トリガーアーカイブ   作:ヘラモリ

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頭は良いけどバカ、そんな太刀川さんが大好きです。あと二宮さんとイコさんも好きです。


アビドス廃校対策委員会③

「私たちが……」

 

「アビドスを出ていく……!?」

 

「ちょっと待って!それってどういうこと!?私たちに退学しろって言うの!?そんなの絶対に認めないわよ!」

 

「どういうことかちゃんと説明して。」

 

 

いきなり便利屋に入ることを勧める太刀川にホシノたちは困惑し、セリカとシロコが問い詰める。

太刀川は二人を落ち着かせるように言い、細かい説明を行う。

 

「まあそう急かすな。一から説明する。まず言っておくがおまえらには退学しろという意味で言ってるんじゃない。文字通りアビドスを出ていくってことだ。」

 

「文字通りの意味って、それは退学ってことじゃないの?」

 

「言い方が悪かったな。アビドスを出ていくというのはアビドスを()()にするということだ。」

 

「…………つまり、太刀川先生が言いたいのはアビドスを留守にすることで便利屋の皆さんには依頼が成功したということにして依頼人を騙すということでしょうか?」

 

「そういうことだアヤネ。」

 

「でも、そんな上手くいく?絶対に確認をしてくると思うけど。」

 

「ま、そこらへんは上手く偽装出来る。便利屋の協力も必要になるがな。」

 

 

太刀川の提案に納得したような様子を見せる一同。

ここに来馬が補足をして促すように言う。

 

 

「確かに、留守にすればアビドスの校舎には誰もいなくなるから依頼人を欺けるかも。それに、依頼人は必ず確認に来るから、その現場を抑えれば依頼人をそこで捕まえることが出来るかもしれないしね。」

 

「なるほど……!それなら何とかなりそうですね!私たちも返済のお金を稼ぐために校舎を空けることもあるので、その延長という理由をつければ良いと思います!」

 

「どう社長?メリットはあると思うけど乗ってみる?」

 

「た、確かに有りではあるけど………、依頼人を騙すのはちょっと抵抗が………。」

 

「でも私たちのこと知ってて襲撃してる時点で今更じゃないかな〜。正確には騙したわけじゃないけど。」

 

「んぐっ………!」

 

「気に食わなかったら依頼人すら欺く、それもアウトローっぽくない、アルちゃん?」

 

「…………アウトロー!ふっふっふっ、良いわ。その作戦に乗ってやるわ。そうよ、私たちは泣く子も黙る便利屋68、気に食わない相手なら依頼人にも牙を向く。それが私たちよ。」

 

「かっこいいです、アル様………!」

 

 

ムツキに唆されて依頼人を騙すことにしたアル。

端から見たらちょろい女であるが、それを指摘するものはこの場にいなかった。

 

 

「ここで話すのもなんだし、詳しいお話は校舎に入ってからにしようか。」

 

 

そうして、ホシノたち対策委員会とアルたち便利屋68、そして来馬と太刀川は共にアビドスの校舎へ入っていく。

その日は今回の作戦に向けて、今後の段取りと調整について話し合った後、それぞれ帰路についていった。

そして、帰り道の中でアルたちと太刀川は共に連れ立って歩いていた。

太刀川たちが雑談をしていると、アルがとあることに気付いて太刀川に質問する。

 

 

「そういえば、太刀川先生は何でアビドスに来てたのかしら?」

 

「それはおまえらを探してだな。」

 

「私たちを?」

 

 

首を傾げるアルたちに太刀川は頷きながら続ける。

 

 

「ちょっと前におまえらもよく知っている空崎から便利屋68に新入りが増えているって話を聞いてな。その新入りの特徴がカゲによく似てたから気になって探してたんだ。」

 

「空崎って………もしかしてヒナのこと!?」

 

「あの時のやつか………。」

 

 

カヨコは影浦が便利屋68に加入したばかりの時にあった風紀委員会の襲撃を思い出す。

アルたちはそこで影浦が逃げるための時間を稼ぐために単独でゲヘナ風紀委員長の空崎ヒナを抑えていたことに非常に驚いたことは記憶に新しい。

 

 

「まぁ、おまえらの事務所は見つかったんだが、不在だったからな。んで、近くにいたやつらから目撃情報を集めてたら、アビドスにいると分かって来たというわけだ。」

 

 

太刀川の説明を聞いて何故アビドスに来ていたのかについて納得するアルたち。

一方で、彼女たちの後ろを歩く影浦はずっと何かを考えているカヨコが気になり、話しかける。

 

 

「さっきからずっと何か考えてるみてーだがどうした?」

 

「うん……、さっき戦ってたときに社長の狙撃が途中から妨害され始めて……。どこに移動しても銃弾が飛んできて妨害され続けていたのがどうしてなのか気になってね。」

 

「あー………、それっていつからだ。」

 

「…………考えてみると、来馬先生が社長を撃ってからだったような気がする。もしかして先生のトリガーに関係ある?」

 

「それなら心当たりがある。名前は忘れたがそんなトリガーがあったな………。」

 

