特級呪術師のデストピア   作:クモッ!

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 もっと進めたいが、未だに序盤ということに絶望する今日この頃、そして戦闘力が上がらず、チャプター21の途中で止まってしまう...160の壁を超えないと...。


第2章
黙示、ワードレス


 ラピのメールを確認した夏油は、漏瑚たちを戻し、客がいるであろう一階に向かう。一階、ニケの宿所に到着すると、紫色のロングヘアーの長身でグラマラスな女性と、ピンク色のツインテールの少女の前に、小柄な少女がこちらを睨んでいた。

 

 

????「おい、お客が来たらキビキビ動いて。私がそんなに暇な人間に見える?」

 

夏油「彼女は誰だい? 迷子??」

 

????「は? 迷子?? ははっ、お前、私のこと知らないの?」

 

夏油「知らないね。」

 

????「はあ、最近の士官学校はダメね。基本的な常識を忘れるほどに軟弱なんて...どんな鍛え方してるのかしら??」

 

 

 何処からか情報を得たのか、夏油が記憶喪失と知っているような口振りで話しており、溜息交じりにネオンに顔を向けて話始める。

 

 

????「おい、そこの白い鉄くず。」

 

ネオン「へ? 私ですか?」

 

????「そう、お前。こいつに私が誰か教えてやって。」

 

 

 少女の態度を見て密かに睨むラピ、ネオンは少女の命令に従って少女の紹介を始める。

 

 

ネオン「このお方はニケ製作を担う三大企業の一つ、ミシリス・インダストリーのCEOを務めるシュエン様です。」

 

シュエン「ちゃんと聞いた? じゃあ、どうすべきか分かるわよね??」

 

夏油「わざわざ私の元に訪ねるという事は、何か地上関連の命令ですか?」

 

シュエン「あら、記憶が無い癖に話が分かるのね? まあいいわ、じゃあ本題に移りましょ。」

 

 

 夏油の前に立つ少女シュエン、彼女はニケの製造会社ミシリスの社長であり、アンダーソンと同じ副司令官と同じ命令権を有している。

 夏油は、勿論そんな情報知らないが、傲岸不遜で傲慢な態度から、アーク内でも権力者だと判断し、話を直ぐに終わらせようと態度を改めて誘導する。

 

 

シュエン「これからワードレスと地上へ上がって。」

 

夏油「ワードレスというのは、君の後ろにいる二人の事ですか?」

 

シュエン「そうそう、ミハラとユニのこと。お前たちにも分隊名があるでしょ? そんな感じよ。

 とにかく地上に上がって、ラプチャーを捕獲してくればいいの。詳しいことはコイツらに聞いて。分かった? 2日あげるわ。」

 

夏油「分かりました。」

 

シュエン「そう、それじゃ帰るから。捕獲、忘れないでよ。」

 

 

 シュエンは夏油に背を向けて、宿所を去り帰っていく。ふとラピは夏油に視線を向けるが、その時夏油の表情がシュエンに対して軽蔑の眼差しを送っていた。先ほどまでの丁寧な態度からは想像できない程で、まるで人間ではない生き物を見る目だった。

 その表情にラピは戦慄して逸らす、アニスとネオンは依然シュエンを睨んでおり、ネオンは舌を出してベーっと聞こえないように馬鹿にする。夏油は直ぐに元の表情に戻り、アニスとネオンを宥める。

 

 

アニス「何なのよ、あの人。感じ悪いわね。」

 

ネオン「私なんか()()()って言われました!」(むーっ!っと頬を膨らませている。)

 

夏油「まあ確かに、ちょっとイラッときたけど、私たちが大人にならないと。ああいうのは癇癪起こすと手が付けられなくなるから。」

 

アニスとネオン「「確かに......。」」

 

 

 アニスとネオンを宥めた後、ミハラとユニに顔を向ける。

 

 

夏油「さて、ここで自己紹介と任務の説明を受けたいけど...2日と言っていたあたり、あまり時間が無いんじゃないかな?」

 

???「まあそうね、地上に上がってから説明するわ。改めて私はミハラ。」

 

??「私はユニ! よろしくね!」

 

 

 紫色のロングヘアーの長身でグラマラスな女性がミハラ、ピンク色のツインテールの少女がユニがそれぞれ夏油たちに自己紹介した。

 ラプチャーの捕獲という任務で、夏油たちカウンターズにミシリスの分隊ワードレスが加わった。任務の詳細が分からないまま、地上に上がっていく.......

