待ち伏せを受けた夏油たち、しかし難なくラプチャーを殲滅することができた。その報告を行うラピ、強襲に素早く対応し、抜群なコンビネーションを実現したミハラ、ユニも夏油たちに対して好感を示していた。
ラピ「状況終了!」
夏油「みんな、お疲れ様。」
ミハラ「ふう〜ん、私たち、結構息が合うじゃない。」
ユニ「うん、ユニはこの人たち好き。指揮官も好き。」
ミハラ「5人で分隊を構成するのも悪くないと思うわ。」
アニス「そうね、どう思う?ラピ。」
ラピ「私が決めることじゃない。」
ラピたちのカウンターズと、ミハラとユニのワードレスの2つの分隊を合併するミハラの考えに、アニスは賛成する。ラピにも意見を伺おうとするが、決める立場にないことをアニスに伝える。
アニスはラピの考えも聞くために、ミハラの考えをどう思うのかアニスは問う。
アニス「ええ、でもラピにも考えはあると思うから。」
ラピ「...まだ信じられない。」
ミハラ「.....」
夏油「でも、1日という短期間でここまでのコンビネーションは凄いと思うよ。もしできるなら、分隊を再構成するのも悪い考えじゃない。」
静まる中、夏油はミハラの考えに前向きで、実際戦闘を優位に進められていることから、実現できるなら合併した方がいい
ユニ「本当?ユニ凄い?」
ネオン「はい!戦闘前の指揮官を助けた時や、戦闘中にラプチャーを止めて火力を集中できる隙を作ったりとか。ユニは凄いです!」
ユニ「えへへっ。」
夏油の考えに同意するように、ネオンもユニとのコンビネーションで、以前よりもラプチャーの殲滅が円滑になっている事をユニに伝える。ユニが微笑んでいる姿を見たミハラは笑みを浮かべながらも移動を再開するように伝える。
ミハラ「さっ、戦闘も終わったし、早く移動しましょ。」
アニス「そうね、ここに長居する理由も無いし。」
ネオン「師匠、足元、気をつけてくださいね。」
夏油「あぁ、ありがとう。」
移動を再開した夏油たち、そんな中漏瑚が夏油に対して警告する。
漏瑚(遂に動きおったな。)
夏油(あぁ、周囲を偵察している呪霊から、トーカティブも私たちを狙っていると考えていい。)
真人(う〜ん...)
花御(どうしましたか?真人。)
真人(いや、そのトーカティブとかいう奴の動機が分からなくてさ〜。)
陀艮(ぶふぅ〜?)(動機?)
ラプチャーの強襲と周囲を偵察し、ラプチャーが夏油たちを追跡している情報から、夏油たちを狙っていると突き止めた。しかし、真人はトーカティブの目的が分からず、頭を傾げていた。
真人(ほら、追跡してくる奴がいたら、逃げるか返り討ちにするかじゃん?
でも態々あの場所に誘い込んで雑魚に強襲させる意味が分からなくってさ〜。)
漏瑚(ふむ、殺したい者が夏油の周りに居るか...)
花御(もしくは無力化したいのか...)
夏油(どっちにしろ、偵察はこのまま続ける。警戒も解かずに注意していくよ。)
陀艮(ぶっふぅ〜!)(がんばれ〜!)
トーカティブの行動を分析した夏油と漏瑚たち、目的については以前分からないままだが、警戒を解かずに追跡を続けることを伝える。
強襲された区域から大分離れたところまで移動した夏油たち。ユニがハッと思い出したかのように思い出して、夏油にお願いをしていた。ミハラはユニを止めようとするが、夏油は了承する。
ユニ「あ、指揮官。さっきの戦いで、ユニが指揮官を助けたの。」
夏油「ラプチャーの初弾を回避した時かい?」
ユニ「そう!だから、ご褒美ちょうだい。」
ミハラ「...ユニ、指揮官は人間...」
夏油「確かにあの時、ユニに助けられたからね。分かった、ご褒美をあげよう。」
夏油の言葉にラピは止めようと声をかけるが、問題ないと返答する。ユニははしゃぎながらも夏油に手を出すよう指示して、夏油はそっとユニの前に手を差し出す。
ラピ「指揮官...」
夏油「大丈夫、心配しないで。」
ユニ「わあ、本当に? じゃあ、手出して。」
夏油「これでいいかい?」
躊躇いもなく手を差し出す夏油に対して、動揺しながらも頬を赤らめるユニは、もう一度夏油に確認を取る。
ユニ「ほ、本当にいいの?」
夏油「お手柔らかにね。」
ユニ「へ、へへ...」
ユニは夏油の手の甲をつねる。次第に力を強めていき、皮膚がどんどん赤黒くなっていく。ユニは夏油の手をつねってどんな顔をしているか見るために、顔を見上げる。
ユニ「し、指揮官。痛い?」
夏油「痛いよ...。」
ユニ「...痛いの?」
苦痛に表情が歪んでいると思っていた夏油の表情は、少し眉を顰めていた。ユニが与えている痛みが、然程痛いと感じないくらいに...