 

ボーダーにいた頃、同じ部隊のチームメイトである北添から聞いたトリガーに心当たりのあった影浦。

しかし、名前を思い出せなかったため太刀川に聞く。アルやムツキもその謎に興味を示し、太刀川は少し考えた後、思い出したようにそのトリガーについて話す。

 

 

「たぶん、スターメーカーだな。銃手(ガンナー)用トリガーの一つで、弾が当たった箇所に目印を付けるやつだな。目印はレーダーにも映るようになるから、それで位置を特定して妨害してたんだろ。」

 

「それだったら、わざわざそんなことしなくてもそのまま倒しにいけば良かったんじゃない?うちの社長が簡単にやられることは無いけど。」

 

「確かに、来馬先生も私をちょっと追っただけで深追いはせずに戻っていったわね。」

 

「それは互いに実力が未知数だったからだな。返り討ちに遭う可能性を考えて妨害に舵を切ったんだろう。」

 

「なるほど〜。それじゃあ妨害をしてきてたのは途中から姿を消した猫耳の子かな?そうなると、あの子は結構狙撃が上手いね。」

 

「なるほど………。カラクリが分かったよ、ありがとうカゲ、太刀川先生。」

 

「気にすんな、大したことじゃねー。」

 

「このくらいはどうってこと無いぜ。」

 

 

その後、太刀川とアルたちは別れ、それぞれの帰路についていった。

 

 

 

 


 

 

 

便利屋68の襲撃から二日後、ホシノたち対策委員会は―――

 

 

「うへ〜、ネコちゃんどこぉ〜?」

 

「おい猫耳。おまえ猫がどこに行ったか耳で探せねーのか?」

 

「何言ってんのよ。探せないわよ。」

 

「マタタビを使えば猫を誘き寄せられるかも………!」

 

「良いねーソレ!早速やってみようよ!」

 

「だ、大丈夫でしょうか………?」

 

 

便利屋68と共に猫探しをしていた。

なぜこのようなことになっているのか、話は便利屋68の襲撃があった二日前に遡る。

 

 

 


 

 

 

対策委員会の部室に場所を移した彼女たちは作戦に向けて話していたところ、シロコがとある提案をした。

 

 

『ホシノ先輩、一つ提案したいことがあるけど良い?』

 

『どうしたのシロコちゃん?』

 

『私たちが今回の作戦に当たってしばらくアビドスを空ける間、何をして過ごすかという問題がある。』

 

『それは………今までのように指名手配犯を捕まえて賞金を貰ったりとかでは無いですか?』

 

『確かにそれも良いけど………せっかくの機会だし、今日の定例会議で決定した何でも屋開業に向けての足掛りを作りたい。』

 

『え、それってもしかして………。』

 

『…………アル、私たちを便利屋68に入れて欲しい。』

 

『シロコ先輩………!?』

 

『私たちが便利屋68に………!?』

 

『ほう、なるほど。こりゃおもしれーな。』

 

『な、な、な、何ですってーーーー!?』

 

 

シロコの突飛な提案に驚く一同。

さっきまで戦っていた相手のところに入れて欲しいというのはなかなかぶっ飛んだ発想である。

そんなことをなんてこと無いように提案するシロコに対して影浦が苦言を呈す。

 

 

『おいおい、そりゃあどういうことだよ。こっちが言うのもなんだが、さっきまで戦ってた相手のところに入れてくれってのはおかしいだろ。そもそも今の話を聞く限り、オメーら俺らと同じ仕事始めるつもりだろーが。』

 

『そもそもあなたたちが入ることで私たちにどんなメリットがあるのか、そこがはっきりしない以上私としては受け入れたくは無い。』

 

 

それに対しシロコは想定していたと言わんばかりに頷いて理由を説明する。

 

 

『メリットについては今から説明する。単純に私たちの分の人数が増えるからより多くの依頼をこなしやすくなる。それに、こっちにはホシノ先輩がいる。ホシノ先輩はもの凄く強いから、戦闘もいける。もちろん、私たちも一定の強さはあると自負してるから足手まといにはならないはず。』

 

『柔軟な発想のシロコちゃんらしい良い案だね。ぼくはこの提案は良いと思うけど、やっぱりさっき戦った相手ってなると、何か不思議な感じがするよね。みんなはどう?』

 

『私も賛成ですね。便利屋68の皆さん次第にはなりますが、ノウハウを学べるので良いと思います!』

 

『私も賛成です〜♪』

 

『おじさんも賛成だよ〜。』

 

『セリカはどう?正直に教えて欲しい。』

 

『私としてはやっぱりさっきまで戦ってた相手だし納得は出来ない。でも、あんたたちと話してるとあんまり悪い奴らじゃなさそうだし、それに折角のチャンスを棒に振りたくはないから私も賛成よ。』

 

『こっちはみんな賛成だね。便利屋はどう?』

 

『そのメリットは結構良いと思うけど、流石に弱いかな。後々に競合他社になる相手を受け入れるわけにはいかない…………と言いたいけど、それを決めるのは私じゃない。社長自身だから。』

 

 

カヨコはアルに目を配ってそう言う。

ムツキとハルカ、影浦も同様にアルの決定に従うようだ。

当のアルは俯いて何かを考えていた。

その様子にホシノたちは断られるのではないかという不安がよぎる。

………が、彼女たちの不安はすぐに杞憂に終わることとなる。

 

 

 

『良し!今日の夜はカレーに決まりね!』

 

 

 

ズコ〜〜〜〜〜〜ッ!!!

