陰キャだけどアイドルはじめてGBN〈惑星〉を救う話。   作:神宮寺Re ⑦

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お久しぶりです神宮寺Re⑦です〜!これから暑くなってくるのでしょうか!?わたし!気になります!

※この話に主人公は一切登場しません。


第十一章 -【もうどうなってもいいや】-

ワタクシにはもうなにもない。

家柄も所詮は飾りでしかない。

学校にいても寄ってくるのは〈クジョウ・コーポレーション〉の財閥令嬢という名ばかりのタグを目当てにやってくる人たちばかり。

 

いくら仲良くしようとも、ワタクシ自身を見てくれる人は誰ひとりも居なかった。

そんなワタクシにも光があった。

橘輝夜(タチバナ・カグヤ)という一筋にワタクシを照らしてくれた、ただ一つの大きな星の光が。

 

彼との出逢いは数年前に行われたGP・デュエルの全日本大会決勝戦。

 

そこで戦う彼にワタクシは一瞬にして心を奪われた。

それから幾つかの日が経っただろうか……どこにも心休まるところがなかったワタクシを救ってくれたことを忘れるわけがない。

 

けど、そんな唯一の大切にしていたものでさえ自身の手で壊してしまった。

……もうなにも、なにも、ワタクシには残っていないのに。

 

◇◇◇

 

模型&ホビーショップ〈AXIZ(アクシズ)〉で、ハルナ先輩と半ば強引にGP・デュエルをすることとなったワタクシは彼女に敗北を味あわされた。

 

ましてこっちがどんな気持ちでカグヤ先輩のガンプラを使用しているのかも知る由もないくせに……

 

あれからすぐ、途方も暮れて街へと逃げ出していったワタクシはビラ配りをする大人の成年達に声をかけられる。

 

「お姉さんどうしたの……?気分でも悪いの?」

「え〜!?こんな夜中に繁華街の裏手を歩いてるなんてヤバいよ〜?お兄さんと気持ちいい事しない?ねぇ?」

 

……いつからだろう、こんなことが増えたのは。

彷徨ってばかりいるワタクシになぜそこまでこだわるのかなにもわからない、わかりたくもない。

ワタクシを憐んでいるとでも言いたげな、せせら笑いをしながら両端を囲まれてつけまわされていた。

 

「……ワタクシになんの用があるのですか?勝手についてこないでくれます?」

 

金髪の男性二人が楽しそうに笑みを浮かべています、そこまですることなんてありもしないのに。

 

「へぇ〜?お姉さんちょっとヤナことあったんじゃない?そんなのこれっきりで忘れちゃおうよ?」

「そうだよ〜?所詮あそびなんだしさぁ?いい事させてあげるよ〜?一緒に楽しもうよ〜?」

 

もう、なんでもいいや……はやくこの世界から消えてなくなりたい……どこでも連れてってください……お兄さん……

 

「……ワタクシでいいんですか?」

「お姉さんだからいいんじゃん〜!ノリ気な感じ?うれしいなぁ〜♪」

「おっ!?いいじゃんいいじゃん!気分上げていこうぜ〜姉ちゃん!」

「引っ張らないでください……」

「これからのお・た・の・し・み!だよっ!」

 

◇◇◇

 

二人のお兄さんに連れられたのは都内の繁華街からかなり裏手に入っていったところにあるホテル街だった。

……ワタクシを弄ぶつもりなのでしょうか?いまさらなにが起きてもどうせ誰も心配なんてしないだろうし、なんていうかどうなってもいいんですよワタクシのことなんて……

 

看板には〈happiness(ハピネス)〉と書かれていたような気がしましたけれど……

 

「……連れてきましたよ親方」

「ほう?今日は若いねえちゃんか?お前の趣味に付き合わせられるのはこれで三度目だが丁度いい」

「ははっ!これから二人も呼んでくるんで!待っててくだせえ!」

「……好き放題したいだけだろ?」

「親方には言われたくねえっすけど!?」

「まぁいい、はやく奥の部屋に連れ込め……!」

「「へいっ!」」

 