 

 

 

 

 

 

 

 

 地上に上がってきた夏油たち、早速ラピがオペレーターであるシフティーとの通話を接続しようとするが、ミハラが無駄だと言って静止する。

 

 

ラピ「地上に到着しました、シフティーと繋ぎます。」

 

夏油「あぁ、よろしく頼むよ。」

 

ミハラ「ダメだと思うわよ、シュエンが通信網を全部遮断したから。」

 

夏油「...。」(妨害?...いや、いくら幼稚とはいえ妨害する理由がない。となると、外部に漏洩したら不都合なことがあるのか?)

 

ラピ「......。この作戦、単なる作戦ではないわね。」

 

ミハラ「ふふ、そうよ。これはいわば...。

 

ひ・み・つ・さ・く・せ・ん、なのよ。」

 

アニス「怪しいわ。」

 

 

 通信できない状況に、アニスがこの任務に疑問を抱く中、ネオンが任務内容を達成できるかを不安を伝えた。

 

 

ネオン「特定のラプチャーを捕獲しろと言っていましたが、そんなこと、出来るんですか?」

 

ミハラ「そのための分隊だもの、私とユニは。とりあえず移動する? ポイントまで案内するわ。」

 

 

 夏油たちはミハラとユニに続いていき、できるだけ戦闘は避けつつ移動していく。その中、夏油は漏瑚たちと念話を通して会話していた。

 

 

漏瑚(夏油...よかったのか? あの人間のことだ。この任務、何か裏があるぞ。)

 

夏油(断っても良かったんだけど、そうなると何をし始めるか分からないし...今は様子見だ、来たるべき時が来たら縛りを設けるさ。)

 

真人(それもそっか、もう手は打っていたしね。それにしても、あのガキと話してた夏油の顔w、全く笑ってなかったねww)

 

夏油(まあ、そういう奴を何度か見てきたからね。)

 

花御(それでも油断しないように。呪霊を介して索敵は出来ても、用心するに越したことはありません。)

 

陀艮(ぶふぅ~。)(がんばれ~。)

 

夏油(あぁ...分かっているよ花御。)

 

 

 夏油が念話で会話している最中、ネオンが長時間の移動に痺れを切らして、ミハラに問いかける。

 

 

ネオン「どこまで行くんですか?」

 

ミハラ「あら、そんなに急かしちゃダメよ。気の早い子はモテないわ。」

 

アニス「いや、目的地は知りたいわよ。」

 

夏油「ミハラ、戦闘中にかなり被弾していたが、大丈夫かい?」

 

ネオン「確かに、ラプチャーの攻撃が集中していましたし...」

 

ミハラ「ふふっ、大丈夫よ。

好きなのよ、痛めつけられるの...♡

 

 

 戦闘中に被害を受けたミハラの損傷から、夏油とネオンは心配する。しかし、ミハラは問題ないと言った後、恍惚とした表情で自分の傷を見つめ、痛めつけられることが好きと皆に伝える。

 ラピ、アニス、ネオンはミハラの発言に困惑して、夏油は『あぁ~...そういう...』と心の中で呟き苦笑いしている。

 

 

アニス「...??」

 

夏油「...一応聞くけど、治療は必要かい?」

 

ミハラ「悪いけど、傷には触らないで。」

 

ユニ「うん、ミハラは傷が好きで、他人に触れられるのがキライなの。」

 

アニス「...?...どういう事??」

 

ミハラ「分からなくていいのよ。でも指揮官、気持ちだけ受け取るわ。」

 

夏油「あぁ、うん...。」

 

ミハラ「ふふっ...♡」

 

 

 夏油の優しさに感謝しつつも治療を断り、再びミハラは自身の傷を見つめて触れていた。その様子にラピ、アニス、ネオンは未だに困惑していた。

 そんな中、ユニが何かを見つけたのか、ミハラを呼ぶ。

 

 

ユニ「ミハラ! あった!」

 

ミハラ「そうね、よくやったわ、ユニ」

 

ユニ「えへへ、ユニにご褒美くれるの?」

 

ミハラ「それは後で、まだご褒美をあげるレベルじゃないわ。」

 

ユニ「うん、分かった。」

 

アニス「これは何? 足跡?」

 

夏油「そのようだね。」

 

 

 ユニの指を指した方向を注目する夏油たちは、ラプチャーの足跡だと分かる。その足跡の大きさから、追跡しているラプチャーは巨大なラプチャーだと想像できる。足跡を見ているアニスと夏油にユニが『えっへん!』と胸を張っている。

 

 

ユニ「そうよ、ユニが見つけたの。」

 

アニス「...今のこの時代に、足跡でラプチャーを追う? あなた、原始人なの?」

 

ユニ「トーカティブは信号が捕まんないんだ。」

 