 

 

アルの突拍子もない発言に来馬と太刀川を含めたホシノたち一同はギャグ漫画のようなズッコケを披露することとなる。

そして、影浦はマジかこいつという目でアルを見て、ハルカは周りの様子に驚きおろおろと右往左往し、カヨコは頭を抱え、ムツキは床を転げて腹を抱えて大爆笑をしていた。

 

 

『あれ?みんなどうしたのかしら?何かあったの?』

 

『何かあったのはこっちのセリフよ!』

 

『お前なぁ〜……今アビドスの奴らを便利屋68(こっち)に入れるかどうかの話をしてんのに、悠長にメシのこと考えてんじゃねーよ。』

 

『あぁそのことなら私は受け入れても良いわよ。』

 

『…………マジで?』

 

 

影浦とカヨコは何てことないように言うアルに対して困惑の表情を浮かべていた。

 

 

『当たり前よ。私たち便利屋68は来る者拒まず、去る者追わず………ってほどじゃないけど、入りたいならよほど酷い人じゃなかったら受け入れるし、会社の情報を持ち出すようなことをしなければ辞めた人を追うことも無いわ。それが私たち便利屋68のモットーよ。』

 

『……今初めて聞いたんだけど。』

 

『い、良いじゃない!わ、私だってかっこいいところを見せたいのよ!』

 

 

かっこいいところを見せたいと正直に言うアル。そんなところが彼女の美点ではあるが、同時にアウトローになり切れない理由であるのだろう。

カヨコと影浦はため息をつくも、アルの決めたことならと二人もホシノたちを受け入れることにする。

紆余曲折ありつつも、ホシノたちは無事便利屋68にバイトとして加入することが決定した。

 

 

 


 

 

 

どこかに行ってしまった飼い猫を探していたアルたち便利屋68とホシノたち対策委員会。

すると、ハルカが探していた猫を発見する。

 

 

「あっ、見つけました!あそこです!」

 

『ハルカ、ナイス。今そっちに行く。』

 

『でかしたわハルカ!見失わないように追いかけて、私たちもそっちに行くから…………カヨコ、ちょっと速すぎないかしら?』

 

「え…、なんかカヨコさんが凄い勢いでこっちに来てるんだけど……。」

 

「ほっとけ。俺らも追いかけんぞ。」

 

「私とホシノ先輩は先回りで行きますね。」

 

「分かったよ。ぼくたちも別れて先回りしよう。」

 

 

そうして、それぞれが別れて先回りをし、捕まえようとするが………

 

 

「うわっ、抜けられた!」

 

「走って!見失う前に行くよ!」

 

「おい、路地裏に行っちまったぞ!」

 

「カゲとハルカ、シロコはそのまま猫を追いかけて!他は分担して出口を塞いで!」

 

「アヤネちゃん、ぼくたちはこっちに行こう!」

 

「了解です!」

 

 

そうして、路地裏を塞いで捕まえようとするが、猫は来馬とアヤネの方を飛び越えてしまう。

その後も…………

 

 

「うわっ、公園に行っちゃった!」

 

 

 

「マタタビで誘き寄せれば………!」

 

 

 

「うわっ、気付かれたわよ!待ってー、逃げないでちょうだーい!」

 

 

猫の身軽さに翻弄されまくったアルたち。

日も暮れ始めて来た頃、走る猫の前に影浦が立ち塞がる。

猫は近くの塀を使って飛び越えようとするが………

 

 

「オラッ!!ようやく捕まえたぜ。」

 

「ナイス、カゲ!」

 

「やっと捕まえられましたね!」

 

「それじゃあ、依頼主の元に戻りましょう!」

 

 

そうしてやっと猫を捕まえることに成功したアルたちは、依頼主に猫を返し帰路についていった。

事務所に戻って来た一同はアルとアヤネ、セリカの三人で作った夕飯を頂き、眠りにつく。

ちなみに、寝床となる部屋は女性陣と男性陣で仕切りを作って分けている。

女性陣の方が多いため、部屋の比率は大体8:2であるが、元々の部屋が割と広いため窮屈にはならなかった。

そうして今日の疲れを癒し、明日の活動に繋げるためそれぞれが眠りについていった。

 

 

 

 

 

一週間後―――、

 

 

「みんな準備は良い?」

 

「ん、こっちは大丈夫。」

 

「私も大丈夫です!」

 

『おじさんも大丈夫だよ〜。』

 

『私も準備出来てるわ!』

 

『こちらも準備完了です!』

 

「よし、それじゃあ行こう!」

 

 

「「「「「了解!」」」」」

 

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