話し声が聞こえてきますけれど……なにも頭に残りません。

なにかを口に運ばれた記憶があるようなないような、そんなことすら気付けないまま時が過ぎていきました。

 

◇◇◇

 

施設に着いて眠らされること数時間。

目を開けると眩しい強いペンライトの光がワタクシを飲み込んでいく。

 

「……起きたかお嬢ちゃん?いい眠りだったよ」

「ここはいったい?どこなんです?」

「あぁ?ここ?ここは単なる会員制のジムだよ?表向きはね」

「……っ?」

「起きたばかりじゃあわからないのも当然だ、これからお嬢ちゃんには頑張ってもらわないといけないからね?」

 

頑張る……?なにを頑張るって言えんです?

これ以上なにかしたところでなにも変わらないのに?なぜ?

 

「麻酔が切れたばかりなんだからそうすぐ動かなくてもいいよ?どうせこれからめちゃくちゃになるんだから……へへっ」

 

身体があまりにも漬物石のように重たく、まるでワタクシのらの反応を示しません。

でもなぜか、なんでしょう……このとても軽くなった良い気持ちは……!?

 

◇◇◇

 

「これで実験体は何人目になるんです?所長」

「何人目だったかしらね?八八人目くらいじゃないの?」

「多量の筋力促進剤に致死量の薬剤までやって!?それで生き残れたのはせいぜい三人でしょう?こんなの予算と人員の割りに合いませんよ?」

「仕方ないじゃない、戦争があって以降予備兵力の確保のためと言っているけれど報告書には民間の営利企業になってるんだから……こっちだって給料が良いからやってるだけなのに」

「医者の一〇倍の年俸っすもんね……そら誰も辞めたがらないわけで」

「人の命くらい、いくらでもあると思ってるんでしょう?湧いてくるんだから」

 

◇◇◇

 

白衣に着替えられたワタクシは頭部に電極が埋め込まれた機器を取り付けられていました。

かといって痛いというわけでもありません。

 

「これからちょ〜っと、夢の世界に行くけれど?いい?」

 

夢の世界……?いったいどこのことなんです?っていうかこらはなんなんです?なんなん……で……

意識が朦朧としはじめたワタクシは視界がぼんやり暗くなっていくのを感じていた。

 

◇◇◇

 

目を開くとそこにあったのはどこかの惑星のようでした。

……だけれど、人の気配すらなにもなく。

ただ、空の色が紅くそして黒く覆い尽くされているではないですか……

 

大地は荒れ果てて空気は澱んでいて、息をすることすらままなりません。

縦横無尽に暴れ回るように駆け巡る黒龍のような生物が戦っています。

 

ここはどこなのですか?こんな世界なんてファンタジーくらいでしか見たことがありませんのですけど……?

 

……それからも、なおも続く戦いの果てにこの惑星はそれまでいた黒龍さえも今にも生き絶えてしまいそうな窮地に陥っています。

 

抗って抗って、そんなことすらも無条理に理不尽に力及ばずに種族としてその龍たちはこの惑星で息を引き取っていきました。

 

◇◇◇

 

猛烈に頭痛がキリキリと何十分もワタクシの脳内をかき乱して……もう自分の思考さえもままならなくなって……

なんなの……なんなのですかこれはっ!痛いっ!痛くて!辛いんですけれど……!これ以上!なにをしようとしてるんですかっ!

 

止めどない電撃が響き渡るワタクシの脳内をウジ虫が何匹も這うように巡っていく。

とても……!とてもっ!!気持ちがっ……気持ち悪いっ!

頭を何度も掻きむしっても消えない……!気持ち悪いっ!気持ち悪いっ!気持ち悪いっ!