ネオン「トーカティブ? ラプチャーの名前ですか?」

 

ミハラ「そう、コードネーム・トーカティブ。ラプチャーのどの規格にも当てはまらない、特殊な個体。私たちがここに来た目的よ。」

 

 

 アニスが足跡を追う方法に手間がかかると指摘しようとするが、ユニが足跡の主であるラプチャー、トーカティブが信号を掴めないことを伝える。ネオンはユニが話したラプチャーの名前がトーカティブであると指摘する。

 その指摘に、ミハラは肯定し詳細な説明をする。その説明を聞いたラピは、ミハラにこの任務の真意について聞く。

 

 

ラピ「その理由は?」

 

ミハラ「それは分からないわ。数か月前、それを捕まえろって命令されただけだから。」

 

ラピ「特徴はある? 交戦した経験は?」

 

ミハラ「何も分からないわ、この目で見たことないし。」

 

夏油「その上信号で場所の特定も出来ないか...情報が全くない状態ってわけだね。」

 

 

 トーカティブに関してミハラは説明を行うが、その情報が皆無に等しいことを伝えられた。その状況にネオンはことわざを提示する。間違っていることを指摘するアニスだが、ラピはアニスも間違っていることを指摘して、夏油は二人のことわざを訂正して正しい意味を伝える。

 

 

ネオン「焼け石の山から針を探すのですね。」

 

アニス「それを言うなら干し草に水でしょ?」

 

ラピ「...2人とも違う。」

 

夏油「干し草の中の針と焼け石に水だね...干し草の中の針は無駄骨を折るとか望みのない捜しものをする、焼け石に水は少しばかりの助けや努力では効き目のないことだね。」

 

アニス「おぉー!!」(パチパチと夏油に拍手する)

 

ネオン「師匠のお陰で賢くなりました!!」

 

ラピ「......。」

 

 

 夏油の説明を聞いたアニスは夏油に拍手して、ネオンは正しいことわざを知ったネオンは夏油に感謝する。ラピは二人を見て呆れ顔で見つめる中、ミハラは説明を再開する。

 

 

ミハラ「説明に戻るわね、足跡だけはすごく変わってて、追跡に役立ちそうよ。でも今まで遭遇したことは一度もないの。」

 

ラピ「...なぜ私たちが追跡に投入されたのでしょうか?」

 

ミハラ「......あなたたち、使えそうだから。指揮官が初めての作戦で死亡する確率、どれくらいだと思う?」

 

ラピ「...70%。」

 

ミハラ「2回目の作戦まで行えば、死亡率はさらに高まるわ。」

 

真人(初任務で7割とか呪術師より酷いんじゃない?)

 

夏油(呪術師は階級に合わせた任務に当てられるし、例外とか異常事態を除くと問題無いしね。それに、戦闘に不向きだったら窓としてサポートに徹することができる。...例外もあるが......。)

 

花御(ですが指揮官は人間である必要があり、地上という過酷な環境でラプチャーとの戦闘も熾烈を極める...)

 

漏瑚(それも初めての戦闘や分隊とのチームワークもままならないとなると、その死亡率7割も納得できる。)

 

陀艮(ぶふぅ...。)

 

 

 ミハラが夏油たちを任務に抜擢した理由を聞いたラピとの会話を聞いた夏油と漏瑚たちは、その死亡率に関してかなり高いことを論理的に分析している。その後、アニスがその確率を超えた夏油を任務に当てたと自分の考えを提示する。

 

 

アニス「なるほど、その軌跡の確率を攻略したのが、うちの指揮官様? だから、シュエンだかシュークリームだかが、私たちをこき使うってこと?」

 

真人(アイツがシュークリームになっても食べたくないね。)

 

ミハラ「正解。」

 

ラピ「何人?」

 

ミハラ「うん?」

 

ラピ「こうやって使い捨てになった指揮官が、今まで何人いた。」

 

ミハラ「正確には分からないけど、40人は超えるはずよ。」

 

ラピ「......」

 

アニス「凄いわね、私もCEOになればよかったわ~。」

 

ネオン「私たちも会社を作りましょうか。」

 

アニス「そうしようかしら。」

 

夏油(会社を作るといっても、そこまでの権力を手に入れることができるとは思えないけど...。)

 

ラピ「......指揮官。申し訳ありませんが、作戦を拒否することはできません。三大企業のCEOは、アークでは特別な扱いを受けます。...一介の指揮官とその分隊が、どうこうできる存在ではありません。

 今は注意する以外には方法が無い状況です。」

 

真人(へぇ~、あのガキ、夏油の睨んだ通り権力者だったんだ~。)

 