そしてユニは、夏油の表情から苦しんでいるようにも見えた。何に苦しんでいるのか、手をつねっている事で苦しんでいるようにには見えなかった。
ユニがそう考えている内に、力は弱まっていき、夏油の手の甲をつねる事を止める。
ユニ「...ありがとう、指揮官。」(どうしてそんなに辛そうにしてるの?)
ラピ「...指揮官、少しじっとしていて下さい。」
ラピは夏油の手の甲を見て、医療パックから包帯を取り出してユニがつねった箇所を、圧迫するように少し強く巻きつける。
ラピ「内出血した箇所を止血しています。動かないで下さい。」
夏油(...)
漏瑚(夏油、)
夏油(分かってる。)
漏瑚と夏油が念話で会話している間に、ラピはユニがつねって内出血した箇所の応急処置を終えた。
ラピ「終わりまし...」
??????「見つけた。」
夏油たちの背後から声が聞こえた。人間とは思えないおぞましい声に、夏油を除いて全員振り返った瞬間、筋肉質な灰色の皮膚に、所々装甲を身につけ配管がある巨大なラプチャーが、鋭利な歯を見せながら気味悪く笑う顔が見える。その姿は機械でありながら、生物のようなおぞましさが伝わってくる。
そして、ラピたちが振り返っている様子を見て、夏油も遅れて振り返る。
ラピ「...!!」
ミハラ「...何!?」
??????「少し遊んでから殺そうと思ったのに、こんな幸運が...」
ネオン「しゃ、喋ってますけど?」
アニス「いや、ラプチャーだわ!」
ラピ「指揮...」
皆が驚きを隠せずに表情が変わり、巨大なラプチャーは夏油の顔を見て更に広角が上がり、更に不気味に笑う。
ラピは夏油を守るために近づいた瞬間、『ドォーン!』という音が周囲に響き渡る。ラプチャーに蹴飛ばされたように見えたが、ラピがいた場所より後ろで夏油がラピをお姫様抱っこで抱えていた。
ユニはラプチャーの足の形から、自分たちが追跡している捕獲対象、トーカティブと気付きミハラに呼びかける。
ユニ「ミ、ミハラ! 足!足の形!」
ミハラ「...トーカティブ...!」
トーカティブ「よく避けたな、人間。」
夏油「ラピ、大丈夫かい?」
ラピ「は...はい...。」
夏油がラピを下して、各自戦闘準備に入ろうとするが、トーカティブがラピたちを制止するように声を張り上げる。
トーカティブ「動くな、自分の前にいるのは誰か、思い出すんだ。」
アニス「この...!」
ミハラ「......」
全員が動けない状態の中、ミハラは動かないまま青い光を放ち、トーカティブと感覚交換を行う。青い光が放たれた瞬間、ミハラは自身の腹部をえぐった。
『ゴキッ』という不快な音がトーカティブから響き、トーカティブがふらつく。ミハラはすかさずユニに呼び掛ける。
トーカティブ「ガハッ...!」
ミハラ「ユニ。」
ユニ「うん、切るね。」
ユニは直ぐに手を銃の形に変えて、『バキューン!』という発砲音とともにトーカティブの感覚を遮断する。
トーカティブ「目が...? 視覚を遮断したのか!」
ミハラ「こんなの簡単よ。さあ、捕獲する時間よ。」
各自が銃器のチェック、攻撃から身を守る障害物の確保といった戦闘準備を直ぐに済ませ、トーカティブの戦闘に入る。
トーカティブ「ちぃ!小賢しい真似を!!」
夏油(跳躍して、右腕を振り上げている...地面に叩きつける気か!?)
夏油が全員にハンドサインを送って、障害物に隠れるように指示を送る。全員が障害物に隠れ、トーカティブが右腕を地面に叩きつける。
その衝撃によって、周囲の地面が抉れニケの肉体でも貫通する速度の瓦礫が飛び散り、障害物に隠れていたことで被害を抑えることができた。
ユニがトーカティブの感覚を遮断したことで、こちらの正確な場所を把握していない状況を利用するべきだと考えた夏油は、端末から声を出さないように戦うことを指示する。
夏油(今トーカティブはユニの感覚遮断によって、何も見えない状況だ。戦況報告は最低限に抑えて、なるべく声を出さずに戦えるかい?)