 

◇◇◇

 

「被験体L-72の様子は?」

「今のところ問題はないようね」

「あれでですか?これ以上機器のレベルを引き上げたらそれこそ死にますよ?現在五三ですよ?」

「だからどうしたのっての?死ぬなら死ぬ程度の人間ってことでしょ?我々は何のためにやってるかわかってる?」

「人間を超えた人類の創造……なんてそんな世迷言をまだ信じてるんですか?」

「これが成功すれば、私たちは天国へでも連れてってくれるんじゃない?」

「地獄行き確定演出ですって!?ゲームじゃないんですよ!?前の三人は生き延びたけど廃人になったの忘れたんですか?正気じゃありませんよこんなの!?」

「ぐちぐちうるさいわね、少し黙ったら──?」

 

研究所のひとりである女性が刃向かってきた男性職員に銃口を額に向け、躊躇することも一切なく引き金を容赦せずに人差し指で撃ち抜く。

 

倒れこんだ研究人員を、黒服の警備員たちがずりずりと引きづりながら持ち運んでいった。

 

「……邪魔するならたとえ友人であったとしても、なりふりなんて構ってられないのよ?あの世でぜひ会いましょう?」

 

◇◇◇

 

脳内に備え付けられた器具さえ抜けません、頭がどうにかなりそうで身体中を蟻が歩き回ってるような変な感覚でさえなっているというのに……!

とてつもなく吐き気まで襲ってきているんですけれど……!

 

こんなの!こんなことの為に!……ために?いまさらなにが出来るのワタクシは……

ああ、もうワタクシの人生は終わったんだ……夢なんて抱くから……こんなことなら最初から生まれてくるべきでは無かったんだ……ワタクシなんて……

 

「……ァァァァァ!?ァ"ァ"ア"ァ"ァァァァァ"!!」

 

頭も身体も言うことを聞くことなく、ワタクシの意思すら無視して壊していく。

これで死ねるのなら……いっそ……このまま……

 

掛けていたシートから飛び出すように走り出すワタクシ。

目前と迫るガラスの前には大人達が多勢立ち並んでいます。

 

はやく……ここからっ!出してくださいっ……はや……くっ!ここからっ!

 

窓ガラスを割るように何度も何度も腕を叩き上げてがむしゃらに嘆いていくワタクシ。

途端にヒビが入るガラスに大人達は怖じけるように後ろに下がって行きます。

 

……おかしくなってから数時間、力の制御すら効かずにひび割れたガラスの破片がチリチリと落ちています。

 

いつまで……!ここに閉じ込めておくんですかっ……ワタクシを……

 

途端に言うことを効かなくなったワタクシの身体が電源が落ちるようにプツンと堕ちていき──。

 

***

 

僕には彼女はいない、いないわけだけど流されてセフレというどっちつかずの関係になってしまったひとりの女の子がいる。

 

スマホにチャットを送ってもなんの既読すら付かないまま、半日が過ぎていた。

 

「あいついったいどこにいってんだよ?こっちのことは知らないってかよ!」

 

そんな焦燥感でいっぱいになる中でひとりのスーツ姿の男性とすれ違う。

その男性から声をかけられたおれは……

 

「……このあたりにあなたと同い年くらいの緑髪の人物を見たことはありませんか?」

「あなたは?それに人探しならおれじゃなくてもべつに……」

「名をミハエルと申します、この惑星(地球)に迷い込んでしまった一人の皇女(おひめ)さまを探しているのですが……」

 

皇女さま……?この地球でそんな世襲してる人間なんていたのか?アニメの中の話だろ?なにを言ってるんだこの人は?

 

「そんな人いませんでしたけど、お急ぎなんですか?」

「これから連れ戻さないと大変なことになるんです、この惑星だっていずれそうなることだってあるというのに」

 

さっぱり言ってることがわからない。

なんの話をしているんだ?この人は?僕が世間知らずなだけなのか……?

 

「もし見かけましたらここに連絡をください」

「あぁ、どうも……」

 

渡された小さな名刺に目を通す僕にその相手の男性の名前を知る。

〈ミハエル・マハディ〉という、その彼の名前を。

 

「……では、今日もよき日になることを」

「あっ!ちょっと!まだ話は終わってな──!?」

 

すぐにその彼は大雨が降り注ぐ中で、傘もかけずに足早に歩道にある不規則に浮かぶ水たまりも気にせず駆けていった。

 

***

 





スポーツジム〈happiness〉。
九条穂乃果が連れてこられることとなった会員制のジム。

人体実験施設。
スポーツジム〈happiness〉の地下にある研究者たちがこぞって活動している施設。ここには未成年ばかり集められており、人類の新たな創生のために使い潰されている。
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