夏油(かなり横暴な態度だったからね、でもイングリットさんを見る限り全員がそうって訳でもなさそうだね。)

 

 

 三大企業のCEOの一人であるシュエンの命令権についてミハラが説明し、ラピはこの現状で出来る方法を伝える。その方法を夏油は了承して作戦を継続する。その様子を見つめるミハラだが、気を取り直して追跡を続行する。

 

 

夏油「分かった、作戦を実行しよう。でも無理はしないでくれ。」

 

ラピ「...ラジャー。」

 

ミハラ「.......さてさて、この足跡を頼りに追跡するわよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 足跡を頼りに追跡を継続した夏油たちは、依然ラプチャーとの戦闘を避けつつ進んでいく。そして、再びユニは足跡が途切れたことをミハラに伝える。

 

 

ユニ「んっ? ミハラ、これ見て。」

 

ミハラ「...足跡が消えたわね。」

 

ユニ「じゃあ、どうすればいい?」

 

ミハラ「ふ~ん...じゃ、戻るわよ。」

 

ラピ「...拍子抜けね。」

 

 

 撤収する為にミハラは後ろを振り返り、来た道を引き返そうとする瞬間、ユニが再びミハラを呼び止める。ミハラはユニが指さした箇所荒廃したビルの側面の一部を見つめる。

 

 

ユニ「あ、ミハラ。あっちの壁。」

 

ミハラ「......」

 

ユニ「壁を伝って移動したみたい。」

 

ラピ「...壁面を踏んで起動できるというの? ラプチャーが?」

 

アニス「それできないわよね、ラプチャーは基本、四足歩行なのよ!」

 

夏油(四足歩行ではないラプチャーは空中に浮遊しているラプチャーとグレイブディガーぐらいか...。)

 

ミハラ「新たな情報ね、トーカティブは壁を伝って移動できるって。

...それから、私たちの追跡に気づいてる。」

 

 

 ミハラとユニの分析にラピとアニスは二人の分析を否定するが、夏油は否定せず前例を挙げる。そしてミハラはトーカティブというラプチャーが追跡に気付いていることを聞いた夏油たちは、その発言に動揺する。

 

 

ネオン「...知能があるということですか。」

 

ミハラ「ふふ、それはありえないわ。ラプチャーは知能が無いもの。追い付かれたら逃げる、そういうアルゴリズムみたい。」

 

夏油(...いや、発電所のラプチャーに対して()()()()()とアンダーソンさんとイングリットさんは言っていた...。)

 

真人(それに、気づかれてるなら目を凝らして見える場所に足跡なんて残すかなぁ? 動物ならバックトラックみたいに足跡とかの情報を消そうとしそうだけど。)

 

陀艮(ぶふぅ?)(バックトラック?)

 

花御(進んできた足跡をそのまま戻って、天敵から居場所を隠す技能ですね。)

 

夏油(敢えて足跡を残して誘導しているか、それとも隠そうとして足跡を壁に移したのをユニが見つけたのか...)

 

漏瑚(最悪の状況を想定し、真人が言っておった足跡の場所を考えても、誘導していると考えるのが妥当だな。)

 

 

 夏油が漏瑚たちと追跡しているトーカティブというラプチャーについて議論している中、ユニがミハラに近づいて飛び跳ねながらご褒美をねだっていた。

 

 

ユニ「ミハラ! ご褒美!ご褒美!」

 

ミハラ「まあ、確かに。今回はご褒美をあげてもよさそうだわ。」

 

ユニ「うん!」

 

 

 ミハラとユニは夏油たちから離れていき、腰を掛けられる瓦礫を見つけてはミハラを座り、ユニは膝の上に座った。

 

 

ミハラ「ご褒美をあげるわ、痛覚センサーを切るわよ。」

 

 

 ユニはミハラのふくらはぎを抓る、ミハラは痛みを感じ恍惚とした顔でユニを見つめる。そしてユニも、痛みを感じているミハラに恍惚とした顔を向ける。その光景を見たアニスとネオンは困惑し、ネオンは夏油に質問する。

 

 

ミハラ「うっ...!」

 

ユニ「へへ...。」

 

アニス「...何やってるの?」

 

ネオン「つねってますね?」

 

ユニ「ミハラ、凄く痛い? どう?」

 

ミハラ「そうね...! 凄く...! 痛いわ...!」

 

アニス「ねぇ、ちょっと。私、混乱してるんだけど。」

 

ネオン「師匠、これは何が起きているのでしょうか?」

 

夏油「人の好みも沢山あるという事だろうね。」

 

 

 夏油の発言にラピは知識が豊富なんだと反応する。そしてネオンがラピの発言に反応して質問する。その返答にラピは言いよどむ。

 