アニス(難しいかもしれないけど...やるだけやってみる!)
ミハラ(分かったわ、指揮官。)
ユニ(うん! ユニ、もっと頑張る!)
ネオン(私は師匠の弟子ですから! 私たちのコンビネーションを最大限に発揮します!)
ラピ(各自、リロードはハンドサインや端末を通して送って、それなら音でこちらの位置を悟られない。)
戦い方を伝え終え、それぞれが殆ど声を出さず、トーカティブの肩部に格納されているミサイルポートに攻撃を開始する。攻撃の際に発生する発砲音からトーカティブはおおよその位置の特定を開始する。
トーカティブ「やけに静かだと思ったが、声を出さずとも攻撃を受ければ、おおよその位置を特定できる。」
発砲音の音量からおおよその位置を把握できた瞬間、トーカティブの背後から衝撃が伝わる。発砲音は聞こえなかった、だがラピたちの攻撃に引けを取らないほどの衝撃が背中全体に駆け巡る。
トーカティブ「ウグァッ!?」
アニス(奴がふらついている!)
ネオン(これが私たちのコンビネーションです!)
ラピ(...)
ミハラ(このまま一気に攻め落とすわよ。)
ユニ(うん!)
ラピたちの攻撃は一気に苛烈になっていく中、トーカティブはラピたちの位置を、銃声の聞こえる方向だと理解して掴んでいた。しかし、原因不明な背後の攻撃が確実にダメージを与えており、トーカティブのエネルギー出力が低下していた。
トーカティブ(前方約8~15mの範囲に奴らがいることは分かる。しかし、背後の攻撃は一体なんだ!?)
思考を募らせた結果、トーカティブは背後の攻撃を止めるために高く跳躍する。攻撃を受けている場所を、滞空している間に変化した角度から逆算して特定する。
そのままトーカティブは拳を振り下ろすが、まるで手ごたえが無いことに気付く。攻撃は止まったが、余計原因が分からなくなり膠着している隙を狙い、ラピの攻撃がトーカティブのミサイルポートを破壊する。
トーカティブ「ガァッ!?」
体の各所にある隙間から黒い液体を垂れ流し、膝を付くトーカティブ。しかし、歯を食いしばって立ち上がろうとする様子に、ミハラはうんざりしながら端末で伝える。
ミハラ(思ったよりしつこいわね、こんな状況なのに。)
アニス(でも動きが鈍くなったわ、すぐ倒れるんじゃないかしら?)
ミハラ(ふふ、じゃあ、追い込みをかけるわよ。)
トーカティブ「感覚交換か...」
更に攻撃を続けて追い込みをかけようとしたミハラ。しかし、戦闘前にミハラが自身の腹をえぐったことで、トーカティブも同じ箇所に痛覚が伝わったことから、不気味な笑みを浮かべる。夏油は、自身が言った作戦を忘れたように、大声でミハラに能力を解くように伝える。
夏油「!? ミハラ!能力を遮断するんだ!!」
ミハラ(えっ?)
瞬間、トーカティブは自身の右腕を左腕で引きちぎる。『ブチッ!』という生々しく鈍い音が響き渡る。ミハラはあまりの痛みから、左腕で右腕を握り締め蹲る。
ミハラ「...っ...!」
トーカティブは更に自身の肉体を引き千切り、抉り、かみ砕き、まき散らした。トーカティブが与える痛みからミハラは悲鳴を上げる。トーカティブはミハラの悲鳴を聞いて、ゲラゲラと笑い始める。
ミハラ「うっ...グウッ...!」
トーカティブ「ふははは!愉快だな! 自分の体をえぐる楽しみを味わえるとは! ふははは!
