……勝機があると踏んで。

 

「だからどうしたって!言うのかな!」

 

機体の状況を前から把握していたハルナは上下を分離させて、いとも容易く何事なかったように華麗に交わす。

 

「……なんなのよ!あんたは!」

「ただの!女の子だよ!あなたと同じでね!」

「そんなことがっ!あるわけない!」

「じゃあ今に見てるのはなんなのかな!?幻かなにかかな〜!?」

 

(この女……!ワタクシのことを弄んで!いい気になりやがって!……ふざけないでくださいよ!)

(こんな!こんなことでワタクシが負けるなど!あってはならないことなのに!)

 

分離した下半身を変形させたハルナはホノカのエピオンへと猛追していく。

反応に遅れたホノカは……冷や汗をかきながら極度の緊張感の中で彼女に挑んでいた。

 

(こいつ!なんなんですか!)

(……このワタクシがどんな気持ちで!このガンプラを壊せないのに!壊したくないのに!壊せないのに!)

(あなたにはなにもわからないでしょう!あなたなんかには!)

 

浮遊する小惑星へと打ち付けられるホノカのエピオン。

分離させた下半身と融合させたハルナのSガンダム。

 

「まだ!まだ!まだ終わってない!」

 

立ち上がろうとするホノカを前に左脚を勢いよくエピオンの左腕の自由を奪うように強く踏み躙るハルナ。

最初から勝負が決まっていたかのようにハルナは……

 

「……これで思い知った?あなた如きに私は倒せないってことを──まだわからない?じゃあ……」

 

(おい!それ以上やるってのかよ!人のガンプラなんだと思ってんの!)

 

右手側の刃先を逆手に持って頭部目掛けて容赦なくぶち込んでくるハルナ。

焼き切れたヘッドユニットが虚しくも引きちぎられる。

 

(それ以上!ワタクシの!ワタクシを!支えてくれた人のガンプラを!めちゃくちゃに……!しないで……)

(やめてよ……ねぇ……)

(やめてってば……)

 

「黙れよ──身の程知らずの小娘風情がっ!」

 

続けざまに腹部にも、右脚、左脚と、無惨な姿へと変わり果てるホノカのエピオン。

 

『もういいだろ!これ以上やらなくても!』

 

割って入ってくるカグヤの通信が二人の時間を止めた。

 

「……〈BATTE ENDED〉!」

 

無情にもその場が静まり返る夕刻のチャイムだけが響き渡った。

 

***

 





〈Memory of EDEN〉

エリカたちが訪れた海の家。七月から八月には多くの観光客が賑わう。
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