 

ラピ「...よくご存じですね、そういう方面のことを。」

 

ネオン「え? そういう方面って何ですか?」

 

ラピ「...それは」

 

夏油「世界は広い...ってことかな?」

 

ネオン「???」

 

 

 ユニは夏油たちに気にせず、ミハラのふくらはぎをつねり続けて、痛みをもっと与えようとして、お願いするがミハラは止める。

 

 

ユニ「ミハラ、もっと痛くしてもいい?」

 

ミハラ「ふ、ふふ...いいえ、ご褒美はここまで。夢中になり過ぎちゃダメだから、分かってるわよね?」

 

ユニ「うん。ユニ、もっと頑張る。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び移動を開始した夏油たち、その道中で再び足跡が消える。消えた足跡を追跡しようとする。足跡に注目する夏油たちだが、ラピは赤い光に気づいて直ぐに反応出来た。

 

 

ラピ「...足跡がまた消えた。」

 

アニス「この辺は何もないわね。壁を伝って移動したわけでもなさそうだし。」

 

ネオン「ということは...」

 

夏油「(周囲の地面に異常は無いように見える...)空中か…?」

 

ラピ「! ラプチャー! 強襲です! エンカウンター!」

 

 

 前方と後方からラプチャーの分隊が接近していることに気付き、夏油は直ぐに支持を仰いで相手の射線上から避けるよう誘導する。

 

 

夏油「取り敢えずあのビルのすき間に移動しよう! ここじゃ前後の攻撃をラプチャーを片付ける前に捌ききれない!」

 

カウンターズ「「「了解!!」」」

 

ミハラ「分かったわ。」

 

ユニ「うん!」

 

 

 ラプチャーの攻撃を避けつつ、ビルの間の通路を移動していき、前後のラプチャー群が合流するように逃げながら誘導する。やがて、夏油は振り返ってラプチャーが進行するよりも前に、通ってきた通路を塞ぐためにビルの一部を破壊するように指を指して命令する。

 

 

夏油「瞬間的にやってくるラプチャーの戦力を削ぐ!アニス!あのビルの側面を打ち抜けるか!?」

 

アニス「任せて!」

 

ネオン「私も援護します!」

 

 

 夏油の指示通り、ビルの一部を破壊して生き埋めになったラプチャー、堰き止められたラプチャーの3割は引き返し、別の道から夏油たちの所に向かう。残りの7割は瓦礫を破壊して直進する。

 

 

夏油「ミハラ、ラピ、ネオンはラプチャーの対処、ユニとアニスは私が指定したポイントを射撃してくれ!」

 

ミハラ「了解よ。」

 

ラピ「ラジャー!」

 

ネオン「はい!師匠!」

 

ユニ「分かった!」

 

アニス「了解!」

 

 

 ラプチャーを対処しつつも退避していく夏油たち、退路は一直線となりアニスは夏油の指示に疑問を抱く。その疑問に夏油は答えず指示を出す。

 

 

アニス「指揮官様!一体いつまで逃げればいいの!?」

 

夏油「あの広間を通り過ぎたら、通った広間の中心を狙い撃ってくれ!できるだけラプチャーを引き付けて撃つんだ!」

 

アニス「了解!!」

 

 

 広間を通り過ぎた後、アニスとユニはラプチャーが攻撃する中広間の中心に向けて標準を定め、狙い撃つ。弾が着弾した瞬間、広間のコンクリートは崩壊を始め、ラプチャーの軍勢は底に落ちる。

 その後、地下に落ちたラプチャーと地上に残っている残りのラプチャーを殲滅して戦闘終了。

 

 

ラピ「状況終了!」

 

ミハラ「成程…これを狙ってたのね。」

 

夏油「あぁ、ここを通り過ぎた時、コンクリートの地盤が脆かったからね。利用させて貰ったんだ。」

 

 

 通り過ぎたら広間を落とし穴として使って、元々の距離と離れてしまったが、比較的弾薬を節約でき、損害も殆ど無かった。アニスとネオンは穴を覗き込む中、すぐに移動を再開しようと準備する中、ラピは足跡とラプチャーの強襲から、自分たちの追跡を認識していると悟った。

 

 

ラピ「途絶えた足跡、強襲という手を使ったラプチャー。間違いない、ラプチャーは私たちの追跡を意識している。」

 

 

 瞬間、ラピの背後に機能を停止したラプチャーが、ギィーンと駆動音を立てて動き始める。ネオンは反応してラピを呼びかける。

 

 

ネオン「!! ラピ! 後ろに残ってます!」

 

ラピ「!!」

 

