借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~   作:わんた

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不法侵入者は誰だ

 目が覚めたら夕方だった。十分休めたので気持ち悪さは消えている。

 

 体を起こすと腕を上げて体を伸ばす。

 

「う~~ん。よく寝た」

 

 掃除をしていたユミの姿はない。畑でも見に行ったのかな。

 

 外に出てみると、誠たち4人がユミと話していた。

 

 山小屋にいないと思ったら、出迎えてたみたいだ。

 

「やあ。遅かったね」

 

 声をかけると、ユミが駆け寄ってきた。

 

「マスター、気分は良くなったのですか?」

「休んだおかげでね。何か変わったことはあったかな」

「少しだけあったようです。私はベッドメイキングをしてくるので、詳細は誠さんに聞いてください」

 

 清掃が途中だったみたいで、ユミは山小屋の中へ入っていった。

 

 俺は残った誠に声をかける。

 

「何があったの?」

「放置ダンジョンの入り口には、ドアが取り付けられているのを知っているか?」

「うん」

 

 放置と言っても最低限の管理はしていて、一般人が迷い込んで入らないよう、頑丈なドアを付けて鍵までかけている。

 

 探索者が入りたい場合は、管理者に連絡をして解錠してもらうのがルールだ。

 

 免許を取るときに必ず教えてもらうことなんだけど、なんで今確認されたんだろう。

 

「鍵が開いていたんだ。誰かが侵入したかもしれない」

「冗談や見間違いじゃないよね?」

「ああ、間違いない。既にギルドへは報告していて、慎重に調査をしろと言われている」

 

 魔物の討伐に加えて、侵入者の調査もしなければならないなら、長期戦は避けられない。

 

 一ヶ月では終わらない気がしてきたぞ。

 

 俺は転移門があるからいいけど、誠はどうするんだろう。ずっと山の奥に滞在するつもりかな。

 

「侵入者が見つからなかったら、調査は打ち切る感じになる?」

「そうはならないみたいだ。侵入者の正体がわかるまで、この山小屋に監視員を置くみたいだぞ」

「へ~。大変そうだね」

「他人事のように言っているが、裕真が担当するんじゃないのか?」

「え? そんな話、聞いてないよ?」

 

 監視員になるなら錬金術師じゃなく、戦闘能力を持った探索者であるべきだ。

 

 そうじゃないと不審者を捕まえられないからね。

 

 だから4級辺りの探索者が派遣されると思っていたんだけど……。

 

「連絡はいっているはずなんだが……スマホの電源入っているか?」

 

 ユミが充電してくれたから大丈夫なはず。

 

 ポケットからスマホを取り出すと、ディスプレイは真っ黒だった。寝ている間に充電が切れちゃったみたいだ。

 

 誠からモバイルバッテリーを借りて充電すると、しばらくして電源が入る。

 

 メールのアプリを立ち上げ、新着を確認する。一件来ていた。

 

 探索者ギルドからだ。

 

 内容は誠が言ったとおり、監視員に指名するとのことで、期間は不明だ。便利だから探索者の免許を取得したけど、まさか俺が選ばれるとは思わなかった。

 

「確かにギルドから連絡が来ていたよ」

「分かっていると思うが、拒否すれば免許剥奪だから気をつけろ」

 

 依頼を辞退したければどうぞ。代わりはいくらでもいる。

 

 そういったスタンスであるため、罰則が重いんだよね……。

 

 俺の肩に手をポンと乗せてから、誠は山小屋の方に行ってしまった。パーティメンバーの圭子さん、光輝さんも軽く頭を下げてから、後を追っていく。

 

 残ったのは、スパイクの付いた大盾を持つ信也さんだ。

 

「俺らはできる限り調査するが……気をつけろよ」

「忠告するぐらいなら一緒に残ってくれないかな?」

「そういう図々しい所、嫌いじゃないぜ。多少は予定を長引かせるつもりだから、俺たちがいる間に犯人が分かることを祈っていてくれ」

 

 最後に頼もしいことを言って、信也さんも山小屋に行ってしまった。

 

 残された俺はダンジョンがある方を見る。

 

 侵入してきたのは人工神霊を錬成した錬金術師だろうか。もしそうなら、意見交換会ができるので今回の仕事も悪くはないと思える。

 

「しばらくは山ごもりか~~」

 

 言葉に出してみたら、意外と悪くないんじゃないかと思い始めた。静かだから錬金術に専念できるし、ユミも昆虫と交流できて嬉しい。必要な物はさくっと買ってこれるし、不便は感じない。

 

 今度は振り返り、山小屋の方を見る。

 

 屋根にクロちゃんがいた。糸が地面に向かって放射状に広がっている。

 

 蜘蛛の糸に触れると振動で獲物が引っかかったとわかるらしいから、警戒網を敷いてくれたのだろう。俺を見る目は気になるけど、ユミに懐いているし、役に立つ魔物だ。

 

 手を振って、ありがとうの合図を送ると、クロちゃんは前足を上げて応えてくれた。

 

 知能が高いね!?

 

 魔物って賢かったんだ。出会ったら即退治していたから、初めて知ったよ。

 

「近くに敵がいるかもしれないから、監視よろしく~」

 

 言葉が通じるかは分からないけど、仲間なので連絡事項は伝えておくと、今度は両腕を振って任せろみたいな合図を送ってくれた。

 

 頼もしい仲間だ。

 

 害虫駆除もしてくれるし、ユミのサポート役としては十分だろう。

 

 クロちゃんは高かったからクレジットカードで買ったんだけど、支払いは大丈夫かな。ダメだったら知晴さんに泣きつこう。なんとかしてくれるはずだ。

 

 交換条件としてレシピの提出を求められるかもしれないけど、俺は錬金術の研究さえできればいいので喜んで応じる。

 

 実質タダでお金が引っ張ってこれるなら最高だよね。

 

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