さあ、耐えてみろ! 八つ裂きにされる苦痛に! どこまで耐えられるか見せてみろ! 人間もどき!」
ミハラ「あぁっ!!...あああっ!!!」
トーカティブが与えた苦痛が、許容範囲を遥かに超えたことでミハラは地面に倒れ、体をくねらせていた。ミハラの様子を見ていたユニはトーカティブに対して怒りが爆発し、激昂する。
ユニ「ミ、ミハラ! こいつ!!」
夏油「ユニ! 立つな!伏せろ!!」
夏油の忠告とは裏腹に、ユニが視線をミハラからトーカティブに移すが、正面にいるトーカティブの尻尾が間近までに迫っており、『ドォーン!』という鈍い音とともにユニがトーカティブの振り回した尻尾に直撃する。
ユニは廃墟と化した建造物に叩きつけられ、そのまま地面に倒れ伏す。
トーカティブ「視界を遮断したなら、まず立っている位置を変えるのが基本だ。よく覚えておけ、人間もどき。」
トーカティブはユニを無力化した後、自傷した傷が蠢き瞬時に修復する。その様子にアニスは驚愕する。視界が戻ったトーカティブはすかさずラピたちを標的にする。
アニス「じ、自己修復!? ラプチャーにそんな機能が...!」
トーカティブ「まずは邪魔な人間もどきを片付けるか。」
ラピ「っ! アニス!ネオン!」
トーカティブはラピに向かって一直線に駆け出して殴り飛ばした。
次にアニスを尻尾で貫こうとするが、武器を盾にできたが壁に叩きつけられた衝撃で気絶した。
ネオンは抵抗するが、トーカティブは周囲の障害物を破壊し瓦礫を飛ばし、その瓦礫がネオンの頭部に直撃する。
瞬く間に夏油を除く全員が無力化された、この状況に夏油は拳を握り閉める。
トーカティブ「これで邪魔者はいなくなった。」
夏油「貴様の目的は一体何なんだ。」
突き刺すような鋭い視線をトーカティブに向けて、夏油はトーカティブの目的を問う。その問いにトーカティブは無視して命令する。
トーカティブ「人間、共に行こう。大人しく付いてくるなら、危害は加えない。」
夏油「私を連れて行き、何をするつもりだ?」
トーカティブ「答えろ、さもなくば無理矢理にでも連れていく。」
夏油「断る、貴様の命令に従うつもりは無い。」
夏油の返答に、トーカティブは不気味な笑みを浮かべて、ゆっくりと近づく。
トーカティブ「ならいい。仕方ない、腕や足くらいはなくても機能には問題ないだろう。」
トーカティブが接近を始めた時、夏油も右手を肩より低い位置まで上げて反撃の体制を作るが、夏油とトーカティブの間に入り、所々ボロボロになったラピが立ち塞がる。
ラピ「それは許さない。」
トーカティブ「うん?もう起きたのか? 人間もどきが?......」
トーカティブはラピの体を頭から足先まで見直している間、ラピは銃口をトーカティブに向ける。そして、見直したトーカティブはラピに向かって再び不気味な笑みを浮かべて話し出す。
トーカティブ「ふはは、そうか。
トーカティブが話したレッドフードの単語を聞いたラピは、怒りを露わにし殺意を宿した視線をトーカティブに向ける。
トーカティブはラピのことなど気にせず、大声で笑いだす。
ラピ「...黙れ。」
トーカティブ「ふははは! 今日は本当に運がいいな!」
ラピ「...指揮官。私が時間を稼ぎます。その間に脱出を...」
夏油「...。」
ラピ「今の私たちでは、指揮官をお守りできません。報告をお願いします。人間の言語を駆使するラプチャーがいる...」
瞬間、トーカティブの尻尾が夏油めがけて一直線に向かってきた。ラピの体を通り過ぎて、尻尾は夏油の足を狙って逃亡という選択肢を無くそうとしていた。普通なら体は打ち上げられ、足が不自然な方向に折れ曲がるだろう...
厳密に言うなら、トーカティブの尻尾が轟音と共に千切れとんだ。轟音の発生源に目を向けると、巨大なライフルを手に持ち、灰色の装甲と白いマントを身につけている白髪の女性がいた。
夏油とラピは呆気となり、トーカティブは不意の苦痛に声を荒げる。
???????「いい覚悟だ。」
トーカティブ「!!」
ラピ「対艦ライフル...?」
???????「ここは任せろ。」
再び轟音が響き渡り、トーカティブの肉体を穴だらけにしていく。トーカティブも対抗して自己修復を行うが、再生が間に合わず焦り始める。
トーカティブ「くっ...! 巡礼者ァ...!」
???????「失せろ、異端め。」
トーカティブ「...修復機能が、間に合わない......くっ!」
トーカティブはこれ以上戦闘を継続すると不利になると悟り、空高く跳躍して戦場を離脱する。巡礼者と呼ばれていた女性は離脱したトーカティブを暫く見つめ、夏油とラピの方を向いた。
???????「お前たちは帰れ。」
そう言い残し、女性はトーカティブの離脱した方向に向かって跳躍し追跡を開始した。呆気に取られていたラピは、アニスとネオン、ミハラとユニを安全地帯へ移動しようと動き出す。
ラピ「指揮官...ワードレスと、アニスとネオンを連れて...安全...地...」
ラピは最後まで伝えきれずに意識を手放し、地面に倒れ伏す。夏油はみんなを助けるために動き出す...
ようやくトーカティブを登場させられました...夏油が本格的に戦っていない?僕もそう思う。正直書いてて暴れさせたくてうずうずしています。
でもまださきのお話になりそうです。