ミハラ「ユニ!」

 

ユニ「うん!」

 

 

 ユニの能力によって、砲身を構えていたラプチャーがぐらつく。その隙に後ろのラプチャーを撃ち抜き、ラプチャーの残骸が粉微塵に吹き飛んだ。

 

 

アニス「ふう...危ないところだったわ。ラピ、貴方の頭、また吹っ飛ばされるところだったね。」

 

ラピ「さっき、ラプチャーの砲身は正確に私の頭を狙っていた。何をした? ラプチャー捕獲能力と何か関係があるの?」

 

ミハラ「ふ〜ん、鋭いじゃない。ユニは相手の特定の感覚を無効にしてしまうわ。」

 

ユニ「うん! バキューンって撃って切れる!」

 

夏油(感覚を遮断する能力...それでラプチャーの無力化を可能にするのか。)

 

ミハラ「因みに、私は感覚を交換することができるわ。」

 

夏油(ミハラは自傷を相手のダメージに変換する能力か。)

 

 

 ラピがユニの能力について言及し、その詳細を解説するミハラ。夏油はその能力について、分析を行っていた。

 

 

真人(ミハラって子の感覚交換って相手が自傷したら自分に帰ってこない?)

 

花御(感覚“交換”と言っているので恐らくは可能でしょうね。)

 

漏瑚(ユニという小娘も、自身の力以上の存在は抑えられない...と考えたほうが良いな。)

 

夏油(何かしらの条件を理解しておかないとね。)

 

 

 夏油と漏瑚たちが、ミハラとユニの能力に関して分析する中、ラピは二人の能力に対して疑念が生まれている。

 

 

ラピ「ラプチャーに感覚があるの?」

 

ミハラ「?」

 

ラピ「二人の能力は、ラプチャー向けに開発された能力なの?」

 

ミハラ「そうね、でもラプチャー以外、つまりニケや人間にも使えるけど、詳しいことは私たちも知らないわ。」

 

ラピ「人間にも...使える?」

 

 

 ラピの視線が少しずつ鋭くなっていく中、ミハラは自身とユニの能力に関する説明を続ける。

 

 

ミハラ「そう、私たちの能力がニケ、人間、ラプチャー全てに効くってことだけは確かだわ。」

 

ラピ「嘘ね。ニケの身体は人間だった頃、理想としていた形をベースに作られる。自分が望まない能力ができるわけが...」

 

ミハラ「私たちを作ったのはシュエンよ。」

 

ラピ「......」

 

ミハラ「ミシリス・インダストリーのCEO。その人が私たちに何をやったかとか、そういう細かい事まで親切に説明してくれると思う?」

 

アニス「それは、そうよね。」

 

夏油「そういった技術は、情報が漏洩する際のリスクも大きいだろうしね。」

 

ミハラ「私たちが知っているのは、こういう能力を持ち、この能力でラプチャーを捕獲する義務があるってことだけ。それ以外は何も知らないわ。」

 

 

 ミハラとユニの能力に関しての説明を終えたミハラ、その説明を静かに聞いたラピは、今後の作戦のフォーメーションを変更する。

 

 

ラピ「...そうか、分かった。フォーメーションを修正する。これから先頭はワードレスよ。」

 

ネオン「...ラピ。」

 

ラピ「自分の素性も知らないニケに、何を任せられる。」

 

夏油「.......」

 

ミハラ「...了解。痕跡がまだあるわ、追跡を続けるわよ。勿論、私たちが先頭に立つわ。」

 

ラピ「......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び移動を再開した夏油たち、トーカティブの足跡の追跡を続けるが、再び足跡が途切れたとミハラが確認して伝える。

 

 

ミハラ「痕跡が途絶えたわ。」

 

ラピ「この先はエブラ粒子の濃度が高い、危険性が高まるという事よ。」

 

ミハラ「ふ〜ん〜、どうしようかしら。...指揮官、この辺で切り上げる?」

 

夏油「拠点に戻る、という事かい?」

 

ミハラ「そうね、単純な追跡にしては、リスクがどんどん高くなってきてるわ。」

 

 

 ミハラと夏油が会話している最中、突如夏油の携帯がブルルルという音で振動し始める。通信は一切不能であるにも関わらず、連絡が来たようだ。

 

 

夏油(このタイミング...という事は...)

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

  シュエン

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 シュエン

 (おい。)

 

 (おい。)

 

 (おい。)

 

 (お。)

 

 (やっとつながった。)

 

 (追跡の方は?)

 

夏油 

(痕跡が無くなり、戻る準備を進めています) 

 

 シュエン

 (ww)

 

 (勝手にどうぞ。)

 

 (その前にこれだけは言わせて。)

 

 (あの前哨基地の)

 

 (お前の部屋から、)

 

 (アークテロ計画書が見つかったよ。)

 

夏油 

(はい?) 

 

 シュエン

 (うん。)

 

 (すっごく詳しいのが。)

 

 (侵攻ルートに始まり、どこをどうやって爆破させるかとか)

 

 (お前の鉄くずたちの手書き文字で細かく書いてあったわ。)

 

 (決裁欄にはお前のサインがあったし。)

 

夏油 

(宜しければ、その計画書を見せて頂けませんか?) 

 

 シュエン

 (は?)

 

夏油 

(もしその書類を確保しているのなら、写真で送れると思いますが?) 

 

(私の筆跡かどうか判断できます。) 

 

 シュエン

 (見せる訳ないでしょ?)

 

 (私がこの目で見たんだから。)

 

 (それとも、)

 

 (これを中央政府に見せていいのかしら?)

 

 (分かったら追跡しなさい。)

 

 (そしたら処分してあげる。)

 

ーーーーーーーーーーENDーーーーーーーーーー

 

 

 一方的な命令を告げ、電波が上手く受信できずに、通信が切れてしまったようだ。身に覚えのない書類を提示してきたシュエン、勿論偽装した物だと理解していた夏油。

 電源を切った端末を見つめる夏油を心配そうにネオンが声をかける。

 

 

ネオン「師匠、何ですか?」

 

夏油「......(偽装工作か...それにしては随分と幼稚で不十分だね。)」

 

漏瑚(どうする気だ夏油。あの人間、理由を作っては恐らく死ぬまで貴様をこき使いまわすだろう。)

 

真人(まぁ、大丈夫でしょ。夏油もあのガキの行動に気付いてたし。)

 

夏油(奴の言いなりになり続ける気は毛頭ない、ああいうのは勝手に自滅する。その機をうかがって縛りを設ける予定だよ。)

 

花御(自らの種が淘汰される危機だというのに...。)

 

夏油(自分がかわいいのさ。それに、『誰よりも貢献()()()()()()から、何をしても許される。』っていう思考回路なんだろう?...はぁ......)

 

 

 ネオンの問いかけに答えず、夏油は漏瑚たちと念話している中、ミハラは夏油に近づきながら、作戦を継続するしかないと疑問を投げる。

 

 

ミハラ「...追跡、続けるしかないんでしょう?」

 

夏油「...猿め...

 

ミハラ「っ...!?」

 

 

 ミハラに、いや、質問の答えですらない言葉(殺意)が夏油の口からこだまする。はっきり聞き取り、夏油から溢れている殺気を感じ取ったのは夏油の一番近くにいたミハラだけ、ネオンは聞き取れず、ラピやアニス、ユニは聞こえてすらいない。

 

 

夏油「ふぅ...追跡を続けよう。」

 

ラピ「.......分かりました、行きましょう。」

 

 

 ミハラを先頭にユニが後に続き、その後ろでカウンターズ、一番後ろに夏油が歩き出す。ミハラは自分のみが感じた夏油の底知れない殺意と、恐らくシュエンに向けた言葉が頭の中から離れず俯いていた。

 その様子を心配したユニが、小走りでミハラに近づき、声をかける。

 

 

ユニ「ミハラ?大丈夫??」

 

ミハラ「......えぇ、大丈夫よ。」

 

 

 夏油に対しての印象が変化したミハラ。それは、新米指揮官とは乖離し過ぎていた殺意を放っていた。その感覚を自分の心のうちに留めておくことにするのだった。




 取り敢えずニケのクソガキことシュエンが登場しました。あんなに性格終わってるのに、子供みたいに駄々を捏ねるなんて、本当声優さんは凄いと感じました。

にけ さんぽ



 前哨基地での出来事...夏油は指揮官室で仕事を終え、ベッドでゆっくりしていた。


夏油「...はぁ、それにしても疲れるな。デスクワークが終わったら任務で地上に上がり、任務が終わったらデスクワークに戻るの繰り返し...。」

(コンコンとドアをノックする音)

ネオン「師匠、いらっしゃいますか?」

夏油「?? はい、どうぞ。」

ネオン「師匠、今の私を見てどう思いますか?」

夏油「...随分汚れているね。何かあったのかい?」

ネオン「宿所のシャワー室の水の出が悪すぎて、配管を触ったらこうなったんです。もちろん、何の成果もないし、シャワー室は相変わらず水が出ないんです。」

夏油「私のシャワー室でよかったら、使うかい??」

ネオン「はい! ありがたく借ります!!」

(シャワー室からザァァァァァーと水が流れ、30分経過して綺麗になったネオンが出てきた。)

ネオン「ふう...すっきりした。シャワー室、ありがとうございました。では、失礼します!」

夏油「あぁ、次は気をつけてね。」

ネオン「はい、師匠もゆっくり休んでくださいね。」(ぺこりと挨拶して部屋を出る。)

夏油「それにしても、シャワー室が使えないのは重大だ...早いうちに解決しなければ......」(ウトウトし始める。)

夏油「...任務の前に...一眠.........

アニス「指揮官様ー!!」

夏油「!?...どうしたんだい??」

アニス「ちょっとひどい~! ネオンにだけシャワー室使わせて!私も使う! シャワー室!!」

夏油「いいよ、ネオンから宿所のシャワーが使えないことは知ってるから。」

アニス「いいの!? じゃあ、失礼!!」

(シャワー室から再び、ザァァァァァーと水が流れてきた。)

アニス「おお~! 温水!!

(シャワー室からジャブジャブジャブと、水と泡で体をこする音が響く。)

アニス「ら~らら~~♪ らりららりら~♪

夏油(しかし、指揮官という役職は副業出来るのだろうか?)

アニス「ニケが♪ あいさつする~♪

夏油(...そもそも仕事できる暇が無いな。)

アニス「ニケニケに~♪

真人(じゃあ夏油が行ってる間に俺が働こうか??)

(シャワー室から再び、ザァァァァァーと水が流れ、泡を洗い流す。)

夏油(住民票とかの提示が必要になるから無理かもしれないね。)

漏瑚(そもそも、仕事に飽きたら辞めるだろう。)

真人((∀`*ゞ)<テヘッ、バレちゃった♪)

アニス「ニニニニニ~♪

花御(貴方が真面目に仕事に従事する姿を想像できないのですが...)

アニス「ケケケケケ~♪

真人(花御ってばひっど~い!......まあ、つまんなかったら辞めるけど。)

アニス「ふふん~♪ ふふふふふ~ん♪

陀艮(ぶふぅ~♪ ぶふふふふ~ぅ♪)

(アニスのシャワーは一時間も続いた。)

アニス「ああ~すっきり~♪」

真人(シャワー長くね?)

アニス「指揮官様、何か飲み物ない?」

夏油「冷蔵庫に何かあると思うよ。」

アニス「ありがと~♪...指揮官様、これは??」

夏油「??...スーパーで売っているお茶だけど?」

アニス「お茶1種類だけじゃない...。」

夏油「(規制音)六茶が美味しくてね。」

アニス「そうなの...あっ! 炭酸水! こんなものがあるのね~♪ 指揮官って、いいね~ 素敵だね~。」

夏油「私は無くても大丈夫だ、よかったらラピやネオンと一緒に飲んでくれ。」

アニス「(ゴクゴクゴクッ)ぷは~っ!」

アニス「あ~すごく気持ち良かった。また来てもいいよね?」

夏油「構わないよ、使いたかったら何時でも来なよ。」

アニス「ありがと~♪ じゃあ、休んでね指揮官様。」(炭酸水を持って、扉を部屋を出て行った。)

夏油(費用を極力抑えていたけど...皆が使うことを...考慮して......買う飲み物も......... )(再びウトウトし始める。)


――――――――――――――――――――――――



その夏は忙しかった...。


昨年頻発した災害の影響もあったのだろう...


蛆のように呪霊が沸いた。


祓う、取り込む、その繰り返し...


今でも忘れられない、呪霊の味。


吐瀉物を処理した雑巾のような味...。


今でも私の選択が正しかったのかすら分からない...。



あの時の夏も、私はよく長い間シャワーに入っていた。




只々、頭に響く()をかき消すために...





呪いの源である非術師を、守るべきと言い聞かせてきた。






あの音が...







あの景色が...









あの不快感が...









呪詛師になっても...









この世界に来ても...










()()()()()()()()()()()()






――――――――――――――――――――――――



「指...官...。」



「お...てくだ...い。」


「指揮官。」


夏油「...ラピ?、シャワーを使うのかい?」

ラピ「...ありがたいお言葉ですが、そんな暇はありません。作戦投入まであと30分です。」

夏油「......もうそんな時間なのか。」

ラピ「準備ができ次第、降りてきてください。では、下で待っています。」

夏油「うん...分かったよ。」

(ラピは部屋から出て行った。)

夏油「......。」

(作業机に向かう夏油、そこには一丁の拳銃が大切に置かれており、ホルスターにしまう。)

夏油「......。」

(指揮官室の扉を開けて、ポツリと呟いた。)

夏油「行ってきます...。」
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